「将来の事を考えすぎて「もう頑張りたくない」と思ってしまう」の相談内容詳細
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いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
- 仕事中や、自宅で過ごしている時も、将来の事を考えて、死にたくなってしまう。
自分は今アルバイトをしているが、親からは
「次は正社員」「これぐらいは稼がないと」
等と言われた事があり、それを何度も思い出してしまう。
同じ職場の社員の人は、とても大変そうで、責任を取らされるのが怖い事もあり、「社員になる」という事に対して、ネガティブなイメージを抱いている。
将来は親を介護しないといけないし、「私がどうにかしなければ」と思って色々考えるけれど、「こんなに頑張ってるのに、もっと頑張らないといけないのか。もう頑張りたくないな」と思ってしまい、死にたくなる。
自分の未来に希望が持てない。 - 「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
- 不安80%、息苦しさ60%、辛さ30%、死にたさ20%
- 「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
- まだ、19歳の時に抱いていた「死にたい」「休みたい」という気持ちを引きずっているように感じる。
大学を休学して、沢山休んだと思うのに、「まだ足りないのか…」と思う。
骨折した骨が変な形で治ったまま、無理矢理歩いているような感じがする。
個人的には、死なないでここまで来たのは、ものすごく頑張ったと思う。
けれど、周りからは「社会人だから、これぐらい出来ないと」という事を言われるので、「自分は全然頑張れてないんじゃないか」と思ってしまう。
親の言う事を気にしてしまうのは昔からで、「相手の希望に沿った事をしなければ」という考えがあるのだと思っている。
精神的に辛い時も、「『大丈夫です』と私が言えば、みんな丸く収まるんだろう」と思って我慢していた。
また、最近親族の死が続いているので、親の介護やその後といった将来の事を、よりリアルに考えるようになっているのかもしれないと思う。 - いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
- 私がプレッシャーに感じているだけで、親としては「必ず社員にならないといけない」という考えではないのかもしれない。
自分が考えすぎているだけかもしれない。 - いま専門家に聞いてみたいことは?
- もっと頑張らないといけないのであれば、どうしたら頑張れるでしょうか。
自分を責めたり、思い詰めたりしないためにはどうしたらいいですか。 - 年齢、性別、職業
- 25歳 女性 アルバイト
- 既往歴
- 大学のカウンセリングに通っていた事がある。
- 悩みの内容の自由記述
- 19歳の時からずっと引きずっている悩みがこんがらがったり、最近の出来事と結びついて、自分の内面がややこしい事になっていると思う。
もう手遅れなのだと思うけれど、どうにか自分が楽に生きられる道を探したい。
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25
事務のアルバイトを始める
専門学校と全く関係ない分野に就職してしまって、親や先生に申し訳ない気持ちがある。けれど、自分に合っていると思うし、初めての失敗しても責められない職場なので、しばらく働きたい。
失敗しても責められないし、丁寧に教えてもらえるので、失敗するのが少し怖くなくなった
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23
大学を辞めて専門学校に入学したが、実習が全然上手く出来なくて、死のうとした
私は家族にずっと迷惑をかけているのだから、何かちゃんと結果を出さないといけない。役に立たない自分は価値が無いと思った。
「自分は価値が無いから、役に立たないとダメだ」という考えがあると分かった
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21
柴犬が家に来た
「私がこの子を幸せにしなければ」と思った。躾の方法について調べたり、久々に一生懸命になったと思う。
人生の楽しみが1つ増えた
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20
大学を休学する。カウンセラーの先生から病院を勧められたが、親に相談したら渋られた。
「私が病気だと困るんだな」と感じた。辛かった。死にたいと何度も思って、とにかく休みたかった
「死にたい」「休みたい」という気持ちが消化不良のまま残っている感じがする。
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19
