「説明を最後まで聞けない、見切り発車の行動、詰めの甘さなどを直したい」の相談内容詳細
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いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
- 出来事というか、幼稚園の頃からうっすらと悩んでいたことがあります。
色々とあるので箇条書きにします。
○人の話(特に説明)を最後まで聞けないこと
小学校の家庭科や図工の時間に、説明を聞いている最中に全く別のことを考えてしまい、次に何をすれば良いのかが分からなくなってしまう事が多々ありました。周りと違う行動を取ってしまい、周囲の人に迷惑をかけてしまいます。また、最後まで聞いていても、音声と文字が入るだけで、理解が追いつかないこともあります。
○見切り発車で行動する
先生に何か聞きたい事がある時に、内容や考えや言葉がまとまらないまま話をしに行って、相手も自分も困惑してしまいます。何か頼み事する際も、「これだけ渡されても困るんだけど…」と、考えが及ばない時があります。
○順序立てて物事を進められない
締め切りのある提出物などをいつもギリギリで、拙い物を出してしまいます。また、受験勉強の時に一年単位、一ヶ月、一週間、1日単位といった具合のものの計画をざっくりでいいから立てようとしました。が、計画を何をどうやって立てたら良いのか分からず、自分のその日の気分でやっていたら間に合わなくなってきました。作品や料理、ちょっとした作業でも、頭の中で順番を立てないまま動きます。
○詰めが甘い、漏れてる所がある
書類や文章を読む時に、大事な箇所を読み飛ばしてしまい、後になって問題が起きてパニックに陥ります。読み返した時に「えっこんなこと書いてたっけ」となります。また、大事なこと(提出しなければならない書類の存在そのものとか)を忘れてしまいます。メモをしても、メモを見返すこと自体を忘れます。
以上が私の悩みです。事実ベースで抜き出すって所をよく読んでいなくて、多少主観が混じった気がします。すみません。 - 「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
- 不安70%、困惑100%、苦しみ80%
- 「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
- 幼稚園から高校1年くらいまではぼんやりと悩んでいました(もはや悩んでもいなかったかもしれません)。今のように言語化したり、はっきりと、今このことで悩んでいると自覚したり、この悩みをどうにかしたい、とも思っていませんでした。
ただ、高いレベルを求められる高校生活(勉強、部活、人付き合い、課外活動、大学受験などなど)を経験するうちに、どうにも上手くいかない、ついていけないと思うようになりました。
周りの人たちはうまくこなせて、何ともない、別に普通の様子なのに、どうして自分はこうなるの?と自らを非難し、落ち込む事が増えました。
どうにかしなければ、今後の受験勉強や大学生活、アルバイトや企業に勤めることもままならないのではと不安です。
そもそも今受験勉強の最中なのに書き込んでいるのがおかしい
何をやってるんだろう、早く勉強に戻らないといけない
でもどうしよう 分からない 分からないです - いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
- 実はみんなそう悩んでいるのかもしれません。人類の悩みみたいな…。でも、きっちりと計画を立てる人や、締切を守る人は確かに存在しますし、私の父がまさにそんな感じなのでみんなって訳ではない
- いま専門家に聞いてみたいことは?
- これは一種の病気と言えるのか、それとも性格や気質なのか、もしくはその両方か
またこれらに対処する方法を聞いてみたいです。 - 年齢、性別、職業
- 17歳、女性、高校生
- 既往歴
- 喘息
- 悩みの内容の自由記述
- --- 未回答 ---
自分史はまだありません。
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「説明を最後まで聞けない、見切り発車の行動、詰めの甘さなどを直したい」への回答
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あまの さんこんにちは。臨床心理士の浅井です。
高校生活を過ごすうちになんだか上手くいかないことやついていけないと思うことが増えてきたということで、不安や困惑の気持ちも強く持たれている様子が伝わります。周りの人がうまくやれているように見えるとなおさら「どうして自分はこうなるの?」と自分を非難するような気持ちも湧いてきてしんどいですよね。
将来への漠然とした不安感があると、眼前のタスクにも集中できなくなります。「どうにかしなければいけない」と思うのにどうしたらいいかわからないという状態は、深い霧の中を歩くようなものです。ですから足取りが重くなってしまうのも無理ありませんね。今回は あまの さんの見晴らしが少しでも良くなるよう、一緒に考えていければと思います。
まず前提として共有しておきたいことがあります。それは あまの さんが今うまくいっていないと感じるのは高校生活という環境が あまの さんの特性に合っていないだけな可能性もあるということです。
勉強の方法ひとつ取っても、まだまだ電子機器の活用(タブレットでノートを取ったり)は制限されやすいですし、部活や学校生活での人付き合いも自分では選べない人間関係が付きまといがちです。今後 あまの さんが進学や就職によって相性の良い環境や方法に出会える可能性は十分にあります。
とはいえ「つらいのは今だけだよ」といった綺麗事で あまの さんの苦しさを見ないフリもしたくはないですから、なんとか役に立つ提案をしたいところです。
