発達障害がありコミュニケーションが苦手だとカウンセラーは難しいのでしょうえか

2022.10.27 Thu

「発達障害がありコミュニケーションが苦手だとカウンセラーは難しいのでしょうえか」の相談内容詳細

相談者
相談者 うさぎねこ
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
人と話している時(友達や大学の先生、バイト先の方やお客さん、家族など誰でも)、すぐに言葉がでなかったり吃ったり会話の腰を折る発言(遠回しすぎて内容が伝わりづらい、言いたいことが纏まっていないのに勢いにまかせて喋ってしまい何を言いたいのかわからなくなる)をしてしまいます。

何かの発表や注目される場面、大きな声を出す場面でなく、普段の日常会話のときになってしまいます。相手の話を聞いている時も、相手が言いたいことを汲み取れず、ズレた返事をしてしまうことも多いです。

私は小さい頃ADHDと診断され、施設の職員さんには「アスペルガーっぽいかな」とも言われていたようです。ADHDの特徴は小学校中学年あたりから落ち着き、そこから中学校1年生までは自覚している限りこの事について悩んだことはありません。

また、関係性はわかりませんが、中学校2年生の時に摂食障害になり中学校の殆どを入院して過ごしました。高校では病気が主な原因で友達を作れず、大学の1年〜2年の途中まではコロナの関係でオンライン授業という形を取られていたため人と話す機会がかなり少なかったです。

現在カウンセラーを目指して心理学を専攻して学んでいるにも関わらず、人とのコミュニケーションをうまくとれず、相手が何を伝えようとしているのか、お世話になっている先生方やバイト先の方、いつもの友達がどんな性格の子なのかすらよくわからない状態です。
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
情けなさ40%、申し訳なさ(気まずさ)30%、焦り20%、悲しさ10%
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
せっかくみんなで楽しく話していても私の発言で場の空気を壊してしまうのが申し訳ないです。

特に一対一では話が噛み合っていないことと相手を困らせていることががよくわかります。本当は私も他の子が普通にできているような「会話が噛み合う楽しいおしゃべり」がしたいです。カウンセラーになるためにはそこからさらに相手の特徴や傾向、相手の様子から汲み取れる本心やもっと本質的な部分に気づき、その上で接する技術も必要になると思います。発達障害や精神疾患の病歴があるとやはり対人援助職は厳しいのでしょうか。

友達は本当にみんな優しくて、空気の読めない私を腫物扱いしたり煙たがったりすることなどなく、他の子同様に接してくれます。

友達ができたのが久しぶりだからか、緊張からか、テンションが上がってしまっているのか、どれだけ落ち着くように気をつけていても、話しているうちに冷静さが欠けてしまい自分の言動について客観視したり考え判断する前に言葉がでてしまいます。

発達障害や摂食障害の他にも、自分がその場の気持ちにのまれやすいこと、テンションが上がったり一度焦り始めると頭が真っ白になってしまうこと、物事を深く考えるのが苦手なことなど、自覚している問題はたくさんあるのにちゃんとできない自分が情けないし恥ずかしいです。

私は友達といて楽しいのに、私の方はそれを返すこともできず的外れな会話ばかりしてしまうことが嫌でたまりません。
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
引きこもり期間と人と話すことがほぼない期間が長かっただけで案外このまま人とコミュニケーションをとり続けたり滑舌を良くする努力をしたら解決しててくれないかな、と思います。
いま専門家に聞いてみたいことは?
どうしたら、相手の本質(人物像?)を理解できる、本心を汲み取ることができる、相手の気持ちに寄り添い共感できる、安心して話をしてもらえるなど心理士に必要な力を身につけることができますか。ここまで向いていない上に発達障害等があると無理でしょうか。

友達や学校の先生、バイト先でよくしてもらっている方たち等、わたしは本当に周りの人に恵まれていると思います。そういった人たちに(もちろんそれ以外の人にも)、わたしがそうしてもらったように、一緒に話していて楽しい、落ち着くと感じてもらいたいです。そうなるにはどうしたらいいですか。
年齢、性別、職業
21歳、女性、大学生
既往歴
発達障害(ADHD、アスペルガー)
摂食障害
APD
悩みの内容の自由記述
--- 未回答 ---
相談者 うさぎねこ さんの自分史

