「既婚だが気になる異性がいる。夫とは不仲ではないが考えの相違がある」の相談内容詳細
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いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
- 自分は既婚者なのに、友人の異性(Aとする)のことが1年以上頭から離れない。
Aは独身で、恋人がいるとはっきり聞いてはいないが、Aの行動や共通の友人の言葉から、恐らくあの人(Bとする)と付き合っているのだろうと思われる人がいる。
夫とは基本的に仲が良くうまくやれているが、子どもの有無や住む地域の希望が完全に食い違っている。
今まで何度も子どもや住む地域について夫と話し合いをしたが、夫の考えは変わらず、私が折れるしかなかった。 - 「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
- 罪悪感 90%
自己嫌悪 90%
もやもや 100%
申し訳なさ 75%
自分への呆れ 50%
Bへの嫉妬 95%
夫に対する違和感 60%
現在の人生への後悔 5% - 「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
- Aとはよく友人数人で遊んでいるが、会うたびにもっと長く一緒にいたい、自分に好意を向けてほしいと思ってしまう。
私はBのことが元々苦手だったので、なおさらBが憎たらしく感じられる。何もないときにBのことを考えて腹立たしく思うこともしばしばで、無駄な時間を過ごしていると感じる。
Aと恋愛したかったと考えてしまう。付き合えたら楽しかっただろうな。
でも離婚する勇気はない。結婚してたくさんの人に祝ってもらったのに、他の異性にふらついている自分が情けない、申し訳ない。
夫以外のいろんな人と恋愛していればこうならなかったかもしれない。
夫のことは好きだが、添い遂げるには自分を殺さないといけなくなりそうで不安がある。全部夫の希望に従うのは、自分の意思通りに生きていないようで嫌だ。 - いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
- 鬱気味だったり、夫に対して違和感があるからこのようなことを考えてしまうのかもしれない。躁状態のときは大丈夫かもしれない。
夫は今まで知り合った人の中でも頼りになる部分が多くて優しくて病気の私を支えてくれるので、ちゃらんぽらんなAよりも夫のほうがずっと良い人。Aとは付き合えるかもわからないし結婚できる気はしないから、夫を大事にするべき。
自分より夫の意思のほうが強そうなので、尊重したほうがいいのかもしれない。 - いま専門家に聞いてみたいことは?
- Aのことを断ち切る方法と、夫へのわだかまりをうまく解消する方法をお聞きしたいです。
- 年齢、性別、職業
- 30代、女性、会社員
- 既往歴
- 双極性障害Ⅱ型(治療中)
- 悩みの内容の自由記述
- Aと私の関係性というより、夫と私の関係がこの悩みの肝のような気はしています。
親族や友人に申し訳なくて離婚という結末になるのが怖く、夫と向き合い切れていません。価値観の違いをそのままに結婚してしまったことを後悔しています。
自分史はまだありません。
※ プライバシー保護のため、ご質問の一部を編集部で変更している場合がございます。
「既婚だが気になる異性がいる。夫とは不仲ではないが考えの相違がある」への回答
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ぴーなつ さん、ご相談をよせてくださりありがとうございます。臨床心理士・公認心理師の小野寺です。
結婚してパートナーがいるものの他の異性に好意を抱いており、どうしたらよいのかとのご相談ですね。
考えたいテーマは主に二つあるようです。一つが、異性の友人(Aさん)のことが1年以上頭から離れないこと。もう一つが、パートナーと考えが食い違ったとき、いつも ぴーなつ さんが自分を殺さないといけなくなっていること。
この二つはリンクしている部分はあるものの、別々の事柄として扱うべきことだろうと思われます。それぞれに対して、どのように対処していけばよいのか、考えていけばよいのかを一緒に検討していきたいと思います。
異性の友人とのことについて
