「この前旅行に行ってきたんだけど〜。あ、LAね」
「これ◯◯の新作バッグなんだ〜」
こんなふうに、何気ない会話になんとなくアピールを感じてイラッとすることってあるよね。
人間関係において自分の優位性を確保しようとする態度や行動を「マウンティング」と言うよ。こういう人がいると気分も悪くなるし、話し合いが脇道に逸れてしまうことも起きるから厄介だよね。
今日はマウンティングしてくる人の特徴と心理を知って、なるべく自分もイラつかず、相手も傷つけずにやり過ごす方法を教えるよ。
目次
マウンティングとは?
「マウンティング」は動物行動学の中で使われている言葉で、本来は猿などの類人猿が自分の優位性を誇示するために後ろからまたがる行動を指すよ。
人間はさすがに相手の上にまたがったりはしないけど、言葉や態度によって相手を押さえつけようとする行為に類似性があるから、特に職場など上下関係が生まれやすい場面で使われるようになったんだ。
最近は友達同士でも使われたりするから、色々な場面で上下関係を気にしてしまう傾向があるのかもしれないね。
マウンティングする人の心理
自分はただ普通に会話したり相談したいだけなのに、マウンティングしてくる人って何かにつけていちいち嫌味な感じがあるよね。
なんでわざわざそんな意地悪な言い方をするのか、マウンティングする人の心理を見ていこう。
承認欲求
自慢話をするのは相手から褒められたり認められたいと思うからだよね。心理学者のアドラーは他者からの承認はいらず、自分で自分を認められていれば周りの評価は気にしなくなると言っているんだ。
マウンティングをする人も、もしかしたら認めてあげられない自分をどうにか保つための一つの行動として、自慢やアピールを繰り返しているのかもしれないよね。
自信がない
自分を認められないのだとしたら、自分の発言や行動にも自信を持てていない可能性があるよね。
良いところに旅行に行ったとか、良いものを買ったとか、少しでも周りの人から羨ましがられそうなことを自分の中に見つけたとき、自分の自信を勝ち取るために必死でアピールしているのかもしれないよ。
優越コンプレックス
優越コンプレックスはアドラーが提唱した心理学用語で使われる言葉だよ。自分が優れているようにふるまったり、手柄を自慢したりすることを指すんだけど、マウンティングする人とほぼ同じような行動なんだ。
マウンティングする人は承認欲求が強く自分に自信がないから、劣等感も強いと考えられるよね。アドラーは、問題になるのは劣等感ではなく劣等コンプレックスだと言い、劣等コンプレックスをなんとかしようとした結果の一つが優越コンプレックスだと言っているんだ。
つまり、「自分が劣っているかも」という思いだけだったら問題にはならないし、「じゃあどうやって成長しようか」と考えられれば劣等感もエネルギーになる。でも、自分が劣っている部分を変えるための勇気が持てず努力ができないときに、自分の劣等感を見ないようにしたりごまかそうとする状態が劣等コンプレックスなんだ。そのうちの一つが相手を見下そうとする優越コンプレックスでありマウンティングになるんだよ。
アドラーの心理学についてはこっちのページで詳しく説明してるから、ぜひ読んでみてね!
