強迫性障害の原因と治すコツは?症状セルフチェックと「気にしない方法」

2022.07.26 Tue
シンくん
案内人 シンくん
ライター
執筆 小野寺 リヒト 臨床心理士/公認心理師
強迫性障害
強迫性障害の原因と治すコツは?症状セルフチェックと「気にしない方法」

「『大丈夫』って頭ではわかってるはずなのに、不安だから何度も忘れ物がないか確認してしまう」
「毎日決まった順番で身体を洗わないと気持ちが悪い」
「たまたま時計をみたら13時13分だったから13日の金曜日を連想して怖くなった」

こんな風に、不安を解消するために何度も確認したり、自分なりのルーティンがあったり、ばかばかしいと思いながらも信じずにはいられない考えがあったりするよね。それ自体は何ら異常なことではないよ。

例えば、ニューブラウンズウィック大学の心理学教授クラーク氏によれば「暖房、ストーブ、電気を消し忘れて火事になるのではないかと心配する」人は女性で79%、男性で62%もいることがわかっているんだ。心配性な人はとても多いんだね。

ただ、いくら心配だからとはいえ、確認行為をしている時間や考えている時間が生活の大半を占めるようになり、苦しさを感じるようになったとしたら、強迫性障害を患っている可能性があるんだ。ほとんどの人が心配性なのに、強迫性障害になる人とならない人とでは、いったい何が違うんだろう?

その謎を解き明かすため、この記事では強迫性障害とはいったい何なのか、どんな症状があるのか、原因や治療法などについて分かりやすく解説していくね。

強迫性障害の謎を解明すべく、我々はアマゾンの奥地へ向かった...
 

強迫性障害/強迫症とは

強迫性障害とは、自分でも「あり得ない」「ばかばかしい」と頭ではわかっていても、どうしてもある特定の考えが頭から離れることがなく不安が募り、不安を取り除くために何度も同じ行動を繰り返すことで日常生活に支障をきたす精神的な病のことだよ。強迫症と呼ばれることもあるんだ。

強迫性障害には、例えば、「車の運転中、気が付かないうちに誰かを轢いてしまったかもしれない」と考え、通った道を血痕が残っていないかに注意しながら戻る、といったことを何度も繰り返すような症状があるよ。

「車の運転中、気が付かないうちに誰かを轢いてしまったかもしれない」との考えを「強迫観念」といい「通った道を血痕が残っていないかに注意しながら戻る、といったことを何度も繰り返す」ことを「強迫行為」と呼ぶんだ。強迫性障害はこの「強迫観念」と「強迫行為」が主なる症状となるよ。

アマゾンの奥地行かずに、この記事読んで
 

強迫性障害の症状

先述の通り、強迫性障害は「強迫観念」と「強迫行為」が主なる症状となるよ。

強迫観念にも強迫行為にもたくさんの種類があるんだ。ここではその代表的なものを挙げていくね。

強迫観念とその種類

強迫観念は強迫性障害の代表的な症状の一つなんだ。強迫観念とは本人も「ばかばかしい」「そんなことはあり得ない」と頭ではわかっているけど、勝手に何度も頭に浮かんできて人を不安にさせる思考のことなんだ。

考えたくて考えているわけではないために、「考えが侵入してくる」といった感覚を訴える人が多いよ。

汚れてしまった気がする

最も多くみられる強迫観念の一つが「汚れてしまった」「何かしらの菌やウイルスが付着した」と考えるものだよ。専門的には「不潔恐怖」「汚染恐怖」として知られる症状なんだ。

ここ最近のコロナ禍で「コロナウイルスが身体に付着しているかもしれない」と、過剰な警戒心と不安を感じて苦しい思いをしている人が増えているみたいだよ。

誰かを傷つけてしまった気がする

「昔自分がしたあのいたずらが、気が付かないうちに他人の人生をめちゃくちゃにしてしまっている気がする」「すれ違いざまに人を殴ってしまったんじゃないか…?」と、誰かを傷つけたかのように繰り返し考えるのも強迫観念の一つだね。「加害恐怖」というんだ。

症状が酷い人は自ら「自分が犯した事件はありませんか?」と警察に尋ねに行くこともあるそうだよ。それくらい不安で仕方がないんだね。

数字にとらわれる

4や9や13といった、不吉だと考えられている数字を人一倍「恐ろしい」と考えるのも強迫観念の一つだよ。「縁起恐怖」と呼ばれる症状の一つだね。

たまたま時計が目に付いたときの時刻が「4時09分」などであると「呪われてしまった」と思い、不幸な出来事が実際に生じたかのような考えが芋づる式に出て不安になるんだ。

