神経質さと感受性の強さから、人と関わることへの緊張が強く悩んでいます

2023.05.23 Tue

目次

回答したカウンセラー

小野寺 リヒト

臨床心理士/公認心理師

小野寺 リヒト

臨床心理士・公認心理師。FP2級所持。
医療機関や一般企業の産業保健事業部等での勤務経験があります。心の悩みが気兼ねなく相談できたり、セルフケアの重要性が浸透した世の中になってくれたらいいなと思っています。読書と料理が好きです。
【得意な相談】
〇気分の落ち込みや不安に関する相談(上手な気持ちの切り替え方、最初の一歩になる行動の踏み出し方等)
〇人間関係に関する悩み(パートナー・親子・職場関係・友人等)
〇お金の相談(ついお金を使ってしまう心理、貯蓄・節約のこと等)

「神経質さと感受性の強さから、人と関わることへの緊張が強く悩んでいます」の相談内容詳細

相談者
相談者 名無し456
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
神経質さと感受性の強さから、生活に支障が生じている。具体的には・・・
・仕事で少し注意されただけで頭が真っ白になる。必要以上に落ち込む。ビクビクしてしまい、かえってミスが増える。また、変な細かいことが気になっている間に、大事なことを見落とすことが多い。とにかく仕事ができない。(一番大きい悩み)
・特別親しい人以外と会うことに強い緊張を感じ、うまく話すことができない。集団に溶け込めない。
・気持ちが張り詰めるとチックの症状が出てしまう。(子ども時代から)
眼球や身体の筋肉をビクッと動かしたり、息を止めたり、「ンー」と声が出たりなど、恥ずかしさがある上身体にも負担がある。
・刺激に弱く、自分がそこにいなくても影響を受けやすい。具体的には、テレビの怒っている人、暴力シーン、スポーツの水泳(息苦しくなる)など。大きな音も苦手。
・上記のため、何をしてもすぐに疲れてしまい、本当にやるべきことややりたいことが出来ない。毎日残業はなく早く帰っているのに、何もできず、趣味もできず、ただぼーっと過ごしてしまう。
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
自分への失望80%
苦しみ50%
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
ゆったりとした大らかな人間になりたいが、一朝一夕で変えるのは難しい気がする。(実際いくつかのカウンセリング本を読んで、ある程度気持ちは楽になったけれど、根本解決には至らなかった。)
環境を変えた方が早い気がするという思いと、いくら環境を変えても自分自身が変わらないとずっとこのままだという思い。
仕事も向いていない気がするが、変えたくない。
自分なりにリラックスやストレス解消をしてなんとか過ごしているが、日々の緊張、疲れに追いつかない。
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
仕事が辛くて大変なのは誰でも一緒だから、そういうものとして割り切ってしまえば良い。そのほかの面も、生活の中で困ってはいるが、生きていけないほどじゃない。気にせず過ごすうち自分の性質も変わってくるのではないか。みんなある程度は悩みを抱えているもの。
あとは、年齢的な部分もあるのではないか。
いま専門家に聞いてみたいことは?
子どものころからずっと外に出ること、人と関わることへの緊張が強く、悩んできました。自分なりに処世術を覚え、ありがたいことに友人・結婚相手に恵まれ、今は幸せに暮らしています。が、上記の課題は自分への負荷が大きく(特に仕事面)、もう少し楽に生きられたら・・・と思ってしまいます。どのように気持ちを持っていき、過ごしていけばよいでしょうか。
年齢、性別、職業
27歳、女、保育士
既往歴
--- 未回答 ---
悩みの内容の自由記述
--- 未回答 ---
相談者 名無し456 さんの自分史

自分史はまだありません。

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「神経質さと感受性の強さから、人と関わることへの緊張が強く悩んでいます」への回答

  • 名無し456 さん、ご相談をよせてくださりありがとうございます。臨床心理士・公認心理師の小野寺です。

    幼いころからずっと神経質さと感受性の強さがあり、生活に支障が出ているのですね。そのために「とにかく仕事ができない」ことがあるとすれば、さぞお困りでしょう。

    こうしてココロジーにご相談くださっただけではなく、今までもいくつかのカウンセリング本をお読みになったのですが、それでも「根本解決には至らなかった」となれば、途方に暮れてしまっているような状況だと推察します。

    悩みを抱えつつ、また、「仕事も向いていない気がする」にもかかわらず、今のお仕事も変えたくないし、今までも一貫して子どもとの関わりがあるお仕事を選んでおられますね。

    それほど子どもと関われるお仕事がお好きなのだと想像します。そんな好きなお仕事が「神経質さと感受性の強さ」のために苦しくなっているのは、本当につらいと思います。

    そのつらさは、確かに 名無し456 さんのお考えの通り、「一朝一夕で変えるのは難しい」かもしれません。しかし、必ず良くなると信じて、できそうなこと、やるとよさそうなことを一緒に考えていければと思います。