シャーデンフロイデ
「人の不幸は蜜の味」と言うけど、シャーデンフロイデはまさに「誰かが失敗したり不幸になったときに思わず湧き出る喜び」という意味の言葉なんだ。ドイツ語でshadenは「ダメージ」、freudeは「喜び」だから言葉の意味そのままだよね。
マウンティングする人は自分が上になる優越感と同時に、他人を引きずり下ろす快感も感じているかもしれないということなんだ。
ちなみに、シャーデンフロイデは人間に備わっている正常な感情とされる一方、心理学者のピエトラシュキビッチ氏とチャンブリス氏の研究では、抑うつが強い人ほどシャーデンフロイデを感じやすいと指摘しているんだよ。
マウンティングは自尊心の低さや自信のなさとも関係しているのかもしれないね。
マウンティングする人の特徴
自慢やアピールのすべてがマウンティングになるわけではないよね。重要なのは自慢やアピールが「その場の雰囲気」に沿っているかどうか。
ここでは、特に相手を不快にさせる代表的な行動を見ていくよ。
ステータス至上主義
マウンティングする人の会話にはステータスを示す言葉が多いよね。ステータスは社会的地位のことだけど、学歴、役職、身分、容姿などが含まれるんだ。
もちろん会話の内容がステータスに関係することなら違和感はないかもしれないけど、仕事の話のときに学歴をアピールするのは不適切だよね。それは仕事の質ではなく仕事をした自分のステータスで評価してもらおうとすることにもなるから、仕事に対する敬意を損なっていると思われかねないんだ。
所有物自慢
持っているものを自慢するのもよくあるパターンだよね。高級車、ブランド物のバッグ、広い意味での所有物で考えると付き合っている人の容姿や職業なども含まれるよ。
社会学にヴェブレン効果という現象があって、価格が高いものは質や機能にかかわらず「高いものを所持、消費している」という欲求の充足だけで売れるという傾向を指すんだ。マウンティングする人が持っているものを自慢するのも、持っているものから得る恩恵や利便性ではなく、持っていること自体に恍惚感を覚えているからかもしれないね。
持っている<もの>を自慢してくれれば、そのものについて関心を持ったり聞いたりできるけど、持っている<こと>を自慢されると「…それで?」とか「すごいね…」としか言えなくなっちゃうんだよね。
リア充アピール
休みの日に旅行に行ったことや最近始めた習い事、環境保護活動やボランティアなどは社会的に認められやすい活動だけど、別にそれ自体が優れているわけではないよね。
自分のしたことがリア充アピールとして相手に不快感を与えるかどうかも、そのときの会話の流れに沿ったものかどうか、そして自慢話に聞こえるかどうかが重要だよ。
確かに社会的な地位があって、品質の良いものを持っていて、人生が充実していれば本当は幸せだよね。
でも本当に幸せなら他人より優位になるためにアピールしたりしないから、「それでもなお自分に満足できない」というところに、マウンティングする人の満たされない何かがあって、もしかしたら本人も苦しんでいるものがあるかもしれないんだ。
マウンティングされやすい人
マウンティングする人は誰に対してもできるほど自分に自信がある人ではないから、逆に下手に出ることで自分を守ることもあるし、人によって態度を使い分けるのが上手なんだ。
ここではどんなタイプの人がマウンティングされやすいかを見ていこう。
謙虚な人
謙虚な人はマウンティングする人とは対照的な人なんだ。
謙虚な人は自分をアピールせず相手を尊重してくれるから、マウンティングする人を気持ち良くさせてしまっているかもしれないね。
謙虚であることは大事だけど、行き過ぎてしまうと謙虚は自分と他者の境界線をあいまいにしてしまい、土足で乱暴に入ってこられる可能性があるから注意が必要だよ。
ライバルと思われている人
マウンティングが優位性を表す行動だとすれば、それは自分が優位になりたいと思っている人が対象になるよね。
つまり、自分が勝ちたいと思っている人。マウンティングしなければ負けると思っている人なんだ。
勝手に同じ土俵に上がらされて迷惑な話だけど、いかにその土俵から降りられるかということがポイントになるね。
相手が持っていないものを持っている人
マウンティングする人の特徴が人より優位に立つことだから、自分が持ってないものを持っている人には意識が向かいやすいよ。
