大人の安全基地の作り方4選と他人の安全基地になる方法

2022.05.20 Fri
シンくん

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大人の安全基地
大人の安全基地の作り方4選と他人の安全基地になる方法

冒険って、「秘密基地」があるとより一層楽しめるよね。「基地」の存在はとても特別なんだ。

心理学には「安全基地」という考えがあるのだけれど、安全基地も人の“心の成長”に特別な役割を果たす存在なんだよ。

でも、子どもの頃ならいざ知らず、ある程度成長した大人にも安全基地は必要なんだろうか? 必要だとして、大人になってから安全基地を作ることはできるんだろうか?

今日はそんな大人にとっての「安全基地」について解説していくね。

安全基地は対人関係の基盤

 

安全基地とは

安全基地とは、発達心理学者のメアリー・エインスワースによって提唱された概念で、安心感や心地よさが保証された環境を意味するよ。言ってみれば「心のよりどころ」と言える存在のことだね。

安全基地は、小さな子どもとその養育者との関係を語る際によく用いられる言葉なんだ。子どもが養育者を「安全基地」と感じることができていると、養育者を心のよりどころにして様々な探索行動をすることができるよ。

なぜなら、探索をして怪我をしても、失敗をしても、お友だちとケンカをしても、「安全基地に戻れば大丈夫」と思えるからなんだ。

安全基地と子どもとの関わりは、大阪府が発行している乳幼児期用教育リーフレットの図がとても分かりやすいので引用しておくね。

安全基地の説明画像
Credit: 大阪府教育委員会

安全基地の実感がないときに起きやすいこと

子どもの頃に安全基地として実感できる存在がいることは、大人になった後の生活に多大な影響をもたらすと言われているんだ。

確かに、小さい頃に大人に親切にしてもらえた人とそうではなかった人とでは、親切にしてもらった経験がある人の方が、後の人間関係でも人を信頼できる気がするよね。このように、安全基地との関係の中で形成される、後の人生にも影響を及ぼす人間観、世界観、自己観のことを内的作業モデルというよ。

では、もし安全基地となる人と愛着を結ぶことができないまま大人になったとしたら、どのようなことが起きるんだろう。次にそれをみていこう。

ただし、ここに挙げたのはあくまでも例であって「愛着がないせいでこうなった」と決めつけるものではないことを、続きを読む前に注意しておいてほしいんだ。

自分のことが好きになれない

安全基地と安定した愛着関係をつくれないと、自分のことをあまり好きになれなくなってしまう可能性があるんだ。

安全基地とのかかわりを通じて、「自分はあまり大切にされない」といった経験をすると、内的作業モデルも「自分は大切にされる存在ではない」といった自己観を形成することになるからだよ。

自分のことが好きになれないと、ちょっとした自分の欠点も許せないので、また自分が嫌いになる悪循環に陥ってしまうんだ。

俺なんかどうせ二酸化炭素排出装置でしかないんだ…

他人のことが怖く感じる

安全基地と安定した愛着関係をつくれないと、他人のことを怖く感じやすいんだ。

例えば、怪我をしたときに親のところに泣きながら助けを求めたのに、「あんたがジャングルジムなんかで遊んだからでしょ? 知らない!」と怒られてケアしてもらえないといった経験を繰り返したとしたら「他人は自分を大切にしない怖い存在だ」という内的作業モデルを形成してしまったとしても不思議ではないよね。

やっぱり人は僕を大切にしてくれない!