    専門家に頼るのも一案

    名無し456 さんは今回お寄せくださったお悩みを、専門家に伝えてみたことはあるでしょうか。【既往歴】には特に記載はありませんでしたので、もしかしたら「そこまでのことじゃないから…」と思われて、今のところはご相談してはいないのかもしれませんね。

    もしまだ専門家にご相談されたことがないのであれば、一度試しに精神科にお問い合わせしてみるのはいかがでしょうか。

    「精神科」だなんて言葉が出てきて、ビックリされたかもしれませんね。しかし、長年お悩みになっていて、 名無し456 さんご自身で努力されてもお悩みの解決には至っていないのだとしたら、専門家の力を借りてみるのは決して悪い選択でも、損な選択でもないかと思います。

    精神科に行ったとして「もし何かしらの異常があるとわかったらどうしよう」と不安になる気持ちもあるかもしれません。

    ただ、ここで言う「異常」とは、つまりは「病気」ということを意味するかと思いますが、病気であればそれは実は安心材料でもあるのです。

    なぜなら「病気」とは「治せる」ものだからです。

    名無し456 さんはおそらく長年の神経質さと感受性の強さから、今までご自身を責め続けてきたのではないでしょうか? 例えば「自分は自意識過剰だ」とか「自分で決めたことすら最後までやり通せないなんて情けない」とか。

    もしこのようにご自身を責めていたとしたらとてもつらいですよね。それに、せっかくこうして「何とかしたい」と思ってご相談してくださっても、その努力を肯定するだけの気力や自信も失われてしまいそうです。

    その点、もし 名無し456 さんのお悩みが何かしらの病気であることがわかれば、それは病気のせいなのであり、 名無し456 さんが自意識過剰なわけでも、情けない存在なわけでもないことが客観的に明確になります。

    もちろん場合によっては病気であることがわかったあとでも、「とはいえやっぱり自分が悪いのでは…」という気分になることもあるでしょう。でも、だとしたらそれも病気のせいであり、 名無し456 さんがのせいではないことの証明になります。精神的な病気は、その人本人のせいだと感じさせるのがとてもうまいからです。

    自分をいじめる思考は別角度から検討してみる

    「でも、逆に言えば病気じゃないってわかれば、いよいよ自分のせいってことになるじゃないか…」とも思われたかもしれませんが、それはよくある誤解で間違いなのです。

    「自分は自意識過剰だ」とか「自分で決めたことすら最後までやり通せないなんて情けない」などといった言葉は、ふとした瞬間に自動的に頭によぎってくるのだと思います。そういう自動的に出てくる思考は、あれやこれやと根拠を元に推論して出てきた答えではないので、ほとんどの場合正しくありません。

    試しに少し角度を変えて「自分は自意識過剰だ」の妥当性について検討するために、「これが大切な家族や親友の考えなら?」と想像してみてください。もしそんな大切な人が 名無し456 さんに下記のことを言ってきたら、 名無し456 さんはどう思うでしょうか?

    「どうしても『他人にどう思われるだろう?』って考えると不安になっちゃうんだ」

    何かあったのかをまずは丁寧に聞いてあげたくなったかもしれないし、事情はよくわからなくても共感してあげたくなったりしたかもしれませんね。少なくとも「あなたってちょっと自意識過剰なんじゃない?」とは思わなかったのではないかと想像しますが、いかがでしょうか?

    この手のことはよく「カウンセリング本」にも書いているので、試してみたことがあるかもしれませんね。それでも再考する価値のある事柄です。それくらい、私たちの頭に瞬間的によぎる思考は、ろくに物事を考慮したうえで結論を出していないくせして私たちを信じ込ませるのが上手だからです。騙されにくくなるために、繰り返し「これが大切な家族や親友の考えなら?」と想像する機会を設けることがとても大切です。

    どんな感情も意味があるし、それを受容することが大事

    とにもかくにも、病気じゃない可能性もあれば、病気である可能性もあるのであれば、一度精神科に行ってみることをお勧めします。

    病気かどうか判明するだけでも、一つの区切りがついてスッキリすることは間違いがなさそうです。病気なら病気なりの、病気ではないなら病気ではないなりの対策があります。

    病気ならお薬の力でかなりの改善が見込めるでしょう。対人緊張を抑えられ、「頭が真っ白になる」ことや「チックの症状」はかなり減ることが予想されます。

    病気ではないなら、今後も繰り返し「これが大切な家族や親友の考えなら?」と想像する習慣を継続させていくのがよいでしょう。他にも「こう考える根拠は?」「この考えが間違っているかもしれない可能性はないかな?」「こんな風に考えるメリットやデメリットってなんだろう?」と、自分を傷つける思考に気づいて、様々な角度から「ツッコミ」を入れていくのもよいと思います。

    さて、ここで重要なご指摘をさせていただければと思います。

    病気のあるなしにかかわらず、共通して認識しておくべきことです。それは「神経質さと感受性」ないし「人と関わることへの緊張」の克服を考えるにあたって、こういった感情をなくして0にする、は目標に“しない”ことがとても大事だ、ということです。