「(Aさんと)会うたびにもっと長く一緒にいたい」「自分に好意を向けてほしい」「でも(パートナーと)離婚する勇気はない」との記述から、 ぴーなつ さんはAさんと今以上の関係になりたいと、それなりに強く考えておられると想像しました。
確かにAさんと今以上の関係になりたいのなら、パートナーとは離婚する必要がありますよね。離婚する前に交際をしてしまったら、それは不貞行為であり、民事上の問題になり得ますから。Aさんと一緒になりたい場合、離婚は重大な選択の一つとなるでしょう。
ただ、 ぴーなつ さんは離婚を躊躇されています。 ぴーなつ さんが離婚できない理由は「親族や友人に申し訳なくて離婚という結末になるのが怖い」からですね。でも、もしこれが離婚を躊躇する理由なのであれば、親族や友人のことはあまり気にされなくても大丈夫ではないでしょうか。
『嫌われる勇気』という本に「お前の顔を気にしているのはお前だけ」というセリフがあるのですが、それ同様「自分のことを気にしているのは自分だけ」ということも案外多いのです。離婚した場合、そのことを ぴーなつ さんは大変気にするでしょうが、 ぴーなつ さんの離婚を気にするのは ぴーなつ さん(とパートナー)だけで、親族や友人は気にしないかもしれません。
自分史を拝見する限り、もしかしたらお母さまは何かしら言ってくる可能性は0ではないように思います。しかし、もともと少し世間ずれした感じのある方のようですから、例外として考えて差支えないように思います。
仮に他にも離婚したことを色々言ってくる人がいたとしても、やはり気にする必要はありません。その人は自分の人生に集中することの大変さから逃げた勇気のない人と考えることができるからです。
自分の人生に集中することには責任が伴います。しかし、他人の人生にはそれが伴いません。無責任でいられるのです。無責任でいることは好き勝手言えるので大変ラクチンです。自分の人生に責任を負うことに逃げ腰な人に何かを言われても、「Aさんと一緒になりたいから」との決意を決めた自分自身の選択を恥じる必要はないと思います。
パートナーとの関係
ただ、上述したAさんへの思いは、パートナーと ぴーなつ さんの関係が、 ぴーなつ さんが思い描くものからかけ離れていってしまっていることに起因するように思います。 ぴーなつ さんもお感じの通り、「悩みの肝」はこちらにありそうです。
であるならば、パートナーとの関係こそをより重点的に考えたいですよね。
パートナーと仲が良いにもかかわらず、離婚することも視野に入ってくるほど距離を取りたいと思っている要因は、何度話し合っても結局はパートナーの考えが優先され、 ぴーなつ さんが折れるしかないパターンがいつも繰り返されてしまうからです。
自分の意見が何事にも反映されないとするならば、自分の存在が否定されたように感じてしまいますよね。その状況は大変苦しく、Aさんなど、他の存在に希望を見出そうとしてしまっても全く無理もない話かと思います。
非公開になさっているのでこれをお読みの他の方には伝わりにくいかもしれませんが、もちろん、パートナーはパートナーでとても献身的な方であることは疑いようがありません。学生時代からずっと ぴーなつ さんに対して優しく、病気の ぴーなつ さんを支えてくれる存在です。
ただ、一方で思うのは、学生時代から ぴーなつ さんを支えてきてくれたことが、皮肉なことに今現在に悪影響をもたらしている可能性があることです。
学生時代は ぴーなつ さんのうつ状態がかなり酷かったようです。だからこそ、当時は ぴーなつ さんの意見よりも、冷静な第三者の意見の方を尊重する方が合理的であったのだろうと思います。極論、「死にたい」という本人の意見があった場合、それよりも「どう生きていくか」の周りの考えを尊重する方が望ましいのです。「うつ状態のときには重大な決断はしない」ことは精神医学や臨床心理学の鉄則の一つです。
パートナーは当時、ずっと ぴーなつ さんを支え続けてくれていました。きっと ぴーなつ さんに代わって様々な決断をしてくれていたのだろうと思います。そしてそれは ぴーなつ さんにとってもありがたいことであったろうと想像します。
しかし、この関係が永らく続いてしまうのには問題を孕みます。自分で決める力が衰えるとともに、相手(今回のお話で言えばパートナー)の決定権がいたずらに強くなりすぎてしまうからです。パワーバランスが明らかに偏ったものになってしまうわけです。
