近年メンタルヘルスへの関心が高まっているよね。
「健康経営」「ワークライフバランス」などの考え方が企業に導入されたり、セルフケアをするためのアプリがたくさん出てきたり。
そんな中、精神障害についてしっかりと学びたいといったニーズも高まっているよ。そこで今回の記事で、主要な精神障害(精神病・精神疾患)について、概要に紹介していくね。
より詳しく知りたい方のために各項目にココロジーで過去に書いた記事も添付してあるから、そちらにも目を通してもらえると理解が一層深まるはずだよ。
目次
精神障害とは
精神障害とは、遺伝や環境、人生経験などが要因で幻覚・妄想、不安、落ち込みなど様々な心身の変化が生じ、そのことで自分や他者が社会参加に困難をきたしている状態のことを言うよ。
今回の記事では精神障害を以下の5つに分類した上で、それぞれの障害についてまとめていくことにするね。
ちなみに、精神障害に似た言葉に精神疾患や精神病があるよね。これらの言葉は厳密に定義が決まっているわけではないんだ。
この記事では、精神障害の定義は「発達障害も含む、かなり広い概念」、精神疾患の定義は「精神障害の中から発達障害を除いたもの」、精神病の定義は「精神疾患の中でも幻覚や妄想を呈するもので、まだ原因のわかっていないもの」とするね。
抑うつ症状系
この記事では精神障害の中でも特に憂うつな気分が主症状なものを「抑うつ症状系」と定義して、その中に大うつ病と気分変調症が含まれると考えることにするね。
大うつ病
「うつ病」といえばまずはこの大うつ病をイメージする人が多いんじゃないかな。本来「うつ病」には、大うつ病だけではなく気分変調症も含むけど、気分変調症までイメージする人は多くないかもしれないね。
大うつ病は気分障害に分類される精神障害だけど、心だけじゃなく、身体や行動にも症状が表れるんだ。
気分に表れる症状には、憂うつ、落ち込む、無気力などがあるよ。身体症状としては頭痛、吐き気、めまいなど。行動に表れる症状としては遅刻・欠席の増加、服装の乱れなどがあるね。
大うつ病を抱える人とのかかわり方
周りに大うつ病を抱えてしんどそうにしている人がいたら、「病気のせいで辛いのであって、あなた自身が怠けていたり弱い人間なわけではない」ことをしっかりと根気強く伝えていってあげてね。
うつ病についてより詳細に知りたい方は、以下の「うつ病になったときの行動や症状について」の記事も参考になるよ。
気分変調症
気分変調症とは、気分障害の一種で、2年以上抑うつ気分が持続するものだよ。
症状自体は大うつ病とほぼ同じようなものが表れるんだ。ただ、一般的に症状の強さは気分変調症の方がマイルドだと考えられているよ。
かといって「大うつ病よりも気分変調症の方が軽い病気である」と言えるかといえば決してそうではないんだ。というのも、気分変調症は慢性的な経過を辿るために「症状である」と気付かず、2つの大きな溝にはまりやすいからだよ。
一つ目の溝が、本当は症状で理解できるものを「自分の性格はもともとやる気の出ない性格なんだ」「落ち込みやすいのは自分が弱いからだ」と自分の性格の問題であるかのように誤解してしまうことだよ。そのために自尊心が大きく低下してしまう傾向があるんだ。
二つ目の溝が、治療を受ける気になりにくいことだよ。これは一つ目の溝に関係しているのだけど、「自分の性格の問題」と思うと、「病院やカウンセリングに行って治そう」との発想が生まれてこないよね。
このように気分変調症はうつ病と違って「何か大変なことが自分に起きている」との違和感に気づきにくいために上記二つの溝にはまってしまい、どんどん自尊心が損なわれ、治療へのアクセスが滞ってしまいがちなんだ。
気分変調症を抱える人とのかかわり方
まわりに気分変調症を抱えていそうな人がいたら、「頑張れ」「もっとやれる」などと叱咤激励するのではなく本人が抱えている辛さにじっと耳を傾けてあげてね。
大うつ病を抱える人に対する声かけと共通する点があるから、下のうつ病の方への接し方と禁句6選の記事にも目を通して参考にしてみてほしいな。
不安症状系
この記事では精神障害の中でも特に不安が主症状なものを「不安症状系」と定義して、その中にパニック障害と強迫症が含まれると考えることにするね。
パニック障害
