人と関わりたくない心理と対処法!原因はメンタルだけじゃない

2021.12.22 Wed
シンくん
案内人 シンくん
ライター
執筆 浅井 音楽 臨床心理士 / 公認心理師
人と関わりたくない心理と特徴と対処法
人と関わりたくない心理と対処法!原因はメンタルだけじゃない

友達や家族でも、仕事や日常生活で疲れ切ってしまうと関わるのが面倒くさくなったりするよね。

でも、「誰とも関わりたくないけど、一人でいるのは寂しい」「他人は怖いけど信頼されたい」なんて悩みがある人も多いと思う。

今回は「人と関わりたくない」と感じる背景について、心理学的な観点から説明していくね。「人と関わりたくない自分を少しずつ変えたい」と感じている人は、自分自身について深く知るきっかけにしてくれたらうれしいな。

ひとりの時間も大切だよ
 

「人と関わりたくない」と感じるとき

まずは一般的に「人と関わりたくない」と感じるときについて見ていこう。

どんなに社交的な人でも、環境や状況が原因で人と関わるのが嫌になってしまうことがあるんだよ。

失敗したり挫折を感じているとき

なにかにチャレンジして失敗したり、挫折を感じているときは「人と関わりたくない」という気持ちになることがあるよ。

挫折感は「自分には価値があるのかわからない」といった考えを生み、その状態でうまくいっている相手と会うと、自分を否定されているような気持ちになってしまうこともあるんだ。

雨を止められない俺に価値なんて…
 

自分に合わない環境にいるとき

自分の性格や能力に合わない環境にいると、自分らしさを発揮できなかったり自己肯定感が養われず「人と関わりたくない」と感じることがあるよ。

「自分らしく生きられている」と感じられない環境に居続けると、心身ともに疲弊していってしまうんだ。

俺は所詮お飾りか…
 

疲れ切っているとき

あたり前のように感じるかもしれないけれど、仕事や日常生活で疲れが溜まっていたり、寝不足だったりすると「人と関わりたくない」という気持ちになることがあるよ。

他にも気圧の変動や花粉症など、季節の影響を受けたり、女性であればPMS(月経前症候群)があったりと、体調を崩して疲れやすくなる要因はたくさんあるよね。

身体と心は密接に関わっているから、身体のエネルギーが尽きかけているときには人と関わるための心のエネルギーもすり減ってしまうんだよ。

はい、もう完全に無理で〜す
 

「人と関わりたくない」人の器質的な特徴

次に「人と関わりたくない」と感じる人の器質的な特徴について見ていこう。

環境感受性が強い(HSP)

「環境感受性」という言葉を聞いたことがあるかな?

これは心理学において「ポジティブ、ネガティブな環境から受ける影響の個人差」のことをいうんだ。

この環境感受性は低い人から高い人までグラデーションになって存在し、とくに高い人(人口の30%程度)たちのことを「HSP(Highly Sensitive Person)」と呼んだりもするよ。

HSPはあくまで「環境からの影響を良くも悪くも受けやすい人」であって、よくネットで使われるような「繊細で生きづらい人」という意味でも、なんらかの診断基準でもないんだ。

環境感受性の個人差を把握するために、おもに3つの特徴について研究されているよ。

①感受性遺伝子型
(ある遺伝子型を持っている人は、もっていない人よりも感受性が高い傾向がある)
②神経生理的な反応
(感受性が高い人は、刺激に対して脳の一部の領域が活発に働く傾向がある)
③気質、性格
(感受性が高い人は刺激に対して気づきやすかったり、圧倒されやすかったりする)

