「本音を言うと涙が出る」「もっと上手にコミュニケーションを取りたい」「あの人と仲良くなりたい」
そんな人間関係の悩みって尽きないよね。そんなときに役に立つのが「自己開示」のスキルなんだ。
上手な自己開示ができるようになると人との関係がうまくいきやすくなり、健康なメンタルを保ちやすいと言われているよ。
居心地のいい毎日を過ごすために、一緒に自己開示について学んでいこう。
目次
自己開示の意味とは?
自己開示とは、わかりやすく言うと「私は◯◯が好きです」や「私の出身は△△です」のように「自分の個人的な情報を他の人に伝えること」だよ。
たとえば、初対面の人や好きになってもらいたい人と話すとき、「相手によく思われなきゃ」と張り切って、本当の自分を隠したり当たり障りのないことを言っちゃうことってあるよね。
だけどもし相手の関係を進展させたいなら「私はこういう人間なんです」って早めに自己開示するのが有効なんだ。
ここからは自己開示の意味や効果、具体的な例についてまとめていくね。
自己開示の効果とメリット
まずは自己開示の効果について説明していくね。
相手と打ち解けやすくなる
好きなことやちょっとした短所について自己開示を受けると、人は「そんなことを話してくれるなんて、自分に心を開いてくれているんだろうな」と考えることが多いんだ。
それがきっかけで距離が縮まりやすくなるよ。
相手の自己開示を引き出しやすくなる
自己開示を受けると、人の心には返報性という働きが生じるんだ。これは「受けたものと同程度のものをお返ししたくなる気持ち」のことを言うよ。
自己開示を受けた相手からは同じように自己開示されることが増えるんだ。
それをきっかけに性格やライフスタイルが見えてくると、お互いに共感しやすくなって関係の進展にいい影響を与えるんだね。
自分に自信を持てるようになる
臨床心理学者のシドニー・ジェラードによる研究では、自己開示量が多い人ほど精神的に健康であることが示されているんだ。
自分の趣味や性格について自己開示をすると、それを聴いてもらうだけで自己肯定感が増して自分に自信を持ちやすくなるよ。
それに同じ趣味だってことが分かったりすると相手にも好感を持ちやすくなるし、自分の趣味が認められた感じがして気分がよくなるよね。
自己開示ができない人の原因とは?
ここまでは自己開示のメリットについて話してきたけど、いくら「自己開示はいいぞ」って言われても、そう簡単にはいかないよね。
それじゃあ今度は自己開示が苦手な人が、なぜ苦手なのかの理由を探っていこう。
「嫌われたくない」という思いが強い
「自分の話ばかりする人は嫌われるんじゃないか」「よけいなことを言って悪く思われたくない」
そんなふうに「嫌われたくない」という思いが強いのかも。
警戒心が強い
自己開示の結果どう思われるのかが不安で、どこまで自分をオープンにすればいいのかわからないこともあるよね。
相手を信じられない
これまでに信頼していた人に裏切られたり、ひどい扱いを受けた経験がトラウマになっている可能性があるよ。
…思い当たるものがあったかな? もちろん、上にあげたものだけが理由のすべてじゃないよ。
心当たりがなかった人も、「なんで自己開示が苦手なのかな」と自分の心にたずねてあげる練習をしてみてね。
自己開示と自己呈示
「自己開示」とよく似た言葉に「自己呈示」があるよ。この二つは似ているようで全く違うものなんだ。その違いを見ていこう。
自己呈示は相手に望ましい印象を持ってもらうために、長所だけを見せようとしたりすることを言うよ。
もちろん相手に好印象を与えようとするのは大事だけど、この考え方に囚われすぎるとよくないこともあるんだ。
自分に自信がなかったり、自己肯定感の低い人はこの自己呈示を多く使ってしまうことがあるよ。
きっと、自分の理想と現実のギャップに苦しんでいるから、つい理想の自分のアピールをしてしまうんだね。
でも極端な自己呈示を続けていると、「弱みを見出だせない冷たい人」「きっと嘘をついているに違いない」と思われてしまうことがあるよ。
そうすると相手は心の壁を感じて、良好な関係の妨げになってしまうんだ。
「自己呈示をまったくしない」というのは難しいところ。 だからときどき「話を盛りすぎていないか?」「本当の自分をさらけ出せているか?」って、自問自答できるといいね。
自己開示はレベルが重要
次は自己開示のレベルについて見ていこう。
自己開示の深さを測定する尺度として、日本パーソナリティ心理学会が作成したものを参考にした図がこちら。
レベル1:趣味や好み
レベル2:頑張って克服したこと
レベル3:ゆるい欠点や弱点
レベル4:自分のガチで嫌いなところ
