やりたいこともやるべきことも分かっているのに、どうして逃げてしまうのでしょうか?

2023.06.22 Thu

目次

回答したカウンセラー

浅井 音楽

臨床心理士 / 公認心理師

浅井 音楽

【臨床心理士/公認心理師】
思春期・青年期のアイデンティティを中心に、人間の苦悩全般に興味があります。最近はコミュニティによるケアに関心があり、雑貨屋やカフェ、本屋をなど兼ねた場所を作りたいと思っています。趣味は散歩、自転車、漫画、読書、映画、音楽、ゲーム。本が好きなので本とか出したいです。
【お受けすることが多い相談】
○実存的な苦しさについての相談(どう生きていけばいいのか、自分とはなんなのか、正しい生き方とは、など)
○思春期・青年期の適応やコンプレックスやアイデンティティについての相談
○生きやすい環境の探しかた、作り方についての相談
○環境との不和に関する相談
 ・発達障害をはじめとした器質的要因による環境との不和
 ・セクシャリティやジェンダーロールに関する生きづらさ
 ・自分はHSPかもしれない、などの悩み

「やりたいこともやるべきことも分かっているのに、どうして逃げてしまうのでしょうか?」の相談内容詳細

相談者
相談者 イボタガ
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
やりたいこと、またそれに向けてやらなければならないことは分かっているのにも関わらず、それから逃げるような行動を取ったり、やるべき事に対する漠然とした不安や、やるべき事または逃げる自分に対しての行き場のない苛立ち、理由のわからない希死念慮に定期的に襲われてしまう。
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
不安60 苛立ち30 自分への苛立ち20 希死念慮50
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
やるべき事は確かにあとがない所まできているが、今しっかりやれば出来るのにどうしてそんなに不安になったりイライラしてまで逃げたり憂鬱になるのか、自分に腹が立つ

スマホを開いてる時間があればやればいいのに

なんでそんな暇ないのにこんなに精神が追い詰められているのか

どうしてそれが今死にたいという思考に関係するのか全く分からない
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
鬱で今まで何もやってなかったから体が驚いて無理をしているのかもしれない

キャパオーバーかもしれない
いま専門家に聞いてみたいことは?
やれないようなものでも無いのに逃げようとするのは自分的によくある事なのですが、どうして頭では難しくないとわかっていて逃避行動をしてしまうのでしょうか。
年齢、性別、職業
16 女 高校生
既往歴
躁鬱
悩みの内容の自由記述
病名では無いので8では書きませんでしたがASDグレーゾーンです。
中一の三学期から鬱こじらせて不登校になり今は通信に在学しています。
元々勉強は嫌いだったのですが、拗らせてからほとんど勉強をやってこなかったので今慌てやっています。来年度には別の学校に転入するつもりでいて、単位を引き継ぎたいのに必修科目すら単位を取れておらず期限が間近で難しいと急かされてしまっています。おそらくストレスの原因はそれなのですが、内容はやれないことも無いのにやらずに逃げようとするのが自分でも分からなくて相談した次第です。

(グレーゾーンと言われる前に見るに堪えない乱文を投稿してまったのでアカウントを変えて2度目の投稿です。すみませんでした。)
相談者 イボタガ さんの自分史

自分史はまだありません。

※ プライバシー保護のため、ご質問の一部を編集部で変更している場合がございます。

「やりたいこともやるべきことも分かっているのに、どうして逃げてしまうのでしょうか?」への回答

  • イボタガ さんこんにちは、臨床心理士の浅井です。

    やるべきことは分かっているのについ避けてしまうということで「わかりすぎる…」と唸ってしまいました。そこで逃げる自分に開き直れれば楽ですが、 イボタガ さんの場合そうもいかない状況だったり、自分に苛立つ気持ちがあったりととてもつらい状態にあるのが伝わってきます。今回は イボタガ さんの苦しさが少しでも軽くなるよう、一緒に考えていきたいと思います。

    「なぜやるべきことができないのか」という悩みは、なまけ癖や逃げ癖といった語られ方をしやすく、どうしても自分を責める方向に向きがちです。 イボタガ さんも「自分に腹が立つ」という気持ちがあると教えてくれていますね。自分を否定する感情は何をするにも足かせになりやすいですから、まずはこのあたりを解きほぐしておきたいところです。

    行動を起こせないのは仕組みの問題

    前提として共有しておきたいのは「するべき行動を起こせない」要因としては性格や怠惰さよりも、仕組みの問題が深く関わっているということです。この手の問題には「頑張る」「真面目にやる」「気持ちを入れ替える」など精神論的な解決策が提示されがちですが、実際のところこうした精神論は課題達成においてあまり意味をなしません。むしろ「頑張れない自分はダメだ……」と落ち込む原因になったりして、不利益になることさえあるんです。

    そこで今回は、問題をもうちょっとドライに捉えてみます。やるべきことをやるための仕組み作りで大事になるポイントは以下の通りです。

    行動を起こす仕組み作りのポイント4選

    1. 行動に必要なエネルギーが確保されている
    2. エネルギーを損失させる刺激が遠ざけられている
    3. 課題が細分化され、手をつけやすいようになっている
    4. 行動と報酬が紐づいている

