先延ばし癖と完璧主義で物事が決められません

2023.06.25 Sun

目次

回答したカウンセラー

小野寺 リヒト

臨床心理士/公認心理師

小野寺 リヒト

臨床心理士・公認心理師。FP2級所持。
医療機関や一般企業の産業保健事業部等での勤務経験があります。心の悩みが気兼ねなく相談できたり、セルフケアの重要性が浸透した世の中になってくれたらいいなと思っています。読書と料理が好きです。
【得意な相談】
〇気分の落ち込みや不安に関する相談(上手な気持ちの切り替え方、最初の一歩になる行動の踏み出し方等)
〇人間関係に関する悩み(パートナー・親子・職場関係・友人等)
〇お金の相談(ついお金を使ってしまう心理、貯蓄・節約のこと等)

「先延ばし癖と完璧主義で物事が決められません」の相談内容詳細

相談者
相談者 おふく
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
自分に必要な条件を見極め、物事を決めることが難しいです。特に困っているのは、買い物などお金を使うことがとても苦手です。
今、ひとり暮らしを検討しています。この物件にしますと不動産屋さんに言って、書類が送られてきて数日後契約する予定です。ですが家賃や生活費が心配で、もう少しでも安い家賃のところにした方がいいのかと迷っています。職場でいろんな人に家の条件などを簡単に相談したけれど、賛成と反対意見がありまとまらないです。私が自分で納得することが難しくいつまでも悩んでいます。近頃も割引の補助を使えるサービスがあり、それをどうしても使おうとして何時間も買うものを探し疲弊しながら彷徨っていました。こんな調子でこの先生きていけるのか不安でたまらなくなるときがよくあります。
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
不安60% 焦り20% 悲しみ20%
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
お金を使うことに対して罪悪感と恐怖心がある。物事を先延ばしにするのと完璧主義なところがあるのが原因かと思う。今も回答受付ギリギリになって書いている。新生活をするにあたって決めなければいけないことがたくさんあって、このところずっと不安でいっぱいである。奨学金があること、両親と不仲で家を出たいこと、ADHDのグレー診断であるがどう受け入れたらいいかわからない、どこに相談したらいいか彷徨っている、特に父の理解が全くなく、理解しようという気持ちすらなくて本当にしんどい。自分にお金を使いたいがどうしたらいいのかわからない。いくら使ってよいのかもわからないし、どう生きていけばいいのかもわからないから貯金しといたほうがいい気がする。積立などもしたほうがいいのかもしれない、わからない、。なんとか社会人になってなんとかやっているが専門の知識もなく給料も安いのでこの先不安である。でも楽しく生きていきたいからお金を自分にも気持ちよく使いたい。判断軸が明確になって自分で生きやすくなりたい。
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
慎重になりすぎている、お金を大切にしている、もっと自分のことを大切にして良い、焦らなくてもよいのでは
いま専門家に聞いてみたいことは?
どのようにしたら考え方を鍛えられますでしょうか
また、支援機関を探したい気持ちもあります
年齢、性別、職業
25歳 会社員 女性
既往歴
ADHDグレー診断 通院はやめてしまい再度通おうかと検討中です、相談できる支援機関を求めています
悩みの内容の自由記述
乱文でごめんなさい、いつも締め切りに間に合いません
相談者 おふく さんの自分史

自分史はまだありません。

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「先延ばし癖と完璧主義で物事が決められません」への回答

  • おふく さん、ご相談をよせてくださりありがとうございます。臨床心理士・公認心理師の小野寺です。

    物事を決めるのが不得意で、特にお金を使うときの判断が難しくて困っておられるのですね。

    おそらく、そうなっているのは良くも悪くも「こだわり」がないことが関係しているように思います。

    「こうしたい」「これが欲しい」という自分の中でのこだわりがないからこそ、何にどれくらいお金を使ったらよいのか決めにくいのでしょう。

    だから、人によっては「何が欲しいのかこだわれるように、自分の中での軸を作りましょう」とアドバイスするかもしれません。こだわりがないことを「悪く」とらえてのことでしょう。

    しかし私個人は、こだわりがないことを「良く」とらえています。正確に言えば、一定の基準を設けて淡々とそれに沿うようにお金を使い、感情的な「こだわり」に縛らないようにすることを「良く」とらえているのです。なぜなら、そのように振舞うことが、経済合理性があるからです。

    私は臨床心理士・公認心理師の他に、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持っています。いわば、お金の専門知識のある人間です。 おふく さんのご相談に、このFPの資格も活かしながらお答えさせていただければと思います。

    金銭管理の基準「262の法則」

    突然ですが、 おふく さんは「262の法則」をご存じでしょうか? 色んな意味で使われる法則ですが、ことファイナンシャルプランナーの間では、「貯金、生活費、自由に使えるお金をどのように配分するか」の基準として使われる法則です。

    具体的には、「収入の2割を貯金、6割を日々の生活費に、残りの2割を自由に使ってもいい」とはじめから決めてしまうことが、経済的な合理性を叶えるのに有効であるとの考えです。

    この法則にのっとったお金の使い方をすると、必ず貯金をすることができます。貯金があれば、老後の心配や何かあったときのための安心材料となります。

    しかし多くの人が貯金をすることができず、困っている現状があります。こちらのサイトを拝見したところ、 おふく さんの同年代の女性のうち、46%の方は貯蓄が全くないか、あったとしても50万円未満であるとのことです。

