自分に自信がない人が秘めている力って?自信の心理学

2022.05.12 Thu
シンくん
案内人 シンくん
ライター
執筆 中浦ダニ 精神保健福祉士
自信がない人の心理学
自分に自信がない人が秘めている力って?自信の心理学

「新しいことを始めるのが怖い」
「いつも今のままの自分でいいのか不安」
「自分のしたことが正しかったのか周りの目が気になる」

仕事をしているときや恋人と一緒にいるときに、こんなことを考えてしまう人もいるんじゃないかな。自分に自信がないと何をするにも不安を感じてしまうし、不安の中で生きていくのは辛いよね。

でも、自分に自信がないからって頑張っていないわけではないよ。

自信は必ず持たなければいけないわけでもないし、今のままでも誰かの役に立っていたり、これから大きく成長する可能性だってたくさんあるんだ。

今日は自分に自信がない人の特徴や優れているところ、そんな自分を労ってあげる方法を紹介するよ。

「自信を持たなきゃ」と思わなくて大丈夫
 

自信に影響する3つの心理

自信を持つための方法として、よく「自己肯定感」や「自己効力感」という言葉を聞くことがあるんじゃないかな。3つとも似たような意味を持つ言葉だけど、心理学的に考えるとそれぞれ違いがはっきりしているんだ。

まずは3つの違いを知って「自分に自信がない」ことを整理していこう。

自己効力感は「これならできる」という予感

自己効力感は心理学者のアルバート・バンデューラ氏によって提唱された概念だよ。バンデューラは自己肯定感を「自分は<この特定のタスクができる>と信じられる感覚」としたんだ。

何か新しいことを始めるときに、根拠はないけど「できそう」と思える感覚だね。逆に自己効力感が低いと、やったことがないことでも「できるわけない」と考えてしまいがちなんだ。

自己効力感が低い人は失敗することを恐れる傾向が強く、タスクに向かうときに不安が影響して十分な努力ができないことで失敗する確率が高くなり、さらに自己効力感が低くなる負のループがあると言われているよ。

長年ソリに乗ってたからスノボーもできると思っとったわい
 

自信は「なんとなくOK」な気分

自己効力感が特定のタスクに対して「できる」と思える感覚である一方、同氏は自信を「<より広い物事においてできる>と信じられる感覚」としているよ。

たとえば、留学経験のある人が外国企業と英語でやり取りすることに自信を持つのは「自己効力感」で、同じ人が英語圏ではない国に旅行に行っても「なんとかなるだろう」と考えられることが「自信」なんだ。

自己効力感も自信も過去の似たような経験や関連するスキルを元に「できる」感覚がつくられるけど、小さな成功体験が自己効力感を育み、自己効力感の数が増え幅が広がることで、自分に対する全体的な自信に変わっていくんだよ。

よくわからないけど、いっちょやってみますか
 

自己肯定感は「ありのままの自分で良い」と思える感覚

自己肯定感も似たような言葉でだけど、実はその意味はだいぶ違っているよ。自己効力感と自信が「何かをできる」と信じられる感覚である一方、自己肯定感は「ありのままの自分を肯定できる」感覚で、何かができるとかできないというのは関係ないんだ。

もちろん自信がある方が自分を肯定しやすいけど、自己肯定感はできる・できないを超えて「できない自分でも価値がある」という領域にまで達することなんだね。

自己効力感と自信はできる感覚を増やすことだけど、自己肯定感は別の話。むしろできないことでも受け入れることだから、しっかり分けて考えていこう。

自己肯定感を高めたい人は、こっちのページで詳しく説明しているよ。

あんまりうまくはないけど僕はこれでいいの
 

自信が持てない原因がわかるチャート

自信は「自分はできる」という感覚で、その感覚をつくり出すには思考・行動・経験の3つが結びつき、正にも負にもサイクルを作っているんだよ。

上のチャートからもわかるように、自分に自信がないという<思考>は、やるべきタスクに集中できず好ましい<行動>ができなくなり、その結果成功したという<経験>が得られないことで、「自分なんて何やってもダメなんだ」という<思考>が生まれる…という負のループができ上がるんだ。