自分史はまだありません。

※ プライバシー保護のため、ご質問の一部を編集部で変更している場合がございます。

「発達障害がありコミュニケーションが苦手だとカウンセラーは難しいのでしょうえか」への回答

  • 回答したカウンセラー

    浅井 音楽

    臨床心理士 / 公認心理師 浅井 音楽

    うさぎねこ さんへ、ご相談くださってありがとうございます。臨床心理士の浅井です。

    コミュニケーションのとりかた、これは難しい悩みですね。人間は生きている限りほとんどコミュニケーションとりっぱなしですから、悩みは尽きないですよね。心理士を目指して勉強されているということで、自身の適性についての焦りや不安感もあるようにお見受けします。

    早速ですが うさぎねこ さんを悩ませているものを切り分けていきたいと思います。書いていただいた文面からは、大きく2つの困りごとの姿が見えてきます。

    ①:コミュニケーションの苦手さに伴う情けなさや申し訳なさ(気まずさ)
    ②:心理士への適性がないかもしれないという不安や焦り

    少し乱暴なまとめに感じられるかもしれませんね。ですがこのように切り分けることで、複雑に絡み合った うさぎねこ さんのお悩みが整理していけるはずです。

    まずは①の「コミュニケーションの苦手さに伴う情けなさや申し訳なさ(気まずさ)」から考えていきます。

    うさぎねこ さんご自身も「考えとは別の可能性」のところで書かれているように、 うさぎねこ さんのコミュニケーションの苦手さの背景には、入院期間やオンライン授業といった環境的な要因も関連しているように思えます。そのため、コミュニケーションの経験を積んでいくことで解決されていく部分もあるでしょう。

    ですがその「コミュニケーションの経験」を積むにあたって、情けなさや周囲の人への申し訳なさが足を引っ張ってしまうかもしれません。そこで1つ提案があります。

    友達や先生など うさぎねこ さんの好きな人たちとお話するとき、感謝の言葉を添えるようにしてみてください。すでにされている場合は「一回会ったら一回感謝の言葉を伝える」と意識的にルール化してみるのもいいでしょう。

    たとえば友達になにかしてもらったときに「助かるよ、ありがとう」と言ってみたり、先生になにか教えてもらったとき「いつもありがとうございます」と言ってみたり。

    「お返ししなくちゃ」「なにかしてもらってばかりで申し訳ない」といった気持ちを、感謝の言葉に変換して出していくイメージです。

    うさぎねこ さんも「一緒に話していて楽しい、落ち着くと感じてもらいたい」とお書きになっていましたが、そういうイメージを持ってもらう近道として、上のように明確な感謝や好意の気持ちを繰り返し伝えるのが大切です。

    「話していて楽しい」というと面白いネタを探さなきゃ……などと考えがちですが、実際、親密な集団の会話を観察してみると案外大したことは言っていません。言ってしまえば「自分のことを好きな人に感謝され、自分の話を肯定してもらっている」というだけで、多くの人は楽しさや落ち着きを感じてしまうのです。

    うさぎねこ さんはご自身の辛い経験もあって「価値を示さないと見捨てられる」ような気持ちにとらわれやすい部分があるように見えます。そんなときこそ上の「感謝を言葉で伝える」を実践し「私は“感謝を示す”という得がたい価値を相手に提供している」と考えてみてください。

    日々の感謝を言葉で示す。単純なようですがこれができている人は少ないので、される側も特別に感じるものです。続けるうちに うさぎねこ さんの「何も返せていない」という申し訳なさも、和らいでいくかもしれません。

    申し訳なさや負い目を意識的に「ありがとう」に変えてみることからはじめてみてください。

    次に②の「心理士への適性がないかもしれないという不安や焦り」についても考えていきます。

    ②については、①の「コミュニケーションの苦手さに伴う情けなさや申し訳なさ(気まずさ)」も絡んでいそうですね。他の子が普通にできているような「会話が噛み合う楽しいおしゃべり」さえできない自分が心理士になれるのだろうか。 うさぎねこ さんはそうした切実な不安や焦りを抱えているように見えます。

