彼に不満を伝えられるようになるにはどうしたらいいですか?

2023.06.24 Sat

目次

回答したカウンセラー

中浦ダイ

精神保健福祉士

中浦ダイ

精神保健福祉士。ニュージーランド在住。Waikato大学大学院カウンセリング学修士課程。Free to Runアンバサダーランナー。精神科医療機関でのソーシャルワーク、オルタナティブ教育団体でのプログラム運営、心理カウンセリング、女性の権利擁護などの活動を行う。知識が経験になり自分の物語になるようなコンテンツを作りたいと思っています。
【得意な相談】
◯自己肯定感・自尊心に関する相談(自信がない、何をしたいか分からない、自分がどんな人間か分からない等)
◯コミュニケーションに関する相談(家族・夫婦・親子・職場・友人との人間関係等)
◯適応に関する相談(職場・異文化・出産などライフステージに伴う変化等)

「彼に不満を伝えられるようになるにはどうしたらいいですか?」の相談内容詳細

相談者
相談者 ycs
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
付き合って2ヶ月の彼氏がいるが、不満を伝えられず苦しい。
私の家で会う時は私が料理をするのだが、彼は何も手伝わないし食後の食器もそのまま放置する。せめて洗い物くらいしてほしいのだけど言えない。私は洗い物が苦手というのは伝えているが、俺も苦手と言われて何も言えなくなる。
セックスの内容で嫌なことがあり、勇気を出して嫌だと伝えたがいいじゃんと言って取り合ってくれなかった。その時は散々泣き喚いた結果そんなに嫌なら…とわかってくれそれ以降はされなくなった。
他にもいろいろと不満(してほしいこと、やめてほしいこと)はあるが言えずにいる。
普段から不満を伝えるよりも関係を断つことを選んでしまうため、「しばらく1人にして欲しい」と伝えたまま2週間ほど会わずにいる。
どうして?と聞かれても理由を話すこと=不満を伝えることなので本音は言えず、「疲れてるから」などと誤魔化してしまう。
これまでも同じような恋愛や人間関係を繰り返しており、長く続いたことがあまりない。
職場の上司にも不満を言えず、同じように険悪な関係になってしまっている。
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
絶望90% 閉塞感80% 悲しい60% 苦しい60%
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
どうせ言ってもわかってくれないと、言う前から絶望感が強い。泣き喚いたときは、ここまでしないとわかってくれないんだと絶望し悲しかった。
自分のNOが受け止めてもらえない=大事にされていない、尊重されていないと感じて悲しい。
頭の中では言いたいことがたくさん渦巻いていてモヤモヤしているのに、どうしても口に出せなくて苦しい。
辛くて苦しいのに、言い出すより関係を断つ方が楽だと感じる。今までもそうして関係を絶った友人や彼氏が何人もいる。
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
別に彼は私を軽んじているわけではなく、私がきちんと伝えられればわかってくれるのかもしれない。
私が言わないのだから、相手がわからないのは当然。
一度言っただけでわかってもらおうなんて甘えなのかもしれない。
いま専門家に聞いてみたいことは?
うまく不満を言えるようになるにはどうしたらいいか知りたい。そして他人と長期的な関係を築けるようになりたい。
年齢、性別、職業
34歳、女性、医師
既往歴
--- 未回答 ---
悩みの内容の自由記述
--- 未回答 ---
相談者 ycs さんの自分史
  • 40歳まで