大学に入学するが、周りとの差に着いていけなかった。
辛くて死のうとしたが、できなかった「死にたい」と何度も思っていた。頑張って普通にしようとしていた。自分が我慢して大学に通えばいいだけなのに、それが出来なくて、どうすれば良いのか分からなかった。
頑張る事が出来なくなった。自分は将来の事は何も考えておらず、夢や望みが何も無いと分かった。
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18
大学の推薦受験を受ける事になるが、志望動機が全く書けなかった
「自分は大学に行きたくないのではないのか」と思ったが、他の道がなかった。嫌だったが、我慢して頑張るしかないと思った。
怒ること、泣くこと、嫌だと思う事を自分に禁止していたと後々わかった。
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18
私が自分の話題ばかり話すので、友達から嫌われて数日間無視される
私も悪かったとは思うが、私が謝った後に無視した事への謝罪が無いのはモヤモヤした。私を無視してる間、他の人とは楽しそうに喋っていて、「私が居なくても問題無いじゃないか」と思った。
「私は別に居なくても良いんじゃないか」と思うようになる。あまり自分の話をしないよう心がけるようになる
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14
中学の先生から、「貸し出した資料が戻ってない」と怒られた。貸された記憶がなかったので、それを伝えられたら「貸したはずだ。ちゃんと返せ」と怒鳴られた。
怖かったし、混乱した。
後日、先生から勘違いだったと謝られたが、訳が分からなかった。班長をしていた自分が怒鳴られたので、責任を取らされる事が怖くなった。
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13
母親から「言われた事も出来ないなんて、機械以下だ」と怒られる
「私は人間じゃないんだ」と思った。悲しかった
「私はダメな奴だ」「私なんて」とすぐ思うようになったきっかけだと思う。
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10
学級会で議長をしたところ、クラス全員から責められて、泣いてしまった。その後、先生から「わざと助けなかった」と言われた
少しの事で全員から責められたのはとにかくショックだった。先生の言葉で「私は助けて貰えない存在なんだ」と感じた。
人前に立つのが怖くなった
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「将来の事を考えすぎて「もう頑張りたくない」と思ってしまう」への回答
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藤の花 さんこんにちは。臨床心理士の浅井です。
「もう頑張りたくない」というタイトルを見て、思わず「わかる……」と深くうなずきました。「頑張りたくないので頑張りません!」と開き直れれば簡単なものの、なかなかそうもいかないと思います。
相談文を拝見する中で、 藤の花 さんはこれまで深い傷を負いながらも懸命に生きてきたのだと感じました。 藤の花 さん自身「死なないでここまで来たのは、ものすごく頑張ったと思う」と書いてくださっていますが、しみじみその通りだなと思います。まずはここまでたどり着きご相談くださったことに、感謝と労いの気持ちをお伝えします。その上で今回は 藤の花 さんの不安や息苦しさが和らぐよう、一緒に考えていきたいと思います。
藤の花 さんはご自身の状態について「19歳の時からずっと引きずっている悩みがこんがらがったり、最近の出来事と結びついて、自分の内面がややこしい事になっていると思う」と分析されていますが、この分析は概ね当たっているように感じます。過去の辛さが癒やされないまま「社会人なんだから」といった圧力にさらされるのは治っていない傷に塩を塗られるようなものですから、調子を崩すのも無理ありません。
藤の花 さんは自身の「休みたい」という気持ちに対して「まだ足りないのか」と感じていらっしゃるようですが、傷つきはそう短い時間で癒やされるものではありません。私は 藤の花 さんがたくさん休んだと思っている大学休学の時期について休養以前の、生き残るためになんとか踏みとどまっていた時期だったという印象を受けました。
「休んだのに」ではなく「今がまさに回復の最中」
それを踏まえると 藤の花 さんが「たくさん休んだはずなのに頑張ろうと思えない」と自分を責める必要はありません。むしろ、今がまさに回復の最中であると言えるからです。