    うさぎねこ さんは「発達障害や精神疾患の病歴があるとやはり対人援助職は厳しいのでしょうか」とお書きになっていますが、まずは私の考えからお伝えします。

    ①:発達障害や精神疾患の病歴があっても対人援助職(心理士)になることはできます。

    ②:ですが、他の人に比べ不利な場面も多くなるかもしれません。

    ③:心理士になるには うさぎねこ さんがご自身をより深く知り、向き合っていく必要があると思います。

    一つずつお伝えしていきますね。

    まず①の「発達障害や精神疾患の病歴があっても対人援助職になることはできます」という部分ですが、これはある種あたりまえの話かもしれません。

    たとえばカウンセラーの代表的な資格である「臨床心理士」は、大学院で教育を受けた後資格試験に合格することで取得できます。要は、どんな病歴であれ大学院の試験とその後の資格試験に通りさえすればいいのです。

    ですが うさぎねこ さんが聞きたいのはそういうことではないと思います。そこで②の「他の人に比べ不利な場面も多くなるかもしれません」という話に繋がってきます。ここでは臨床心理士を例に話をしていきますね。

    「特性があっても大丈夫だよ」と言うことは簡単なのですが、心理士を目指し悩まれている うさぎねこ さんに対して、綺麗事で済ませるのは不誠実だと思うのではっきりお伝えします。

    うさぎねこ さんの発達的な特性は、カウンセラーになるための教育や試験の中で、不利に働く場面が多いと思います。

    なぜこのように断言できるかというと、私にも似た性質があるからです。私自身、不注意や多動、空気の読めなさといったADHDとアスペルガー(今はASDと呼ぶことが多いです)を合併した症状を持っています。

    うさぎねこ さんのお書きになった「遠回しすぎて内容が伝わりづらい、言いたいことが纏まっていないのに勢いにまかせて喋ってしまい何を言いたいのかわからなくなる」という部分など、まるで自分のことのように感じました。

    私たちのこうした性質は日常生活だけでなく、心理士になり働いていく際にも障壁になります。

    APDのように聞き取りに難しさがある場合は、実習の中で行う電話対応やグループ討議など言語的なやり取りが大変になるかもしれません。

    現場に出てからも、スクールカウンセラーなどは職場に自分だけしか心理士保持者がいない「一人職場」になりやすく、他職種との関係作りや煩雑な事務作業でてんてこまいになりやすいです。特性を抱えた上で心理士を目指そうとする場合、ほかにも数々の障壁が立ちはだかります。

    ですが、こうした障壁によって うさぎねこ さんが目標を諦める必要はありません。むしろ日常生活の中で自分自身の課題に直面している うさぎねこ さんの現状はチャンスとさえ言えます。うさんくさく感じられるかもしれませんが、もう少しだけお付き合いください。

    うさぎねこ さんは自分を心理士に「向いていない」と言いますが、では逆に心理士に向いている人とはどんな人でしょうか? 

    「相手の本質を理解できる」
    「本心を汲み取ることができる」
    「相手の気持ちに寄り添い共感できる」
    「安心して話を聞いてもらえる」

    これは うさぎねこ さんが「心理士に必要な力」として書いてくださったものです。ですが私にはこれが「心理士に求められるもの」のように読めました。「必要な力」と「求められるもの」は似ているようで違います。

    では「心理士に必要な力」とはなんなのでしょうか。様々な意見があると思いますが、私は「わかったフリをしない力」だと思っています。

    さきほど「求められるもの」として挙げた4つは、あくまでクライエント側が感じるものです。一部書き換えるとこんな感じでしょうか。

    「自分の本質を理解してくれる」
    「本心を汲み取ってくれる」
    「自分の気持ちに寄り添い共感してくれる」
    「安心して話を聞いてもらえる」

    このような気持ちをクライエントが感じることで、治療関係は良好なものになります。ですがこうしたクライエントの気持ちはあくまで「心理士に必要な力」を発揮した結果生じてくるものに過ぎません。

