過去の恥ずかしい出来事を何度も思い出してしまいます

2023.03.04 Sat

「過去の恥ずかしい出来事を何度も思い出してしまいます」の相談内容詳細

相談者
相談者 なゆ
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
頻繁に思い出す過去にあった出来事。寝る前。自分が、恥ずかしかったり早く忘れたい出来事。
主に学生での出来事や友達との些細な会話での発言。なんで、今でも思い出すのか嫌になってくる。
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
恥ずかしさ70%
悲しさ30%
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
なんでみんなが忘れているようなことを今になっても思い出すんだろう。嫌になる。自分だけだろうから恥ずかしい。早く過去として忘れてしまいたい。
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
もしかしたら自分だけ気にしすぎてしまってて他の人から見たらどうでもよかった出来事なのかも。
いま専門家に聞いてみたいことは?
過去の出来事を何度も思い出してしまいその場の空間が1人だけだったらつい一言だけ叫んでしまいます。早く忘れる方法ありますか?
年齢、性別、職業
21歳 女 会社員
既往歴
--- 未回答 ---
悩みの内容の自由記述
--- 未回答 ---
相談者 なゆ さんの自分史

自分史はまだありません。

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「過去の恥ずかしい出来事を何度も思い出してしまいます」への回答

  • 回答したカウンセラー

    中浦ダニ

    精神保健福祉士 中浦ダニ

    なゆさん、ご相談を寄せていただきありがとうございます。精神保健福祉士の中浦です。

    ご自身にとって恥ずかしかった記憶を繰り返し思い出してしまうという相談ですね。どんなに些細であったとしても、記憶は思い出す度に当時の感覚を呼び起こしてしまうから、今もなお なゆ さんは叫んでしまうほどの苦しみを感じているのだと思います。

    【聞きたいこと】に『早く忘れる方法ありますか?』と書かれていましたね。結論からいえば、「早く忘れる方法」はありません。無いというよりも、「早く忘れよう」とすることが、かえって過去の記憶を強化させている可能性があります。

    「早く忘れる方法」はありませんが、その代わりに「確実に忘れる方法」を今回はお伝えできればと思っています。

    嫌な記憶が忘れられない3つのメカニズム

    嫌な記憶を忘れる方法をお伝えする前に、まずは記憶のメカニズムについて簡単に説明させてください。メカニズムを理解していた方が、きっと忘れるための方法に対しても納得感が高まると思います。

    なゆ さんは「なんで思い出したくもない記憶を繰り返し思い出してしまうしまんだ」と感じられていると思いますが、実はこれは科学的によく見られる現象なんです。嫌な記憶が忘れられない理由は3つ考えられます。

    一つは「忘れようとしている」からです。人は「◯◯をしちゃいけない」と思うと逆にそのことを意識してしまう傾向があります。私が高校生のときの話ですが、友達とお店にいるときに警察官が見回りをしていると、別に万引きをしようと思っていたわけでもないのに変に意識してしまい、よけいに怪しい行動になり逆に警察官に声をかけられる友達が何人かいました。記憶も同じです。忘れたいから「考えちゃいけない」と思うことで、逆に忘れたい過去の出来事が なゆ さんの中で強化されてしまい、強化されることで思い出しやすくなるというループを作ってしまいます。

    ループと言いましたが、記憶は繰り返し思い出すことで定着するという性質もあります。楽しかった旅行の記憶があったとします。「温泉気持ち良かったな〜食事も美味しかったな〜」なんて最初は思い出しますが、ある時ふと旅行を思い出すことが少なくなっていることに気づき、温泉や食事も詳しいことが思い出せない状態になっているのではないでしょうか? 例えばですが、楽しかった記憶を毎日定期的に思い出しながら、徐々に「お、少しずつ記憶が薄れてきたぞ」と感じながら忘れていく人はあまりいないと思います。つまり、忘れる時は思い出すことが少なくなっている時ということです。ループは記憶を強化し思い出しやすくさせる、というのが二つ目の理由です。

    嫌な記憶が忘れられない理由の三つ目は、脳はストレスを受けると記憶を過去のことと捉えにくくなってしまうことです。記憶が過去にならないのであれば、忘れるのが難しくなってしまうのも想像しやすいですよね。

    記憶と脳に関する詳しいことが書かれた記事のURLを本記事の終わりに記しておくので、あとでご覧になってみてください。

    忘れたい記憶がいつまでも残ってしまうメカニズムを3つ説明しましたが、ここでは「早く忘れよう」とすることが逆に記憶を強化させてしまい、忘れにくくしてしまっているのが想像できていたら嬉しいです。

    嫌な記憶を思い出すことをタスクにする

    嫌な記憶を忘れられないメカニズムを説明したので、次は実際に なゆ さんが忘れるためにできることを一緒に考えていきましょう。

    上でも説明したように、嫌な記憶は「忘れよう」としても強化されてしまうし、思い出す回数が多いことでも強まってしまいます。ではどうすればいいのか。私からの提案は「思い出す時間をタスクにする」です。

    「思い出したくないし、思い出したら辛いのに、それをタスクにするってどういうこと?」と感じる人もいると思います。嫌な記憶が忘れられなくなる3つのメカニズムを知った後であれば、「あ、なるほど」と感じる人もいると思います。

    つまり、嫌な記憶が忘れられないメカニズムにおいては「記憶が常に人がコントロールできない状態にある」ということなんです。忘れようと必死で考えないようにしている状態、嫌な記憶がループで繰り返される状態、どちらも人がコントロールできていないことが分かると思います。