ライバルと違うのは、「自分が持っていない」と自覚している分、アピールは減るけど引きずり下ろそうとする攻撃性が強くなること。
妬まれているだけと考えられれば良いけど、あまりにしつこかったりするとそれこそ巻き込まれてしまうよね。
次は具体的な対策を見ていくよ。
マウンティングされたときの対処法
マウンティングする人と関わるのが辛いのは、怒ったら余計トラブルになって損しそうだし、だからって聞いているだけだと苛立ちが積もってしまうことだよね。本当は距離を置けると良いんだけど、同じ職場や仲の良い友達グループにいると無視するわけにもいかないし…。
相手をその気にさせず、かと言って悪い気にもさせず、イライラを抑えて大人な態度でいられる方法を教えるね。
スルーする
マウンティングする人の目的は人より優位に立ち他者から認められることだよね。自慢話を褒めてあげたり、アドバイスしてくれたことに感謝すれば本人はきっとある程度は気が済むんだと思う。
難しいのは、褒めることでずっと同じ話が続いたり、感謝することでその後も頻繁に同じようなことを言ってくるのが続いてしまうことだよね。
スルーは無視することではなく流すことで、自慢や好戦的な態度に反応せず、相手が自慢できた満足感を得られつつ早く会話を切り上げる方法だよ。
状況に合わせて活用できるフレーズを紹介するので参考にしてみてね。
牽制する
牽制はこれ以上マウンティングされないように、不愉快な気持ちをそれとなく伝えてわかってもらう方法だよ。
ポイントは相手の言っている「内容」について意見をしたり評価するのではなく、言っていること「そのもの」に対する感想を伝えるのが、深みにはまらず波風を立てないコツなんだ。
【例】
友達の一人がこの前のヨーロッパ旅行で見たことや食べたものを自慢している。
■話している「内容」についてコメントする場合
「すごいなー。ヨーロッパ行ってみたいなー」
→ さらに自慢話が続く。
■話していること「そのもの」についてコメントする場合
「◯◯さんって自慢できる話が多くて羨ましいな〜」
→ すごいことを認めつつ自慢話が多いことをさりげなく指摘できる。
冗談っぽく言う必要があるし、目上の人には失礼になるかもしれないけど、さらりとかわしつつ牽制できるのがメリットだよ。
味方と思わせる
マウンティングしてくる人は相手をライバルと感じているという話をしたよね。だったら味方と思わせることで回避することも役に立つよ。
ベンジャミン・フランクリン効果は、「自分が助けてあげた人を好きになりやすい」という心理法則を指すんだけど、人には頼みごとをしてきた相手を助けることで、自分が「助けた」という<行動>とそのときの<感情>を一致させるために、相手を「好き」だから「助けた」と無意識に考える傾向があるんだ。
ベンジャミン・フランクリン効果を活用すると、たとえば上から目線でアドバイスしてくる人に対して「わからないことがあるんで教えてもらってもいいですか?」と聞くことで、この人は味方だ、という感覚が醸成されマウンティングされなくなる可能性があるんだよ。
それに、自分の知っていることだけをアピールしてくるのがマウンティングする人の特徴だから、自分の知らないことまで聞いてくるような人には、逆に近づかないでおこうと考え始めるかもしれないよね。
「マウンティングする人」まとめ
マウンティングする人は自分に自信がなく、他者からの承認欲求を満たすために、自分が努力するのではなく今あるものをアピールすることで認められようとする人、もしくは相手をひきずり下ろすことで優位性を保とうとする人だよ。
話に乗っかってあげるとエスカレートするし、否定するとさらに過激になるし、かといって無視し続けるにもストレスを我慢しなければいけないから厄介だよね。
でも、マウンティングする人だって自分を受け入れられないでいるし、実は気づいていないだけで本当はマウンティングをしたくないと思っている人もいるかもしれないんだ。すべてを理解してあげる必要はないけど、誰だって今の自分のままで良いのか不安だし、どうにか自分を満たしてあげたいと思っている、ということは心のすみっこに置いておいても損はないと思う。
マウンティングする人もされる人も、みんなが自分も他人も大事にできるような世界になったら良いよね。