整っていないと落ち着かない

「これはこうなっていなければならない」と自分なりのルールがあり、その通りに物を配置するよう動機づけられる症状も強迫観念の一つだね。「不完全嫌悪」というよ。

本は巻数順に並んでいなければならないし、リモコンはすべて置く場所がミリ単位で決まっていなければならないと感じるほどなんだ。

もしかしたら自分は知らないうちに犯罪を犯しているかも…
 

強迫行為とその種類

強迫行為は強迫性障害の代表的な症状の一つで、強迫観念によって生じた不安・心配を軽減させるために行われる儀式的な行動のことだよ。

何度も洗ってしまう

「汚染された」「呪われたから身を清めないと」「人を傷つけた返り血がついているに違いない」などといった強迫観念があると、その不安を鎮めるために何度も何度も身体や物を洗う行動をとることがあるよ。これは「洗浄強迫」と呼ばれる症状なんだ。

例えば、「手が汚れている」と考え、洗浄強迫が生じると、その考えが落ち着くまで何度も手を洗う行動が見られるんだ。なので、仮に洗いすぎて手が荒れても考えが落ち着いていなければ、そのまま手を洗い続けることもあるんだよ。

何度も確認してしまう

「ドアをちゃんと閉めたか気になる」「人を傷つけていないか確認しないと…」「ちゃんとメールが先方に届いているか電話した方がいい…?」などの考えがよぎり、不安なことが起きないように何度も確認する行動を取ることもあるよ。これは「確認強迫」と呼ばれる症状だね。

基本的に、ドアの鍵は一回「閉まっている」と確認できれば安心するはずだよね。けど、強迫性障害になると何度閉まっていることを確認しても「閉まっている」との確信が得られないため、一向にドアの前から立ち去れなくなるんだ。立ち去れたと思っても、しばらくすると「本当に閉まってたっけ?」との考えがよぎり、またドアを確認しに戻ることもあるよ。

何度もリピートしてしまう

本を読んでいたり録画したドラマを観ているときに、どうしても内容を理解した気になることができず、同じページや同じシーンを何度も見続けてしまうこともあるんだ。これは「巻き戻し強迫」と呼ばれるよ。

一向に先に進めることができないので、かえって内容が理解できず、巻き戻し強迫が加速するといった悪循環になるんだ。

何事も思い通りいかないと済まない

先の先まで読んだ計画がないと身動きがとれないといったこともあるんだ。これを「計画強迫」というよ。旅行の計画を立てるときにも、ありとあらゆるハプニングを想定し、それに対応できる計画を立ててからでないと旅行に行くことができないんだ。

もし計画していたのと異なる状況になったら一から計画を練り直すことになるよ。「後悔したくない」との気持ちがかなり強いんだね。

当然、占い師でもない限り未来を予測して完璧な計画を立てることは不可能だから、結局計画倒れで行動が実行されないこともしばしばだよ。

内容理解できた気がしなくて10分尺のyoutube観るのに1時間かかる…
 

強迫観念と強迫行為の関係

強迫性障害の主症状は、以上説明した強迫観念と強迫行為の二つだよ。この二つは「不安」を媒介して、相互に強め合っていく関係にあるんだ。

強迫観念が生じて不安になると、その不安を解消するために強迫行為を行うんだ。その結果、一時は安心できるよ。

けどすぐにまた強迫観念が生じて不安になり、その不安をまた強迫行為で解消する…。すると「強迫行為をしないと安心できない」と思うようになり、どんどん強迫行為の回数や時間がエスカレートしていってしまうんだ。

日本人に多い症状の組み合わせ

一言で「強迫性障害」といっても、強迫観念は人それぞれなんだ。たとえ同じ強迫観念であってもそれに対処する強迫行為もやっぱり人それぞれだよ。

ただ生じやすい症状の組み合わせはあるみたい。兵庫医科大学の精神科医、松永氏によれば、日本人に多い症状の組み合わせは以下の通りとのことだよ。

強迫性障害を患った人には手を洗い続ける人が多い印象があったけど、統計的にもそのイメージは裏付けられていたんだね。

強迫性障害のタイプ分け

強迫性障害は種類での分類のほか、不安が自分に向くか他人に向くか、何かの行動の前に不安になるのかそれとも後なのか、人を巻き込むのかなどによっても分類することができるんだ。