コミュニケーション能力に自信がもてない

安全基地と安定した愛着関係をつくれないと、コミュニケーション能力に自信が持てなくなることも考えられるよ。

例えば、怪我した際に親に助けを求めたら、あるときは「可哀そうに」と慰められ、あるときは無視されたとすると、子どもは「どうしてこんなに対応が違うのか?」の理由を「自分の言い方が悪かったからかな?」と自分に非があるように捉えるものなんだ。

こんな経験を繰り返すと「自分は自分の気持ちをうまく伝えることができない」といった自己観の内的作業モデルを作ってしまい、後の人間関係でもコミュニケーション能力に自信を持つことができなくなってしまうんだね。

こんなとき、なんて言えばいいかわからないの

異性に対する苦手意識が高い

安全基地と安定した愛着関係をつくれないと、異性に対しての苦手意識が高まることも知られているんだ。異性の前だといつものようにふるまえない気がしてしまったり、言いたいことが言えなくなってしまうんだね。

ただ、森下氏らの研究によれば、女子大生に限って言えば「母親への愛着」が強い方が、異性に対して苦手意識が高くなるみたい。あまりに母親との密着傾向が強過ぎると他の人との深い関係を築く必要がなくなるからと推察されているよ。

どうしようどうしようどうしよう

安全基地と愛着障害

安全基地と愛着障害には深いつながりがあるんだ。

「安全基地」となる対象との間で結ばれる心理的つながりや絆のことを「愛着」と呼ぶんだけど、愛着が上手く形成できないと安定した内的作業モデルを作れず、日常や対人関係に支障をきたす「愛着障害」となる可能性があるからだよ。

このように言うと、「幼少期に安全基地がないまま大人になった自分は、ずっと対人関係が上手くいかない」と考えてしまうかもしれないね。

だけど、「安全基地がなかったから、今後“絶対に”良好な対人関係を築くことはできない」、なんてことはないよ。

確かに、幼少期の安全基地との関係性はその後の対人関係のベースとなるので、安全基地がある方がスムーズに対人関係を築いていきやすいんだ。だけど、そのことと「安全基地がなかったから、良好な対人関係を築くことはできない」はイコールではないよ。

愛着は「安定した愛着かそうではないか」によっておおよそ4つのタイプに分類できるんだけど、「子どもの時の愛着のタイプと大人になってからの愛着タイプは変わるのだろうか?」を調べた研究によると、「そんなに変わらない」といった結果になったものもあれば、「変わる」といった結果になったものもあったんだ。

結構、結果にばらつきがあるんだね。しかも、「そんなに変わらない」といった結果が出た研究でさえ、その一致率は 60%程度だったんだ。

大人になった今からでも、安全基地をつくって、愛着を形成し、対人関係が上手くいくような内的作業モデルに書き換えていけるんだ。

ここが僕の安全基地さ

自分でできる安全基地の作り方

「安全基地がなかったから、今後“絶対に”良好な対人関係を築くことはできない」わけではないことが確認できたところで、大人になった今からでもできる安全基地の作り方についてみていこう。

ただ、大人になってから作る安全基地は、『依存先を複数持つ』というニュアンスに近いんだ。安全基地の「いつも変わらず自分に愛情を注いで心を満たしてくれる」機能をいろんなところから少しずつ頂戴するイメージだね。依存先を複数持つことで、本当の意味での「安全基地」に負けない、素敵な関係性を増やしていこう

まずは自分でできる方法について解説していくね。出来そうなものがあれば取り入れてみてくれたら嬉しいな。

バタフライ・ハグをする

バタフライ・ハグは安心感や落ち着きを引き起こす効果があることが知られているので、自分自身を安全基地にするのにオススメの方法だよ。

バタフライ・ハグはイグナシオ・ジャレーロ博士らによって考案された方法で、やり方はとっても簡単なんだ。

ステップ1
両腕を胸の前で交差しよう。正面から見ると腕の形がチョウチョのようになるよ。両手は肩に軽く添えてね。
その姿勢で目をつむって、「安心を感じるもの」を思い浮かべて。場所でも好きな人でも、推しのアイドルでもなんでもいいよ。

ステップ2
「安心を感じるもの」を思い浮かべつつ、左右の肩を心臓のリズムに合わせて「トン・トン・トン」とリズムカルに軽く交互にゆっくりたたこう。2分間ほどやると効果が出てくるよ。

