自分が困っていることをアピールしたり、誰かを見つけては自慢話ばかりする人って、みんなの周りにもいるんじゃないかな。そういう人と関わるのって、少しめんどうだったりもするよね。
かまってちゃんとは、過度に他人の注目を得ようとすること。実はかまってちゃんは、自分でも行動をコントロールできないくらい不安な状態なんだ。その不安が不適切な形で行動化されると、人間関係にトラブルが起きやすくなってしまうよ。
そんなかまってちゃんがもっと安心して生きられるようになるためのキーワードが、「“かまってアピール”を相談に変える」ことなんだ。
この記事ではかまってちゃんの本質的な心理や特徴を通して、「周りにかまってちゃんがいる場合の対処法」と「自分がかまってちゃんになりそうなときの対策」の両方を解説していくね。かまってちゃんを「無視したいな…」と思ったときの接し方も「対処法」を参考にしてみてね。
目次
かまってちゃんの心理
かまってちゃんは一般的には、日常会話などで使われる精神的・心理的な状態を指す言葉なんだ。ネット上や人々の共感のなかで生まれたいわゆる「スラング」で、明確な定義は無いよ。
津田塾大学の松崎氏によると、かまってちゃんは他者に対して過度に依存した、病的に執着するような人や状況に対して用いられることが多いと説明しているよ。その上で「他者に対する執着や依存の度合いが過ぎると、社会に上手く適合できなくなってしまう」といった点で、メンタルヘルスの問題と絡められていると指摘しているんだ。1
かまってちゃんが他人に依存と執着をしてしまう理由を見ていこう。
承認欲求
承認欲求は「他人から認められたい」という願望だよ。かまってちゃんが自分に注目を向けようとアピールするのは、自分の存在を認めてもらうための努力なのかもしれないんだ。
ただし、アピールが多かったりしつこいと、逆にうんざりされちゃうよね。下がってしまった自己評価を上げるために、さらにアピールして…という悪循環に陥っちゃうんだ。
承認欲求について詳しく知りたい人は、下のページを見てね。
見捨てられ不安
見捨てられ不安は、精神科医のマーガレット・S・マーラーによって提唱された概念で、「ある対象に見捨てられることに関する過剰な不安」と定義されるよ。つまり、事実かどうかに関わらず「自分はきっと見捨てられる」という信念を強く持っている状態なんだ。
見捨てられ不安になる原因はいくつかあるけど、幼少期の家庭環境や、友人や大切な人から見捨てられた経験が影響していると言われているよ。
見捨てられるかもしれない不安が、ひとりでいることへの恐怖を強めてしまい、誰かのそばにいて構ってもらおうとしちゃうんだ。
でも、見捨てられ不安は一時的に構ってもらったり誰かのそばにいることで解消されるような性質のものでもないから、結局かまってちゃんの不安やアピールが止まることはないんだ。
かまってちゃんの特徴
かまってちゃんの行動にはいくつかの特徴があるよ。ポイントは、自分の欲求を自分で満たすのが難しく、他人を必要とすることなんだ。
嘘をつく・話を大げさにしようとする
かまってちゃんは人に依存している状態だから、会話は出来事や思いを伝えるのが目的ではなく、聞いている人の意識を自分に留めておくことが目的になっている場合が多いんだ。
事実や考えを伝えることが目的なら、そのまま伝えるだけで目標は達成されるよね。でも、注目を自分に留めておくことが目的の場合は、話を正確に伝える以上に、相手の関心を引くことが重要になってしまうんだ。
そのために、事実を誇張したり些細なことを自慢したり、繰り返し尋ねるような行動をせざるを得ないんだね。
頻繁に体調不良をアピールする
少しの切り傷にうろたえたり、具合が悪いことを繰り返し訴えるのも、相手の注目を自分に向けるためにしている場合があるよ。
病気や生死に関わるようなことだと、伝えられた相手も心配せざるを得ないよね。かまってちゃんは、過去の経験からどうすれば自分の方を見てくれるかを感覚的に覚えることで、注目を集める方法に活用してしまうんだ。
求めているものがわからない
