社会人になって気が短くなったように思います。穏やかに過ごすにはどうすればいいのでしょうか

2023.06.06 Tue

目次

回答したカウンセラー

小野寺 リヒト

臨床心理士/公認心理師

小野寺 リヒト

臨床心理士・公認心理師。FP2級所持。
医療機関や一般企業の産業保健事業部等での勤務経験があります。心の悩みが気兼ねなく相談できたり、セルフケアの重要性が浸透した世の中になってくれたらいいなと思っています。読書と料理が好きです。
【得意な相談】
〇気分の落ち込みや不安に関する相談(上手な気持ちの切り替え方、最初の一歩になる行動の踏み出し方等)
〇人間関係に関する悩み(パートナー・親子・職場関係・友人等)
〇お金の相談(ついお金を使ってしまう心理、貯蓄・節約のこと等)

「社会人になって気が短くなったように思います。穏やかに過ごすにはどうすればいいのでしょうか」の相談内容詳細

相談者
相談者 み。
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
気が短くなった。
満員電車でリュックを背負ったままの人や人が多い場所で歩きスマホをしている人等をみるとイライラする。
ひどい時は職場で近くの席の人の独り言や体をかく音にもイライラする。
周りの人の悪いところばかりを見ようとしてしまう。
友達や家族に強く当たってしまうことがある。
同期と話していて残業が多い、上司が怖い等の話を聞くと、私は楽をしていると言われているように感じる。
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
自己嫌悪 90%
不安 20%
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
高校生ぐらいまでは嫌いな人もほとんどいなくて、人にイライラすることもほとんどなかったので今の自分がすごく嫌い。
ずっと仲良くしている友達といてもイライラしてしまう時があるので、今までみたいな関係でいられなくなったらどうしようと思う。
仕事でももう少しで後輩を直接教える立場になるのにこのままで大丈夫か不安。
いまは自分の中でイライラしているだけだけどいつか気持ちを抑えられずに駅や電車でトラブルになってしまうのではないかと不安。
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
高校生の時は周りに興味がなかっただけかもしれない。本当は嫌なことをうまく処理できていたからなら今の自分でもうまくイライラと付き合えるかも
いま専門家に聞いてみたいことは?
人の悪いところを見てイライラしたり無駄に落ち込んだりするの自分が嫌です。
同期と比べて楽してると思われてるように感じたりする自分も嫌いです。
高校生の頃のようにもっと穏やかに過ごすにはどうすればいいのでしょうか?
年齢、性別、職業
23歳 女性 会社員
既往歴
--- 未回答 ---
悩みの内容の自由記述
--- 未回答 ---
相談者 み。 さんの自分史
  • 20歳まで

    • 20

      学園祭の実行委員でみんなを引っ張る立場になった

      同期がいなくて不安はあったけど、職員の方や後輩と運営をするのは楽しかった。1人で頑張ってるからといろいろな人が優しくしてくれて嬉しかった。

      芸能人の方の企画を運営したのもあって、そういったイベントの企画や運営に興味を持った

※ プライバシー保護のため、ご質問の一部を編集部で変更している場合がございます。

「社会人になって気が短くなったように思います。穏やかに過ごすにはどうすればいいのでしょうか」への回答

  • み。 さん、ご相談をよせてくださりありがとうございます。臨床心理士・公認心理師の小野寺です。

    心穏やかに過ごすにはどうしたらよいのかとのご相談ですね。

    私が気になったのは、【タイトル】に「社会人になって気が短くなったように思います」と書かれていたことです。

    自分史は非公開になっているので詳細は述べませんが、 み。 さんはお仕事にしんどさを感じておられますね。

    【タイトル】にある「社会人になって…」の言葉と、自分史の記載。 み。 さんが現在心穏やかに過ごせていない理由は会社でのストレスがかなり大きく関係しているような気がします。

    穏やかに過ごせていないことに関して「自分が嫌」と考えておられるようですが、ご自身を責める必要はまったくありません。仕事のストレスがあれば、誰だって心穏やかに過ごすことは難しいのです。

    そんな誰でもピリピリして当然な状況にもかかわらず「穏やかに過ごせない自分はダメだ」とご自身を責めると、ストレスに対処する力が損なわれてしまうので、ますます穏やかに過ごせなくなってしまいます。

    み。 さんはしんどくともお仕事を頑張っておられるのですから、まずはそんな自分を労っていただければと思います。心穏やかに過ごすための大前提です。

    「変化」があればなんだってストレス

    自分を労うのが心穏やかに過ごすための大前提だと言われても、なかなか「はいそうですね」とはなりにくいとも思います。そこで、 み。 さんが今しんどい状況にいることを客観的にお伝えしたいと思います。

    ご自身の状況が「他人から見るとこう見えるのか」と分かるだけでも、自分を労わる準備になるのではないでしょうか。

    み。 さんは「高校生の頃のようにもっと穏やかに過ごすにはどうすればいいのか?」とお考えですね。どうして学生のころは穏やかに過ごせていたのに、今はそうできないのでしょうか。それは み。 さんが大きな「変化」の渦中にいるからです。

    変化は人に大きなストレスをもたらすことが知られています。一見するとポジティブに思える変化も例外ではありません。「一人暮らし」から「結婚生活」に移る変化も、人に大きなストレスをもたらすのです。