    • 33

      結婚を考えていた彼との別れをきっかけにカウンセリングに通う。いろんなワークを通じて自分の気持ちを感じ取れるようになる。

      気が楽になった。

    • 32

      姉の体調が悪化。姉も母も私に依存するようになる。いろいろ苦しくなりついに実家と絶縁する。

      なぜ私にばかり頼るのか?本来は父や母がどうにかすることではないのか?私にばかり押し付けないでほしい。自分たちでどうにかしてほしい。

    • 31

      元彼のDVをきっかけに実家が機能不全家族だと知る。同時にACや人格障害、モラハラについて知識を得る。

      自分や自分の家族がなんかおかしい、周りと違うと感じていたことに答えを見つけられてむしろ嬉しかった。安心した。

  • 30歳まで

    • 29

      職場の同僚と約3年付き合っていたが、DVで別れる。

      妙齢で独り身になることがショックだったが、ヤバい人とちゃんと別れられて少し達成感があった

  • 20歳まで

    • 20

      なんとか一浪で合格。入学とともに実家を離れる。それなりに楽しい学生生活を過ごす。

      一人暮らしで強制的に自分で考え自分で決める生活となり、はじめて生きてると感じた。いろいろあったけど楽しい学生生活だった。

    • 19

      親に言われるがままに浪人。勉強しようにも集中力がない。死にたくて吹雪の夜に窓を開けたまま寝てみたりした。(ぐっすり寝た)

      やりたくもないことをやらされ、結果を期待されることに絶望。毎日死ぬことを考える。うつ症状だったと思う。

      人に期待されたり何かを要求されることに嫌悪感を感じる。人に甘えるな、と思ってしまう。やりたくないと伝えても無意味だと感じる。強烈な学習性無気力だと思う。

    • 18

      それまでは何も考えず医学部を目指していた。高3で急に医学部への進学が現実味を帯びて感じられ心の底から嫌になった。全ての勉強を辞めてしまった。

      自分がどうしたいのか、将来何になりたいのか全くわからない。自分の気持ちってなに??

  • 10歳まで

    • 7

      母と発達障害の姉が毎日家で怒鳴りあっていた。お互いに手も出していた。父は見て見ぬふりをしていた。

      大人が大声を出していて怖かった。自分が何かしなきゃ、解決しなきゃという思いに駆られていた。でも何もできなくて悔しくてよく関係ないのに1人で泣いていた。

      当事者意識のない人(とくに男性)に嫌悪感が強い

    • 3

      親から医者になれと言われて育つ

      イシャってなに?私の意思は聞いてくれないの?

      人に期待されたり何かを要求されるのが過剰に苦しく感じる

※ プライバシー保護のため、ご質問の一部を編集部で変更している場合がございます。

「彼に不満を伝えられるようになるにはどうしたらいいですか?」への回答

  • ycs さん、ご相談を寄せていただきありがとうございます。精神保健福祉士の中浦です。

    今お付き合いをしている彼に対して不満が言えずに苦しい、というご相談ですね。相談内容や自分史を拝見すると、過去にお付き合いをした方や上司に対しても思っていることを言えずに関係を断ってしまうことが多いということですので、相手の問題だけでなく(今回に限っていえばどう考えても問題なのは彼のように感じますが) ycs さんの問題として一緒に考えていきたいと思います。

    まず初めに、 ycs さんは「カウンセリングを始めた」と書かれていましたので、今回私がお伝えすることはカウンセリングとは違う「一つの視点」として読んでいただけたら幸いです。もしその視点で考えることに ycs さんが興味を惹かれることがあったら、継続されているカウンセラーとも相談をしてみてください。

    不満は自己開示の1つにすぎない

    「不満」は自分の本音の一つです。「本当は○○と思っている」のように面と向かって頻繁には言わないようなことを指すと思います。

    でも、本音は「不満」以外にもあります。「大好き」や「一緒にいれて嬉しい」とか「本当は手をつないで歩きたくない」など本人への思いだけでなく、「この前ほんとイライラしたことがあってさ」など他人に対する愚痴なども含まれます。

    不満を言えない人は、実は不満以外の自分の気持ちも言えないことが多いです。そして、「好き」とか「嬉しい」などの本音は言えなくても問題になることはほとんどないので、多くの人は気になりません。

    一方、不満は言えないとモヤモヤするし、 ycs さんのように関係性にも影響が出てくるので、本人も問題として自覚しやすいのです。

    ycs さんの本音はいかがですか? 「不満」を言えないとのことですが、その他の嬉しいことやびっくりしたこと、スッキリしたことや誰かにイライラしたことなど、 ycs さんの本音を彼に伝えられているでしょうか?