かまってちゃんは他人の注目を得ようとしている一方、注目を得て何を満たしたいのかはよくわかっていない場合があるよ。
たとえば、恋人同士で愛情が欲しいのであれば「私のこと好き?」って言葉で確かめられるよね。でも、かまってちゃんは求めているものが具体化されていないから、とりあえず注目されたいと思ってしまうんだ。
問題になるのは、求められているものが分からないから、注目を得ようとするふるまいに対して、どのように反応していいか分からなくなることだよ。どうしたらいいか分からないからめんどくさくなってしまうし、本人も望んでいるものがいつまで経っても満たされない悪循環のコミュニケーションになってしまうんだね。
かまってちゃんがめんどくさいと思われる理由【男女共通】
かまってちゃんと関わるのはすごくエネルギーがいるし疲れるよね。でも、実は誰もがかまってちゃんと同じような気持ちを持っているんだよ。
かまってほしい気持ちは正常
構ってほしい気持ち自体は何も問題ないよ。退屈なとき誰かと遊びたかったり、良いことがあると誰かに聞いてほしかったりするよね。
人間は社会的な生き物で、かまってちゃんも「自分の気持ちを誰かとシェアして分かち合いたい」という欲求が根底にあるんだ。
気持ちの表し方が問題
かまってちゃんがめんどくさいと思われるのは、自分が言ってほしい言葉を相手に言ってもらおうとする態度や言動にあるよ。
たとえば、体調不良アピールは相手から「大丈夫?」と優しい言葉をかけてもらいたいときだったりするし、他の異性の存在をアピールするのは、相手の愛情を確認したいときだったりするんだ。
こういった行動は、かまってちゃんの言葉に疑いを持ったり、本心を探らなきゃいけないことになってしまい、「めんどくさい」と思われる原因になってしまうよ。
疾患である可能性
構ってほしい気持ちは誰にでもあることだけど、場合によっては精神的な症状が含まれている場合もあるよ。
感情や対人関係の不安定さは、境界性パーソナリティー障害と類似する部分があるし、周囲の関心や同情を引くために過度に病気を装ったり自らの体を傷付けたりする行動は、ミュンヒハウゼン症候群(虚偽性障害)と共通する部分があるんだ。
著しく日常生活や精神衛生に影響が及ぶようであれば、医療機関や専門家に診てもらうこともためらわないでね。
自分がかまってちゃんになりそうなときの対策
寂しさや誰かに関わりたいという気持ちは決して悪いことではないよ。
ただ、かまってほしい気持ちを不適切な言動や行動で表してしまうと、相手を困らせることになるよね。安心できる反応を相手から得られないと余計に不安になってしまい、かまってほしいモードが強化される、ということが問題なんだ。
相談できるようになる
自分の不安感をアピールする代わりに相談することで、もっと健康的な人間関係をつくれるし、もっと自立できるようになるよ。
「相談」は自分の悩みを解決するために人の力を借りること。「アピール」は自分の悩みを誰かに解決してもらおうとすることなんだ。つまり、誰かに何かをしてもらおうとする姿勢が、相手に対する依存になり、依存される方からすると「めんどくさい」と感じることになるんだ。
何か不安なことがある場合は、そのまま自分の気持ちを相談してアドバイスを求めることで、相手からのサポートも受けやすくなるはずだよ。
自分の寂しさや孤独をうまく相談できない人は、下のページで上手に人に頼る方法を説明しているよ。
「相談する人なんていない」、もしくは自分の気にしていることを知ってる人に話すことに抵抗がある人は、医療機関や専門家によるカウンセリングも利用してみて。どんなところでどんな相談ができるかは、下の記事でまとめているから参考にしてね。
ひとり時間をつくる
大切な人との関係を維持し自分を守るためには、短時間でいいからひとりになる時間をつくってみるのが役に立つかもしれないよ。
ルーヴェン大学の研究では、人の感情を27種類に分けて、それぞれの持続時間を調べたんだ。悲しみは3日、不安は1日持続する一方、ストレスや苛立ちは3時間以内で収まり、恐れは30分程度で消失したんだって。