自信がない人・ある人の特徴

自分に自信がある人とない人の行動の違いを一覧にしてみたよ。

自信がある人と比べて自信がない人は、自己評価が低いだけでなく、他者からの評価が低くなるようなふるまいをすることで、さらに自己否定的な思考に陥る傾向があるんだ。

自信がない人が注意したいこと

自信がない人が注意すべきことは『謙遜』しすぎることなんだ。謙遜は他者を尊重するために自分の価値を低く見積もる日本の美意識のひとつだけど、自信がない人は謙遜しすぎる傾向があって、そこには2つのリスクがあるよ。

ひとつは基本的に謙遜は「自分に自信がある人が傲慢にならないため」の行為だから、自分に自信がない人が謙遜すると「自己否定」になり、自己評価を上げるチャンスを失いかねないんだ。

もうひとつは、日本には謙遜する文化があると同時に、謙遜したことを否定してあげる礼儀もあるため、あからさまな謙遜は相手に対して否定することを要求し、コミュニケーション自体を面倒と思わせてしまう可能性があるんだよ。

たとえば友達に「その服よく似合っててかわいいね!」と褒められたときを考えてみよう。謙遜して「えー◯◯の方が似合うよー」と謙遜したら、相手は『だよねー』とは言いにくいよね。『そんなことないよ、すごく似合ってるよ』と言わなければ相手を傷つけてしまうだけでなく、自分が傲慢な人間と思われてしまうかもしれないもんね。

ただ、こういうやりとりが多くなってしまうと「あの人褒めるの面倒くさい」と思われてしまい、良い評価をされなくなることだってあるかもしれないんだ。

相手からの評価を素直に受け入れることは、自信を生むだけでなくコミュニケーションを円滑にし、自分も友達の気持ちも大切にすることになるんだよ。

いやいや、王様の役なんて無理っすよ〜そんな器じゃないし準備だって何もしてないっすから〜
 

自信がない人が秘めている力

自信を持てたらもっと色々なことが楽にできると感じるかもしれないけど、自信がない人にはない人にしかない力があるし、実はその力で誰かを幸せにしてるんだ。

自分では気づきにくい「自信がない人が持っている力」を教えるよ。

信頼される

自分に自信がない人は共感力が高く、周りの人に対して受容的、且つ協力的であることが多いから、場の雰囲気を柔らかくしたり、実は心の拠り所にされたりするんだよ。

スタンフォード大学の研究では、人からもっとも信頼感を得られる特徴を「正直さ、寛大さ、同情的、謙遜」であると定義したんだ。自分に自信があったり自己主張できることは、本人や組織の成功をもたらすかもしれないけど、成功と信頼は同じではないんだよね。

ただし、人から信頼されることが目的になっちゃうのは要注意だよ。どういうことかというと、信頼されるために謙遜したり寛大でいようとするのは、信頼を得ることが一番の目的になってしまい、他者から信頼されるために必要な「正直さ」が損なわれることになるんだ。

つまり、人からの信頼は無私から湧き出る誠実さが重要で、自分に自信がない人は誰かに信頼されようと意図するのではなく「自然と謙虚でいたり謙遜できる」から信頼されるということなんだよ。

あらゆる言動をほめる人は信頼に値しない。間違いを指摘してくれる人こそ信頼できる。by ソクラテス
 

石橋を叩ける人は貴重

自信がある人は行動力がある一方、リスク管理においては一抹の不安が残るよ。その点、自信がない人は慎重に考え行動できるから、実は組織や友達関係でも多くの人の危機を救っている場合があるんだ。

営利企業の場合、自信がある人は営業に向いていて、どんどん自社製品をアピールして契約を取り、収益を上げるのに貢献するけど、それは他のさまざまな職種の人の下支えがあってこそできることだよね。会議では新しいアイデアで販路を拡大しようとする一方、その過程で予想されるリスクを排除できるのは堅実な管理職がいるからだし、会社の活動自体を維持できるのは経理担当が毎日数字と格闘してくれているからなんだ。

「すごく心配性で自分の決断に自信が持てない…だから何回も見直ししなくちゃいけないからすごく疲れる」ていう人は、裏では『仕事でミスに気をつけてくれるのはあなただけ!』と上司に信頼されていることもあるんだよ。

職場だけでなくSNSやメディアを見ても、どうしても大きな行動や成果を出した人の方が目立つし認められやすい世の中かもしれないけど、誰もが誰かのために働き補い合っているからこそ、会社も社会も成り立っていることを忘れないでほしいな。

