叱られたり注意されると無意識に泣いてしまう

2023.03.17 Fri

「叱られたり注意されると無意識に泣いてしまう」の相談内容詳細

相談者
相談者 しおの
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
・「怒られたり注意されたらもう取り返しがつかないのではないか」「許してもらえず、ずっと気にされるのではないか」と思ってしまう
・仕事でも趣味でも、指摘や注意をされただけで無意識に泣きそうになったり、泣いてしまう
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
悲しみ50% つらさ50%
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
・幼少期、父親から「やった悪いことを謝っても許されない、「許さない」と言われる」経験をたびたび受けていた
・それが原因な気がしていて、父親に強い恨みを抱いている
・それはそれとして、この考え方はなんとかして直さないと社会人としても変に思われる、いらぬ心配をかけると思っているので直したい
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
・幼少期関係なく、普通に心配性なのもあるかもしれない
・父親には暴力なども受けていたので、恨みにはそれもある
いま専門家に聞いてみたいことは?
「叱られる、注意される」ことへの過度なマイナス感情や泣きたくなる気持ちを変えるためにはどうすればいいですか?
年齢、性別、職業
26歳 女性 会社員
既往歴
自閉スペクトラム症
気分障害
悩みの内容の自由記述
--- 未回答 ---
相談者 しおの さんの自分史

自分史はまだありません。

※ プライバシー保護のため、ご質問の一部を編集部で変更している場合がございます。

「叱られたり注意されると無意識に泣いてしまう」への回答

  • 回答したカウンセラー

    小野寺 リヒト

    臨床心理士/公認心理師 小野寺 リヒト

    しおの さん、ご相談をよせてくださりありがとうございます。臨床心理士・公認心理師の小野寺です。

    幼少期のお父さまとの関係性が影響して、他人からの厳しい態度に対して「無意識に泣いてしまう」といった反応が出てしまうのですね。

    「社会人としても変に思われる、いらぬ心配をかけると思っているので直したい」と思い悩むほど、その反応について辛い思いを日々されているのだと思います。

    「過度なマイナス感情や泣きたくなる気持ちを変えるにはどうしたらいいか」が しおの さんがお聞きになりたいことですね。これから一緒にその方法を考えていければと思います。

    「泣きたくなる」対策は「相手の態度を分類する」

    まず考えていきたいのは、「注意されること(注意)」と「叱られること(叱責)」と「怒られること(怒り)」を分けることです。

    しおの さんはこの3つをそれほど区別なく考えておられる印象を受けましたが、この3つは似ているようでそれぞれ微妙に違います。違いがあるものですので、それぞれに対する反応も分けて考える方が合理的です。

    一つ目の「注意されること(注意)」ですが、これには必ずしも悪意が含まれません。相手に「気を付けて欲しい」旨を伝えるのが目的です。例えば子どもに「赤信号のときは横断歩道は渡っちゃいけないよ」と善意から教えてあげることも「注意」に入りますね。

    二つ目の「叱られること(叱責)」にも悪意は必ずしも含まれません。しかし、叱る側には相手に対する心配な気持ちや困った気持ちがあるので、多少感情的なニュアンスがありますね。先ほどの横断歩道の例で考えると「どうしてお父さん・お母さんは君に『赤信号のときは渡っちゃいけない』って言ったかわかる?」と相手に今後同じ危険な目に遭ってほしくないと諭す意味合いがあります。

    三つ目の「怒られること(怒り)」は、悪意が含まれます。相手を攻撃して服従させようとの意図があるのが怒りの本質だからです。ですから相手はこちらの話を聞こうとも思いません。横断歩道を赤信号で渡った子どもに「バカじゃないの?」などと言うのはその典型です。

    以上を分解して考えてみると、 しおの さんの寄せてくださったご相談から推察するに しおの さんのお父さまは注意したり叱ったりすれば済むようなところですら「怒っていた」のではないでしょうか。

    「父親には暴力なども受けていた」「「やった悪いことを謝っても許されない、「許さない」と言われる」といった記述は、相手が怒っていたことの表れであるように思うのです。

    「怒り」は極めて原始的な反応です。人に言うことを聞いてもらいたいとき、暴力を振るう必要性は一切ありません。「許さない」といって相手を困らせたって何の生産性もありません。このように、合理性がない結果を招くにもかかわらず取られる反応であることが、怒りが原始的な反応であることの何よりの証左です。

    人間は動物の一種ですが、社会的な動物です。社会的な動物は他の動物に比べて集団生活をより円滑にするよう工夫を続けてきました。そのために獲得した道具の一つが「言葉」です。「怒り」の非合理性を乗り越えようと、人間は言葉を身にまといました。より相手を気遣い、より円滑に事が進むように言葉を洗練してきたのです。