    残念なことに心理士には、というか人間には「相手の本質を理解する」ことや「本心を汲み取る」ことはできません。「自分」と他者の間には生まれ持った特性や育った環境、受けた刺激の違いなど決定的な隔たりがあるからです。

    ここで「わかったフリをしない力」が重要になってきます。

    「わかったフリをしない力」とは「この人はこういう人だ」と決めつけず、相手のことを理解できないことをわかった上で理解しようと努力し続ける態度のことです。

    そして不思議な話ですが、心理士が「この人のことは絶対にわからない、わからないから教えてほしい」という態度であり続けることによって、クライエントは「自分のことをわかろうとしてくれている」と安心し、ときには「わかってもらえた」と感じます。

    「苦しいのはみんな同じだと言われた」「気にしすぎだと言われた」など「わかってもらえない」気持ちの背景には「決めつけられた」ことへの失望がある場合がほとんどです。だからこそ心理士は「わかったフリをしない」「決めつけない」態度を徹底する必要があります。

    うさぎねこ さんは「いつもの友達がどんな性格の子なのかすらよくわからない」と悩まれているようですが、これは「この人はこんな人だ」と決めつけるよりも誠実な態度です。なにせ相手が「どんな性格の子」なのかを理解することは本質的には不可能ですから。

    うさぎねこ さんはこれまで、自分と他人の違いに直面する機会が多かったと思います。周りが自然にできていることができない苦しさや孤独感をよく知っているはずです。同時に「苦しいのはみんな同じ」「気にしすぎ」と相手を単純化して決めつけることの暴力性もわかっているのではないでしょうか。

    こうした心理士に必要な「わかったフリをしない力」の種を うさぎねこ さんは既に持っている
    ように思えます。ですがその種を育て芽吹かせるためには、いくつかの課題があるでしょう。

    ここで最後の③「心理士になるには、 うさぎねこ さんがご自身をより深く知り、向き合っていく必要があるでしょう」という部分に繋がってきます。

    心理士はプロフェッショナルとして、自分の個性や経験に頼りすぎないことも大切です。

    臨床心理士は臨床心理学を基礎とした知識や技術によって困っている人を支援する心の専門家です。自分の個性や個人的な経験によって支援がうまくいく場合もありますが、それはあくまでサブウェポン的な位置づけとするのが専門家として誠実な態度です。

    よく聞く話ですが、臨床心理士を目指す大学院の入試や資格試験の面接では「自分の病歴を語ったり泣き出したりすると落ちやすい」と言われています。これは「自分も困ったことがあるから困った人の気持ちがわかる」と決めつける気持ちがある人や、感情のコントロールが効かない人を弾くための措置でしょう。

    うさぎねこ さんは「自覚している問題はたくさんある」と書いていますが、自身の特性に気づき、よりよい方法を探っていくのは心理士になるかならないかに関係なく、とても大切な視点です。

    そこで手始めに自分の行動を記録、分析し対処法を探っていく習慣をつけてみるのはどうでしょう。

    「どんな場面で緊張してしまうのか」
    「失敗した場面にはどんな共通点があるのか」

    などをノートやメモアプリに記録していくことで、自分の苦手な場面や状況について理解を深め、準備して迎え撃ったり、それを避けたりといった対処がしやすくなります。

    慣れてきたら「今日あったこと」「そのときの気持ち」なども足して、自分の感情を言葉にしてモニタリングする機会を作ってみてください。

    「私はこう思った」と自分の感情を言葉にすることで自己理解が深まるとともに、他人と自分の違いがわかりやすくなって「わかったフリをしない力」の修行にもなります。この過程で得られる感覚は、今後いろいろな場面で うさぎねこ さんを助けてくれるはずです。

    長くなりましたが、私の回答を簡単にまとめます。

    ①:発達障害や精神疾患の病歴があっても心理士になれる、しかし他の人に比べ不利になる場面もたくさんある。
    ②:心理士になるには うさぎねこ さんがご自身をより深く知り、向き合っていくのが大切。
    ③: うさぎねこ さんが心理士を目指す過程でたどる道は、心理士になるかならないかにかかわらず、必ず うさぎねこ さんの助けになってくれる。

    今回はご相談くださってありがとうございました。

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