彼女ができたことがありません、どうすればいいですか?

2023.06.07 Wed

目次

回答したカウンセラー

中浦ダイ

精神保健福祉士

中浦ダイ

精神保健福祉士。ニュージーランド在住。Waikato大学大学院カウンセリング学修士課程。Free to Runアンバサダーランナー。精神科医療機関でのソーシャルワーク、オルタナティブ教育団体でのプログラム運営、心理カウンセリング、女性の権利擁護などの活動を行う。知識が経験になり自分の物語になるようなコンテンツを作りたいと思っています。
【得意な相談】
◯自己肯定感・自尊心に関する相談(自信がない、何をしたいか分からない、自分がどんな人間か分からない等)
◯コミュニケーションに関する相談(家族・夫婦・親子・職場・友人との人間関係等)
◯適応に関する相談(職場・異文化・出産などライフステージに伴う変化等)

「彼女ができたことがありません、どうすればいいですか?」の相談内容詳細

相談者
相談者 日出
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
彼女ができたことがありません。
そのことについて言及された時、童貞だと言われた時に負い目に感じる時があります。
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
警戒30% 不安40% 怒り5% 考えたくない60%
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
それを言っている方の表情、言い方のニュアンスからはっきりとは感じ取れませんがどことなく歳上の方であれば心配、近ければ冷笑のようなものを感じます。
そこまで言われるかと言うとそうでもないのですが、言われた時のことを覚えているので知らない誰かに相談しようと思う程度には自分でも気にしているのだろうと思います。また、誰かの酒の肴にちょうど良い話題になるだろうと思うと面倒です。
それだけ気にしているにも関わらず、考えてもやっぱり彼女がいらないなと思う気持ちが強いです。性欲、愛欲に割く時間がもったいないと思います。
けれど、将来きっと後悔するだろうとも思います。日本看護協会の「若い頃にクリアするのは遊びと恋愛とセックスである」やマズローのこと、発達課題のことなどが思い浮かびます。
また、病棟で働くのなら社会的体裁も必要だろうと思います。
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
みんな本当に心配しているのかもしれない。
本当は彼女が欲しいのかもしれない。
いま専門家に聞いてみたいことは?
恋愛って大切な事らしいですね。
多少時間を割いても経験しておいた方がいいでしょうか
年齢、性別、職業
26歳 男 看護師
既往歴
アトピー性皮膚炎
悩みの内容の自由記述
どこまで行っても青い芝生だろとも思うんだけど、どんなものか経験していないのに割り切ろうとするのは違うよねとも思うんだよね。
相談者 日出 さんの自分史
  • 30歳まで

    • 24

      呼吸器の急性期病棟へ希望、異動した。
      若いスタッフが多くコロナで大変だったが、みんなに仲良くしてもらい学習意欲が強くなった

      アセスメント、意識して客観視することが増え知識がそのまま血肉になるような感覚があった。こんな自分でも役に立てる!と思った。

      仕事への意識が強くなり始める。専門職への憧れも持つようになる

    • 22

      回復期リハビリテーション病棟で働き始めた。
      閉鎖的ではあったがベテランの看護師、介護士さんに温かく見守ってもらった。

      役割が持てたようで嬉しかった。
      急変に対応できず急性期で勉強したいと思った

      役割を持つことの大切さをしった。

    • 21

      しんどい実習が終わり国家試験の学習と奨学金で足りない金を賄う派遣のバイトをしている時に内縁の男から「早く出てけよ、出て行くなら家に金入れろよ」(意訳)と言われた。

      生涯感じたことのない怒り。紛れもなく殺意だった。
      元々する予定だった一人暮らしへの意志を強くした。

      内縁の男、親への不信。近い他人との関係を割り切って考えられるようになった。

  • 20歳まで

    • 14

      学校ではひどいアトピーと根暗が災いしていじめられていた。
      家では常に内縁の男に常に監視されている感覚があり、何をするにもよく怒られていた。(例:掻くな!とか扇風機なんで消してないねん!とか)

      その時の気持ちはもう忘れてしまったが正直思い出したくない。認知、思考、感情が十分に発達していない時で本当によかった。…よかったのか?