パニック障害とは不安障害の一つで「パニック発作」と「予期不安」を主症状とする障害だよ。この二つの症状があるために、しばしば日常生活に大きな支障を来すんだ。
パニック発作とは、ふとした瞬間に心臓がドキドキし始め、息苦しさ、めまい、吐き気などをもたらす症状だよ。「死んでしまう」と感じるほど強い恐怖も伴うんだ。予期不安は「パニック発作がまた起きるのではないか?」との不安のことだよ。
パニック発作と予期不安は悪循環をもたらす関係にあるんだ。予期不安があるために些細な事柄(身体のちょっとした変化など)に敏感になり、「もしかして今心臓がドキドキしてる?」と不安が高まり、その不安が本当にパニック発作を誘発してしまうんだね。
パニック障害を抱える人とのかかわり方
もしパニック発作で苦しんでいる人が身近にいるのなら、「大丈夫だよ」と声をかけてあげてね。ただ、この方法はあくまでも「応急処置」として考えてほしいんだ。
「大丈夫だよ」と言ってもらえれば安心できる=「大丈夫だよ」と言ってもらえないと安心できない、でもあるからだよ。どんなに身近な人であっても、四六時中一緒にいて「大丈夫」と言ってあげることはできないよね。
根本解決を目指す場合には「パニック障害かもしれない」「パニック障害は必ず治せる」と教えて、病院に連れて行ってあげるのがベストだよ。
パニック障害について更に知りたい方や、他の不安障害についても知りたい方は不安障害の種類と原因、治し方をやさしく解説の記事も読んでみてくれたら嬉しいな。
強迫症
強迫症とは、「強迫観念」と「強迫行為」のために生活に大きな支障が生じる病のことだよ。
「強迫観念」とは、「ばかばかしい」と頭ではわかっているのに、勝手に何度も頭に浮かんできては人を不安にさせる思考のことなんだ。対して「強迫行為」とは強迫観念によって生じた不安・心配を軽減させるために行われる儀式的な行動のことだよ。
「身体が汚れているので病気になる」といった強迫観念が生じ、その不安を打ち消すために何時間も・何回も入念に石鹸でごしごし身体を洗う(強迫行為)といったのが強迫症の典型的な表れだね。
強迫症を抱える人とのかかわり方
強迫症を持つ人に巻き込まれ過ぎないことが大切になるよ。強迫症を持つ人は不安のあまり強迫行為を他人にも強要してしまうこともあるんだけど、それに乗っかるとどんどんエスカレートしてしまうからなんだ。
例えば「身体を入念に洗わないと病気になる」と不安になると、自分だけではなく家族にも身体を洗うように強く要請することが起きうるんだね。
でもこの要請に応えてしまうと、強迫症はどんどん悪化していってしまうんだ。だから相手が不安で苦しんでいることを理解しつつ「自分は平気だよ」とのスタンスを極力崩さないことが求められるよ。
その他、強迫症について知りたい方は、強迫性障害の原因と治すコツについても読んでみてね。
ストレス・トラウマ系
強いストレスやトラウマが原因で発症する精神障害を、この記事では「ストレス・トラウマ系」と定義するね。このカテゴリーには、PTSD、適応障害、愛着障害、解離性障害が含まれると考えることにするよ。
PTSD
PTSDは心的外傷後ストレス障害のことで、その名の通り心の傷として残るくらいの強いストレスを経験したことが原因で様々な生活上の支障を来す病のことだよ。
PTSDの代表的な症状は「再体験」「過覚醒」「回避」の三つだと言われているんだ。
再体験はフラッシュバックや悪夢などで繰り返しトラウマとなった出来事を想起し続けてしまうことだよ。
過覚醒とは神経が過敏となることで常にびくびくしたり不眠になってしまうことだね。
そして回避はトラウマとなった出来事やそれに近いことを避けることだよ。電車の事故が原因でPTSDになったとしたら、電車をイメージするあらゆることを避けるかもしれないね。
PTSDを抱える人とのかかわり方
ただ黙ってそばにいてあげるだけでも、PTSDを患っている人にとっては心の支えになることもあるんだ。
心理学者のブレウィン氏らが行った研究によって、「様々な研究に共通していることは、トラウマ体験後にPTSDを発症するかどうかを見分ける最大の要因は、ソーシャルサポートの有無である」ことがわかっているよ。1
ソーシャルサポートとは、ここでは「安心できる仲間」くらいの意味で理解してくれればOK。PTSDになるくらい怖い思いをしたけど、「依然として仲間がいる」と思える体験は大きな癒しになるんだ。