10000回も確認したのでたぶん合ってると思うのですが…
 

無限の成長力

仕事のやり方に自信が持てないことが自分の短所だと思っている人もいるんじゃないかな。自信を持てたらもっと仕事もできるようになるし、もっと色々なことに挑戦できそうな気もするよね。

でも、自信がないからこそ素直にアドバイスを吸収できることもあるんだよ。「自信がない」の反対は「自信がある」だし、「謙虚」の反対は「傲慢」だよね。

自信があっても傲慢な人は自分のやり方を信じて通すけど、たとえ今はそれで成功していても新しい学びは少ないんだ。逆に自信がない人は、自信がないからこそどうやったら成功するだろうと考え、人の話を聞いたり真似たりするから、まだ目覚めていないのびしろが無限に眠っているんだよ。

自信がない人は「リスク管理ができて、人に信頼されていて、たくさんのインプットが蓄積されている」。これだけでも十分価値あることだけど、このポテンシャルを発揮するために大事なことを次で説明するよ。

のびしろしかないわ♪
 

自信がない本当の理由

自信は「何かができた」という成功体験が積み重なることでつくられ、自信があるからこそ新しいことにも挑戦できて、そうすることで新たな成功体験が自信を強化していくことを説明したよね。

S・ロペス氏とC・スナイダー氏は書籍の中で、「自信がないことは<疑い>と同じである。自分の能力を疑ってしまうと行動を始める前に成功するための努力を思いっきりできなくなる」と言っているんだ。つまり、憧れる仕事に就きたいと思っても、自信がない人は「どうせ無理だろう」と自分を疑うことで応募すらしなくなってしまい、応募しなければ当然採用される可能性はゼロになるということなんだね。

もちろん自信がないからこそ行動するのが怖いし、「行動できるなら最初から自信ないことで悩まないよ」と思うよね。ここで大事なのは「行動しよう」ということではなく「自分を大切しよう」ということだよ。

自分が劣っていると感じる劣等感から少し目を離して、自分を大切にする時間を持つこと。自信があってもなくても、うまくできてもできなくても自分を労ってあげる時間を持つことが、自信がない人が持っている秘めた力を発揮するのに役立つんだ。

次は自分の具体的な労わり方を紹介していくよ。

頑張らないでまずは自分を大事にする
 

自信回復のステップ①:身体と心を整えるセルフケア

自信がない人は「なんでこんなに気持ちが弱いんだろう」とか「もっと強くならなきゃいけない」と、無理やり心をマッチョにさせなきゃいけないと思いがちなんだ。

心の前に、まずは自分の身体や時間に気を遣ってあげる物理的なセルフケアからやってみよう。

目に見える自分をケアする

まずは自分の目に見える部分をケアしてあげることから始める方が負担が少なくておすすめだよ。

特に定期的な運動は自信を持つのに役に立つと言われているんだ。アメリカ心理学会は適度なエクササイズが気分を良くするとし、6ヶ月間の実験の結果、定期的に運動していたグループの参加者は、外見上の自己イメージと精神的な不調が劇的に改善されたことが報告されているんだよ。

運動だけじゃなく、健康的な食事も自信や自己肯定感を高めることが研究で示されているし、十分な睡眠は楽観的でポジティブな考え方に良い影響があると言われているんだ。

掃除も目に見える部分のケアです。しかもカフェオレ一杯分くらいカロリー消費できます♪
 

雰囲気を変えてみる

ヘアースタイルや洋服は他者から見える自分の印象を変えることに役立つけど、実は自分自身への印象にも無意識に影響している可能性があるよ。

社会心理学者のアダム・ガリンスキー氏の実験では、白衣を着た参加者は普段着の人より詳細な部分に注意を払うようになったんだって。つまり、人は医者のような洋服を着ると医者のようにふるまう可能性があるということなんだ。

自信がない人が慎重で、自信がある人を大胆とすると、一番の上のシャツのボタンを一つ外してみたり、赤や黄のような主張の強い洋服や小物を身に付けると、もしかしたらいつもより少し自信のある行動ができちゃうかもれないね。