    勉強をはじめ、嫌いなものを嫌いなままなんとかしようとしてもなかなかうまくいきません。嫌いなことをなんとかするには嫌いな食べ物を食べるために細かく刻んだり味付けを整えたりするように、上のようなポイントを抑えて対処していくことが重要です。上から順に見ていきましょう。

    ①の「行動に必要なエネルギーが確保されている」はとても単純です。必要なエネルギーを確保するためには「本気で休む」ことが重要になります。

    イボタガ さんも「体が驚いて無理をしているのかもしれない」「キャパオーバーかもしれない」と考えてくださったように、頭(理性)では「難しくない」と思っていても、体や心がそれについてこれるかは別問題です。だからこそ「本気で休む」のに慣れておくことが重要になります。

    本気で休むには睡眠や栄養をしっかり取るといった基礎的なことに加え、脳や心が考え過ぎ頑張りすぎでフィーバー状態になっているのを抑えてあげることも含みます。取り組みやすい方法としては長めの半身浴や、スマホ断ちが挙げられます。

    ここからは②の「エネルギーを損失させる刺激が遠ざけられている」にも関連します。 イボタガ さんは「スマホを開いてる時間があればやればいいのに」と自分に腹を立てているようですが、そこで自分を責める必要はありません。刺激的なデバイスが近くにあればつい手にとってしまうというのは私も同じです。そこで問題になるのは自分の意志の弱さではなく、すぐ手に取れるところにスマホがあるという「仕組み」だと言えます。

    スマホを遠ざけるには、家族に預けてみたりタイムロッキングコンテナを導入するのがおすすめです。必要なエネルギーを吸い取られないためにも、ぜひ試してみてください。

    ③の「課題が細分化され、手をつけやすいようになっている」というのは文字通り、課題達成のプロセスを可能な限り細かくし、取り掛かるまでのハードルを下げることです。例えば「レポートを提出する」という目標があるとします。ですがこのままの目標だと何から手をつければいいのかわかりにくいですし、どんなに頑張ってもレポートを提出するその瞬間以外は「まだレポートを提出するという目標が達成されていない」として失敗扱いになってしまいます。これではやる気が出ないのも当然です。

    そこでまずは「机に座る」「必要な資料を開く」「1ページだけ読んでみる」など、やりすぎに思うくらいまで目標までのプロセスを細分化してみてください。これは100円ショップなどで売っているTodoリストふせんのようなアイテムを活用するとより取り組みやすいです。

    そうして小さな目標を一つ達成するごとに✓とチェックマークをつけてあげてください。✓が何個か溜まったら、好きなおやつを食べたり買い物をしてみたり、目標達成のご褒美を用意するとより効果的です。これは④の「行動と報酬が紐づいている」にあたります。小さな目標と報酬が紐づくことで行動への意欲は飛躍的に高まります。

    イボタガ さんはこれまでのつらい経験から「努力が報われること」に慣れていないのかもしれません。こうした方法で「できた」という実感を積み上げることで、課題への取り組み方がわかってきたり、漠然とした不安感が少しずつ和らいでくるはずです。

    目標達成に向けた仕組み作りのポイントは、上の通りです。これだけでも頭がいっぱいになってしまうかもしれませんが、せっかくのお返事ですのでもう一点だけお話させてください。

    イボタガ さんは悩みのタイトルとして「やりたいこともその為にやらなきゃいけないことも分かっているのにどうして逃げてしまうのでしょうか?」という言葉を選び、相談してくださいました。ではそもそも イボタガ さんの「やりたいこと」とは一体どんなことなのでしょうか。そして、 イボタガ さんはなぜ「やりたいこと」ができていない状態なのでしょうか。このあたりを深め、分析していくことが イボタガ さんがより健やかに過ごすヒントが見つかりそうだと感じました。

    そこで時折「自分がやりたいことってなんだろう」「そのためにはどんな道筋があり、どんな風に細分化できるだろう」と考えを深め、見つめる時間を設けてみてください。一人で抱え込むには大変な重さや葛藤を感じたときには、クリニックの医師をはじめ臨床心理士、スクールカウンセラーなど専門家に相談してみることをおすすめします。ASDグレーゾーンと伝えられたのであれば、その特性も踏まえたアドバイスをするのも専門家の責任です。

    このお返事が届くころには、 イボタガ さんの課題は相談くださったものとは別のものに変わっているかもしれません。ですがどのような環境、どのような目標でも「目標や動機を深め、達成のための仕組みを作る」やり方は必ず イボタガ さんを助けてくれます。こうした言葉は綺麗事に感じられるかもしれませんが、どうか心の片隅に置いてみてください。

    今回は苦しい気持ちの中ご相談くださって本当にありがとうございました。 イボタガ さんが、 イボタガ さん自身の望む方向に進んでいけますように。

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