被害と加害

強迫性障害は被害型加害型に分けることができるよ。

被害型は「自分が酷い目にあう」と考えるタイプ、加害型は「自分が誰かに酷いことをした」と考えるタイプだね。

被害型だと、包丁を使うときに「大けがしてしまう」と過剰に不安になるかもしれないし、被害型だと「誰かを刺してしまう」と不安になるかもしれないね。

行動前と行動後

何かしらの行動を取る前に不安になるのか、それとも取った後に不安になるのかで分類することもできるよ。

例えば、同じ「郵便ポストに手紙を出す」行動でも、「この手紙が赤の他人に届いて自分のことが世間に知れ渡ってしまったら…」と不安になるのが行動前タイプ、「ちゃんと必要な書類を封筒に入れてたっけ?」と不安になるのが行動後タイプだね。

自己完結型と巻き込み型

強迫行為を自分一人だけがやれば何とか事なきを得るタイプと、他人にも何かしらの儀式的な行為をやってもらわないと気が済まないタイプとで分けることもできるよ。前者を「自己完結型」、後者を「巻き込み型」というんだ。

同じ「洗浄強迫」でも、自己完結型は自分が手を洗えば済む一方、巻き込み型は自分の家族にも念入りに手を洗うように強制しないと安心できないんだね。

精神分析家の成田氏によれば、自己完結型は男性に多く、「もっともっと」と高みを目指す性格の人が多いとのことだよ。「勝つか負けるか」の価値観が強くて、負けたと感じたときに症状が悪化する傾向があるみたい。

巻き込み型は女性に多く、依存的で自己中心的な性格傾向があるとのことだよ。結婚や出産といった環境変化が症状の悪化の要因になることが多いみたい。

あなたも私と同じようにして!(巻き込み型)
 

強迫性障害セルフチェック

自分が強迫性障害か気になった人もいるかもしれないね。そんな人のためにチェックリストを作成してみたよ。

ただこれはココロジーがオリジナルで作成したものだから、あくまでも「目安」として考えて欲しいんだ。このチェックリストをやってみて、自分が強迫性障害かをもっとよく知りたいと思った人は精神科や心療内科を実際に受診してみてね。

強迫性障害の原因

強迫性障害の原因についても考えてみよう。といっても、実はまだ強迫性障害の原因はよくわかっていないんだ。

けど、どうして強迫性障害がなかなかよくならず維持されてしまうのか、そのメカニズムはわかっているよ。

脳科学的な原因

脳科学的には、強迫性障害を患う患者の脳の一部が過剰に働きすぎていることが分かっているんだ。具体的には前帯状皮質の働きが過剰なことがわかっているんだよ。

前帯状皮質は人が「違和感」や「間違い」を発見するときに機能する働きを担っているんだ。強迫性障害になると、この部位が過剰に働くので「もしかして、鍵をかけ忘れた?」「ちょっとしたら汚れているかもしれない」と、本来は「ちょっとした不安」なはずの不安を実際以上に大きなものとして捉えるようになってしまうんだね。

やっかいなことに、前帯状皮質は強迫行為を止めようとするときにも働くことが知られているんだ。せっかく強迫行為を止めようと努力しても、そのことがかえって「違和感」「間違い」の感覚を強めてしまうため、その努力に反してますます強迫行為をしたくなるように動機づけられてしまうよ。まさに悪循環だね…。

心理学的な原因

心理学的には「強化」や「順化」によって、どうして強迫性障害が維持されてしまうのかを説明することができるよ。まず「強化」の方から分かりやすく説明するね。

ここでいう「強化」とは、「ホッとできた経験」と思ってくれて構わないよ。強迫性障害の症状は強迫観念と強迫行為だと説明してきたよね。強迫観念は「もしかしたら大変なことになるのでは…?」などといった、人を不安にさせる思考なんだ。そしてこの不安を解消するための行動が強迫行為だね。

つまり強迫行為は安心を得るための行動だ、とも言い換えることができるよね。人は安心できるホッとした経験があるとその行動を繰り返す習性があるんだ。誰だってスポーツ後ののどがカラカラのときに飲む冷たいドリンクはホッとするからスポーツするときは毎回ドリンクを持っていくし、寒いときに身につけるカイロはホッとするものだから寒いときは肌身離さず携帯するよね。

これと一緒で強迫行為も強迫性障害に苦しむ人にとってはホッとできる経験なので、その行為をつい継続させてしまうんだ。

ただ、ホッとできる経験も繰り返せばいずれその効力がどんどん落ちていってしまうよ。これが「順化」なんだ。順化とは「慣れ」や「耐性」のことだと思ってね。

最初は「手が汚れているかも」と不安になっても、数分手洗いをすればホッと出来ていたのだけど、何度も同じことを繰り返すと順化が起きて長時間洗い続けないとホッとできなくなってしまうんだ。

