「課題や家事を後回しにしたり、溜め込んでしまう癖を直したいです」の相談内容詳細
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いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
- 大学1年生です。やらなければいけないことを溜め込む癖、授業や課題をサボる癖があり、それが原因で留年しているのですが、結局サボり癖が治らないまま1年間を過ごしてしまいました。受験勉強に真剣に取り組まず、ギリギリで大学に受かってしまったので、周りとの意識の違いや学力の違いを感じます。そんな自分が嫌いで引きこもりがちになり、大学に友人もいないため、1日ベッドで過ごす日が増えてしまっています。
- 「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
- 自己嫌悪40% 不安40% 辛さ20%
- 「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
- 勉強だけでなく、掃除などの家事も後回しにしてしまい手につきません。課題や家事を溜め込んでしまい、やらなければいけないことが多くなった時に、よく大学の講義や課題をサボってしまいます。溜め込んでしまったものや、サボってしまったものを気に病んでしまい、ベッドから動けずにスマホを見るだけで1日を終えてしまうことがあります。
この溜め込んでしまう癖を治そうと思っているのですがなかなか治りません。周りの大学生が当たり前にこなしていること(家事、大学の課題など)が出来ない自分、変わろうと思っても結局1年間変われなかった自分に絶望しています。 - いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
- 溜め込む癖は生まれつきなので、開き直って家事などは諦めて、大学の課題など卒業に必要なことだけに専念すると上手くいくかもしれない。(出来ないことを気に病む性格なので難しいかも…)
- いま専門家に聞いてみたいことは?
- 後回しにしたり、溜め込んでしまう癖の治し方、もしくは付き合い方を相談したいです。また、気に病んで1日動けないことがあるのは、単なる甘えなのか、通院で解消が望めるものなのかも相談したいです。
- 年齢、性別、職業
- 20歳 男性 大学生
- 既往歴
- 特になし
- 悩みの内容の自由記述
- --- 未回答 ---
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大学にギリギリで合格する
真剣に受験勉強に取り組んでいなかったから絶対に落ちると思っていたので、嬉しい反面、不安に思う気持ちがあった。
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部活の定期演奏会のために、チケットの売り込みや宣伝をする係になったが、全くチケットが売れないまま、コロナの影響でコンサートが中止になった。
前任の先輩のように仕事のできる人に憧れていたので、失敗続きで仕事をこなせなかった自分に失望した。チケットが売れないストレスが大きく、コンサートが中止になって安心してしまっている自分が嫌だった。
自分はスケジュールを管理したり、仕事ができるタイプの人間ではないのだなと思うようになった。
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高校から塾がこれまでの集団授業から、個別にスケジュールを立てて動画授業を受講するスタイルに変わった。計画的でない私はスケジュールを守ることができず、サボりがちになっていった。
中学まで成績が良かったので勉強を舐めている節があった。もちろん成績もだんだん下がっていたので焦りはあったが、特に改善しないまま過ごしてしまった。
中学までと変わって自分を落ちこぼれで不真面目な人間だと捉えるようになった。
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10
お試しで受けた学習塾のテストでかなり良い成績をとり、塾に通い始めた
親に褒められたり喜んでもらえたのが嬉しかった。
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「課題や家事を後回しにしたり、溜め込んでしまう癖を直したいです」への回答
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みやまる さん、ご相談をよせてくださりありがとうございます。臨床心理士・公認心理師の小野寺です。
やるべきことができず、つい後回しにしてしまうのを何とかしたいとのお悩みですね。いわゆる『先延ばし癖』と呼ばれるものだと思います。