特別なことをする必要はなく、「仲間である」ことさえ伝わるのなら黙ってそばに一緒にいるだけでも十分なソーシャルサポートになるよ。
トラウマの乗り越え方についてまとめた記事もあるから、こちらも参考にしてみてね。
適応障害
適応障害とはハッキリとした心理社会的ストレスが原因となって落ち込みや涙もろさ、絶望感、不安などが顕著になり仕事や家事などがままならなくなる障害だよ。
心理社会的ストレスとは、職場環境の変化、離婚、ハラスメントなど日常生活を送る中で遭遇する可能性のあるストレスのことだね。
適応障害はストレスを感じる事柄に反応して症状が出るので、それ以外の事柄には大きな問題を来すことが少ないんだ。だから仕事が大変で適応障害になった人は、仕事と関係ない趣味などは相変わらず楽しむことができるんだね。
適応障害を抱える人とのかかわり方
話をしっかりと聞いて、取り除けるストレスは極力取り除くサポートをすることが大事だよ。
例えば適応障害の原因がパワハラ気質な上司との関わりにあるのなら部署異動をしたり、学校でのいじめが原因なら保健室登校でも単位として認めるなどだね。
このように安心できる環境を整えてあげることが重要なんだ。他にも適応障害について詳しく知りたいなと感じてくれた方は下の記事も参考になるよ。
愛着障害
「愛着障害」はいわば俗称で、反応性アタッチメント障害と脱抑制型愛着障害をまたぐ広い概念なんだ。
反応性アタッチメント障害は感情表現の乏しさや反応の薄さを特徴に持ち、脱抑制型愛着障害は何かあったときに、衝動とか感情を抑えることの難しさに特徴があるよ。
このように表にあらわれる状態像はまったく異なるけど、ともに「虐待を受けていた」など不適切な養育が関係していると言われているんだ。
また9ヶ月以降5歳未満の子どもが診断される点も共通しているね。だから厳密な定義からすると、よく言われる「大人の愛着障害」は存在しないんだ。「自分は愛着障害かも?」と悩んでいる人の大半は、「発達障害をはじめとした本人の資質が苦しさに影響している」ことが考えられるね。
「あなたは愛着障害ではない」と言われると自分の苦しみを否定されるように感じてしまうかもしれないけれどそんなことはないよ。むしろ「愛着障害」という言葉にこだわることで、苦しさの本質を見落としてしまう恐れがあるんだ。見落としを避けて心の健康を手に入れるためには「愛着障害」の視点だけでなく、多様な視点から自分を見つめ直すことが有効だよ。
「愛着障害で苦しい」と感じる人も、自分の苦しみの根っこを探して対処する方法を知るために臨床心理士や心療内科など専門家を使うことを考えてみてね。
愛着障害を抱える人とのかかわり方
厳密な意味での愛着障害となると、その症状を抱えているのは5歳未満の子どもであると言えるね。そんな子どもと関わる機会があるとしたら、しっかりと愛情をもって接してあげることがとても重要になるんだ。
厳密な意味からは外れるけど、「大人の愛着障害」と感じている人が身近にいる場合、その人の安全基地になってあげるといいね。初塚氏の論文によれば、安全基地に求められる要素として、①敏感性、②情緒的利用可能性、③情緒のオープンなやりとりが挙げられるとのことだよ。2
具体的な方法は下の記事にまとめているから、良かったら参考にしてみてね。
解離性障害
解離性障害とは、本来つながっているはずの心の機能が分かれてしまう障害だよ。つまり、記憶、感情、意識、人格など、本来は統合され一貫していることが期待されている機能が、何かしらの理由によって2つ以上に分かれているんだね。
解離性障害の原因は非常に大きなストレスやトラウマだと考えられているよ。天災、事故、イジメ、虐待、ショッキングなシーンの目撃などがその例だね。
解離性障害は大きなカテゴリーの名前で、このカテゴリーの中に解離性同一性障害、解離性健忘、離人感・現実感消失症、解離性遁走(とんそう)などといった具体的な障害が入るんだ。
この中でもっとも有名なのは解離性同一性障害かもしれないね。「え? 聞いたことないけど」って人も「多重人格」は聞いたことがあるんじゃないかな。多重人格の正式名称が解離性同一性障害なんだ。
解離性障害を抱える人とのかかわり方
意識を「今ここ」の現実に引き戻してあげるためにグラウンディングを促してあげるといいよ。
