他人の幸せを祝福できない自分に嫌悪感を感じています

2022.11.01 Tue

「他人の幸せを祝福できない自分に嫌悪感を感じています」の相談内容詳細

相談者
相談者 たむ
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
職場の先輩の奥様が妊娠されたとのことです。
本来喜ばしいことに対して嫌悪感を覚えてしまった自分に嫌悪感を覚えています。
また、私は結婚&妊娠を望んでいないはずなのにどこか焦っているという矛盾した感情に、ストレスを感じています。
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
他人への嫌悪感40%、焦り30%、自分への嫌悪感20%
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
私自身、発達障害傾向だったり容姿にコンプレックスがあったりするため子どもを望んでおらず、反出生主義のような考えを持っています。
ただ、他の家庭の子どもさんにまで嫌悪感を感じるとなると、私は過干渉なのではないかと思ってしまいました。
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
・先輩には普段から傷つくことを言われることが多く、自分を傷つける人だから幸せを素直に喜べないのかもしれません。

・焦りの原因は、どんどん結婚、出産していく周りと自分を比較したからではなく、先輩がもし育休を取得されると仕事が回らなくなるだろうと悲観してしまったからかもしれません。
いま専門家に聞いてみたいことは?
自分の本心に気づけるようになりたいです。そして、周りに左右されることなく自分の思う通りに選択して生きていきたいです。どうすれば自分軸で生きられるでしょうか。
年齢、性別、職業
アラサー 女性 会社員
既往歴
--- 未回答 ---
悩みの内容の自由記述
--- 未回答 ---
相談者 たむ さんの自分史

自分史はまだありません。

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「他人の幸せを祝福できない自分に嫌悪感を感じています」への回答

  • 回答したカウンセラー

    浅井 音楽

    臨床心理士 / 公認心理師 浅井 音楽

    たむ さん、ご相談いただきありがとうございます。臨床心理士の浅井です。

    「他人の幸せを祝福できない自分に嫌悪感を感じています」難しいお悩みですね。

    他人への嫌悪感も辛いものですが、自分自身への嫌悪感は「嫌いな相手から離れる」という対処法も取れずもどかしいですよね。今回は たむ さんの苦しさが少しでも和らぐ方法を探っていきます。

    たむ さんは「周りに左右されることなく自分の思う通りに選択して生きていきたい」と
    書いてくださっていますが、結論から言えば「それは無理」だと思います。わざと突っぱねるような書き方をしてしまいましたが、大切な所なのでご容赦ください。

    「私は過干渉なのではないか」といった書き方からもわかるように、 たむ さんは反出生主義的な考えを持っていながらそれを周囲に押し付けることはしないバランス感覚を持った方です。ですが今はそのバランス感覚が「自分に嫌悪感を覚える」など少々自罰的な方に偏ってしまっているように見えます。

    そうしたバランス感覚をお持ちの たむ さんだからこそ「周りに左右されないようになる」よりも「自分が周りから受ける影響を記録、分析して対処法を積み上げていく」ほうが向いているように感じました。なので今回はその方法を紹介したいと思います。

    たむ さんにおすすめしたいのが「日々の感情の動きを記録する」ことです。それだけで何が変わるのかと疑問に思われるかもしれませんが、これがなかなか侮れません。

    まず手始めに「傷つくことを言われつらい気持ちになった」「おやつがおいしくて嬉しかった」など日々の生活の中で湧いた感情をメモアプリや手帳などに書き留めてみてください。

    慣れてきたら以下のようなフォーマットを作り、一日の感情の動きとともに天気やご自身のコンディションを記録していくのがおすすめです。

    ・体温や睡眠時間などのバイタルデータ
    ・今日あったこと(例:帰り道に新しいお店ができていた)
    ・そのとき感じたこと(例:行ってみたいな、そんな暇あるかな)
    ・感情の%(例:嬉しさ70%、悲しさ50%、焦り30%など、全部で100%にならなくていい)

    こうした記録を続けていくことで自分の感情の動きを客観視でき、感情に振り回されにくくなります。それだけでなく「体温の低い日はネガティブな気持ちになりやすいな」「睡眠時間が取れた日は機嫌がいいっぽい」など、日々を気持ちよく過ごすための情報も積み上がっていきます。同様に好きなお菓子や音楽、夢中になれる趣味など自分に合ったストレス解消法もたくさん集められるといいですね。

    自分だけの感情、自分だけのバイタルサインなど自分だけが把握できる情報が集まれば集まるほど「私は私」という気持ちも強化され、他人に振り回されないようになっていきます。一見遠回りにも思えますが、自分の本心に気づいて自分らしく生きていくためには実感を伴ったデータの蓄積が欠かせません。

    このように心身を整えるための方法を集めていくことで、デリケートな自分の本心と向き合い、すくい上げる余裕が生まれてきます。「自分は何を望み、どのように生きていきたいのか」という重大な問いに向き合うには、日々の記録を通じて自分の感情をつぶさに観察する視点や落ち込んだ気分から立ち直るための方法を知っておくのが重要です。ぜひ、今日湧いた気持ちを書き留めることから始めてみてください。

    とは言ったものの回答がこれだけでは消化不良感があるかもしれませんので、 たむ さんの問いを深めるための種を追記しておこうと思います。

    たむ さんは「他人の幸せを祝福できない自分に嫌悪感を感じています」と書いてくださいましたが他人の幸せを祝福できないことは悪いことなのでしょうか? 