最初の一杯のビールで気持ちよくなれていた人でも、耐性がついてアルコールに強くなると、3杯、4杯と飲まないと気持ちよくなれなくなるけど、それと一緒だね。強迫性障害も耐性がつくことで強迫行為によって得られる安心が徐々に減っていくので、強迫行為を何度もしないと(あるいは時間をかけないと)安心できなくなるんだ。

掃除してもしてもキレイになった気にならない…
 

家族の接し方

強迫性障害に苦しむ人が家族として身近にいる人は、どのようにかかわるのがいいんだろう。強迫性障害には「巻き込み型」もあり、周りの人のかかわり方も強迫性障害の症状に関与してくる可能性は十分あるんだ。

では、具体的にどのようにかかわるといいのかを見ていこう。もちろん人それぞれ「こうかかわってほしい」というのがあるので、これから述べることはあくまでもかかわり方のヒントだと思ってね。

病気であることを理解する

まず大前提として、本人は好きでやっているのではなく、病気で苦しんでいる状態であることを理解することが大切だよ。この理解なしにはどんなかかわりも意味をなさない、と言っていいくらいとても大事なんだ。

もし短時間の手洗いで済むならそうしたいだろうし、もし施錠の確認を一回で済ませられるならそうしたいんだ。でもそれができないからこそ「病気」なんだよ。家族からしたら「なんでそんな何度も…」「またやってる」とイライラしてしまうこともあるかもしれないね。そう感じるのも無理はないよ。イライラしちゃいけないわけではないんだ。けど、同時に、「したくなくてもせずにはいられない」ことで一番苦しんでいるのは当事者本人であることは忘れないでいてあげてね。

正直掃除しすぎな気もするけど…彼女も辛い思いしてんだよな…
 

わざと知らんぷりをする

強迫性障害に基づく発言や質問に対して、わざと知らんぷりをするのも、ときとして大事な対応になるよ。

例えば加害恐怖のある方だと「ねえ、さっき私が外歩いてたときに誰かを傷つけてしまった気がするんだけど大丈夫だよね?」と家族に同意を何度も求めてくることがあるんだ。これは「大丈夫」と言ってもらうことで安心したい心理が働いてのことだよ。

けど、「強迫行為は順化してエスカレートする」のと同様、上記のような同意や確認もどんどんエスカレートしてしまうことが多いんだ。そうなると強迫性障害の症状を維持させてしまうことにもなるし、何度も同意・確認される家族も大変になるし、お互いにとって負担が大きくなるよ。

知らんぷりをするのはちょっと冷たい感じがするかもだけど、症状を維持させないために「さぁ?」と同意しないかかわりは、当事者を含めた家族全員のためにもなるんだね。

んー、どうだろうね? 私にもわかんない
 

不安をプチ明確化

強迫観念を濁して表現することがあれば、それが何のことを言っているのか具体的に明確化するかかわりも大事になってくるよ。

例えば、「今帰ってきたんだけど、怖い…」といった表現があった場合、「どこかからウイルスをもらってきてしまった気がして、死んじゃうんじゃないかって不安なんだね」などというふうに明確化するんだ。

「漠然とした特定できない対象に対して感じる心的反応」を不安というんだ。逆に言えば、対象が明確であれば不安を感じることはない、ということだね。「クマが出るかも」と未確定だから人は不安に感じるのであって、実際に目の前にクマが出たら恐怖はあれど不安に感じることはないんだ。

強迫観念が曖昧で漠然としたままだと絶えず不安を感じていなければならないけど、それを明確にし、「このことに不安を感じているのか」と何度も直面化していくことで不安を減らすことができるんだね。

僕の髪型とファッションセンスがダメ? そんなに明確化して振られたのはじめて
 

強迫性障害の治し方

最後に、強迫性障害の治し方を見ていこう。いくつかあるけど、ここでは「強迫観念を理解する」「薬物療法」「認知行動療法」の三つを解説していくね。

強迫観念を理解する

強迫観念の内容自体は異常な体験ではない」。この事実を頭に入れておくことが、強迫性障害を治すためのコツなんだ。

これまで強迫性障害の主な症状は強迫観念と強迫行為だと説明してきたので忘れがちだけど、実は強迫観念の内容そのものはそれほど異常なものではないんだよ。

記事の冒頭でも記載したようにニューブラウンズウィック大学の心理学教授クラーク氏によれば「暖房、ストーブ、電気を消し忘れて火事になるのではないかと心配する」人は女性で79%、男性で62%もいるんだ。