グラウンディングとは五感を使って「今は安全である」と自覚するための方法なんだ。その名の通り、意識的に地に足をつける方法が代表的なやり方だけど、冷たい氷を握ったり、周りに見えるものや聞こえるもの、触れているモノの感覚、その場の匂いなどに意識を向けるのも同様の効果があるよ。
「この音楽すごくいいよ」と、少し音量を大きめにした音楽をそれとなく聞かせて意識を現実に引き戻してあげるなどをしてもいいね。
解離性障害については下の記事でまとめているよ。
精神病系
原因は不明なものの、脳に何かしらの原因があると仮定されている精神障害を「精神病系」と定義して、その中に統合失調症と双極性障害、てんかんが含まれると考えることにするね。
てんかんは本来、神経疾患に分類されるべき病気なんだけど、過去に統合失調症と双極性障害に並んで「三大精神病」と言われていたこと、そして精神病と間違われてもおかしくないくらい精神病に似た症状があることを踏まえてこの記事でもてんかんについて書いていくことにするよ。
統合失調症
統合失調症とは、妄想や幻覚を主症状とする代表的な精神病の一つで、考えや気持ちをまとめることが難しくなる病だよ。
統合失調症の症状は妄想や幻覚などの陽性症状、意欲や思考力が低下する陰性症状の二つに分けて考えることができるんだ。
これらの症状の表れ方や発症年齢等によって統合失調症は妄想型、破瓜(はか)型、緊張型の3つのタイプに分けて考えることもできるよ。
統合失調症を抱える人とのかかわり方
お薬の管理をしてあげられるくらい身近な場合は、それをしてあげるといいかもしれないね。
統合失調症はしっかりとお薬を飲み続ければ症状が安定しやすい病気だよ。だけど、自己判断で薬物療法を止めてしまったりすると再発しやすいし、再発すればするほど症状は悪化してしまうんだ。そうならないために、お薬の管理をしてあげることはとても有効だね。
統合失調症についてまとめた記事は下の記事を読んでね。
双極性障害
双極性障害とは、躁状態と抑うつ状態を繰り返す精神的な病のことを言うんだ。いわゆる「躁うつ病」のことだね。躁とは気分の高揚感が表れる状態、抑うつとは気分の落ち込みや興味関心の減衰などが表れる状態のことだよ。
躁状態は、本人にとってとても多幸感を感じる時間だし、万能感も強まっているから「病気になっている」とはなかなか気づきにくいんだ。ましてや「病院に行こう」とは思いにくいね。
でも「事業で成功間違いなし」といって突然会社を辞めてしまったり、多額の借金をしてしまったりと周囲とトラブルになるリスクがあるので、出来るだけ早く医療につなげることが重要となってくるよ。
双極性障害を抱える人とのかかわり方
身近に双極性障害を抱える人がいる方は、抱え込もうとせずに専門家をぜひ頼ってね。
「双極性障害は無視されてきた疾患である」と言われることもあるらしく、他の精神障害に比較して研究が少ないんだ。なので一般の人が理解できるまで落とし込まれた情報も必然的に少ない状態が続いているよ。
双極性障害はお薬をしっかり飲むことでかなり落ち着く病でもあるから、処方を含め、専門家に頼って色んな人の力を借りてほしいな。
以下の記事でより詳しく双極性障害について解説しているよ。
てんかん
てんかんとは、脳の神経細胞が突然激しい電気的興奮をすることで発作が起きる病気のことだよ。
この説明でも明らかなように、てんかんは神経疾患であって精神障害ではないんだ。けど、過去に統合失調症と双極性障害に並んで「三大精神病」と言われていたことと、てんかんの症状の中には精神障害と間違われやすいものもあることからココロジーの記事でも記載していくことにしたんだ。
てんかんの症状で精神障害と間違われやすいものはいくつかあるんだけど、その代表の一つが焦点意識減損発作が起きたときの反応だね。焦点意識減損発作とは意識はないのに動き回ったり、口をくちゃくちゃさせたりする発作だよ。この発作が起きると呼びかけても反応がないことから「解離が起きてる」と誤解されてしまうことがあるんだ。
他にも音や臭いを感じる感覚発作が「幻覚」と間違われたり、けいれんが「チック」と間違われたりもするみたい。
てんかんを抱える人とのかかわり方
「倒れないでね」の言葉がけは避けてね。
