進路を違える友人たちとの別れが辛いです。どうしたら関係良好のままいられますか?

2023.06.17 Sat

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回答したカウンセラー

小野寺 リヒト

臨床心理士/公認心理師

小野寺 リヒト

臨床心理士・公認心理師。FP2級所持。
医療機関や一般企業の産業保健事業部等での勤務経験があります。心の悩みが気兼ねなく相談できたり、セルフケアの重要性が浸透した世の中になってくれたらいいなと思っています。読書と料理が好きです。
【得意な相談】
〇気分の落ち込みや不安に関する相談(上手な気持ちの切り替え方、最初の一歩になる行動の踏み出し方等)
〇人間関係に関する悩み(パートナー・親子・職場関係・友人等)
〇お金の相談(ついお金を使ってしまう心理、貯蓄・節約のこと等)

「進路を違える友人たちとの別れが辛いです。どうしたら関係良好のままいられますか?」の相談内容詳細

相談者
相談者 ねがろにうむ
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
もうすぐ高校卒業。来るクラスの友人たちとの別れを思うと辛くてたまらない。
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
不安70%、悲しみ30%
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
はじめて出会えた心から笑いあえる大切な友人たちと進路が分かれ、離れ離れになってしまう。忘れられてしまう気がする。
進路が分かれてしばらくして、友人にとって私がちっぽけな存在であったと思われてしまう。気づかれてしまう。
私自身、高校生になって暫くした時、気がついたら中学校のことを過去のこととして置いてしまっていた。過去のこととした瞬間、大切な思い出が消えてしまいそうで怖い。
いつかの機会に顔を合わせたとき今のように会話できなくなっていたり、最悪疎遠になっていたりするかもしれないことが恐ろしい。
そんな将来を受け入れて生きていけてしまうかもしれない、将来の自分自身が怖い。
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
実際友人たちも、自分のことをある程度大事に思ってくれている。
そもそも現段階で、私からの好意の一方通行でしかない。
いま専門家に聞いてみたいことは?
ずっと仲良しでいたいです。絵しりとりしたり、くだらない話をしたりして笑いあう今の関係のままでいたいです。
忘れられたくありません。忘れたくもありません。でも重たい人間だと思われたくもありません。
どうしたらさり気なく、それでいて確実につなぎとめていられますか?
年齢、性別、職業
18歳 高校生
既往歴
--- 未回答 ---
悩みの内容の自由記述
--- 未回答 ---
相談者 ねがろにうむ さんの自分史

自分史はまだありません。

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「進路を違える友人たちとの別れが辛いです。どうしたら関係良好のままいられますか?」への回答

  • ねがろにうむ さん、ご相談をよせてくださりありがとうございます。臨床心理士・公認心理師の小野寺です。

    卒業後の進路が異なっても、高校でできた友人とこれからも付き合い続けたい。そのためにはどうしたらよいのか?とのご質問ですね。

    ねがろにうむ さんがご心配なさっているように、進む道が変わればそれに伴って付き合っていく人たちも変わってきます。私も小学校時代に仲良かった友人とはそれっきりですし、高校のころに仲が良かった友人とも今では疎遠になっています。

    ねがろにうむ さんも「気がついたら中学校のことを過去のこととして置いてしまっていた」とのことですから、過去に付き合いが変わった経験をしているのですね。今回も同じことにならないかと思われているのであれば、高校でできた友人との別れを怖く感じるのも無理はないかと思います。

    一度できた縁に別れはない

    ただ、私が思うに、今 ねがろにうむ さんが感じている怖さの大部分は、新しい生活が始まることに対する不安が占めているのではないでしょうか?

    実は「怖さ」と「不安」は明確な違いがないと考えられています。違いがあるとすれば、「怖さ(恐怖)」はその怖さを感じる対象が明確で、「不安」は対象が明確ではないという点くらいです。

    このように、怖さと不安はかなり似た感情ですから、混合してしまうことはよくあることなのです。

    私がこのお返事を書いているのは5月の末ですから、もう ねがろにうむ さんは新しい生活を始められていることと思います。だいぶその生活に慣れてきた頃でしょうか。ココロジーにご相談をよせてくださった当時に感じていた怖さを仮に「100%」だとして、今その怖さはどの程度になっているでしょう?

    予想に過ぎませんが、100%よりも少し下がっているのではないでしょうか。だとしたら、それは新しい生活に慣れて不安が減ったことが関係しているのかもしれません。新生活に対する不安も含めて「別れが怖い」と感じていたので、実際よりも別れを大きく怖がっていた可能性があります。

    もちろん、このことは ねがろにうむ さんの「怖さが偽物である」と言っているのではありません。間違いなく大切な思い出が消えてしまいそうなことに恐怖を感じておられるのだと思います。

    しかし、「別れ」と「出会い(新生活)」が同時に訪れる時期は、「別れ」の怖さと「出会い」の不安が混ざりやすい時期であることも事実です。だからこの二つを切り離して捉えることはかなり難しいのです。

