「うつ病等で休学中です。根本的に治す過ごし方が知りたい」の相談内容詳細
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いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
- 希望の大学に落ち、短期大学を卒業後スムーズに就職できず専門学校に通っていました。
2022年の5月ごろから体調が急変し、原因不明の吐き気や嘔吐、微熱が続くようになり、内科に診断を受けるも原因は分からずじまい。
しばらくして(同年7月頃)、心療内科に相談をしたところ自律神経失調症と鬱病を併発していると診断されました。症状が酷いため、8月から休学し、今に至ります。
休学中とはいえ就活生の身、周りの健康な同級生が就活に向けてさまざまな活動や成功を収める中、自分は実家でたまに家事をしたり読書や絵を描いたりする日々。いくら自律神経失調症、鬱病で体調が落ち着かないとはいえ、このまま何もしなくていいのか不安です。
家族には焦らずゆっくり治せばいいと言われているものの、焦る一方。
しかし、本末転倒で焦るとさらに病状が悪化してしまいます。 - 「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
- 不安40%、焦燥感60%、罪悪感50%、悲しみ30%
- 「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
- 自律神経失調症について、症状が出るたびに対処療法で対応するしかなく、根本的に治す方法がないのか知りたい。
本当にこのままの生活を続けていいのだろうか?何か今からでもできることややるべきことはないのだろうか?
体調不良の日はベッドで、薬を飲んで耐えるしかなくて、やるせなく、悲しい。焦りや罪悪感を覚えてしまう。何か改善策があるのならば知りたい。 - いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
- 両親の言う通り焦らずゆっくり治して、元気になってから頑張れば良いのかもしれない。就活とはいえ人の人生は人それぞれで今にこだわる必要はないのかもしれない。
今は就活に直接的に関わる活動はできなくても将来のために資格を取ったり、どんな仕事に就きたいかなど、準備期間に使えば良いのかもしれない。
今の状態でも続けられている趣味をいっそ思いっきり楽しんでみたり、時間があるからこそ、手広くきわめてみるのも良いかもしれない。 - いま専門家に聞いてみたいことは?
- 自律神経失調症やうつ病を根本的に治す方法、改善する方法が知りたい。
休学期間の今、やっておいた方がいいこと、すべき事は?
現状に焦って体調やメンタルを崩してしまう負のループを断ち切りたい。 - 年齢、性別、職業
- 21歳、女性、専門学生
- 既往歴
- 自律神経失調症
うつ病 - 悩みの内容の自由記述
- 友達や両親にも、同じような内容を相談しましたが、打開策は得られず話を聞いて貰うだけでした。それでも多少はスッキリし、両親や友達にも感謝していますが、時間が経つとまたモヤモヤしてしまいます。
なにか打開策を得られるとありがたいです。
自分史はまだありません。
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「うつ病等で休学中です。根本的に治す過ごし方が知りたい」への回答
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シュガー さん、ご相談をよせてくださりありがとうございます。臨床心理士・公認心理師の小野寺です。
現在、自律神経失調症とうつ病を患ったことで休学中なのですね。ところが就活生でもあるために、「治療のためとはいえ、何もしないでいていいのか」と焦ってしまい、何とも落ち着かない状態になっておられるのだと思います。
ビックリしないでいただきたいのですが、結論から申し上げますと「何もしない」のは「よくない」です。
「やっぱり病気とはいえ就活しないといけないのか」と思われたかもしれませんね。でも、私が言っているのはそうではないのです。
焦って就活することには、私は反対の立場です。…ますます混乱させてしまったかもしれませんね。
でも、続きを読んでいただけるとその真意が伝わるのではないかと思います。
頑張ることとそうではないこと
今、 シュガー さんは自律神経失調症とうつ病を患っておられ、吐き気や嘔吐、微熱といった症状もみられるために大変お辛い状況にいらっしゃると思います。しかも就活の時期と重なってしまったので、より複雑な心境でしょうね。
このような状況であれば、「就活しなければ」と気持ちばかりが焦ってしまうだろうと思います。しかし「焦るとさらに病状が悪化して」しまい、どうしたらいいかわからない。ますます焦ってしまう。まさに悪循環ですよね。
だからせめて「今は就活に直接的に関わる活動はできなくても将来のために資格を取ったり、どんな仕事に就きたいかなど、準備期間に使えば良いのかもしれない」と考えておられるのでしょう。
ですが、いずれも今の シュガー さんが頑張るべき事柄ではないように思うのです。ご家族のおっしゃる通り、私も「ゆっくり治せばいい」と思います。