      内縁の男、親への不信、根暗がさらに根暗になった。
      自分に全く自信が湧かない。
      悪意や怒りに敏感になった

    • 12

      とある宗教の3世で未来部として勤行を上げていた。

      なんにも考えていない。勤行は面倒だけどお菓子のためにいってやるか

      親への不信。
      生まれた時から宗教入っとるやん
      母子家庭だし心の支えになっていたのだろうか

※ プライバシー保護のため、ご質問の一部を編集部で変更している場合がございます。

「彼女ができたことがありません、どうすればいいですか?」への回答

  • 日出 さん、ご相談を寄せていただきありがとうございます。精神保健福祉士の中浦です。

    彼女ができたことがなく、だからといって特別に「彼女がほしい」という願望があるわけではないけれど、今後のことなどを考えると恋愛をしておいた方がいいのではないかという気持ちがあるのですね。

    【聞いてみたいこと】に「多少時間を割いても(恋愛を)経験しておいた方がいいでしょうか」と書かれていましたが、最初にはっきりさせておいた方が良いように感じることがいくつかあるので、まずはそのことから始めたいと思います。

    その後で 日出 さんのご相談にもお答えしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

    はっきりさせておきたいことのひとつめは、「恋愛はしようと思ってできるものではない」ということです。恋愛は「誰かを求める感情」を伴う人間関係です。経験や将来への不安から誰かと一緒にいることは「自分の不安」を埋めるための行為であって、「誰かを求める感情」が伴っていません。もし今 日出 さんが特定の人に対する感情がないのであれば、「した方が良い」と思ってもいきなり恋愛をするのは難しいと思います。

    その代わり「誰かと付き合うこと」はできるかもしれません。誰もが恋に落ちてから付き合うわけではないですし、一緒にいる時間が増えるにしたがって、自分の感情が恋愛に発展することもあります。日本では初めに「好きです」と告白して恋人関係を結ぶことが多いと思いますが、欧米文化では一緒にいる時間を増やして、本当に好きだと思えるようになって初めて「LOVE」という言葉を使うようになります。

    したがって、 日出 さんのご相談は「恋愛をしておいた方がいい」ではなく「誰かと付き合う経験をしておいた方がいい」という意味で考える方が適切だと感じています。

    はっきりさせておきたい2つ目の話に移りますね。

    相談内容に「性欲、愛欲に割く時間がもったいない」と書かれていましたが、人間関係を持つことで時間を割かれるのは相手も同じことです。恋人や友達に限らずあらゆる人間関係は、喜びと同じくらい難しさや煩わしさを伴うものです。友達とケンカをしてむかついたり、自分の想いが恋人に伝わらずヤキモキしたり、職場にいる同僚の言動や行動に戸惑いや怒りを感じたとしても、それは他者が自分に対しても同じように感じる可能性のあるものです。そういう「お互いさま」であることを自覚して相手を尊重することが、良い人間関係なのだと私は考えています。

    何が言いたいかというと、恋人に限らず、良い人間関係を築くには努力が必要ということです。自分が努力や相手をケアする気がない人間関係は上下関係が生まれやすく、依存やハラスメントの関係性に陥ってしまうことも考えられます。

    もし 日出 さんが誰かと付き合うことをしてみようと思う場合には、 日出 さんだけでなくその相手になる方を守るためにも、ぜひ一度考えてほしいことだと感じたのでお話をさせていただきました。

    最初の前提の話はこれで終わりです。

    次からは、 日出 さんのご相談への回答をさせていただきます。

    思考は経験によって変わっていい

    「人と付き合うことをした方がいいかどうか」という相談ですが、率直な私からのアドバイスは「やってみてから考えればいい」です。

    「どんなものか経験していないのに割り切ろうとするのは違うよねとも思うんだよね」と書かれていましたが、私が伝えたいのはまさしく同じことです。

    1億円のマンションを購入するかどうかは「買ってみてから考えればいい」とはいかないかもしれませんが、「自分が何をどう考えるか」という極めて内省的なものは、経験によって変わっていいと考えています。というよりも、経験によって自分の考えがアップデートされていくことが、成熟した思考をする大人への道なのだと思います。

    経験を伴わない思考は独りよがりになりやすく、独りよがりということは他者との協調が生じにくいということです。子どもの頃は独りよがりでも、親や先生などの大人が配慮をすることで協調性が維持されるかもしれませんが、大人になれば自分で自分を配慮しなければいけなくなります。思考が独りよがりであればあるほど、自分が孤立する感覚を覚えやすくなることも考えられます。

    話を元に戻しますが、「自分にとって恋愛が必要かどうか」というやり直しが効くようなものは、一度やってみてからまた考えればいいのだと思います。

    一度お付き合いをしてみて「やっぱり必要ないな」と思えば、 日出 さんの中で納得できることがたくさんあるのではないでしょうか。逆に、「誰かと一緒にいるってなんだかいいなぁ」と思ったら、これまで知らなかったことを知れたことになるのだと思います。