    私が注目したいのは、「怖さ」以上に「不安」の方です。特に不安を減らすことができた背景です。

    どうして新生活の不安を減らすことができたのでしょうか? それはもちろん、その生活に慣れたからだと思います。

    ではどうして慣れることができたのでしょうか? ここが大事だと私は思います。慣れることができた理由。それは、これまでの縁があったからではないでしょうか。

    当然、その「縁」の中には高校でできた大切な ねがろにうむ さんの友人たちも含まれています。彼女らがいたからこそ、無意識レベルだったでしょうが「何かあったら彼女らを頼ればいい」と思えていたのかもしれないし、「彼女らと仲良くなれた実績があるのだから、今回も大丈夫」と思えていたのかもしれません。間接的な形であったとしても、必ず今の ねがろにうむ さんの生活に、友人は関わってくれているのです。これを縁と言わずして何と言いましょうか。

    日本には「袖振り合うも多生の縁」とのことわざがあります。これは「道ですれ違う程度の関係であったとしても、その関係は前世からの深い因縁(いんねん)があるので重要な関係である」ことを表す仏教的な考えを示した言葉です。

    「はじめて出会えた心から笑いあえる大切な友人たち」なのであれば、その関係はより深い因縁があったのだろうと思います。 ねがろにうむ さん達の関係は、前世から続いているほどのものですから、現世で関係が終わってしまうことはありません。一度できた縁は切れることがないのです。必ず心の中には常に今までの縁が存在しているのです。

    「重たい人間だと思われたくもありません」とのことでしたね。上記の回答のように「常に今までの縁が存在している」と思えれば、みだりに連絡を取ってしまうようなことをして「重たい」と思われてしまうリスクは最小限にとどめることができるのではないでしょうか。

    悩みはもう解決しているのかもしれない

    こう言うと「常に今までの縁が存在していると言うけど、疎遠になった人が過去にいるとも言っていたじゃないか。そういう風になりたくないんだ」と思われるかもしれませんね。

    しかし、それはあくまでも「交流の頻度が低下した」という目に見える行動的な側面を指してのことです。たとえ会う頻度がかなり低下したとしても、相手を思い出す時間が減ったとしても、「多生の縁」であることを思い出し、彼ら・彼女らに思いを馳せる時間をとれば、その時点で見えなくなっていた縁は確かにそこに存在していたんだということに気づけます。実際、「あのときのあいつとの経験が、今活かされているな」と思うことはしばしばあります。

    この縁はもしかしたら「ずっと仲良しでいたい」という ねがろにうむ さんが今現在お望みの形とは異なるかもしれません。良くも悪くも人は必ず時間とともに変化します。ですから、昨日まで絵しりとりで笑えていても、今日は「あれ? あんまり楽しくない…」と思うようになるかもしれません。そういう意味では、「ずっと仲良しでいたい」という ねがろにうむ さんの願いは叶わないかもしれません。

    でもそれは縁が切れたからではないのです。悲しいことではありません。単に人間として当然の変化を遂げたに過ぎないのですから。子どもから大人へ、不慣れから慣れへ、不適応から適応へ。これらの変化は縁なくしてあり得ません。現に心理療法の世界でも、うつ病や適応障害と呼ばれる心の病に陥った人に、人との繋がり(縁)をより健康的なものにしたり、思い出したりすることを励ますことで治療していく方法もあるくらいです。決してスピリチュアルなものではありませんよ。科学的な心理療法です。

    「忘れられたくありません。忘れたくもありません」とのことですが、心配はいりません。もう ねがろにうむ さんと友人は袖振り合う以上の関係なのですから、忘れられるはずがありません。きっと来世も縁があるでしょう。

    「どうしたらさり気なく、それでいて確実につなぎとめていられますか?」に関しても心配はいりません。無意識で今後の ねがろにうむ さんの生活に全ての縁が確実に関与します。もうすでにこの関与は進行中のはずです。

    絵しりとりで笑い合えるという意味合いでの「ずっと仲良しでいたい」という ねがろにうむ さんの願いは叶わないかもしれません。しかし、上記二つの願いはもう叶っていると言えます。そしてずっと仲良くいることも素敵ですが、こういった精神的なつながりもまた素敵なのだと私は思います。

    さて、ここまでのお話をまとめていきましょう。

    「交流の頻度」や「笑い合えるか」といった行動的な指標で縁を捉えると、「頻度が減った」「笑えなくなった」などの変化を恐ろしいものと感じてしまうかと思います。

    でも変化は人間には必然であり、本来恐ろしいものではありません。むしろ変化は目に見えない縁の積み重ねがあって初めてうまい具合に進んでいきます。上手に変化に適応できなかった場合に、人とのつながり(縁)にアプローチする科学的な心理療法もあるくらいです。

    目に見えないものかもしれませんが、すでに素敵な縁を ねがろにうむ さんは持っているのだと思います。だから心配しなくて大丈夫です。

    以上がまとめになります。

    新しい生活が良い縁に支えられたものになるようにお祈りしております。最後までお読みいただきありがとうございました。

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