かといって「あなたは休養が足りません。今はなにもせずじっと休んでください」と言いたいわけではありません。 藤の花 さんの状況を考えればこの手のアドバイスは将来への焦りや不安を増すことにもなり得ます。そこで提案したいのは、今やっている事務のアルバイトを通じて 藤の花 さんの自尊心を回復し、育てていくことです。
藤の花 さんは今、回復の過程で最も重要な、傷ついた自尊心を癒やすチャンスを掴んでいます。事務のアルバイトをはじめてみよう! と決断したことも素晴らしいですが、それが「自分に合っていると思う」と感じられているところなんて最高です。
藤の花 さんは専門学校とは関係ない分野に就職したことを申し訳なく思う気持ちがあるようですが、ここはひとつ「いま 藤の花 さんにとって一番必要なことができている」と捉え直してみてください。調べてみたところ日本労働組合の調査では職場の人間関係を良好に感じている人は全体の3割程度と報告されていますから、なかなか稀有な状況にあると言えます。もちろん職場での関係が良好なのは単なるラッキーではなく、 藤の花 さん自身が周囲の方に与える印象が良いからだとも思います。そこはぜひ誇っちゃってください。
余談ですが、心理学部を卒業した人の9割以上は心理学とはまったく関係ない分野に就職します。気休めになるかわかりませんが、見渡してみればそんなものです。誰もが皆、綿密な計画を立てそのとおり進んでいくわけではありません。しっかりとした計画を立てるのと同じかそれ以上に大切なのは、今自分がいる場所から自分に必要な資源を見出し、獲得していくことです。
その意味で 藤の花 さんは、今のアルバイト先で大切なものを発見できています。「失敗しても責められないし、丁寧に教えてもらえるので、失敗するのが少し怖くなくなった」というのは、今後の人生すべてに複利で効いてくる素敵な経験です。
「社会人ならこれくらい」といった言葉は 藤の花 さん固有の経験を無視し、型にはめようとする言葉です。対して「自分に合っている」「失敗しても大丈夫」という気持ちは 藤の花 さん固有の経験に基づき、 藤の花 さんの可能性を広げてくれる大切な実感です。
もちろん、こう言われたからといってすぐに「社会人ならこれくらいできないと」といった思いが消えてくれるわけではないと思いますが、この考えは心の片隅に置いておいてくれると嬉しいです。
また、 藤の花 さんの回復をより良い形で進めていくためにジャーナリングなどの活用をおすすめします。ジャーナリングというのは、頭に浮かんだことをノートなどに書き出していくことです。
藤の花 さんが既に活用くださっている自分史が、過去の経験と今の自分へのつながりを確認する取り組みだとすると、ジャーナリングは今考えていることをきっかけに、これから先の自身の人生の指針を得られる取組みだと言えます。それ以外にも頭の中のモヤモヤを整理することで気持ちを落ち着けてくれる効果があったり、様々な良い影響を与えてくれます。
最初は何を書けばいいんだろう? と迷うこともあるかもしれません。そんなときは「今日できたこと」「最近あったよかったこと」「元気が出ること」など、テーマを決めて書き出してみるのもおすすめです。ついでにその日の天気や睡眠時間、体調なども記録しておくと自分の浮き沈みが可視化され、とても役立つデータが得られます。
得意なことや苦手なこと、好きなことや嫌いなことがはっきりしてくると、だんだん仕事への取り組み方や価値観も固まってきます。その中で「正社員じゃないからダメだ」など外的な規範意識を前提にした考えから「責任ある立場だとパフォーマンスが出せないから、今の働き方が適している」など実感を伴った決断へシフトしていければ、決断がどんなものであれ自信になっていくはずです。
藤の花 さんは「もう手遅れなのだと思うけれど」と書いていますが、そんなことはありません。むしろ、勉強してきたこととはまったく違う職種に飛び込んだという事実や「自分に合っている」という実感を得られている点などを踏まえると、手遅れどころか確実に前に進んでいると言えるでしょう。
自分にできることや苦手なことに対する理解が深まることで、同時に将来への不安や希望の無さが少しずつ薄れていきます。将来や未来といった言葉はその曖昧さから、そのときどきの自分の状況や精神状態に引っ張られて過剰に楽観的・悲観的に捉えられがちです。一方で、できることや苦手なことといった実感に基づく自己理解は着実な地盤となって自分の考えを支えてくれます。そうすれば「このくらいならできるかな」「ここで我慢しちゃうともっと辛くなるからいったん休むぞ」といった、ある種前向きな諦めができるようになってくるはずです。
「しなければならないこと」というのは本当のところ存在せず、大切なのはできることをできるようにやっていくことだけだと思います。このお返事が 藤の花 さんの仲の「しなければならない」ことを解きほぐし、これから先の道行きを探る手がかりになれば幸いです。
今回はご相談くださってありがとうございました。 藤の花 さんが心地よく生きられる道が見つかりますように。