    もし「一度やってみてからまた考える」ということに対して気後れするような感じがあれば、それは誰かと付き合うことが 日出 さんにとって「煩わしい」という問題ではないのかもしれません。

    人と関係を持つことが煩わしいと思うこと自体は問題ではないと思います。そんな時は私にだってあるし、関係を持ちたいと思う人はそれなりに限られてもいます。

    でも、私はそんな自分に悩んだりはしません。 日出 さんがこうやって「誰かと付き合った方がいいのかも」と相談をされるということは、「恋愛経験はあった方がいい」というような世間一般的な考え方に揺さぶられ自分の意志のままに生きることができないことや、「こうあるべき」のような信念によって生きづらくなっていることの方が問題であるように感じます。

    「一度やってみてからまた考えればいい」と考えた時、 日出 さんはどんなことを感じますか? 今一度自分の気持ちを振り返ってみる機会になっていただけたら嬉しいです。

    恋愛のもっとも重要なエッセンスとは

    最後に、もう少しだけ「恋愛」のことを考えてみたいと思います。

    よく言われることだし、 日出 さんも誰かに言われたことがあることかもしれませんが、私は無理して恋愛をする必要はないと考えています。というよりも、 日出 さんは恋愛においてもっとも重要なエッセンスをすでに体験しているから、無理して恋愛をする必要もないし、ふさわしい人が現れれば恋に落ちることもあると思っています。

    なぜこのように考えるかというと、 日出 さんの自分史に何度も登場した「誰かの役に立てる喜び」という体験をされているからです。

    恋愛においてもっとも重要なことは、相談内容に書かれていた「性欲・愛欲」的な行為ではなく、相手の存在や未来をケアすることに自分が喜びを感じられることだと、少なくとも今の私はそう結論付けています。

    もちろん、学生の頃は手をつないで歩くことがもっとも重要なことだったし、セックスをすることが優先事項だった時もあります。今の妻と出会って、苦しいことを一緒に乗り越えられることが結婚することの一番のメリットと考える時もありました。

    でも今は、相手の幸せを願い、それが少しでも叶っているのかなと感じられた時に、妻のためにしている自分の行動に喜びを感じられることが、もっともかけがえのないものなのかなと思っています。

    お気づきかもしれませんが、これらは経験をすることでアップデートされた私の思考です。また経験を積むことで変わってくることは容易に想像できます。

    非公開部分の自分史なので詳しくは話せませんが、 日出 さんは看護学校の実習で患者さんと誠実に向き合うことで、人の役に立つということがどんなことなのかを経験されています。

    その経験が 日出 さんの人生にとってとても重要なものになったという記載を見た時、私は「もう恋愛してるじゃん」と思ってしまいました。もちろん一般的に言われる恋愛ではありません。でも、恋人や友達との人間関係を築いていく上で、「人をケアする喜び」という要素に 日出 さんはもうすでに気づいているのです。

    私からすれば、 日出 さんが気にされていた「童貞ではないこと」や「病棟で働くのなら社会的体裁も必要」という世間一般的な状態を満たすより、この「誰かの役に立つことが自分の人生を変えた」という体験の方がはるかに価値あることだと思っています。

    日出 さんには、あくまで個人的にはですが、無理して恋愛経験を積もうとするのではなく、「この人の役に立ちたい」と思ったり、誠実に誰かと向き合える体験をたくさん積んでほしいです。

    誠実に向き合える対象が患者さんであれば良い看護師になり、特定のグループであれば 日出 さんが心を許せるコミュニティになり、一人の人間であれば親友か恋人になり、それが自分の子どもであれば良い親になるだけの違いなのだと思います。

    そして、もし今後も恋愛に限らず自分の考え方に自信を持てなくなった時は、経験をすることで自分の思考をチェックしてアップデートしてほしいです。

    今回 日出 さんにお伝えしたことは以下になります。

    ①意図してできるのは「恋愛」ではなく「人間関係を作ること」
    ②努力を伴わない人間関係は上下関係が生まれやすく依存やハラスメントになりやすい
    ③思考は経験によってアップデートされるので、分からないことがあれば「まずやってみる」ことも大事
    ④恋愛のエッセンスは「誰かをケアする」ことなので、恋愛に限らず仕事や友達に誠実に向き合うことが大事

    日出 さんへの回答は以上になります。

    日出 さんが誰かに信頼される看護師であり、誰かの友達であり、いつか誰かの恋人になることを願っています。

    最後まで読んでいただきありがとうございました。

これを読んだきみにはこれも読んでほしいな

おすすめコンテンツ
みんなの心が楽になる情報と出会えますように。