「大学の講義を欠席することが多くなり、親にも申し訳ないし辛いです」の相談内容詳細
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いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
- 去年の10月頃から大学に行くことがつらくなって、講義を欠席することが多くなった。
うつ状態なのかを知りたいが、なかなか病院の予約ができない。
親が精神的な問題に対してあまりいい顔をしないのと怒られるのが怖くて相談できない。 - 「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
- 罪悪感100%、不安100%、恐怖90%、頑張りたい90%
- 「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
- 「学びたいことがあって今の大学に入学することができたのだから頑張って大学に行きたい」と「大学のことを考えると動悸と吐き気が止まらない。こんな状態であと3年も耐えられない辞めたい」が混ざっているが辞めたい気持ちの方が強い。
母子家庭で、裕福ではないのに行かせてもらっていて母に申し訳ない。
自分がうつ状態であるのかを知りたい。
母に今しんどい状況であることを知ってもらいたい。
予定が入っているとタスクだと思ってしんどくなってしまう。 - いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
- 楽しいこと好きなことはできるから面倒くさくなって甘えているだけ。
元々飽き性なところがあるからそのせいではないのか。 - いま専門家に聞いてみたいことは?
- ➀今の自分とどうやって向き合うべきか
➁自分はうつ状態であるのか。
➂親にどう説明したらいいのか
➃どちらの選択をしても穏やかに過ごすにはどうしたらいいのか - 年齢、性別、職業
- 19歳、女性、大学生
- 既往歴
- --- 未回答 ---
- 悩みの内容の自由記述
- --- 未回答 ---
自分史はまだありません。
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「大学の講義を欠席することが多くなり、親にも申し訳ないし辛いです」への回答
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植物 さん、ご相談をよせてくださりありがとうございます。臨床心理士・公認心理師の小野寺です。
10月ごろから大学の講義を休みがちになってしまっているのですね。今私がこれを書いているのが5月の中旬ですから、しばらくそのころから時間が経ってしまいましたね。お返事が遅くなり申し訳ありません。今も大学に行けていない状態でしょうか?
大学に行くことが必ずしも正解というわけではありませんので、仮に行けていなくともそれ自体は問題ではありません。ただ、行かないなら行かないで、 植物 さんなりに納得し、抑うつ的な気持ちが解消されていることを望んでいます。
以後のお返事は、今も大学がしんどいと感じている状態が続いていると仮定して書かせていただきます。
質問紙に回答してうつ状態かどうかを知る
植物 さんの精神状態が今どういう状態なのかを明確に判断できるのはお医者さんだけです。だから、できれば精神科や心療内科を受診なさるのが一番だと思います。
しかし 植物 さんの場合、親御さんがあまりいい顔をしないかもしれないのでなかなかそうできないご事情がおありなのですね。
であれば、まずはご自身でできる方法で「うつ状態なのかどうか」を調べる方法がとれるとよいでしょう。
うつ状態がどうかを知るためには科学的な手続きに基づいて作成された質問に回答していくことが必要です。ネットには科学的な信ぴょう性がかなり怪しいものが出回っているので注意してください。
その点、これからご紹介する「QIDS-J」は、統計的手続きに基づいた科学的な方法で作成された質問項目なので信頼してよいものです。
QIDS-Jは、簡便に自分のうつ度をチェックするためのものです。こちらの「こころのスキルアップ・トレーニング」のサイトに記載されていますので、これをやってみてもいいでしょう。
植物 さんの【聞いてみたいこと】の➀今の自分とどうやって向き合うべきかと、➁自分はうつ状態であるのかに関しては、このQIDS-Jを受けるのが一つの選択肢となりそうです。
怒ってもうつは絶対に良くならない
QIDS-Jはご自身のうつ状態の程度を知ることができますが、さすがに「うつ病かどうか」まではわかりません。質問に回答する際には、どうしても回答者の主観が入り込んでしまうので、正確な状態がわからないためです。
とはいえ、QIDS-Jの得点が高く出た場合は、危機的な状況にいると考えて差し支えないかと思います。その場合は、病院を受診することをお勧めします。
お母さまの反応は気になるかもしれませんが、QIDS-Jの得点が高く出た場合はさすがにお母さまの顔色よりも、ご自身の体調を優先すべきタイミングです。
お一人で受診をなさってもいいと思います。受診した結果、「医学的に考えても、今はとてもじゃないけど大学には行けない状態である」ことがわかれば、お母さまに「申し訳ない」と思う必要はありません。病気のせいであり、 植物 さんのせいではないのですから。
「 植物 さんのせいではない」のであれば、お母さまも「あまりいい顔をしない」「怒る」のはかなりお門違いということになります。それはうつ状態に対して悪影響となります。 植物 さんは誰にも責められるようなことはしていません。
身近な人とのやりとりがうつ状態に大きく影響するのは医学的にはもはや常識です。ご自身で自分の状態を説明するのが不安なのでしたら、専門家である医師(主治医)から「今はうつ状態である。大学に行ける状態ではない。怒っても悪影響である」などの説明をしてもらってもいいかもしれません。
必要なのは非難や叱責ではなく、治療です。お母さまにも治療に協力してもらう必要があります。「あまりいい顔をしないのと怒られるのが怖い」のであればなおのこと専門家の口から必要な関わり方を伝えてもらうようにするのが大切ではないでしょうか。
➂親にどう説明したらいいのかについては、この通り、主治医から説明してもらうのが一番かと思います。
うつ状態の程度によって対策は異なる
④にあげてくださった「学びたいことがあって今の大学に入学することができたのだから頑張って大学に行きたい」と「大学のことを考えると動悸と吐き気が止まらない。こんな状態であと3年も耐えられない辞めたい」のどちらの選択をするか。どちらかを選択するとして、その中でどのように穏やかに過ごすか、については、 植物 さんのうつの状態によって大きく変わってきます。
うつ状態が軽度なものであれば、しばらくゆっくりと休んで鋭気を養ってから大学に行く計画を立てるのが良い判断になるかもしれません。学びたいことがあっても、ご自身の体調が優れなければ学べるものも学べません。今頑張るべきは「学び」なのではなく、「休息」なのかもしれないのです。「自分に必要な休憩を賢く選んで頑張っている」と考えれば、心穏やかに過ごせるでしょう。
うつ状態が重いのなら、治療に専念するべきでしょう。大学がうつの原因なのであれば、場合によっては大学を辞める選択肢も候補に挙がってくる可能性があります。仮に3年は何とか耐えたとして、そこで力尽きてしまっては元も子もないからです。それ以降も 植物 さんの人生は続きます。「自分に合わない環境を認識し、自分を守るために撤退という英断ができた」と考えれば、心穏やかに過ごせるかもしれません。
そもそも大学は「行く」と「辞める」の二択しかないわけではありません。休学することもできるし、留年することもできるし、転部することもできるし、他大に編入することもできます。様々な可能性の中から、 植物 さんに適した方法が見つかればいいですね。
いずれにせよ、その判断をするためにも、やはり先述のQIDS-Jないしは病院でうつ状態の程度を調べる必要がありそうです。
以上、 植物 さんのお聞きになりたいこと4つについてお返事させていただきました。まずは簡単にできるQIDS-Jのような質問に答えていくことから始められるとよいかと思います。
どのような方向に進むにせよ、 植物 さんが納得して前を向ける選択になるように応援しております。
最後までお読みいただきありがとうございました。