てんかんは「急に倒れる」とのイメージが強いよね。けど、てんかんは脳のどのあたりの神経細胞が興奮するかによって表れる症状は本当に様々なんだ。だから「倒れる」だけがてんかんの症状ではないんだよ。
それに倒れてしまうタイプのてんかんだからといって、当人は好きで倒れているわけでは決してないんだ。そうなりたくてなっているわけではなく、本当に突然そうなってしまうんだよ。
このような理由から「倒れないでね」の言葉がけは「てんかんのことをよく知らないのか」「無理なことを要求されている」と相手に思わせてしまう可能性がとても高いんだ。
代わりに「どんなサポートをしたらいいか教えてくれない?」と言ってあげるといいかもしれないね。
てんかんについての理解を更に進めたい人は下の記事も読んでみてね。
その他の精神障害
今までのカテゴリー分けに上手く分類できないくらい独自の症状を持っている精神障害を「その他」とすることにするね。「その他」には摂食障害、睡眠障害、パーソナリティ障害、発達障害が含まれるよ。
摂食障害
摂食障害とは「過食する」「嘔吐する」「ほとんど食事を摂らない」などの食にまつわる症状のために日常生活に著しい支障をきたす疾患だよ。
摂食障害には主に神経性大食症と神経性無食欲症の二つがあるんだ。神経性大食症はいわゆる過食症のこと、神経性無食欲はいわゆる拒食症のことだよ。一見真逆の症状に見えるけど、ともにダイエットした経験がある人がほとんどだし、「痩せたい気持ち」が強い点も共通しているよ。
摂食障害というと、なんだか「思うように食べられなくなったことが原因の病気」と思えるよね。食いしん坊がエスカレートして過食症になったとか、ダイエットし続けた結果、食べないことが習慣化して拒食症になったとか、そんなイメージはないかな。
でもそれは大きな誤解で、食行動の異常はあくまでも表にあらわれた見えている部分であってその本質は「自尊心の傷つき」なんだ。
自尊心の低い人は、自分で自分を認めることを難しく感じるので他人からの評価を気にしがちなんだ。他人から「凄い」と言われることで、自分を保つ努力をするんだね。
自尊心の低い人にとって、ダイエットは比較的簡単に自尊心を高め自信をつけるのに有効に機能するよ。痩せることができれば、人から「凄い」「可愛くなった」と評価してもらいやすいからなんだ。食事制限や運動などの努力がダイレクトに体重といった数字に表れるのも自信につながりやすいね。
けど、ここで得た自尊心は「他人ありき」のもので、自分で自分を認めるに至っていないものなんだ。だから「終わりのないダイエット」を続ける必要があるんだけど、身体も心もいつしか限界は必ずくるよね。限界を迎えた状態が摂食障害というわけなんだ。
摂食障害を抱える人とのかかわり方
結果ではなく、そのプロセスに注目してあげよう。
結果は様々な要因によって簡単に左右されてしまうよね。例えば懸命に受験勉強しても受験日当日に運悪く体調が崩れてしまえば本領を発揮することができないよ。受験生の数や試験問題の質によっても結果は大きく変わるんだ。
一方、プロセスは「本人の気持ち」がなければ生起しないものだね。他人がいくら一生懸命勉強しても自分が勉強したことには絶対にならない。自分が「しよう」と思ってしないと意味がないんだ。プロセスにこそ「その人自身」が反映されるんだね。
先述の通り、摂食障害は「自尊心の傷つき」を抱えているから、プロセスに注目することは「自分自身に注目してもらえた」ことを意味するので、自尊心の傷つきを癒す効果があるんだ。
同じ「ダイエット」でも「痩せてきれいになったね!」は結果に対しての注目する言葉がけもできれば、「自分を律することができるなんて、どうしてそんなことができるの? 見習いたい!」とプロセスに注目する言葉がけもできるよね。
結果への注目も嬉しいけど、プロセスに注目してもらえた経験こそが「本当の自分を見てもらえた」との感覚を想起させる本当の自信を育む力になるんだ。
自尊心は人とのかかわりによって大きく左右されがちだよね。その意味では摂食障害は対人関係に紐づく病と言えるかも。摂食障害にまつわるその辺りの話は下の記事に詳しいよ。
睡眠障害
睡眠障害とは、睡眠に関する様々な病気を総称したものだよ。一言で睡眠障害と言っても、不眠症や過眠症、概日リズム睡眠覚醒障害などがあるんだ。