    ここで一度、祝福の機能的な側面に目を向けてみましょう。たとえば結婚・妊娠を自己実現の一貫として捉えている人や、既に結婚・妊娠を経た人にとって、他人の結婚・妊娠を祝福することには大きな意味があります。

    「これから自分がするつもりのこと」や「既に自分が経験したこと」を祝福することは、間接的に自尊心を補強する効果があります。他人を祝福することで、自分自身の未来や現在を肯定しているんですね。したたかなものです。

    その意味では今のところ結婚や妊娠を望んでいない たむ さんが、先輩の奥さんの妊娠を祝福する意味はそんなにありません。人間関係を良好にする効果はあるかもしれませんが単純に「祝福する」ことによるインセンティブが他の人より低いから祝福する気持ちにならない、それだけの話かもしれません。そのため「祝福できない自分が悪い」と自罰的になる必要性は薄いように思えます。

    当然、考えを深めたり時間が経つにつれて結婚や妊娠についての考えが変わっていくこともありえます。 たむ さんの焦りの背景には「今は結婚や妊娠を望んでいないが、取り返しがつかなくなってから考えが変わったらどうしよう」といった不安もあるのではないでしょうか。

    もちろん、未来のことを見据える視点は大事です。ですがそれよりも大切なのは、今この瞬間の たむ さんが快適に日々を過ごすことだと思います。そのためにまずは「祝福できない」自分を責める気持ちを和らげるところから始めてほしいです。

    「祝福するべきこと」なんて、よく考えてみればひとつもありません。祝福は「しなければならないもの」ではなく、したいと思ったときにするものです。だから、他人の幸せを祝福できない自分に嫌悪感を抱く必要もありません。

    周囲の価値観を読み、自分の考えを押し付けないことができる たむ さんですから、祝福のポーズだけ取ってうまくやり過ごすこともできると思います。自分の気持ちに素直でいることと、それをどう表現するかは別の話です。祝福できない気持ちを抱えたまま祝福の言葉を口にするのは、別に悪いことではありません。

    その後家に帰ったら「なぜ自分は妊娠を祝福したいと思わないんだろう」と、自分の考えや価値観を深める材料にしてあげればいいと思います。

    たむ さんは、妊娠や結婚を本来喜ばしいものとする周囲の価値観をしっかりと把握しながら、自分の価値観との距離を測る能力がある方です。だからこそ「周りに左右されることなく自分の思う通りに選択して生きていきたい」というのは「無理」なんです。

    「自分の思う通りに選択して生きていける」のは特権的な力を持つ人か、周囲の価値観を一切気にしない世捨て人か、いずれにせよ特異な人です。

    わかりやすくするために周囲の価値観を風に、人を船に例えてみます。

    特権的な力を持つ人=巨大な船(ちょっとの風ではびくともしない)
    世捨て人=潜水艦(そもそも波風の影響を受けない)

    この例えで言えば、 たむ さんは帆船でしょうか。周囲の価値観という風を読み、適切に帆を張ることで進んでいくイメージです。

    近年、社会における「正しさ」は緩やかに解体されつつあります。あくまで文学や哲学の中で細々と説かれてきた反出生主義のような考え方が一般の人に広がりつつあるのも、「正しさ」が解体されていく流れの一つと言えるでしょう。

    様々な価値観が相対化されていく中で、すがれるものは自分の感覚だけです。自分が快適に過ごせるような環境を作るために利用できるものは全て利用するべきです。

    反出生主義であれなんであれ、 たむ さんを生きやすくしてくれるならなんでも取り入れていきましょう。そのことに罪悪感を覚える必要はないですし、後々「なんか違うな」と思ったら乗り換えてしまいましょう。一番大切なのは たむ さんが快適に日々を過ごすことですから。

    長くなりましたが、今回のお返事の内容を簡単にまとめます。

    ①:「周りに左右されることなく自分の思う通りに選択して生きていく」のは難しい。「自分が周りから受ける影響を記録、分析して対処法を積み上げていく」ほうが大事。
    ②:自分だけの感情、自分だけのバイタルサインなど自分固有の情報を積み上げていくことで「私は私」という気持ちも強化され、他人に振り回されないようになっていく。
    ③:他人の幸せを祝福できないことに罪悪感や嫌悪感を覚える必要はない、それより自己理解を深めるきっかけとして活用したほうがいい。

    今回はご相談いただきありがとうございました。

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