    もし、彼だけでなく上司や友人に対しても「不満」以外の自分の気持ちを伝えられていないと感じられるようであれば、「不満」を言えるようになる前に、その他の本音から言えるようになる練習をした方が良いかもしれません。

    つまり「感謝」などポジティブに受け止められやすい本音から伝えられるようにするということです。

    理由は2つあります。

    ひとつめの理由は、「不満」は少なからず相手にネガティブなインパクトを与えるので、伝える方も言いづらいからです。「今日すごい楽しかった」と伝えるのと「本当は違うところに行きたかった」と伝えるのでは、心理的負担が全然違うと思います。

    また、たとえば自分の「嬉しい」という本音を相手に伝え、相手から「私も嬉しかった」などの反応があると、相手との距離感が縮まることで結果的に不満も言いやすくなるはずです。

    「不満」の前に他の本音を言えた方が良い2つ目の理由は、たとえ ycs さんが「不満」を言えるようになったとしても、 ycs さんが他の本音を言えなければ、相手は「文句ばかり言われている」と感じてしまう恐れがあるからです。

    「好き」や「嬉しい」などの本音は言えなくても問題にならないと前述しましたが、それは自分にとって問題にならないだけで、相手にとっては問題になる時があります。

    なぜなら、普段特に本音を言わないような人が、不満のあるときだけ頑張って自分の気持ちを伝えても、相手からすれば「何を考えているか分からない。でも文句だけは言ってくる」と感じてしまう場合もあるかもしれないからです。

    つまり、ネガティブな本音は言えないと自分が辛くなるので比較的早く問題として表面化しやすい一方、ポジティブな本音を言えないことは問題になりにくいけど、時間の経過と共にお互いの気持ちが分からなくなってしまう可能性があるということです。

    「不満」を伝えることはお互いの好き嫌いや価値感を知るのに役立ちます。でも、それはあくまで自己開示(自分の個人的な情報を他の人に伝えること)の一つとして使わなければ、自分の気持ちを分かってもらうどころか、逆に関係性を損ねてしまうことにつながりかねません。

    もし ycs さんがポジティブな本音もあまり言えていないのであれば、彼と一緒に過ごして楽しいと感じた時があれば「楽しかった」と伝えたり、職場で嫌なことがあって彼に愚痴を聞いてもらった時に「聞いてくれてありがとう」などから伝えてみると良いと思います。

    職場の上司には、何かやりとりをした後に「教えてもらって助かりました」と伝えたり、業務上で難しいと感じることを直接相談すること自体が、相手からすれば ycs さんの本音を聞けることになるはずです。

    自分の本音を伝え、それが相手に受け入れられる経験を増やすことで、「不満」を伝えやすい心理状態と関係性が作られると思います。

    恋愛関係は役割で成り立っていない

    ここまでが【聞いてみたいこと】に書かれていたものに対する回答になります。

    ここから先は ycs さんがお聞きになりたいこととは違う内容なので、参考程度に聞いていただければと思います。

    「不満」以外の自分の本音について上述してきましたが、私が ycs さんともう少し考えたいことは、彼に対するご自身の本音についてです。

    ①一緒にいれて嬉しい
    ②あなたのおかげで人生が穏やかになった
    ③いつもありがとう
    ④もっと洗い物してほしい
    ⑤なんで私ばかり色々やらされるの
    ⑥悲しい

    本音には色々ありますが、もし ycs さんの彼に対する本音が、上で挙げたもののうち④〜⑥のような「不満」だけだったら、つまり「感謝」や「喜び」を彼に感じられなければ、 ycs さんがやるべきことは彼に「不満を伝えること」だけではないのかもしれません。