    もしコンスタントに収入の2割を貯金に回すことができていれば、このような結果には絶対になりません。

    ではどうして貯金がほとんどないような状態になるかと言えば、「こだわり」があるからなのかもしれません。もちろん、本当に手取りが少なくてかつかつの生活をなさっている方も中にはおられるでしょうが、ここではそういう方を除いて考えます。

    「綺麗になるためにお金をかけるべきだ」「推しにならいくらお金を落としても構わない」

    そういうこだわりがあるからこそ、お金をあればあるだけ使ってしまうのでしょう。

    当然のことながらそれ自体が悪いわけではありません。綺麗になりたい、推し活したい。それはとても尊いことです。

    しかし、これからもずっと生きていくのなら、必ず年老いていくし、思いがけないことが起きることも避けられません。そんなときに「お金さえあれば…」ということになっても遅いのです。危機的な状況を回避できないのは、明らかに苦痛です。

    要はバランスです。好きなことややりたいことがあってもいいのですが、それが強固な「こだわり」になってしまい、こだわり一辺倒になることが問題なのです。

    バランスを欠くことを避けるためには、「262の法則」を守ることが肝要です。262の法則を守る最初のステップは、「先取貯金」をすることになります。

    「先取貯金」とはその名の通り、収入の2割を最初から貯金に回すことを指します。もし月の手取りが20万円あるのなら、4万円が先取貯金するべき額になります。自動で貯蓄用の口座に移されるように設定していくと良いでしょう。

    多くの人は「好きなことに使って、余ったら貯金しよう」と思うのですが、それだといつまでたっても貯金に回せないことは、先に示した通りです。

    「こだわり」が強い人は、「あれもこれも欲しい」と思うので、先取貯金を難しく感じます。貯金に回してしまったら、欲しいものが買えなくなってしまいかねませんから。

    その点、 おふく さんは良い意味でこだわりのない方のようです。であれば、先取貯金へのハードルは、低くなっていることでしょう。「どう生きていけばいいのかもわからないから貯金しといたほうがいい気がする。積立などもしたほうがいいのかもしれない、わからない」とのことですが、それは基準がなかったからでしょう。「収入の2割を先取貯金する」と決めてしまえば、迷いがなくなるのではないでしょうか。

    家賃に使っていい具体的な金額

    「家賃や生活費が心配で、もう少しでも安い家賃のところにした方がいいのかと迷っています」に関しても、「262の法則」を知っていれば迷うこともなくなります。

    家賃は6の生活費に該当します。仮に おふく さんの月の手取りが20万円の場合、12万円までが生活費にかけれるお金であるということです。ですから家賃は他の生活費をざっくりとでもいいので計算して、その残りの額が上限ということになります。

    例えば、食費が一か月1万5,000円、通信費が10,000円、光熱費等が10,000円かかっているのなら、家賃は85,000円が上限ということになります。

    もちろん「少しでも安い家賃のところにした方がいいのかと迷っています」というお気持ちは分かります。しかし、特段こだわりがないのなら、アレコレと迷うくらいであれば、思い切って262の法則に沿って決めてしまっても構わないと思います。

    数字に決めてもらうのもあり

    262の法則にのっとって、いくら貯金すればいいか分かったし、貯金もできた。どの物件に住めばいいかも明らかとなった。

    であれば、残りの2割の収入は好きに使って構いません。「自分にお金を使いたいがどうしたらいいのかわからない。いくら使ってよいのかもわからない」とのお悩みもこれで解消できるのではないでしょうか?  おふく さんの月の手取りが20万円の場合、4万円を自由に使っていいのです。

    奨学金の返済に充ててもいいし、ADHDのグレー診断であることをどう受け入れたらいいかわからない悩みをカウンセリングで話してもいいかもしれません。「専門の知識もなく給料も安いのでこの先不安」とのことですから、自己投資として何かしらの資格の勉強をしてもいいでしょう。もちろん、美容など自分の気持ちが上がることに使っても構いません。

    「お金を自分にも気持ちよく使いたい」とのことですね。「この4万円は好きに使ってもいい」とわかっていれば、「使っていいのかな?」とアレコレ悩まず気持ちよく使えるはずです。

    今回は「特に困っているのは、買い物などお金を使うことがとても苦手」とのことでしたので、お金を使う際の基準をご紹介しました。

    しかし、この発想は他の事柄にも応用が効くはずです。特段こだわりがないのなら、自分の「あれしたい」「これしたい」という気持ちに沿って決めるのではなく、数字によって決めてしまってもいい、ということです。

    勉強なら「必ず21時から1時間は勉強しよう」「最低でも5ページは本を読むようにしよう」などです。気分が乗っていようがそうでなかろうが、最初に決めた数字に従うのです。そうすれば、迷うことはかなり減っていくはずです。

    以上、262の法則を元に おふく さんのお金の使い方について考えてきました。「あれが欲しい」「これが欲しい」と言ったこだわりがないと、なかなか買い物は難しいかもしれません。

    その場合は、基準に沿って決めることがあってもいいのです。基準があるからこそ、感情に流されずに合理的な判断ができることだってあるのです。「先取貯金」はその代表です。みんな貯金した方がいいと頭ではわかっているのにできません。それは「あれが欲しい」という感情にいとも簡単に流されてしまうからです。

    262の法則を用いることで、少しでもお金を使うことの苦手さが減り、合理的なお金の使い方ができるように願っています。

    最後までお読みいただきありがとうございました。

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