冷静な第三者がうつ病を患った人の代わりに決断していいのは、本来「重大な決断」のときに限られるべきです。「死にたい」は命に係わる「重大な決断」なので、うつ状態で冷静に考えられない人に代わって第三者に決定が委ねられることに合理性があるのです。
仮にパートナーが夫婦の問題に対して何かしら結論を出す必要があるとしても、それは「 ぴーなつ さんのうつ状態が酷いとき」「重大な決断が必要なとき」の2つの条件が揃ったときに限られるべきです。「全部夫の希望に従う」ようになっている現状は、あまりにも問題です。やはりパワーバランスが明らかに偏ったものになっていると言わざるを得ません。
この点はきちんと話し合うべきだろうと思います。
「学生のころ、私のうつ状態が酷かったときに支えてくれたことは感謝している。当時は大事なことを決めることが難しかったし、決めたとしたら後悔するような決断しかできなかったかもしれないから、支えてくれたことはとてもありがたかった。
でも、今はちゃんと通院しているし当時よりも落ち着いてきている。学生のころとは違う。自分で決めたいこともあるし、決めることができる。私を信じてほしい。私の考えも聞いてほしい」このようなことを伝えることが必要だろうと私は考えているのです。
パートナーは学生時代に築いた ぴーなつ さんとの関係を、今でも繰り返してしまっているように思います。当時のことへの感謝を伝えつつ、今は(少なくともうつが酷くない間は)もうその必要がないことを教えてあげるとよいかもしれません。
いきなりありとあらゆることに対して話を聞いてくれるようになるのは難しいかもしれませんが、せめて ぴーなつ さんの意見が優先される領域が確保されるようにお願いできるとよいですね。
非公開ですから詳細は記載しませんが、自分史によれば居住に関する事柄も、全て ぴーなつ さんのご意志が反映されないまま決められてしまいましたね。このようなことがあれば、自分の家なのに自分の家である感覚が薄く、あまりくつろげないかもしれません。この場合、「せめてキッチン用品は自分が気に入った物を買いたい」など、自分の意見を好きに出してもいい領域を死守することがとても大事になってきます。
「あなたはここについてあなたの好きなようにしていい。その代わり、ここについては自分の好きなようにさせてほしい」など、交換条件を出す形でもいいので死守できるとよいかと思います。
本当はあらゆる事柄について二人で話し合い、お互い納得して決められるのが一番の理想です。でもそれが叶わない場合は、このように領域ごとに主導権を握る人を決めて、領域を平等に分配するやり方で決めるのがよいでしょう。
人間は「コントロール感覚」を失うと強烈なストレスを感じます。逆に言えば、「これは自分で自由に決めていい」とのコントロール感覚を少しでも得ることができれば、その分ストレスが減るということです。だから自分の意見を好きに出してもいい領域を一つでも得ることはとても大切なのです。
学生時代のかかわりの役目はもう終わっていることを、ぜひパートナーに教えてあげてください。そうやって自分の意見が反映される現実を手に入れることができるようになっていけば、 ぴーなつ さんのモヤモヤした気持ちは晴れていくかもしれません。
今はこのモヤモヤを解決してくれそうな存在としてAさんが目についていますが、モヤモヤが晴れればAさんに向いている視線はパートナーに戻ってくることも十分あり得ることです。
ただ、モヤモヤが仮に晴れたとしても、やはりAさんと付き合いたいといった気持が消えないことだって可能性としては残されています。その場合は、「離婚」も選択肢に入ってくるかもしれませんね。
離婚を躊躇している理由が、もし本当に「親族や友人に申し訳なくて離婚という結末になるのが怖い」なのであれば、先述した通り、その点はあまり気にされなくても大丈夫だと思います。それこそ、自分の意見を反映させたっていいのです。
以上、異性の友人(Aさん)とのことと、パートナーとの関係のことについて検討していきました。
まずはパートナーとの話し合いが必要かと思います。学生時代のかかわりはありがたかったが、今はもうその必要がないので安心して ぴーなつ さんの意見を聞いても大丈夫なことをパートナーに教えてあげてください。Aさんとのことは、それから考えても遅くはないでしょう。
パートナーが ぴーなつ さんの意見を尊重してくれますように。
最後までお読みいただきありがとうございました。