    その点、「バカじゃないの?」や「謝っても許さない」といった発言は、そんな社会的な営みに対する否定です。無闇に怒り出す状態は、言葉を尽くせば済むところを感情任せにしてしまう。そんな原始的な反応なのだと思います。

    社会性を営むことを放棄した存在と上手くやることは非常に困難です。仮にうまくやれたとしてもかなりの労力をこちらが要するし、そこまでする価値があるのかはなはだ疑問です。

    以上から、「怒られた」のならその相手から離れるのが最も合理的な反応です。 しおの さんは怒られると「泣きそうになったり、泣いてしまう」ということですが、その反応は相手が危険な人物であることを心と身体が教えてくれているのだと思います。決して間違った反応ではありません。自分を卑下する必要は一切ありませんので安心してくださいね。

    注意や叱責の目的は「手のかからない存在になって」

    一方、注意と叱責は社会的な動物らしい行為と言えます。ですから、社会人として働く中で注意と叱責を受けることはあるでしょう。新しい仕事を覚えるときに先輩から教えてもらわざるを得ないシチュエーションもあるだろうし、ミスしたときに同じミスを繰り返さないために諭されることもあるからです。

    ですから、こういうときには「泣きそうになったり、泣いてしまう」反応は確かに改善できるとよいかと思います。

    そのために、まずは自分が「怒られている」のかそれとも「注意されているのか」「叱られているのか」を区別する必要があります。

    区別するコツは、「次何をしたらいいかがわかる」です。何をしていいかわからないのならそれは「怒られている」と考えていいかもしれません。 しおの さんの人間性を否定するものだったら、やはりそれも「怒られている」だと思います。

    逆に「注意」や「叱責」はその後何をするべきかが明確です。 しおの さんは注意されたときにも「もう取り返しがつかないのではないか」と考えてしまうようですが、むしろ相手が求めることに応えてするべきことが次にできれば、きちんと取り返すことができるのです。注意している相手も しおの さんに取り返してもらうことを期待しているはずです。

    もちろん、相手が「注意」や「叱責」をしている場合、 しおの さんを「許さない」ということや「ずっと気にする」ということも、あまりないと考えていいだろうと思います。

    なぜなら、「注意」や「叱責」をする相手は、 しおの さんにいい意味で手のかからない存在になってほしいからです。仮に上司が「注意」や「叱責」をしてきたとしたら、それは早く部下に仕事を覚えてもらって、自分の仕事に集中したり、自分の仕事の補佐をしてもらいたいからです。

    例えば「プリンタのインクが切れたら、気づいた人がアスクルに注文し、注文したものはこのリストに記載してください」と注意されたら、以後どんなときに何をすればいいかは明確です。そしてそのやるべきことができれば、注意してきた人も「注意したことをやってくれた」と安心してそれ以上のおとがめはないはずですね。

    「許さない」「ずっと気にしている」といったことがあると、その部下のことが気になって自分の仕事に集中できませんし、補佐も頼めません。自分の首を絞めることになってしまうのです。

    こうやって整理してみると、「注意」や「叱責」を受けた場合に関しては、 しおの さんが心配されている「取り返しがつかないのではないか」「許してもらえず、ずっと気にされるのではないか」という可能性は低いと考えられそうです。

    是非このことを念頭においていただければと思います。それが「「叱られる、注意される」ことへの過度なマイナス感情や泣きたくなる気持ちを変える」につながるはずです。

    とはいえ、すぐに「泣かないようにする」は難しいですよね。そんなときのためにちょっとしたテクニックもお伝えします。

    ■深呼吸
    泣きそうになるときは呼吸が浅くなっているものです。ですから、深呼吸をしてみてください。

    ■瞬きをする
    瞬きをすると涙の排出が促されて、目からあふれ出すのを抑えられるといわれています。

    詳細はこちらの記事もご覧くださいね。

    本音を言うと涙が出る理由と5つの対処法【ワーク付き】

    最後にこれまでの話をまとめていきたいと思います。

    しおの さんは過去に繰り返しお父さまから「怒り」を向けられてきました。「怒り」は極めて原始的で危険なものです。ですから「泣く」ことはその危険性を察知してのものであったのでしょう。「怒り」に対して「泣く」ことはとても自然な反応です。

    ところが、この反応を「怒り」だけではなく「注意」「叱責」に対しても取ってしまうと、確かに支障が出てしまうかもしれません。

    ですから、相手の厳しい態度が「怒りなのかそうではないのか?」をまずは分類します。分類の結果、「注意」や「叱責」の場合は、「注意や叱責を受けたとしても、相手は自分を許さないわけでも、気にし続けるわけでもない。言われたことをこなせばいいだけ」と考えてみてください。

    そうすれば、「過度なマイナス感情や泣きたくなる気持ち」は収まっていくだろうと思われます。

    この回答が少しでも しおの さんのお役に立てれば幸いです。この度はご相談をよせてくださりありがとうございました。

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