具体的なバタフライ・ハグのやり方を兵庫県教育委員会が動画で公開してくれているので紹介しておくね。

落ち着ける場所にいく

バタフライ・ハグでは「安心を感じるもの」を思い浮かべたけど、実際に安心を感じられる場所に行くのも効果的だよ。

自然のなかにいるとストレスホルモンであるコルチゾールの値が減少して、心の健康にいい影響を与えることが知られているよ。自然豊かな公園などに散歩に出かけるのがいいかもしれないね。

動物との触れ合いは心の健康に効果的なことが知られているので、動物園や動物カフェもいいかもしれないよ。

自分が動物になるのも効果的です…うそです

聞き役に徹する

聞き役になることも、自分が自分にとっての安全基地となるためには効果的なんだ。

というのも、相手が「自分のことを真剣に話を聴いてもらえている」と安心するのはもちろんのこと、傾聴している自分自身も相手の考え方について深く知ることができるため、相手をリスペクトするきっかけにもなるからだよ。

こうやって信頼関係を築くことができると、自分に対する自信も生まれ、自分を「安全基地」として信頼できるようになるんだ。

傾聴についてより詳しく知りたい人は聞き上手になる考え方も参考にしてみてね。

さぁ! 僕に何でも話して

心理的安全性のある環境をつくる

勤務先を心理的安全性の高い環境にしていくことでも安全基地の感覚を手に入れることができるよ。

心理的安全性とは、チームメンバーが互いに気兼ねなく意見を伝えあい、協力し合い、罰せられることがないと信じられる状態のことを言うんだ。

職場などで対等な人間関係をつくることができ、自分の存在価値が認められるようになると職場が「安心を感じるもの」となるので、職場が安全基地となるんだね。

社会人になると職場で過ごす時間はとても長くなるので、職場が安全基地になったらとても大きな安心感を得られるんだ。

職場を安全基地にする具体的な方法は心理的安全性の記事を参照してね。

アットホームな職場です

誰かに安全基地になってもらう方法

今度は、自分以外の人の協力を得つつ、その人に安全基地になってもらう方法を紹介するよ。

ただ、事前に注意してほしいのは「どこにも『理想の親の代わり』はいない」ということなんだ。「当たり前じゃん」と思う人もいるかもしれないね。けど、幼いころに安全基地と感じられる存在が身近にいなかった人にとっては、安全基地や「理想の親」に対する憧れが人一倍強くなることは無理もないことなんだ。

そしてその憧れが非現実な幻想を生み出して「100%自分の期待に応えてくれる存在こそが安全基地」と考えるようになってしまうことがあるよ。

これから述べる方法で誰かが安全基地となってくれたとして、その人が100%自分の期待に応えられなかったとしても、それは「安全基地として不十分」というわけではないから安心してね。

むしろ、「期待外れ」からくるすれ違いを自分なりにカバーすることで自立を養うことができる側面もあるんだ。

「安全基地と言えど、100%自分の思い通りにはいかない」。そう自分と他人との間に引く境界線のことをバウンダリーというよ。バウンダリーが引けると、より一層「自分」の輪郭がはっきりし、自分に対する信頼感や安心感が高まることが期待できるんだ。

ここが「自分」と「他人」の境目か…

親しい人との接触を増やす

親しい人とのスキンシップを増やすことで、その人が安全基地になってくれているとの感覚を育てることができるよ。

親しい人との触れ合いは、幸せホルモンの一種であるオキシトシンの分泌を促すことが知られているのだけど、オキシトシンは絆の形成においてとても重要な役割を担うんだ。

なお、オキシトシンは身体症状の緩和に一定の効果があることも知られているよ。塩田氏らの研究によれば、多忙のために夫婦の会話がなくなってしまった50代の女性がご主人に協力してもらい「毎日手を握り合う」をしたところ、それまで悩みの種であった頭痛やめまいがなくなったことが分かったんだ。

