発達障害の検査結果を親に伝えられない。

2023.01.21 Sat

「発達障害の検査結果を親に伝えられない。」の相談内容詳細

相談者
相談者 なこ
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
大学で心理学の専攻をしてます。別件でカウンセリングに通うようになり、前々からおかしいと思っていたので、先日、ASD、ADHDの検査を取りASDはカットオフ以下だけどグレーゾーン、ADHDは診断がおりました。診断が降りたことを家族(親)に話すことができません。
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
安心50% 不安70%
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
自分としては今までの不注意行動や不用意な発言、衝動性など自分の自信をなくす「普通ではない行動」が自分の責任ではなく、診断が下りる物であったと安心した気持ちが大きかったです。またグレーゾーンであることも今後自分がどうしたらいいのか支援は受けられなくても、考えられるきっかけになったと思ってます。
それより、この先、不注意で何かをしてしまった時、まあしょうがないかと一種の諦め材料として自分の心を保つために使えると思います。
しかし、以前親に相談したところ「何をバカなことを」という感じで返答されました。この反応を見る限り今回の検査の結果を伝えることが怖くてたまりません。
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
親からしたら自分の子供が発達障害であるということは受け入れたくないことなのかもしれません。
いま専門家に聞いてみたいことは?
この検査結果を伝えるべきでしょうか。検査はカーズを使用して観察者は母親に記入してもらいました。検査費用は今のところ自分で出しています。
年齢、性別、職業
21歳、女性、大学生
既往歴
月経困難症
偏頭痛
適応障害
ADHD
悩みの内容の自由記述
--- 未回答 ---
相談者 なこ さんの自分史

自分史はまだありません。

※ プライバシー保護のため、ご質問の一部を編集部で変更している場合がございます。

「発達障害の検査結果を親に伝えられない。」への回答

  • 回答したカウンセラー

    浅井 音楽

    臨床心理士 / 公認心理師 浅井 音楽

    なこ さんこんにちは。臨床心理士の浅井です。

    なこ さんは大学生とのことですが、ご自身で費用を捻出して発達障害の検査を受けたとのことで、まずはそこに驚きました。すごいですね。自分について知りたいと思うだけで終わらず実行に移せるのは、 なこ さんの確かな強みだと思います。

    検査の結果「前々からおかしいと思っていた」部分に診断名がつき、安心感が得られたのは
    なこ さんにとって良いことだったと思います。ですが同時に「検査結果を親に伝えるべきか」という悩みも生じてしまったとのこと。

    結論から言うと「どっちでもいい」と思います。いささか投げやりにも見えるこんな言葉を選んだのは、この問題に対して なこ さんが主体的に考え、選択することが何よりも大切で価値があることだと考えたためです。

    なこ さん自身、相談タイトルは『検査結果を親に伝えられない』としていながらも本文では「この検査結果を伝えるべきでしょうか」と悩まれているのがわかります。

    こうした なこ さんの問いに「伝えるべきですよ(伝えかたはこうしましょう)」とか「伝えないほうがいいですよ」と言うのは簡単です。ですがそれは、せっかく相談してくださった なこ さんに対する専門家の態度として誠実なものではありません。

    そのため今回のお返事では「発達障害の検査結果を親に伝えるべきかどうか」という なこ さんの問いを通じ、 なこ さんが今後の人生をより快適に過ごしていくための方法を探っていくことを目標にします。ぜひお付き合いください。

    まず前提として、 なこ さんが検査結果を親に伝えるべきかどうかは「どっちでもいい」です。これは なこ さんに選択権があるという意味でもあります。検査費用は なこ さんが自分で捻出したわけですから、 なこ さんが決めて良いのは自然な話です。

    その上で検査結果を親に伝えるべきかどうか、というのは「出た検査結果をなんのために使うのか」という問いとも重なってきます。検査結果はあくまで、 なこ さんを助けるための道具に過ぎません。親に伝えることが なこ さんの利益になりそうであれば伝えるべきだし、そうでないなら伝えなくていいということです。

    実際のところ私は、検査結果を親に伝えるべきだとは思いません。かといって秘密にしていろという話でもなく「聞かれたら答えればいい」くらいに思っています。検査の費用は なこ さん自身が出していますが親も観察者として記入していますから、隠し通すというのも無理があるでしょう。

    それも踏まえると検査結果については「もし聞かれたならちゃんと答えられる」状態にしておくのがよいのではないでしょうか。ちゃんと答えられる、というのは曖昧な言葉ではありますが、ざっくり言えば「検査結果(診断名)だけでなく、それが自分にどんな意味があるのか、どう活かしていくのかまで説明できる」といった感じです。

    なこ さんは大学生で、まだ家族との関わりも密接なようです。そうした状態では反論や説得を試みてもうまくいかないことが多いです。そのため今は、客観的な視点を踏まえた「説明」に留めておくくらいがちょうどいいのではないでしょうか。検査結果から得られた自身の能力特性や医師・検査者からのフィードバックなど客観的な事実を積み上げていくことで、冷静に説明できるようになるはずです。

    ここからはより適切な説明のために大切なことを一緒に見ていきたいと思います。

    発達障害とは簡単に言えば「生まれつきの脳機能に偏りによって行動や情緒表現の特異さが生じ、生活に支障をきたしている状態」のことです。

    【発達障害とは?】

    発達障害とは?大人と子供の特徴とチェックリスト、二次障害まとめ

    なこ さんの場合ADHD(注意欠陥・多動症)の診断がついたということで、物事に集中することの難しさや落ち着かなさに苦しんできたのだと思います。発達障害は目に見えにくい困難ですから性格のせいにされやすかったり、独特の困難があります。

