ショックを受けたときの記憶が忘れられず、学校を休んでいます

2023.02.07 Tue

目次

回答したカウンセラー

小野寺 リヒト

臨床心理士/公認心理師

小野寺 リヒト

臨床心理士・公認心理師。FP2級所持。
医療機関や一般企業の産業保健事業部等での勤務経験があります。心の悩みが気兼ねなく相談できたり、セルフケアの重要性が浸透した世の中になってくれたらいいなと思っています。読書と料理が好きです。
【得意な相談】
〇気分の落ち込みや不安に関する相談(上手な気持ちの切り替え方、最初の一歩になる行動の踏み出し方等)
〇人間関係に関する悩み(パートナー・親子・職場関係・友人等)
〇お金の相談(ついお金を使ってしまう心理、貯蓄・節約のこと等)

「ショックを受けたときの記憶が忘れられず、学校を休んでいます」の相談内容詳細

相談者
相談者 少女M
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
ショックを受けた時の記憶が忘れられません。
それが悪化し、現在は学校を休んで心療内科に通院しています。
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
不安50%と自分への怒り50%
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
学生なので、今は授業もテストも受けられていません。
前まではそこまで気を落とさず人並みに頑張れていたのに、それが急に出来なくなりました。
皆が当たり前に出来ることが出来なくなって悔しいし、こんなことで落ち込んでいる自分に対して怒りを覚えます。
こんな自分が、将来上手に生きていけるのが不安で仕方がありません。
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
自分はその可能性すら感じることが出来ません。
困っています。
いま専門家に聞いてみたいことは?
もうどうしたらいいか分からないです、教えてください。
貴重なお時間を奪ってしまい申し訳ありませんが、どうかよろしくお願いします。
年齢、性別、職業
18歳、女、学生(高校)
既往歴
--- 未回答 ---
悩みの内容の自由記述
--- 未回答 ---
相談者 少女M さんの自分史

自分史はまだありません。

※ プライバシー保護のため、ご質問の一部を編集部で変更している場合がございます。

「ショックを受けたときの記憶が忘れられず、学校を休んでいます」への回答

  • 少女M さん、ご相談をよせてくださりありがとうございます。臨床心理士・公認心理師の小野寺です。

    辛い記憶が今でも蘇って学業に専念することができず困ってらっしゃるのですね。そんな自分にも失望しているのだと思います。「自分への怒り」を50%も感じておられるのですね。

    まず安心していただきたくてお伝えします。「こんな自分が、将来上手に生きていけるのか不安で仕方がありません」とのことですが、きっと 少女M さんなら大丈夫です。

    私がそのようにお伝えする根拠ですが「貴重なお時間を奪ってしまい申し訳ありませんが、どうかよろしくお願いします」と記載してくださった点です。

    少女M さん。こんな優しく気をつかった言葉を書ける方はそうそういらっしゃいません。

    年齢で判断するのは本当はいけないかもしれませんが、 少女M さんのように18歳の若さでそれができるのは大変立派だと思います。

    「こんな自分が、将来上手に生きていけるのが不安で…」の「こんな自分」を 少女M さんはきっと「皆が当たり前に出来ることが出来なくなり、また、そのことで落ち込んでいる自分」と定義しているのだと思います。

    しかし、それは間違いです。 少女M さんは「優しく気をつかった言葉を人にプレゼントできる人」です。

    どうしてそんな「自分」に「怒りを覚え」る必要があるのでしょうか。

    そしてもう一つお伝えしたいことがあります。それは、「怒りを覚えている治療者」と「優しい治療者」とでは、どちらの方が患者さんは良くなっていくかを考えてみて欲しい、ということです。

    「考えてみて欲しい」と言いましたが、考えるまでもないことでしたね。当然「優しい治療者」です。

    どうしてこのようなことをお伝えしたのかというと、誤解をおそれずに申し上げると、実は精神的な障害や疾患、心の悩みは最終的には「自分」で治すしかない類のものなのです。私たちカウンセラー(あるいは精神科医等の医師)は患者さんが自ら治していくその治療プロセスの「お手伝い」しかできません。

    患者さんが、自分のことをいかに信じきれるか。ここが治療がうまくいく・いかないを大きく左右するんです。

    私には 少女M さんの本当の治療者である「自分自身」が怒りながら 少女M さんを治療しているように思えるのです。これだと 少女M さんも怖いし、自分に自信がなくなるし、治す勇気も出てこないですよね。

    でも実際の 少女M さんは「優しく気をつかった言葉を人にプレゼントできる人」です。私はそう思いますよ。

    その優しく気をつかった言葉を人にプレゼントできる 少女M さんの状態で、ご自身を治療するのなら、間違いなく「将来上手に生きていける」はずです。

    「ショックを受けるようなことを経験しただけでも辛いのに、そのことがきっかけで皆が当たり前に出来ることが出来なくなってしまったんだから、悔しくて当然だよね。落ち込んじゃうよね。でも大丈夫だよ」

    こんな風に、自分に「優しく気をつかった言葉」をプレゼントすることが、何よりの治療になります。

    この自分に優しくする治療的土台がなければ、どんな優れた技術を用いても嫌な記憶はなかなか消えてはくれないのです。

    ちなみに、ココロジーの過去の記事に「トラウマの正確な意味と克服方法6選」があるので、こちらも参考になさってください。この記事にも「自分を責める必要は全くないこと」が書いてありますよ。

    より嫌な消し方の実践的な事柄が知りたい場合は「思い出したくない「嫌な記憶」を科学的に忘れる方法3選」の記事も参考になるかと思います。

    でも、繰り返すように、どんな技術を用いても自分に優しく接する治療者としての自分がいなければあまり効果は見込めないかもしれません。ココロジーに優しく気をつかうことができた「自分」にまずは誇りをもってくださいね。

    最後まで読んでいただきありがとうございました。

これを読んだきみにはこれも読んでほしいな

おすすめコンテンツ
みんなの心が楽になる情報と出会えますように。