ネット上では「〇〇型HSP」や「HSPうつ」のように定義が曖昧なまま使われている部分があるから、そのあたりも注意が必要だね。

それでも実際に環境感受性が高い人が、悪い労働環境や人間関係のトラブルから影響を受けやすいのは事実なんだ。

「周囲の話し声など雑音が気になりすぎる」
「一度にいろいろなことが起きると嫌な気持ちになる」

こうした環境に影響されて「人と関わりたくない」と感じるときには、背景に環境感受性の強さがあるかもしれないね。

HSPを詳しく知りたい人は下の記事を読んでみてね。

HSPは診断できるの?本当の特徴と心理学的に楽になる方法【臨床心理士監修】

良くも悪くも流されやすいってことか
 

発達的な特性

生来の発達的な特性も「人と関わりたくない」と感じる要因になることがあるよ。

いわゆる「発達障害」はHSPと異なり医学的な診断基準があるんだ。だけど、「診断基準には当てはまらないけど発達的な特性を持つ人」もたくさんいると言われているよ。

「人とのコミュニケーションの仕方がわからない」「仕事の場面など長時間集中することができない」などの特徴を持つ人は、人間関係の中でのストレスも受けやすいんだ。そのストレスが「人と関わりたくない」と感じる要因になることもあるよ。

早く動けって言われてもねぇ
 

「人と関わりたくない」人の心理的な特徴

次に「人と関わりたくない」と感じる人の心理的な特徴について解説するね。

ちなみに、この記事ではわかりやすくするために器質的な特徴と心理的な特徴を分けているけれど、実際にはこれらは複雑に絡みあっているものなんだ。

「人と関わりたくない」気持ちを抱える心理的な特徴や原因も、実際には数え切れないほどあるから、この記事で解説されているものに心当たりがなくても安心してね。

人間関係リセット症候群は悪くない?原因や特徴、された側の対策

周囲を優先してしまう

自分のことよりも人間関係の輪を乱さないように気遣ってしまう人は、そのしわ寄せに疲れて「人と関わりたくない」と感じてしまうことがあるよ。

周囲の人間関係を優先してしまう人は、優しい性格だったり相手を気遣う能力があるのかもしれないね。

だけど、この先の項目でも触れるように、過去の経験から「嫌われるのが怖い」「他人が怖くて一挙一動に敏感になっている」といった気持ちを抱えている場合もあるよ。

自分の回復、忘れてました
 

 

過去に辛い経験がある

過去にひどい裏切りにあったり、人間不信に陥った経験があると、人を信用することが難しく、常に身構えた状態になって疲弊してしまうんだ。

そんな状態では「人と関わりたくない」と思ってしまうのは無理はないよね。

信じられるのは自分だけ…
 

完璧主義的な傾向がある

「完璧にやらなきゃ」と思ってしまう人は責任感がある反面、成果を出さなきゃと頑張りすぎてしまったり、曲がったことが嫌いで周囲にいるいい加減な人にモヤモヤしてしまったりと、ストレスがかかりやすいんだ。

すると「人と関わりたくない」という気持ちを抱いてしまうことがあるんだね。

完璧主義の改善方法は下の記事を読んでね。

完璧主義をやめたい!簡単ワークで原因と治し方を知ろう

果てが見えない…
 

ひとりのほうが落ち着く

上でも触れたように、器質的な背景から、人と関わると疲れやすい人もいるんだ。

だけどその一方で、現代の社会自体が「ひとりになれない」性質を持っていることにも注目すべきかもしれないね。

携帯電話の普及やインターネットの発展によって、たとえ部屋に一人でいても、SNSを見てしまったり誰かと連絡を取ることができてしまい「ひとり」でいると感じるのは難しくなっているんだ。