    近年では、発達障害を個性や才能といった言葉を使いポジティブなイメージに変換しようとするムーブメントがあります。こうした運動には発達障害に関するネガティブなイメージを払拭し強みに目を向ける働きがある一方で、当事者が抱える困りごとや苦しさを矮小化してしまう危険性もあります。

    なこ さんは『今までの不注意行動や不用意な発言、衝動性など自分の自信をなくす「普通ではない行動」が自分の責任ではなく、診断が下りる物であったと安心した気持ちが大きかったです』と教えてくれました。診断は なこ さんにとって、これまで背負ってきた肩の荷を降ろす役割があったのだと思います。

    では肩の荷が降りたあと、その荷物はどうすればいいのでしょうか。ポイッと捨てられればいいのですがそうもいきません。この荷物を捨て置くことはできず、なんとか背負い直して歩いていくしかないんです。実に理不尽な話だとは思いますが、この視点なしに「発達障害は個性、才能」と言ってみたところで なこ さんの苦しさはなくなりません。

    発達障害は生まれつき背負った荷物のようなものです。もちろん才能を発揮し活躍している方や、特性とうまく付き合い適応的に生きている方はいます。ですが大多数の当事者は特別なにかに秀でているというわけではなく、一般的な範疇のステータスに障害という荷物を背負った状態で生きています。そこで大切なのは「上手な荷物の背負い方」です。

    「歩荷(ぼっか)」と検索してみると、とんでもない量の荷物を背負って歩く人の写真が見つかります。歩荷は車やヘリなどによる物資運搬が困難な場所に、人力で物資を運ぶ仕事です。さまざまなテクニックがあるそうですが何よりも大切なのは重心のバランスで、やや前傾の姿勢で歩き、肩車の要領であえて重いものを上のほうに載せるそうです。重心を前方で安定させることで軽く感じられ、荷物の重さを進むエネルギーに変えられるんだとか。

    歩荷の人たちからは「上手な荷物の背負い方を知る」ことの重要性を学べます。 なこ さんが背負った荷物の重さは減らせなくても、上手な荷物の背負い方を知ることで実際に感じる重さは減らすことができます。

    歩荷の人たちは日々の仕事の中で重い荷物の運び方についての知識を深め、体系化していきました。それに習って自分が背負う荷物の中身を知り、適切な背負い方をすることで負担を減らすことができます。

    なこ さんは既に、体系化された知識への扉を開いています。それが発達障害の診断です。 なこ さん自身「前々からおかしいと思っていた」自身の特性が、発達障害という大きな枠組みに入るのを知ったことで安心し、自分がどうしたらいいのか考えられるきっかけになったと教えてくれました。

    冒頭でも述べたとおり「検査結果はあくまで なこ さんを助けるための道具」です。まずはカウンセリングや主治医とのやりとりの中で診断の結果について取り上げ、 なこ さんの特性や困りごとへの対処法について話あってみてほしいと思います。

    もしその場で話題にするのが難しければ「検査の結果と自分の困りごとの関連、対処法について教えてください」など簡単なお手紙を持参するのも有効です。短い診察時間の中で要点をまとめて話すのは難しいですから、自分に合った方法を探してみてください。

    専門家から客観的な知識や対策が得られると、いざ親に聞かれたときにも「先生はこう言ってた」と伝えることができますし、困りごとへの対処もしやすくなります。

    また、カウンセリングと並行して「 なこ さん固有の特性」について深めていくことも大切です。 なこ さんの書いてくれた例を元にすると、以下のようなものです。

    ・「不注意行動」→どんなとき、どんな場面で起きやすいのか
    ・「不用意な発言」→どんな相手に、どんな内容の発言をしたのか
    ・「衝動性」→どんな場面で衝動的になるのか、どんなことが我慢できないのか

    困ったことがあった時だけでなく、うまくいった時にも同様に「そのときの場面、状況」「自分の体調や感情」をスマホのメモアプリなどを使って記録していくことで、だんだんと自分の取り扱い説明書が分厚くなっていきます。

    一口に不注意や衝動性と言っても、それが生じる場面は人によって様々です。 なこ さんはどんなときに注意力が散漫になり、どんな場面で衝動性を抑えられないのかといった具体的なデータを蓄積していくことで、 なこ さんが過ごしやすい環境作りに役立ちます。そうして集まったデータをカウンセリングや主治医とのやり取りの中で出してみることで、より具体的かつ効果のある なこ さん専用の対処法が見つかってくるはずです。

    繰り返しになりますが、発達障害はどうにも捨てることのできない荷物のようなものです。だからこそ重みに押しつぶされないよう背負い方を工夫し、歩きやすい道を探していく必要があります。

    上手に荷物を背負っていくためには、研究者たちが蓄積してきた発達障害の特性や対処法など体系化された知識はもちろん、 なこ さん固有の特性という経験に基づく知識も大切になってきます。

    その両面から深めていくことで、 なこ さんの特性を親に伝える際も、冷静で客観的に話を運べるようになると思います。もちろん聞かれなかったなら伝える必要はないと思います。 なこ さんが自分で費用を出して得た検査結果は、当然 なこ さんのものですから。

    今回はご相談いただきありがとうございました。 なこ さんの背負う荷物が、少しでも軽くなりますように。

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