誰かにかまってほしいときはひとりになりたくないときだと思う。でも、感情のまま行動した結果愛情や安心が得られず、より不安感も増してしまい、さらに誰かを必要としてしまう可能性があるよね。
ひとりの時間をつくったんだ、という既成事実をつくって自信に変えてみることが大事。まずは1分、次は5分…みたいな感じで伸ばしていこう。
【知り合い・同僚】かまってちゃんの対処法
職場や知り合いにかまってちゃんがいて困っている場合は、何より適度な距離感で関わることが大事だよ。
無視ではなく「簡潔に」接する
かまってちゃんと関わるのが難しい理由は、親切にすることで心理的距離がどんどん近くなってしまい、接触回数も増えて依存関係になりやすいことだよ。
家族や恋人など大事な人の場合は、安心感を与えてあげたり上手に関わることが必要かもしれないけど、会社の同僚や知り合いだったら、簡潔に接するのが一番。
「必要なアドバイスをしたらすぐに自分の仕事に戻る」ような態度は、「自分のことは自分で満たせるようになる」といった自他の境界線を意識させることができるんだ。
はっきり伝える
今話しかけられると困ることや、自分ができることとできないことをはっきり伝えるのは、かまってちゃんに限らず人と関わるのに大切だよ。
困っている人に親切にしてあげるのは大事だけど、親切にしなくちゃいけない法律があるわけじゃないよね。困っている人の全部を助けなきゃいけないわけでもないよ。
今自分ができることだけして、「あとはできない」と伝えることで、自立的に人と関わることをかまってちゃんに知ってもらうきっかけにもなるんだ。
【恋人・家族】かまってちゃんの対処法
家族や彼女、彼氏がかまってちゃんの場合、一緒にいる時間が長く適度な距離感を保つのが難しいよね。ポイントなのは、<かまってちゃんじゃないとき>の関わり方だよ。
無視は逆効果
同僚や知り合いと違って、かまってちゃんを無視するとよりアピールが強くなるから逆効果になる場合が多いよ。これは、かまってちゃんには本来「自分のことを見てほしい」欲求があるからなんだ。
アピールが強いときは、まずは「そうなんだね」としっかり受け止めて、安心させてあげることが大事。
多くのカウンセリングや心理療法の技法でも、個人の変容を生むには「安全」と思える人間関係が前提にある、と言われているんだ。
ひとりで行動できる環境をつくってあげる
良い・悪い、成功・失敗の生まれにくい環境をつくってあげることで、かまってちゃんの気持ちを落ち着かせられるよ。
そもそも、かまってちゃんは自己肯定感が低く、自分に自信がない場合が多いんだ。誰かと関わり依存する関係は、他人との比較や評価を生みやすく、かえってかまってちゃんを強化してしまうこともあるよ。
好きなカフェで好きなものを食べる時間や、家でパズルに没頭するなど、ひとりでいる時間がかまってちゃんの心の平穏をつくってくれるんだね。
アピールがないときに注意を向けてあげる
かまってちゃんに安全や自信を感じてもらうには、感情的になっていないときにどれだけ注意を向けてあげられるかがポイントだよ。
実はストレス状態にあるときは、脳の合理的に考える部分の活動が低下しているから、アドバイスや相手の言葉を受け取りづらくなっているんだ。
かまってちゃんのアピールに対して、「大丈夫?」とか「ちゃんとできているよ」と優しい言葉で反応しても、本人にはあまり伝わっていない可能性があるよ。
かまってちゃんの調子が良いときこそ、ふだんの感謝を伝えたり、一緒にいれて嬉しいことを伝えてあげてね。
「かまってちゃん」のまとめ
かまってちゃんは、自分を満たすために他人が必要な状態だよ。同時に、依存的な態度が他人からの好意を失いやすくするため、人を求めれば求めるほど自分が孤立してしまうんだ。
かまってちゃんと薄い関係である人は、適度な距離感を保つことがポイント。
大事な人がかまってちゃんの場合は、ふだんから存在を認めて、本人の自己評価や自尊心を少しずつ回復させてあげよう。
今、誰かの評価や愛情が必要だと感じる人は、自分を守るためにも周囲の人との関係を大切にしてみてね。