この研究を参考にして、親しい人が身近にいる人は、握手やハグなどの身体接触の回数を増やしてみてもいいかもしれないね。

頭痛が治まってきた気がする~

カウンセリングを受ける

身近に親しい人がいないという人は、カウンセリングを受けてみてもいいかもしれないね。

カウンセラーを安全基地にして、自分の心の中にある不安や違和感を言葉にしていくんだ。そうすることで自己肯定感が培われたり、「自分の話を聞いてもらう」ことの喜びを感じられるからだよ。

カウンセリングを受けに行く際は、正しいカウンセラーの選び方3選!を参考にして選ぶのが安全だよ。

大切な人の安全基地となるために

「自分が誰かの安全基地になりたい」という人もいるよね。初塚氏の論文によれば、安全基地に求められる要素として、①敏感性、②情緒的利用可能性、③情緒のオープンなやりとりが挙げられるとのことだよ。

この3つを参考に、安全基地に求められる要素を考えていこう。

ただ、相手の安全基地になろうと努力するあまり自分が辛くなってしまうことがあったら、自分も誰かに安全基地になってもらったり、バタフライ・ハグや専門家への相談などの方法で安心感を取り戻すことは忘れないでいてね。

すぐに反応してあげる

安全基地になる方法の1つ目は「すぐに反応してあげる」だよ。

困ったときにすぐに誰かに助けてもらえたら、誰だってとても安心できるよね。逆に、電話にいつまでたっても出ないし、LINEも既読されるだけのことが続いたら、その人に対して安心の感覚を抱くことはできないんだ。

もちろん、状況によっては「すぐに助けてあげる」ことが難しいときもあるよね。そのときは「今、○○という状態だからあとで連絡するね」と「反応」してあげることで相手に安心感を与えられるよ。

後ほど折り返しお電話いたします

一歩引いて見守る

二つ目の要素は「一歩引いて見守る」だよ。過干渉になったり、相手の不安を先回りしてこちらが解決してあげてはいけない、ということだね。

安全基地は言わば「給水ポイント」のようなもので、相手の頑張りをサポートする存在なんだ。だから「代わりに走ってあげる」のは安全基地の役割ではないんだね。代わりに走ってあげると、相手はいつまでたっても走るのが上手にならないよ。

相手からヘルプを求められたときに助けてあげるスタンスが大事なんだ。

もし「あの人には私がいないとだめだから」「私がどうにかしてあげないと」といった気持ちが出てきてしまったらイネイブリングしている可能性があるよ。詳しくは共依存の記事を読んで、注意点を確認してみてね。

つい口を出したくなっても、我慢我慢

否定的な感情もウェルカムの姿勢

三つ目の要素は「否定的感情を否定しない」だよ。

「困った」「助けて」とヘルプを出したときに、「そんなことくらいでへこたれるな!」「自分で何とかしろ! 弱虫!」などといった言動を取られたら、萎縮してしまうだけで全く安心感は得られないよね。

「弱ってしまうことや助けを求めることがあるのが普通なんだ」と、大きく受け止めてくれる存在こそが「安全基地」となり得る要素なんだ。

どんな感情も受け止めるぜ!

安全基地まとめ

「安全基地」とは、子どもにとって安心感や心地よさを得ることができる「心のよりどころ」のことを言うんだね。

今回の記事のポイントは以下の3点だよ。

①幼少期に体験した安全基地との関係は、後の対人関係に大きな影響をもたらす
②でも、大人になってから安全基地を作ることは可能
③自分が自分の安全基地になることもできるし、他人になってもらうこともできる

「自分が誰かの安全基地になってあげたい」という人は①敏感性、②情緒的利用可能性、③情緒のオープンなやりとりを意識したかかわりをしていってあげてね。

何か一つでも安全基地をこれから作っていく上でのヒントになればいいな。

読者の皆は僕の安全基地の一つだよ。いつもありがとう

これを読んだきみにはこれも読んでほしいな

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