    相談内容と自分史を拝見し、私は ycs さんが人間関係を「対等」ではなく「役割」として形作ってしまう傾向があるのではないかと心配しています。

    今の彼との関係であれば、料理や洗い物、セックスの内容など ycs さんがするべき「役割」が決まっていて、 ycs さんはそれを「こなすこと」に疑問と不満を感じられています。そして、不満を言えず困り果てた結果、「しばらく1人にして欲しい」「疲れてるから」と「役割」から身を遠ざける手段を取っているように感じられるのです。

    もちろん役割は大事です。医者は患者を治療する役割があるし、カウンセラーは困っている人の気持ちを聞く役割があります。大人は子どもを養う役割があるし、子どもは学ぶという役割があります。恋人や夫婦の間でも、食事当番や財布の紐を締める係などの役割があると思います。

    でも、恋人や夫婦の関係は仕事と違って「役割をこなすこと」で成り立つものではありません。個人的にはですが、恋人や夫婦の関係は「相手のことをもっと知りたい」という気持ちを持ち、「相手の幸せ」を願ってそのための行動ができることで成り立つべきだと考えています。

    ycs さんは彼のことをもっと知りたいですか? 彼の幸せを心から願っていますか?

    逆に、彼は ycs さんのことをもっと知りたいと思っているでしょうか?  ycs さんのことを大事にして幸せを願ってくれていると思えるでしょうか?

    なぜこのような話をするかというと、 ycs さんの自分史を拝見すると、 ycs さんは小さい頃から親から「役割をこなすこと」を強く求められてきたように思えるからなんです。

    3歳の頃から(!!)「親から医者になれと言われて育つ」と書かれてました。「親に言われるがままに浪人」し「自分がどうしたいのか(中略)自分の気持ちってなに??」とも書かれていました。

    「実家が機能不全家族だと知る」と書かれていましたが、機能不全家族とは「家族」というシステムの中でそれぞれが果たすべき役割が機能していない、もしくは役割が適切な人に課せられていない状態と言えます。

    今でも「姉も母も私に依存するようになる。いろいろ苦しくなりついに実家と絶縁する」と書かれていましたが、これらの記述は今の彼との間で起きている「役割」と、それを「こなすこと」に対して疲弊していることにおいて共通しているものがあるように感じられてなりません。

    子どもは親の言われた通りに将来を決める必要はありません。浪人するかどうかは自分で決めていいことです。大人になればいくら親や妹であっても自立を目指すべきです。

    でも、子どもだった ycs さんには親の要求を断る術がなく、与えられた「役割」をこれまで必死でこなすしかなかったのだと思います。

    しかし、一人暮らしをきっかけに「自分で考え自分で決める生活となり、はじめて生きてると感じた」というのは、与えられた「役割」から逃れ、初めて自分で自分の「役割」を作れることによって感じられた喜びだったのではないでしょうか。

    「役割」を自分で決められるのは恋愛でも同じです。彼との間にある「役割」も、不満を伝えて「役割」を変えるだけでなく「役割」から逃れてもいいのです。

    もし、 ycs さんが彼との時間に幸せや穏やかさを感じ、彼も自分を大切にしてくれていることを感じられるのなら、「不満」を自己開示の一つとして伝えられることで、よりオープンでお互いの気持ちを分かち合える仲になれると思います。

    でも、彼への本音がネガティブなものだけで、彼が自分の存在や未来を尊重していないように感じるのであれば、二人の関係性を考える機会にしても良いのかもしれません。

    最後は ycs さんが聞きたいと思っていたこととは違う内容になってしまいましたが、どうしても気になってしまったのでお伝えさせていただきました。

    今回の内容をまとめると以下になります。

    ①言えていないのは「不満」だけかを考える
    ②「不満」以外の本音も言えていなければ「感謝」などの本音から言ってみる
    ③恋人関係は「役割をこなす」ことで維持されるわけではない

    今回の回答が、 ycs さんが「不満」を言えるようになるだけでなく、 ycs さんが望む自分の本音に気づき、どんな「役割」を自ら担いたいかを考える機会にもなることを願っています。

    最後まで読んでいただきありがとうございました。

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