    一見すると当たり前のことかもしれませんが、改めてここを明らかにすることは重要です。不快な感情で長く困った経験をしていればいるほど、その不快な感情を「消し去りたい」とつい望んでしまう傾向があるからです。

    名無し456 さんは相当長く「神経質さと感受性」や「人と関わることへの緊張」に苦しめられてきたと想像します。それゆえ、これらの感情に対して敏感になっているかもしれませんし、わずかでも感じたくないと考えているかもしれません。

    しかし、人は感情の生き物です。どんな感情も意味があるし、感情を消すこともできません。感情を消そうと努力してしまうと、そこに意識が集中してしまい、ますますその消そうとしている感情を味わうことになってしまうのです。

    だから、「0にはならない」という現実を優しく受容したうえで、是非ご自分の感じ方を肯定してあげてください。現状を肯定した先にしか、変化は訪れないのです。目指すべきは、「神経質さと感受性や人と関わることへの緊張を抱きながら、何ができるか」の検討です。

    「仕事で少し注意されただけで頭が真っ白になる」ということですから、例えば少し冷静になったあとにこのようなコミュニケーションを取れるとよいかもしれません。

    「先ほどご指摘いただいた件ですが、少し慌ててしまって聞き漏らしてしまったことがあるかもしれません。お手数ですが、同じミスをしないためにももう一度教えていただくことは可能でしょうか?」

    このように伝えるのは勇気がいることだし、緊張をするかもしれません。「こんなこと言ったらどう思われるだろう?」と相手の表情に意識が向いてしまうこともありそうです。

    しかし、繰り返す通り、残念ながら感情は0にはなりません。だから緊張したり目線が気になったりするのは当然に生じることでしょう。緊張すると「こんなに緊張するのだから、きっと言うことなんてできっこない」と思って、実際よりも難しい作業だと感じることもあるかもしれません。でもだからこそ、そういった感情を受容し、そのうえで何ができるかを検討していく。このプロセスこそが、最も適切な克服方法になるのです。

    どうしても上記が難しいな、と感じたのであれば「必要以上に落ち込む」ことがあった際、それを信頼できるパートナーにお伝えするところから自分の気持ちを受け入れる練習をしてもいいでしょう。

    「また頭が真っ白になっちゃった。落ち込むなぁ…」と話して、それを聞いてもらうだけでも随分気持ち的には楽になるはずです。安心できる関係性の中で気持ちを打ち明けること、そしてそれを肯定してもらえる経験は、計り知れない効果があります。

    事前に「ただ話を聞いてもらうだけでもホッとするからそうして欲しい」などと伝えた上で気持ちを話すのであれば、「そんなことくらいで落ち込むなよ」などといわれるリスクを下げることができるので更に一層安全です(パートナーの方はそんなこと言わないかもしれませんが、念のため一案として書かせていただきました)。

    もしかしたら 名無し456 さんは過去のお母さまとの関係で、家族に相談することにはばかられる思いがあるかもしれません。確かに、毎度毎度のことであればパートナーの方も 名無し456 さんがお母さまとの間でかつて経験した「モヤモヤ」を味わう可能性はあります。

    しかし、パートナーの方とのコミュニケーションは、あくまでも「特別親しい人以外と会うことに強い緊張を感じ、うまく話すことができない」ことを克服するための「練習」と考え、適度に行う分にはなんら問題ないでしょう。

    適度なかかわりであれば、誰かに頼りにされることほど嬉しいことはありませんから、パートナーの方も悪い気はしないのではないかと思います。

    自分史に、 名無し456 さんご自身が精神的に安定するとともに、パートナーの方のことも幸せにしたい、といったことを書いてくださっていましたね。上記のやり取りはまさにそういったことを実現するのに最適な方法かと思いますので、チャレンジしてみるのをおすすめします。

    長くなりましたのでここまでのお話をまとめ、お返事を締めくくっていければと思います。

    ①一度精神科に相談してみるのも手。
    ②病気であれば治せる。
    ③病気ではないとしても「自分のせい」というわけではない。そんな考えを信じる必要は一切ない。
    ④病気であろうがなかろうが、大事なことは「不快な感情を0にすることではない」と認識すること。
    ⑤不快な感情も受け入れ、その状態で「どんなかかわりができるのか」を検討していくこと。それが不快な感情克服のための一番の近道。

    「神経質さと感受性」や「人と関わることへの緊張」を完全になくすことはできませんし、そうするべきではありません。

    しかし、あまりにも強すぎる感情は生活に支障が出てきてしまいますよね。ですから、適切に付き合っていくことが、感情の影響を最小限にする最も適切な方法となります。

    ぜひ自分の気持ちを否定せずに、優しく受け入れてください。パートナーの方にも受け入れてもらえるとより安心感は膨らむはずです。場合によってはこのお返事をパートナーの方にも共有すれば、ますます安全に気持ちを共有できる準備になるかもしれません。

    名無し456 さんがお好きな仕事を続けていけるように応援しております。

    最後までお読みいただきありがとうございました。

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