「友達が多いのは良いこと」とされたり、孤独を悪いものとして扱う風潮もそれに拍車をかけているのかもしれないね。

人との関係はそれがどんなに楽しくてもエネルギーを使うものだし、どんな社交的な人でも無限にエネルギーを持っているわけじゃないんだ。

ときには「ひとり」の時間を作ることも大切なんだよ。

たまにはひとりで寝転んでみるか
 

「人と関わりたくない」気持ちへの対処法

上でも触れたように「人と関わりたくない」気持ちは、どんな人にでも起こり得るんだ。

人と関わることは、例えるなら車を運転するようなものだよ。燃料がなければ車は走れないし、車の燃費や運転の技術によっては燃料の消費が早まってしまうんだ。

人と関わるエネルギーがなければ関わりは持てないし、もともとの特性や人付き合いの技術によっては周りの人より疲れやすかったりする、ということだね。

次はその心の燃料を補給して、自分らしい人付き合いにも繋がる方法を紹介するよ。

燃料を入れてください
 

思い切って自分だけの時間を作ってみる

まずは思い切って自分だけの時間を作ってみよう。好きな趣味に没頭してもいいし、なにもせずだらっと過ごしてもいいよ。

「そんな時間ないよ」「そんな無駄なことできない」と感じる人も「よりよく生きるためには、自分だけの時間が必要」と考えてみて。

必要なことに時間を使っているんだから、罪悪感を感じる必要はないんだよ。

これ、必要な投資なんで
 

自分の気持ちに触れる

自分だけの時間の使い方として「自分の気持ちに触れる」ために時間を使うのもいいよ。

自分の気持ちに触れることを習慣にすると、日常の中で自分が感じた気持ちを整理して対処しやすくなるし、自分が何を求めているのかといった生活の指針を得られるようになるよ。

この作業にはジャーナリングメンタライゼーションの技法が効果的だよ。

「褒められたい」「好かれたい」といった欲求のほかに、自分は一日にどれくらい人と関わりたいのか、またどれくらい人と関われるキャパシティがあるのか、など自分の特徴が少しづつ見えるようになってくるはずだよ。

「感情がない」と感じる原因は?無感情な人が知っておきたい2つの背景

いかすヤツになりたいぜ
 

自分に合った環境について考える【ワーク】

どんな人間関係を望むのかが見えてきたら、今度は自分に合った環境について考えてみよう。

上でも紹介した「自分の気持ちに触れる」ことは、転じて自分が人間関係や人との関わりに望むもの、自分に合った環境について考えるきっかけにもなるんだ。

合わない環境にいると、自分らしさを発揮できないために消極的になり「怒られたくない」のような、ネガティブな感情に支配されてしまうことも多いんじゃないかな。

だけど自分に合った環境でなら「もっと認められたい」のように向上心に繋がる感情が得られるかもしれないよね。

「そんなのわからないよ」と感じる人は、まずは自分が人との関わりに望むものについて考えてみよう。

「裁量権のある仕事がしたい」といった気持ちの他に「〇〇をさせられるのは嫌だ」「この扱いだけは耐えられない」のようなネガティブな気持ちも大切だよ。

ネガティブな気持ちは、今の環境は自分にとってメリット・デメリットのどちらが大きいのか、といった判断をする材料にもなるんだ。

デメリットのほうがひどく大きいときは、環境自体を変える必要があるかもしれないね。

逆に「こんな反応をもらったときは嬉しかった」のようなポジティブな気持ちも、自分に合った環境について考える材料になるね。

自分が嬉しいと感じる出来事が多くなる仕事を選んでみたり、そういう趣味を始めてみたりと「自分」を起点に考えることができると、生き生きと過ごせるようになるよ。

私は人を驚かせる仕事がしたい
 

今いる環境のメリットは?

今いる環境のデメリットは?

 

「マイルール」を作る

「人と関わりたくない」気持ちを限界まで溜め込んでしまったら、きっとどこかで破裂してしまうよね。そんなときは「マイルール」を作ってみるといいかも。

「マイルール」とはそのまま自分のためのルール、という意味で、例えば

「3回飲み会に付き合ったら次は欠席する」「月に2日は誰にも合わない日を作る」

のようなルールのことだよ。

あらかじめルールを決めておくことで、その場その場で実行するよりも気持ちのコストをかけずに、自分を休ませてあげることができるようになるよ。

今日は社交スイッチオフ
 

人との関わり方は人それぞれ

ここまでにも見てきたように、人にはそれぞれの特性やキャパシティがあるんだ。ずっと一人でも大丈夫な人もいれば、一人は辛いけど関わり方がわからない人もいるよね。

「人と関わりたくない」気持ちをつらく感じるときは、身体や心の救難信号かも。

その信号をキャッチしてあげることが大切だよ。

信号をキャッチできるようになったら、今度はその信号の奥にある「自分の気持ち」に気付いて、拾い上げてみることにも挑戦してみて。きっと、自分らしく生きるための手がかりがつかめるはずだよ。

セルフケアは質より量。知っておきたい3つの考え方と方法

まずは「自分」との関わりから
 

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