その他のデータを見ると、「トイレの便座や水洗のレバーに触れて、伝染病に感染するので はないかと心配する」 は女性の60%、男性の40%が、「運転中に、歩行者や動物 をひいてしまったのではないかと心配する」 は女性の46%、男性の51%が想起した経験があると答えているよ。

強迫性障害の方は、以上のような思考を「とんでもないことを考えてしまっている」と捉えるので不安が高くなるけど、決してそんなことはないんだ。ごくごく「普通」のことを考えているにすぎないよ。強迫性障害になるかならないかの差は、「まあ、大丈夫だろう」とスルー出来るかできないかの差だったんだね。

また既読スルーされた…
 

薬物療法

不安を和らげるために医療機関で処方されるお薬を飲むことも効果的だよ。特にSSRIと呼ばれる、神経伝達物質の一種であるセロトニンに働きかけるお薬が効果的だと言われているんだ。

SSRIは効果が出るよりも、眠気や吐き気といった副作用の方が先に出てきてしまうけど、多くの人は副作用に2~3日で慣れると言われているからあまり心配はしないでね。

ご心配なく。SSRIの副作用です
 

認知行動療法

認知行動療法も強迫性障害を治すのに有効だよ。

お薬で不安を軽減させたら、強迫行為を減らすために認知行動療法を受ける、といったように両方を併用するのが最も効果的だと言われているんだ。

認知行動療法では、不安に感じているものを具体的にしつつ細分化して、不安に慣れていくことが簡単そうなものから慣れていくといった手続きをとるよ。例えば、「汚染恐怖」がある人は、「トイレに触るなんてとんでもない」と思うけど、「自分の靴下に素手で触るくらいならまだ何とかやれそう」など、「汚れている」と思うものにもそれぞれレベル分けをしているものなんだ。

このようなレベル分けを明確にして、不安に耐えられそうな対象から少しずつ不安に慣れていくようにするんだね。この間、強迫行為はしないようにしばらく我慢するんだ。自分の靴下を素手で触った後、決して手を洗わない、ということだね。

実は人の感情はそれほど長続きしないんだ。手を洗わないでしばらく過ごしていれば自然と不安は下がっていくよ。髪を乾かすとき、ドライヤーを使わないと乾かないわけではなく、放っておいても自然乾燥するのと同じイメージだね。こうやって「手を洗わなくても不安は減る」体験をしてくことが強迫性障害を克服するのに大切な手続きになるんだ。

セルフ認知行動療法のやり方と“向かない人”の特徴をわかりやすく解説

頭皮の油が手についてばっちい気がするけど、しばらくこのまま洗わずキープ
 

番外編 強迫性障害を持つ人は天才?

強迫性障害を持つ人には「天才が多い」と言われることがあるみたいだね。

確かに一部の「自己完結型」の強迫性障害を持つ人は、その極端な上昇志向的価値観のために受験勉強やビジネスでのノルマ達成に尽力し、結果としてものすごい結果を残すことがあるよ。

けど、それは「たまたま」であって、強迫性障害を持つ人皆が天才であるわけではないんだ。

強迫性障害に限らず、「○○症の人は突出した能力がある」「社長には××障害の人が多い」などと障害と社会的に望ましいステータスとを結びつける傾向がよく見られるよね。この傾向は「障害はマイナスのイメージ。だから何かしらプラスのイメージをつけて相殺しよう」といった気持ちからきているのかな。

けど、「背の低い人は頭がいい」「メガネの人には絵心がある人が多い」などとは言わないよね。「相殺しよう」と感じる動機の背景には相殺されるものへの偏見が隠れているのかもしれないよ。善意から「強迫性障害には天才が多い」と発言しているつもりでもアンコンシャス・バイアスが潜んでいるリスクには敏感である必要があるんだ。

王様には裸族が多い(うそ)
 

強迫性障害まとめ

この記事のポイントは下記の4点。

①強迫性障害は強迫観念と強迫行為からなっているよ。
②強迫観念から生じた不安を、強迫行為によって低減しているんだ。
③でも、強迫行為の不安を低減させる力は徐々に弱まっていってしまう。
④なので強迫行為の時間や回数がどんどん増えていき、症状が悪化してしまうんだ。

家族はこの点を踏まえたかかわりをしていく必要があるし、本人も「強迫観念の内容は特に異常なことではない」ことを頭に入れてつつ、お薬や認知行動療法によって不安に慣れていくアプローチを取っていく必要があるんだね。

この記事が強迫性障害への理解につながり、「治そう」といった勇気につながってくれたら嬉しいな。

1人で悩まないでね
 

これを読んだきみにはこれも読んでほしいな

おすすめコンテンツ
みんなの心が楽になる情報と出会えますように。