この格好で会社で行くようになってから粘り強くなった気がします
 

自信回復のステップ②:自分の人生を優先するセルフコンパッション

身体や自分時間に優しくすることができたら、次のステップは自分の心に優しくしてあげる精神的なセルフコンパッションだよ。

自分を否定する環境と距離をおく

人は周囲の環境に影響される生き物だから、もし自分に自信が持てないとしたら、周りにネガティブな人が多かったり、自信をなくさせるようなことを言う人が近くにいる可能性があるよ。

急性期病棟で心肺蘇生をしている際に患者の家族が同席することに対する実験では、自分に自信がない看護師は家族が同席することを業務の妨げになると回答する人が多かった一方、自信がある人は家族が現場に同席することを認めポジティブに感じる人が多かったんだ。

つまり、自分に自信がない人は思考や発言がネガティブになりやすく、周囲の人の存在を肯定的に見れないため、その場にいる人にも否定的な印象を与えてしまうということなんだね。

自分の優位性を保持するためにマウンティングしてくる友人や、自分のやることに細かく口出ししてくるような親がいる場合は、思い切って距離を置くことも必要だよ。

出ていけ〜
 

インポスター症候群を克服する

インポスター症候群は、成功したり人から褒められても「周りを騙しているんじゃないか」と不安になってしまう状態を指すよ。

せっかく自分のしたことで良い評価をされても受け入れられないと、自信もつきにくくなってしまうよね。

インポスター症候群が発動したときのことを記録したり、自分ができた事実を書き出すことなどを続けることで、「これは自分の力で掴んだもの」と思えるようになって自信にも繋がるよ。

インポスター症候群について詳しく知りたい人は、こっちのページを見てみてね。

何をしてもわたくしがいけないように感じてしまいます
 

成功しなくてもいい

自信がある人は積極的に行動できるから成功する機会が増えることは説明したよね。だからといって必ずしも自信があるから成功するわけではないし、自信を持って行動してもうまくいかないことだってあるはずなんだ。

成功は自分に自信をつけるための必要要素だけど、絶対要素ではないんだよ。成功し続けなきゃ自信を持てないなんて、それこそ失敗を恐れて萎縮しちゃうよね。

「8割できても100%でなければダメ」と思ってしまうような完璧主義タイプの人も自分に自信を持てない場合が多いけど、完璧主義は自信を損なうだけでなく成長を妨げたり、仕事自体に時間がかかる場合も多いから注意が必要なんだ。

大事なのは勇気や覚悟を持って何かに挑んだこと。もちろん成功すれば自信にもなるし安心するけど、失敗だってこれから訪れる成功までのプロセスなんだよ。

101回目がダメでも102回目がある
 

隠している自分を共有する

成功や挑戦は自信を育んでくれるけど、必ずしも自信は自分ひとりの努力や力で獲得するものではないよ。

自信がないと思っていることやその気持ちを誰かに話すことで、「自信がない」という自己イメージを変えることができるんだ。

臨床心理学者のシドニー・ジェラードは、自分の情報を相手に伝える自己開示が多いほど精神的な健康も高いと指摘しているよ。趣味や性格を誰かに聞いてもらうだけでも自己肯定感が増し、自分の状況や気持ちに共感してもらえると「認められた」感じがして自信につながるということなんだ。

つまり、自己開示することで自信がない自分を隠すために割いていた内側に向けたエネルギーを外側に向けられ、誰かに共感してもらえることで自信がない自分を認められるようになるということなんだね。

それに、評価されることが多い今の社会では、自信がないことを隠して悩んでいる人もたくさんいるはずだから、自己開示することは自分を楽にするだけでなく、同じように苦しんでいる誰かを助けてあげられるかもしれないんだ。

もちろん自分のことを伝えるのは怖いし勇気もいることだから、誰にでも伝えられるわけではないよね。「この人に、これくらいなら話せる」と思えるところから、少しずつ話していくのがポイントだよ。

こんなんでもいいだ…話してよかった。
 

もっと自分を大切にしていい

頑張ること、成功すること、自分に自信を持つことはいつも比例するわけではないから、「自信がない自分が成功するためにはもっと頑張らなきゃ」なんて思わなくて大丈夫だよ。

自信がない今のままでも誰かの役に立っているし、自信がないからこそ多くの魅力と成長できる可能性だって潜んでいるんだ。

まずは、自分を大事にしてあげる時間をつくることから始めてみてね。

自信がない自分にも優しくできますように。
 

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