不眠症は眠ろうとしても眠れないことが一週間に3夜あり、その状態が3か月以上続いている状態、過眠症は過眠が少なくとも1週間に3回生じ、3か月以上認められる状態だよ。「寝すぎてしまう」は過眠症ではなくロングスリーパーと呼ばれる別物だよ。
そして概日リズム睡眠覚醒障害は、睡眠と覚醒のリズムが崩れてしまう状態なんだ。
睡眠障害を抱える人とのかかわり方
日中一緒に散歩に出かけるのはどうだろう。日光が目に入ることで生成されるセロトニンが睡眠に大きく関与しているからだよ。
人が眠気を感じるときは、血液中のメラトニン濃度が高まっているんだけど、メラトニンの材料となるのが先述したセロトニンなんだ。
睡眠の質を向上させたり、出来るだけ早く眠りにつくコツを知りたい方には睡眠障害とは?チェックリストと治し方!「寝すぎ」との違いは?や爆速で眠れる簡単な快眠方法10選の記事をオススメするよ。
パーソナリティ障害
パーソナリティ障害とは、物事に対して取る反応パターンに柔軟性が欠け、そのために自分や他人が困ってしまうことを特徴とする精神障害の一つだよ。パーソナリティ障害はA・B・Cの3つのカテゴリーがあって、合計で10種類あるんだ。
A群には妄想性パーソナリティ障害障害、シゾイドパーソナリティ障害、統合失調型パーソナリティ障害の3種類が含まれているよ。
B群には反社会性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、境界性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害の4種類が含まれているね。
そしてC群には回避性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、強迫性パーソナリティ障害の3種類が含まれているんだ。
いずれもはっきりとした原因はよくわかっていないけど、遺伝的な要因や育ってきた環境などが複雑に絡み合って発症すると考えられているよ。
パーソナリティ障害を抱える人とのかかわり方
パーソナリティ障害の種類によってそれぞれ関わり方は違ってくるけど、治療することを考えるなら、いずれも薬物療法やカウンセリングが有効となるよ。
カウンセリングの中でも「スキーマ療法」や「メンタライゼーションに基づく治療(MBT)」が効果的と言われているんだ。もしパーソナリティ障害で苦しんでいる人が身近にいるのなら、このようなカウンセリングが出来る施設を見つけて紹介してあげるといいかもしれないね。
パーソナリティ障害の10種類がどんな障害なのかとか、どう関わっていけばいいのかは下の記事が詳しいよ。
発達障害
発達障害とは、生まれつきの脳機能の障害のために、行動や情緒に特異さが生じ、生活に支障を来す障害のことだよ。
「行儀が悪い」「ちょっと変わった人」「失礼な人」などの印象を持たれがちで「しつけがなってない」と思われがちなんだ。けど、先述した通り「生まれつきの脳機能の障害」なので、しつけの問題とは無関係なんだ。
定義の仕方にもよるけど、発達障害には以下のものが含まれると考えるのが一般的だよ。
・自閉スペクトラム症(ASD)
・注意欠陥・多動症(ADHD)
・限局性学習障害(SLD)
・知的障害
・チック症
・吃音症
発達障害を抱える人とのかかわり方
発達障害の種類によってどのように関わるとよいかの傾向は変わってくるけど、本人の特性が活かしやすい環境づくりに協力することが重要になる点は共通しているよ。
例えば自閉スペクトラム症(ASD)の場合、注意の切り替えが苦手なためにマルチタスクを不得意とする傾向があるんだ。でも逆に、一つのことになら集中力を持続させることが比較的得意なんだ。この特性を活かしてルーティング業務の多い仕事を任せるなどがいいかもしれないね。
発達障害については、下の「発達障害とは?大人と子供の特徴とチェックリスト、二次障害まとめ」が参考になるよ。
精神障害(精神病・精神疾患)まとめ
今回の記事では5つのカテゴリーに分類して主要な精神障害についてまとめていったね。身近に精神障害で悩んでいる人がいる人の役に立つまとめになっていたら嬉しいな。
もし記事を読んで「自分は○○障害かも」と気になった人がいたら、一度心療内科や精神科に相談してみてもいいかもしれないね。病院を選ぶときにはこちらのフローチャートが参考になるよ。