「死の不安を取り除く方法やコツを教えてください。」の相談内容詳細
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いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
- 1日の中で、いつか死んでしまうことを想像したときに、強い不安感に襲われる。それもかなりの頻度で。3年ほど前から突然症状が現れ、1年ほどでほぼほぼ治ったが、最近生命保険の話から再度症状が現れた。
- 「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
- 不安感100%
- 「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
- 自分はいつかは死んでしまうが、死んだ後は存在が消えてしまうのだろうかと、考えてしまい、強い不安感に襲われる。考えてはいけないと思えば思うほど考えてしまいます。死恐怖症なのだとは思います。
- いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
- 死ぬことはしょうがないとしても、それを恐れながら生きたくはないです。
- いま専門家に聞いてみたいことは?
- どのようにこの不安感を取り除く、もしくは低減させられるでしょうか。
- 年齢、性別、職業
- 26歳会社員
- 既往歴
- 過去に1度通院したが、鬱ではないと判断され、それからは通院していません。
- 悩みの内容の自由記述
- お手数ですが、アドバイスお願いいたします。
自分史はまだありません。
※ プライバシー保護のため、ご質問の一部を編集部で変更している場合がございます。
「死の不安を取り除く方法やコツを教えてください。」への回答
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回答したカウンセラー
shakan さん、ご相談をよせてくださりありがとうございます。臨床心理士・公認心理師の小野寺です。
死は誰にとっても恐怖の対象ですから、それがふとした瞬間、それも日に何回も連想されてしまうとなると苦痛以外の何物でもないですよね。死ほど怖いものはありませんから、不安感が100%となっているのも無理はないことだと思います。しんどいですよね。
少しでも shakan さんのお力になれたらと思います。いくつかご提案をさせていただきますね。
ご提案をお伝えするに先立って、 shakan さんの悩んでいらっしゃることがらを「強迫観念」であると仮定したいと思います。強迫観念とは、繰り返し頭の中に特定のイメージや考えが浮かんでしまうことを言います。
例えば、家を出るタイミングでいつも「ドアのカギを閉め忘れてないかな?」との考えが何度も浮かぶようなものです。このような強迫観念があると、強迫観念が生じるたびに家に戻って開閉を確認し続けないと気が済まないため、生活に支障が出てきてしまう人もいるのです。
shakan さんが一日の中でどれくらい死にまつわる連想をしておられるのか、どの程度生活に支障が出ているのか、具体的にはわかりませんので本当に shakan さんに強迫観念があるのかどうかはわかりません。しかし、「かなりの頻度」で生じているとのことですし、強迫観念に対するアプローチが shakan さんのお悩みにも応用が効くのは間違いないと思います。参考になりそうなものがあれば、ぜひ取り入れてみてくださいね。
さて、具体的な方法を、ここでは4つご紹介します。
①あえて考え続ける
人の脳は「忘れよう」「考えないようにしよう」と思っていることに限ってなかなか忘れられなかったり、考えてしまうものなのです。くしくも shakan さん自ら書かれておられるように「考えてはいけないと思えば思うほど考えて」しまうのです。
なぜこういうことが起きるのかというと、大きく二つの理由があります。
一つ目は、特定のことを考えないようにするには、「今考えていることが、考えてはいけないことと関係するのか?」を考える必要があるので、結果的に考えてはいけないことを考えてしまうから、です。
ややこしいですね。具体例を挙げて説明します。
例えば、「シロクマ」について考えてはいけないと言われたとします。その際、ふと頭の中に「アイス」がよぎったら「このアイスって言葉は、シロクマと関係あるのかな? シロクマアイスってあるくらいだし」と考え、この思考プロセスそのものがシロクマについて考える結果となっているのです。これが「結果的に考えてはいけないことを考えてしまう」のメカニズムです。
二つ目は、人は続きが気になる生き物だから、です。 shakan さんはマンガを読むとき、最初は「この一巻だけ読んで、読み終わったら勉強しよう」などと考えていたのに、気が付いたら最終巻まで読んでいた、みたいなことになった経験はありませんか? 続きを読まないと、ずっとそのマンガが気になり続けるから、止まらなくなってしまうのです。
死についての連想も「考えたくない」と途中で止めてしまうと脳は続きが気になり続けるのです。だから、結果的に繰り返し死のことを考えることになるのですね。
まずは週末だけでも、20分程度でもいいので、コーヒーや紅茶などを飲み、落ち着いた音楽をかけ、アロマでも炊きながらリラックスした状態であえて死の連想をし続けてみることが有効な方法になるかもしれません。
②紙に書き出す
「考えないようにすることを止める」という意味では、本質的には①とあまり変わりませんが、紙に連想している内容を最後まで全て書き出すのも手です。紙に書き出すことが出来たら、その後その紙をどう扱うかには2つの選択肢があります。
一つ目が、その紙を常に携帯し、時間があるときに繰り返し読むといった方法です。
人は同じ情報にさらされ続けると、どんな情報でも必ず飽きが来ます。死にまつわる内容も、繰り返し読めば慣れてきますので、不安もそれに応じて減っていくはずです。二つ目が、紙をビリビリに破ってゴミ箱に捨てる方法です。
①でご説明した通り、人の脳は続きが気になってしまうものです。ですから脳に「もう終わったよ」と教えてあげる必要があります。そのための手段が「ビリビリに破ってごみ箱に捨てる」なのです。この行為をすることで、「捨てる=いらない=役目を終えた」と脳が判断し、考える必要性を感じなくなってくれます。③連想をバックグラウンドミュージックかのようにとらえる
頭の中によぎるイメージや考えを、あたかもカフェなどに流れる音楽のようにとらえ、今目の前でやっている作業を続けるといった方法です。人は考え事をしていると、その内容に没頭してつい現実がお留守になってしまうことがあります。仕事中に「今日帰ったら何食べようかな?」と想像してボーっとしてしまうなど、あるあるですよね。
これと同じように、きっと shakan さんも死について考え始めると、目の前のことに集中できなくなることがあるのではないでしょうか?しかし、頭の中に考えがよぎることと、現実がお留守になることは必ずしも一致しません。カフェで音楽が流れて「ああ、懐かしいな」と思いつつも、コーヒーカップを口に運び、コーヒーに舌鼓を打つことは可能です。
このように、死にまつわる連想が出てきても「また出てきたな」と気づきつつも、目の前の作業を淡々とこなすことは可能なのです。
ぜひ「また出てきた」と気づいたときこそ、そのときやっている作業に集中することを意識していただければと思います。それができれば、気がついたころには不安は下がっていることでしょう。
④医療機関を受診する
今回は shakan さんの悩んでいらっしゃることがらを「強迫観念」であると仮定してお話を進めてきました。「強迫観念」ではなかったとしても、上述の①~③は shakan さんのお役に立ちうるものです。しかし、あくまでもこれは「仮定」であり、ハッキリしたものではありません。
もしハッキリしたものにしたいのであれば、強迫観念に詳しい精神科などを受診する必要があります。強迫観念があることがわかれば、不安を和らげるお薬を処方してもらえるかもしれませんので、そのお薬を飲むことも shakan さんのお悩み解決の一助となるでしょう。風邪をひいたら風邪薬を飲むのと同じように、強い不安が出ているときに抗不安薬を飲むのはごく普通のことなのです。
以上、4つの方法をご紹介しました。
①あえて考え続ける
②紙に書き出す
③連想をバックグラウンドミュージックかのようにとらえる
④医療機関を受診する何か役に立ちそうなものが一つでもあれば幸いです。ご相談くださいましてありがとうございました。