    嫌な記憶を思い出すことをタスクにするメリットは、嫌な記憶に向き合うことと向き合う時間を自分がコントロールできるところにあります。確かに、いくら思い出す時間をコントロールしたとしても、思い出すことで感じるネガティブな感情をコントロールするのは難しいかもしれません。でも、湧き起こる感情に対して何かしら準備できることはあるはずです。

    嫌な記憶を思い出してる時間はロデオをしているようなものなのかもしれません。この馬に跨るのはわかっているけど、その馬がどんな動きをするのか予想できないから、捕まることに必死になるわけです。しかも、そのロデオはいつ始まるかわかりません。帰り道でいきなり乗るように言われることもあるし、もうすっかり帰宅してリラックスしている時にいきなりスタートする時もあります。これではもうほとんどドッキリです。ドッキリがドッキリするのはいきなり始まるからです。ランチ休憩のときにロデオをするのを分かっていれば、ロデオが簡単になることはないかもしれませんが、ロデオに適した服装を用意したり、そのためにランチの量を減らしたり、心の準備も含めて色々な準備ができるはずです。

    おすすめなのは、思い出す時間をスケジュール帳に書き込むことです。最初は「毎日20時」とかでもいいかもしれません。私は実際に何かについて考える時間をTodoistというタスク管理アプリで登録し、Googleカレンダーと同期させて視覚化しています。こうすることで、ふと嫌な記憶が頭に浮かんでも「20時まで待とう」と考えることができます。突然思い出してしまい苦しくなったときも、「恥ずかしがるのはダメ」ではなく、そういうものだと認識して、「あとでもっとしっかり思い出してあげるからちょっと待ってて」と声をかけてあげられると、これまで敵対関係にあった嫌な記憶とも違う関わり方が始められると思います。「考えちゃダメ」と考えると「してはいけない」という意識によって逆に記憶が強化されてしまうことを説明しましたが、「後で考えよう」であれば制限しているわけではないので、強化されるのも防ぐことができます。

    記憶を「過去のもの」にする

    嫌な記憶を思い出すことをタスクにしてみました。毎日20時にスケジュールを組みました。では、実際その時間をどのように過ごせばいいのか。もっとも重要なことは「この記憶はもう過去のものだ」と脳に認識させることです。

    もちろん、前述したように「思い出す時間を決める」だけでも大丈夫です。嫌な気持ちにはなりますが、時間を決めて自らその思い出に向かっていくという変化だけでも、避けることで強化されていた部分が弱まり、少しずつ記憶も薄らいでいく可能性があります。

    しかし、効果的に記憶を過去のものにするためには、当時の感情よりも「ディテール=細かい描写」を思い出そうとすることがおすすめです。

    人が何かを思い出している時は、実はその時の出来事や情景よりも、その時に感じていた「感情」を追体験していることが多いんです。先ほどの楽しかった旅行の例でいえば、実際には温泉の湯とか情景、美味しかった食事の一品一品を思い出しているわけではありません。記憶に残っている温泉や宿、テーブルに並んだ食事をぼんやりと思い出し「楽しかったなぁ」という感情に浸っていることの方が多いでしょう。

    これは楽しい記憶だけでなく嫌な記憶にも当てはまります。「あの時ああなってこうなってすごい辛かった」という場面でも、実際に「何がどう辛かった」というよりは、「辛かった」という感情が再現され「今もやっぱり辛い」というふうになっていることがあります。

    繰り返しになりますが、記憶を忘れるには「記憶を過去のものにすること」が重要です。過去のものにするには、その出来事に十分に浸ることが役に立ちます。感情だけを追体験しているのは、過去に起きた出来事に対して十分に浸っているとは言えないのかもしれません。

    タスクにして実際に思い出す時間になったら、できる範囲でいいので記憶のディテールにも気を配ってみてください。恥ずかしいことを言っちゃった時の情景を思い出し、自分の目にはどんなものが映っていたか。どんな人がいて、その人たちはどんな顔をしていたか。その周りにはどんなものがあったか。会話以外にどんな音が聞こえていたか。匂いは、気温はどうだったか。

    記憶に基づく情報を増やすことで、これまでは感情とだけ結びつき「恥ずかしい記憶」となっていたものが、徐々に他の情報によって上書きされていくはずです。たとえば次のような感じです。

    「恥ずかしい記憶」

    「失敗して学校の友達に笑われた記憶」

    「夏の暑さでうまくできなかった記憶」

    「暑いのは苦手」

    こんな感じで記憶に感情以外の情報を足していき、記憶を印象付けるものを変化させることができたら「恥ずかしい」という感覚が徐々に減っていき、気づいたときには記憶を「過去のもの」にすることができているかもしれません。

    今回お伝えしたことをまとめると以下のようになります。

    ①嫌な記憶は「忘れようとする」「繰り返し思い出す」「ストレス」によって強化される。
    ②嫌な記憶を思い出すことをタスク化してスケジュールに組み込むことで、自分がコントロールできることを増やす。
    ③嫌な記憶のディテールを思い出すことで、感情と結びついた記憶を別の情報で書き換える。

    以下のURLにある記事では、今回お伝えしたこと以外にも色々な情報や方法が書かれています。良ければ参考にしてみてくださいね。

    思い出したくない「嫌な記憶」を科学的に忘れる方法3選

    最後まで読んでいただきありがとうございました。 なゆ さんを苦しめる過去の記憶が、もっと なゆ さんにとって優しいものになりますように。

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