先延ばしにすればするほど、やるべきことができていない状態が続くことになるので、そんな状況を生み出した自分に自信が持てなくなってしまいますよね。
そうすると、いざ何かしなければならないときに気力がなくなっているので、また先延ばしにしてしまう。そういう負のスパイラルにいるととてもしんどくなってしまいます。 みやまる さんも今まさにそのような状況におられるのだと想像します。
先延ばしが起きてしまうメカニズムなどについては、こちらの先延ばし解説記事が参考になるかと思いますので、是非ご覧になってみてください。
詳しいことは上の記事をご覧いただくとして、「後回しにしたり、溜め込んでしまう癖の治し方、もしくは付き合い方を相談したい」とのご相談にお答えするべく、早速先延ばし癖を改善するためのステップについてお伝えしていければと思います。
自分を責める必要は一切ない
まずは、何よりも「後回しにしたり、溜め込んでしまう癖がある自分を責め過ぎない」ということがとても重要になってきます。
「無くて七癖」という言葉があるように、誰にだって一つや二つ癖を持っているものです。それがたまたま みやまる さんの場合は「先延ばし癖」だっただけです(以後、後回しにする癖、溜め込んでしまう癖なども含めて「先延ばし癖」で表記を統一します)。
「自己嫌悪40%」とのことですが、自分を責めて気力がなくなると余計に先延ばし癖が生じてしまうことは、先述のした通りです。
だからまずは「自分には先延ばし癖があるんだな。だったらそれ用の対策をとればいいんだな」と冷静に判断していただければと思います。「自分は目が悪いんだな。だったらメガネかコンタクトをつければいいな」と思うのとまったく同じです。先延ばし癖があること自体を責める必要は一切ありませんから安心してくださいね。
活動を記録できるものを用意する
次はカレンダーもしくは手帳、それからシールを用意してください。
お手持ちのスマホにもカレンダーや手帳機能はあるかもしれませんが、できれば現物を用意して欲しいのです。スマホだとアプリを起動しないと視覚的に確認できないですが、現物であればサッと目線をそちらに向けるだけですぐに視認することができます。
「すぐに視認することができる」がとても重要です。この点は後述するタスクをこなすことやこなした後のモチベーションに大きくかかわってきます。
また、メモ帳も用意してください。これはスマホに内蔵されているものでも構いません。手帳を用意してくださった場合はそれで代用できます。
用意していただいたら、「ご褒美リスト」を作成してみてください。ご褒美は、「手に入れようと思えば手に入れられるけど、ちょっと二の足を踏む」ようなものにするのがお勧めです。
あまり良くない例としては「車」とか「マンション」とかです。ご褒美になるかもしれませんが、二の足を踏むどころかかなりの計画性と慎重さが求められるものです。こういうものは、今回の「先延ばし癖を改善する」の目的にとってはあまりよくありません。
対して「サイフ」「ゲーム機」「ブランド物のTシャツ」など、「数万円だから買えなくはないけど、いざ買おうとするとちょっと考える」ようなものが今回の目的に即していると思います。もちろん、「ちょっと遠いけど気になっているお店に行く」などのような二の足の踏み方をするものでも構いません。
お気づきかもしれませんが、ご褒美を考えているのはなぜかと言うと、先延ばし癖を改善できたときに、自分にそのご褒美を与えるためです。せっかく頑張ったのですから、是非自分を労ってあげてください。
「親に褒められたり喜んでもらえたのが嬉しかった」と自分史に書いてくださっていますが、認められて嬉しいのは大人も一緒です。さすがに親に褒めてもらうことは みやまる さんのご年齢だとはばかられるかもしれませんが、自分で自分を褒めるのは全く恥ずかしいことではありません。
タスクを細分化する
今度は、課題や家事などのタスクを細分化してください。
例えば「授業を受ける」という、一見シンプルに見えるタスクも、実はかなり細かいタスクの集合体であることがわかります。
「次の日の授業の開始時間を確認する」
「授業に遅刻しない時間までに就寝する」
「起きたら目覚ましを止める」
「洗面所に行く」
「歯を磨く」
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「教室の番号を確認する」
「教室に歩いて向かう」
「授業が始まる前に着席する」といった具合です。まずはできるだけ細かく細かくタスクを細分化してください。
細分化できたものはメモ帳なり、手帳なりに記載してください。
なお、「どのタスクを細分化するのか」ですが、 みやまる さんにとって優先順位の高いものからにしていただければと思います。
今は、「授業も受けれていない」「課題も手が付けられていない」「家事もできていない」とたくさんの課題を抱えておられるかもしれませんが、慌てないことが肝要です。