    み。 さんが社会人になって心穏やかに過ごすことが難しくなったのも、変化したからだと思います。学生から社会人への変化です。

    「いつまでも学生気分でいるな」とか「社会人らしく」とか、そういう言葉があるくらい、学生と社会人というのは世間的にもかなり異質な存在なのです。

    確かに、学生は授業を受けて言われた勉強をする消費者の立場でいても問題はありませんでした。しかし社会人になると必ず「お客」という相手方がおり、そのお客のために何かしらを生産する立場でいる必要性が出てきます。今までずっと受動的だったのに、急に能動的な姿勢が求められるのです。

    「結婚生活」ですら人間にとっては大きなストレスになるのですから、急に今までとは異なるスタンスが半ば強制される社会人への変化は相当なストレスになります。ストレスと心の穏やかさは真逆のものです。ストレスを抱えている み。 さんが穏やかに過ごせなくても、 み。 さんのせいではありません。人としてごく自然な反応です。

    穏やかでいれらないのはストレスを抱えていることのサイン

    「人の悪いところを見てイライラしたり無駄に落ち込んだりする」のも、ストレスを抱えているからであって、自分を責める必要はありません。

    ストレスを抱えていると、心が「これ以上大変な思いをしたくない」と防衛的になります。自分を害するものの存在にかなり敏感になるのです。少しでも害があるものを自分から遠ざけるためです。「人の悪いところ」とは、ここでいう「自分を害するもの」に相当します。

    もちろん、「人の悪いところ」がいつもいつも「自分を害するもの」になるとは限りません。心に余裕があるときであれば許容できるものもあるでしょう。だから「ずっと仲良くしている友達」にイライラすることがあったとしても、それは「友達ではなく、実は自分を害するものだったんだ」ということでは決してなく、「友達ですら今は遠ざけたいと思うくらいストレスを抱えているんだ」ということを意味しています。

    つまり、 み。 さんのせいでも友人のせいでもなく、「ストレスを抱えている」ことの証左になっているということです。

    「同期と比べて楽してると思われてるように感じたりする」も同様です。心が「これ以上大変な思いをしたくない」と防衛的になっているために、自分に対して悪意あるものが周りにいないかとセンサーを働かせているのです。だから過剰に「あの人は私を『楽しようとしている』と悪意ある解釈をする人物だ。危険だから離れないと」とアラームが鳴り響いているのでしょう。

    この反応もやっぱり「ストレスを抱えている」ことを物語っているようです。

    認知行動療法でストレスケア

    以上から み。 さんは全く自分を嫌う必要がないことが伝われば幸いです。 み。 さんの心は み。 さんに「かなりストレスが溜まっているよ」ということを教えてくれているのですから。 み。 さんは み。 さんのためになることをしているだけであり、そんなご自身を責める必要はないのではないかと私は思います。

    ご相談に記載してくださったことから、お仕事が相当ストレスになっていることは読み取れましたが、具体的にどんな思いを抱えながら み。 さんが日々お仕事なさっているのかまでは読み取れませんでした(一部記述はありましたが、非公開となっているのでここ取り上げることは避けたいと思います)。

    だから「こういうときはこうした方が良さそう」などというご提案ができず恐縮です。

    そこで み。 さんにお願いしたいことは、日々お仕事をする中で「どんなときにストレスを感じるのか」を自分なりに整理してみて欲しい、ということです。

    具体的に「いつ」ストレスを感じ、そのとき「何を考え」「何を感じ」たのか。そしてそのときどんな「行動」をとったのか。このようなことを意識するとご自身のストレスが明確になりやすいかと思います。

    この分析方法は『認知行動療法』と呼ばれるタイプの心理療法の方法論を参考にしています。ココロジーでは自分で認知行動療法を実施する方法についても紹介していますので、気になるようでしたらこちらの記事もご確認ください。

    認知行動療法で自分のストレスを明確化するとともに、そのストレスを解消するためのコーピングもぜひ積極的に取り入れてくださればと思います。

    コーピングとはストレスへの対処法のことです。ストレスを減らす効果のあるものなら基本的にはなんでも構いません。できるだけたくさん用意できるのがベストです。

    甘いものを食べるでも、散歩するでも、たまには仕事を休むでも。ただ、深酒しすぎたり、物にあたったりといったような「短期的には効果があるかもしれないけど、長期的に見ると後悔する」ようなものは避ける方がいいでしょう。

    何か み。 さんの助けになるコーピングが見つかるといいですね。

    以上、心が穏やかに過ごせなくなった背景と、今後穏やかに過ごすための方法について一緒に考えてきました。

    み。 さんはお仕事のストレスを抱えているから穏やかに過ごすことが難しくなっているようです。これは誰にでも起きる自然な反応であり、自分を責める必要は一切ありません。むしろ「ストレスが溜まっているからなんとかしないと」という警告を心が発してくれているのであり、すべきことがちゃんとできています。

    ストレスは認知行動療法を参考にして分析してみるのがいいかもしれません。ぜひストレスの正体を明らかにし、コーピングしてみてください。

    またいつもの心穏やかな み。 さんになれるよう応援しています。

    最後までお読みいただきありがとうございました。

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