幸い あまの さんの書いてくださった相談文はとても読みやすく、 あまの さんが感じる困りごとや悩みについてとても読みやすくまとまっています。頼み事をしたとき相手に「これだけ渡されても困るんだけど…」と言われたこともあるそうですが、この相談に関しては「これだけわかりやすく書いてくれてると助かるなぁ」と思いました。不安や混乱も強い中、これだけ丁寧に情報を伝えようとしてくださったこと、本当にありがたいです。
あまの さんがまとめてくださった内容を一度整理してみます。
①:人の話(特に説明)を最後まで聞けない
・説明を聞いている最中に別のことを考えてしまう、意味の理解が追いつかないことがある
②:見切り発車で行動する
・内容や考え、言葉がまとまっていない状態で行動することがある
③:順序立てて物事を進められない
・計画の立て方がわからず、ギリギリになることが多い
④:詰めが甘い、漏れてる所がある
・読み飛ばしがあったり、重要事項を忘れることがあるこうして見ると、 あまの さんの悩みにはある程度共通した部分があります。それは注意力や集中力の発揮されにくさです。
あまの さんは「高いレベルを求められる高校生活を経験するうちに、どうにも上手くいかない、ついていけないと思うようになりました」と教えてくれました。高校生活など様々な分野に幅広くエネルギーを振り分けていく必要が生じてくると注意力や集中力を発揮するのは難しくなってきますから、これはある意味自然な悩みと言えます。
困難に直面したとき「自分は劣っている」「自分はおかしい」と「自分」を主語にしてしまうと、どうしても周囲と比較して落ち込んでしまいます。ここはひとつ「 あまの さんの力が発揮できていないのは、環境や方法が間違っているため」と考えてみてください。
これは単なる気休めの言葉ではありません。多くの困難は個人の能力や人格だけに起因するものではなく、環境との相性や方法の間違いによって生じます。不安や困惑といった苦しい気持ちを和らげ、自分を責めすぎないためには「なぜ失敗が生じるのか」という部分に注目していくことが大切になります。
頭の中で計画を立てようとすると、どうしても他の考え事やその時々の気分に左右されてなんとなくの思いつきになってしまいます。計画がぼんやりした状態では失敗した原因探しもうまくいかず、つい自分を責めてしまいがちです。ではどのように考えればよいのでしょうか。
自分の行動を「実験」として捉える
今回提案したいのは、身の回りの様々な出来事を「実験」として捉え、行動してみる方法です。ためしに以下のような表を作り、埋めてみてほしいです。
目標達成のための『実験』5つのステップ
- 達成したい行動を、具体的にイメージしやすく書く
(例:机に座り、問題集を開き、1ページ終わらせる) - どんな結果になるかの予想を0%~100%で書いておく
(例:手がつけられないまま放置してしまう 50%) - 結果
(例:机に座るだけで時間が過ぎてしまった) - その結果が生じた理由として考えられること
(例:問題集を開くまでが気が重い、提出期限を忘れてしまう) - 対処法として考えられること
(例:あらかじめ問題集を机の上に開いておく、提出期限を書いたふせんを目立つところに貼っておく)
このように目の前の問題を実験計画として捉え直すことで、失敗は単なる失敗ではなく、改善に繋がる有力な情報になります。その過程で「自分はダメだ」という自己否定的な考えから「ここがダメだったんだ、次はこうしてみよう」という見方が少しずつ染み付いていくはずです。
あまの さんは「どうにかしなければ、これから先の色々なことがままならないのでは」と不安な気持ちを抱えていらっしゃると思います。ですがこうして早いうちにご自身の状況や気持ちを整理し、相談してくださったことは本当にすごいことです。
どんな人間も必ず困難に直面します。 あまの さんはそのタイミングが周囲の人よりもほんの少し早かったのかもしれません。それはとても辛く、苦しいことです。ですが逆にいえば、人よりも早めに困難に直面した あまの さんだからこそ、人よりも早めに対策を打てるということでもあります。まずはだまされたと思って、上で紹介したような方法を試してみてください。
また、聞いてみたいこととして書いてくださった「これは一種の病気といえるのか、それとも性格や気質なのか、もしくはその両方か」という部分についても触れておきます。
上でも述べたように、困難の多くは環境との相性や方法の間違いによって生じます。つまり「特定の環境と相性の悪い特性」というのも存在するということです。
たとえば私は、一日平均10時間くらい寝ないと頭が痛くなったり体調が悪くなるロングスリーパーです。仮に私が通勤通学に二時間ほどかかる場所にちゃんと通おうとすると、睡眠時間と自分の時間を天秤にかけることになるでしょう。その結果調子を崩したり、周囲についていけないという結果が得られた場合、私はその環境との相性が悪いということになります。
睡眠時間をはじめ、集中力や注意力、計画力といった人間の機能は人によってばらつきがあります。平均に比べ能力に著しいばらつきがある人は様々な場面で困難に直面することが知られており、そうした人を支援するための方法もたくさん研究されてきました。
そのため、もし あまの さんが「一人では抱えきれない、どうしていいかわからない」と思ったときには、臨床心理士によるカウンセリングや医師による診察を受けてみるのも有効だと思います。そこでは心理検査と呼ばれる手続きを通して能力のばらつきを測ったり、困難を解消するための具体的な提案が得られるはずです。
最初は抵抗があるかもしれませんが、専門家は一人で抱え込むには重い荷物を分け合い、運べるよう手助けしてくれます。こうした情報についても、ぜひ心の片隅に置いておいてくれると嬉しいです。
あまの さんは今、どうしたらいいのかわからない困惑と不安のただなかにいることだと思います。そんな中こうしてご相談くださったことに、あらためて感謝します。今回のお返事が あまの さんの苦しさをわずかでも和らげる助けになれば幸いです。 あまの さんのこれからの人生が、どうか明るいものになりますように。
- 達成したい行動を、具体的にイメージしやすく書く