まずは一つ一つ、先延ばし癖が生じない習慣をつけていきましょう。一度習慣がつけば、他のことにも必ず応用が効きます。授業を定期的に受けられるようになっていけば、そのときの経験は家事を先延ばししないことにも活きてくるはずです。焦らなくても大丈夫です。
ポイントカードの要領でシールとご褒美を交換する
上記までの準備ができたらあとは実践です。
細分化したタスクができたら、その都度カレンダーにシールを貼っていきます。
「次の日の授業の開始時間を確認する」ができたら、その日のカレンダーにシールを一枚貼るし、「授業に遅刻しない時間までに就寝する」ができたら、その日のカレンダーにシールを一枚貼るのです。
手元にカレンダーがないときにこなしたタスクは、タスクを記載したメモ帳なり手帳に「✓」を入れておき、帰宅してからその✓の数だけカレンダーにシールを貼るといいでしょう。
この作業を続けていくと、シールが複数枚カレンダーに貼られている状態になるはずです。「シールが溜まっている=それだけ先延ばししないよう努力した証」を意味します。これは大きな自信になるはずです。
カレンダーは「できれば現物を用意して欲しい」とお伝えしましたが、この感動は実物を見た方が、デジタル上で記録するよりも大きいと思います。感動が大きいほど、続けるモチベーションにつながるはずです。
一定量のシールが溜まったら、自分を労ってあげてください。メモ帳か手帳に書いた「ご褒美リスト」から好きなものを選んで、自分にそれを与えてあげて欲しいのです。頑張ったのですから、それくらいは当然の権利です。
なお、「シールが何枚溜まったらどのご褒美を自分に与えてもいいことにする」は、事前に決めておくほうがモチベーションは持続しやすいと言われています。
例えば「サイフはシールが30枚溜まったら」「ゲーム機は50枚」「ブランド物のTシャツは20枚くらいかな」という感じです。
交換枚数を決める際のコツですが、あまりにも簡単すぎでも難しすぎでもないようにすることです。
どれくらいタスクを細分化したか、そのタスクの難易度がどの程度かによっても異なるので一概には言えないですが、上記までの例で考えれば、たった5枚のシールとゲーム機が交換できてもいけないし、2,000枚溜めないと交換できないのでも良くないのです。「できるかできないギリギリ」のラインを見つけるのがコツです。
ご自身のモチベーションが維持できるのは何を何枚のシールと交換する場合かを考えつつ、楽しみながら決めていただければと思います。
上記の手続きに慣れてきたら、タスクの細分化を粗くしてもいいし、それに伴ってご褒美を交換できるシールの枚数も変更しても構いません。
「授業を受ける」のタスクであれば、
「授業に間に合る時間に起きる」
「時間通りに家を出る」
「教室に座る」の3つにまで粗く絞ってみてもいいかもしれません。当然、シールは集めにくくなっているので、「ブランド物のTシャツは、シール10枚と交換」に変更するのがちょうどいいバランスになっている可能性もあります。
「海賊王におれはなる」と宣言すると海賊王になれる
他にも「他者に宣言する」も先延ばし癖を克服するのに有効な手段です。
「大学に友人もいない」とのことですが、「授業を受ける」を先延ばししないようにするためには、連絡が取れる方であれば友人でなくても構いません。
例えば、実際には教室番号を知っていたとしても「明日の○○の授業出ようと思うんだけど、教室どこだっけ?」と送るだけでも「授業に出る」ことへのモチベーションにつながるはずです。
人には「一貫性の法則」というものがあり、自分の言った通りに振舞いたいという心理が働くからです。「授業に出る」と宣言したら「授業に出ている自分」として振舞いたく動機づけられるということです。
この効果を狙って人に「こうする」と宣言するのはとても良い方法です。有名な漫画の主人公が「海賊王におれはなる」と繰り返し言っているのですが、それはこのように宣言することで自分が海賊王になるルートから逸れないようにしているのだと考えられます。
宣言する相手がいなければ、したいことを紙に書き出していつも目に入るところにその紙を貼っておくのでも効果はあるかと思います。こちらもぜひ試してみていただければと思います。
以上、先延ばし癖を改善するためのステップについてお伝えしました。
基本は自分を責めないことです。できたらできた分、自分を労ってあげてください。このプロセスを継続していけば自分に自信がつくし、先延ばしをしないことによる快感を覚えられるので先延ばし癖が次第に減っていくと思います。
これを読んで自分を責める必要がないことに気づかれたのなら、次はカレンダーとシールを買いそろえるところから始めてみるのはどうでしょうか? 是非検討してみてください。
少しでも先延ばし癖が改善するように応援しております。頑張ってくださいね。