たとえば最も言いにくいレベル4の「自分のガチで嫌いなところ」は「自分の性格のすごく嫌いなところ」や「能力で劣等感を抱いているところ」などが挙げられるよ。
この自己開示のレベルについて踏まえ上うえで、実際に自己開示を上手に使っていくためのテクニックを学んでいこう。
簡単に自己開示するやり方
自己開示は低いレベルから
自己開示は人間関係を進展させるのに役立つけど、いきなり重い話をされてもびっくりしちゃうよね。
自分の好きな食べ物やハマっていることなど、軽いところから開示してみよう。
ゆるい弱点を開示しよう
上の自己開示のレベルについてでも触れたけど、自己開示のポイントの一つに「自分の弱みを見せる」というものがあるんだ。
弱点の自己開示には「そんな弱みがあるんだ」と親近感を持ってもらう効果があるんだよ。でも、自分の弱点を晒すのは怖いよね。
そんなときは「朝が弱くてアラームを3分おきに10回もかけてます」のように親しみやすい弱点から開示するのがおすすめだよ。
アサーション
「アサーション」という言葉を聞いたことはあるかな?これは簡単に言えば「自分も相手も大切にする自己表現」のことなんだ。
そのアサーションの中で、自己開示とも関係する「I(アイ)メッセージ」というテクニックがあるから紹介するね。
I(アイ)メッセージというのは「私は〇〇だと思います」というように「私」を主語にして自分の考えや感じたことを伝える話し方のことだよ。
「それはおかしい」→「私は間違っていると思います」
「もっとちゃんと言って」→「私はもう少し丁寧に説明してほしいです」
Iメッセージは相手を非難するニュアンスを和らげることができるし、自分の考えをしっかり整理する助けにもなるんだ。
アサーションの詳しいやり方はこっちの記事を読んでみてね。
自己開示が苦手な人のための練習方法【ワーク付き】
次に、自己開示のために今日からできる簡単なワークを紹介するね。
ひとりごとを言う
「これおいしい」「いい天気だなぁ」のように、日々の中で思ったことを口に出してみよう。
自分が声に出した言葉が耳に入ってくることで「私は思ったことを言ってもいいんだ」という感覚が育っていくよ。
これには「自己開示すると嫌われる」という思い込みを弱める効果もあるんだ。
こうした自分への語りかけは「セルフトーク」とも呼ばれ、スポーツ心理学などの分野で活用されているんだ。
実際にポジティブなセルフトークが脳を最適な覚醒レベルまで導くという研究もされているんだよ。
一日の振り返りをする
ひとりごとに慣れてきたら、一日の終わりにその日の振り返りをしてみよう。
「体験した出来事」と「そのときの感覚や感情」をセットで振り返るのがわかりやすいよ。
「電車でおばあちゃんに席を譲ることができなくてモヤモヤした」
「新発売のスイーツがおいしくて嬉しかった」
みたいに振り返ってみてね。
続けていくうちに自己開示の仕方が上手くなったり、自分の気持ちに気付いてあげる力が養われていくよ。
今日はどんなことがあったかな。
そのときの気持ちはどうだった?
自己開示の注意点とデメリット
自己開示にはいい面ばかりではなく、注意するべき点もあるんだ。いっしょに見ていこう。
過度な自己開示は信用を損ねる
自己開示はあくまでいい信頼関係を作っていくための手段であって、目的ではないんだ。
自己開示自体が目的になってしまったり、自慢話になってしまわないように気をつけよう。
自己開示を押し付けられたと感じたときの対処法
「自己開示されると返報性が働いてお返ししたくなる」というのは覚えているかな。
この作用はメリットであると同時に、言いたくないことを言わされてしまうことにも繋がるよね。
かといって「話したくありません」とつっぱねるのも角が立つ…そんなときには相手の話を膨らませる聞き上手になってみよう。
「〇〇が好きなんだよね」「へー。どんなところが好きなんですか?」
「〇〇についてどう思う?」「難しいですねー。△△さんはどう思ってるんですか?」
こんなふうに相手の話を広げてあげると、相手も気分がよくなるし、相手についての情報が増えて安心感に繋がるよ。
「自己開示は自分のため」
自己開示が大事だと言われても、そんな簡単にいけば苦労しないよね。奥ゆかしい人や繊細な人は、自分を表に出していく自己開示に抵抗があるかもしれない。
そんなときは「自己開示は自分の生きやすさにつながる」と考えてみて。
自己開示を通じて自分の好きなことや嫌いなことがはっきり見えてくると、自分がどんな環境でなら能力を発揮できるかなども見えやすく、主張しやすくなるんだ。
長い目で自分が生きやすくなれるように、居心地のいい環境を作っていくために、自己開示を取り入れていけるといいね。