今の シュガー さんが頑張るべきは、就活でも将来のことを考えることでもなく、 「治療」です。治療は頑張らなければなりません。私が何もしないでいるのは「よくない」と申し上げるのは、これが理由です。
「治療を頑張る」が不安を和らげる理由
うつ病を患う人に対して、「頑張れ」と言ってはいけないと聞いたことがあるかもしれません。
基本的にその理解は正しいのです。「頑張れ」は頑張りたくても頑張れない状態の人の心を追いつめるだけですもんね。
しかし、こと「治療」に関することに対しては「頑張れ」は有効な場合もあるのです。 シュガー さんのように「このまま何もしなくていいのか不安」なときがその最たる例です。
「何もしない」と感じる状態から、「治療を頑張っている」と思える状態になれば、不安はきっとなくなっていくと思います。
なぜなら、「不安」はこの先どうなるか見通しが立たないときに生じる感情ですが、治療をして心身の変化を感じることできると、「○○ができるようになった」「次はこれをやろう」と見通しが立つようになるからです。うつ病と「頑張れ」についての詳細はこちらの記事も参考になるかと思います。お時間あるときにでもご覧になってくださいね。
【『うつ病の方への接し方と禁句6選』の『「頑張れ」って禁句なの?【番外編】』】
気分が乗らなくても行動を起こすことが治療
では、 シュガー さんにとっての「治療」とはなんでしょうか。何を頑張ればいいのでしょうか。
それは、「たとえ気分が乗らなくても行動を起こすこと」になります。
もちろん、ただ行動を起こせばいいのではなく、うつの治療になる行動を起こせるといいですね。
今の シュガー さんに求められている具体的な行動をお示しすると、
①日光を浴びる
②運動
③自己観察と客観視このあたりかと思います。
既に取り組まれている「趣味をいっそ思いっきり楽しむ」「友達や両親にも、同じような内容を相談」は是非これからも継続してくださいね!①~③について簡単に補足します。
①の日光を浴びるですが、日光を浴びるとセロトニンが生成され、うつが改善することが知られています。セロトニンとは、いわゆる「幸せホルモン」と呼ばれる神経伝達物質で、実はうつ状態になるとこのセロトニンが少なくなることが知られているのです。日光を浴びることで減ったセロトニンを補います。
森の中などの自然の中で日光を浴びることができれば、コルチゾールと呼ばれるストレスホルモンが減少するので、うつの軽減効果は更に高まります。多少気持ちが乗らない日があったとしても、お天気のいいときには公園などにお散歩してみるのはどうでしょうか。
「どうしても身体が動かない」といったときには、家の中に差し込む日光でも十分な効果がありますから安心してそこから始めてみてくださいね。
②の運動についてですが、運動もうつ状態を改善する効果があることが知られています。
でも、うつ症状がある中で運動するのって辛いですよね。運動といっても激しい運動である必要はありません。家の中を歩いたり、簡単にできる筋トレ、ヨガなどでも十分です。
こちらもできそうな運動から始めてみてください。
最後に③の自己観察と客観視です。今後気分が落ち込んだり、吐き気が出てきたときには「何がきっかけだったのか」「そのときどんな気持ちになったのか」「どんな考えが頭によぎったのか」などを観察して欲しいのです。実際に記録として残るよう、メモ書きするのがおすすめです。
そして後日そのメモを見返して欲しいと思います。次第に「いつものパターン」が見つかり始めるはずです。
「つい大げさに捉えがちになっているな」とか「まだ起きてないことを心配しすぎているな」とかです。
パターンが見えてきたら「このパターンに苦しんでいるのが自分の親友なら、何とアドバイスしてあげるかな?」と考えてみてください。
どうして「親友なら?」と想定するかというと、つい自分のことになると自分を責め過ぎてしまうことが多いからです。
「こんな大げさに捉えるなんてどうかしてるんじゃない?」みたいな感じですね。
その点「親友」相手になら、そんな辛辣な発想は持たないで済みます。だから「親友なら、何とアドバイスしてあげるかな?」と一歩引いた視点で自分に問いかけてあげて欲しいのです。
この「一歩引いた視点」は自分のことを客観視することにもつながっていきます。客観的に自分を振り返る習慣をつけると、パターンが生じたときにそこから脱することができるようになっていくでしょう。
①~③と数字が大きくなるほど難易度が高まっていきます。「体調不良の日はベッドで、薬を飲んで耐えるしかない」と感じるほど気分が乗らない日もあるかもしれませんが、そのときできるものを選んで、ちょっとだけ「頑張って」みてください。①~③のような行動を起こすことこそが、 シュガー さんの「治療」になるのですから。
以上、「何もしない」のではなく、頑張って治療することが大切であることをお伝えしました。
ここでいう治療とは①日光を浴びる、②運動、③自己観察と客観視、そして趣味と周囲への相談です。「頑張る」対象は、決して就活をしたり将来を考えることではありません。就活などは病気を治してからの方が結果的に早く取り組むことができるでしょう。
私は シュガー さんのご家族の「焦らずゆっくり治せばいい」のご意見に大賛成です。他のことはほどほどに手を抜いて、焦らずゆっくり治療を頑張ってくださいね。応援しています。