人と関わるのは嫌だけど心理学や精神に携わる仕事がしたい

2023.06.04 Sun

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回答したカウンセラー

小野寺 リヒト

臨床心理士/公認心理師

小野寺 リヒト

臨床心理士・公認心理師。FP2級所持。
医療機関や一般企業の産業保健事業部等での勤務経験があります。心の悩みが気兼ねなく相談できたり、セルフケアの重要性が浸透した世の中になってくれたらいいなと思っています。読書と料理が好きです。
【得意な相談】
〇気分の落ち込みや不安に関する相談(上手な気持ちの切り替え方、最初の一歩になる行動の踏み出し方等)
〇人間関係に関する悩み(パートナー・親子・職場関係・友人等)
〇お金の相談(ついお金を使ってしまう心理、貯蓄・節約のこと等)

「人と関わるのは嫌だけど心理学や精神に携わる仕事がしたい」の相談内容詳細

相談者
相談者 レル
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
心理学や精神に関してすごく興味はあるし勉強するのが好きなものの、将来仕事にするとしたら人と話したくないけど、回避もできないしどうしたらいいか分からない。
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
不安30%、焦り70%、諦め10%
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
私は精神に関することや心理学にものすごく興味があり独学で勉強も多少していて、将来はそういう道に進もうかな と思ってます。

ですが私は人と話すのが苦手で、話してる最中で話が噛み合わなくなったり、ずっと聞き手に回って全く喋らなくなったりしてしまい会話に苦手意識を持ってます。焦ると言葉が連続してでる(つ、つ、つまり…みたいに)のでそれも合わせて話すのは好きでは無いです。

人と話さずに勉強だけをずっとしてたら満足なのでますがこれって大丈夫なんでしょうか。ちゃんとした仕事につけるのでしょうか…。
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
第2ヶ国語で喋ってるためそれも加わって難しいのかもしれません。
そもそも人と関わらなきゃ行けないということ自体間違った知識の可能性も否めません…すみません。
いま専門家に聞いてみたいことは?
精神や心理学に関する仕事で人と関わる機会の少ない仕事ってあるのでしょうか。
無い場合は人と話すのが上手になるためにはどうしたらいいのでしょうか…
年齢、性別、職業
学生
既往歴
--- 未回答 ---
悩みの内容の自由記述
--- 未回答 ---
相談者 レル さんの自分史

自分史はまだありません。

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「人と関わるのは嫌だけど心理学や精神に携わる仕事がしたい」への回答

  • レル さん、ご相談をよせてくださりありがとうございます。臨床心理士・公認心理師の小野寺です。

    「人と関わるのが嫌だけど精神に関わる仕事がしたい場合どうすればいいのか」とのお悩みですね。

    仕事につけないならつけないで「勉強だけをずっとしてたら満足」な一方、できれば仕事としてやっていきたいとのことでしょうか。

    とても難しいご質問だと思います。そもそも「心理学や精神」は「人の心」を扱った学問ですから、人とのかかわりが必須になってきます。ゆえに、「精神や心理学に関する仕事で人と関わる機会の少ない仕事ってあるのでしょうか」の疑問に関しては「なさそう」と言わざるを得ないかもしれません。

    しかし、「精神に関わる仕事」の「関わる」を、「使う」と「活かす」とに詳しく分解して考えれば答えが異なってきそうです。

    つまり、心理学を使った仕事、たとえばカウンセリングなどの仕事は人とのやり取りが必須なので レル さんには難しいかもしれませんが、心理学を活かした仕事であればたくさんの可能性があるでしょう。

    ここで「心理学の知見を活かせるけど、それほど人と関わらないで済む仕事」としてパッと思いつくのはマーケティングとデザインの仕事です。それぞれどう心理学が活かせるかを見ていきます。

    といっても私はマーケティングの仕事もデザインの仕事も専門にしているわけではありませんので、これから述べることは「マーケティングやデザインのこういう部分に心理学が活かせるかも」という指摘であり、「心理学を学んでいればマーケティングやデザインの仕事で困らない」ということを100%保証するものではありません。その点ご容赦ください。

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    まずはマーケティングにどう心理学が活かせるのかを考えてみましょう。

    「経営学の父」「マネジメントの権威」とも呼ばれる経営学者ピーター・ドラッカーは『マネジメント【エッセンシャル版】』の中でこのような言葉を残しています。

    「マーケティングの理想は、販売を不要にすることである」

    つまりマーケティングとは、商品やサービスが自然に「売れてしまう」状態をつくることなのです。

    この状態を作り出すのに、人間心理に詳しいことは非常に有利に働きます。一つ実験をしてみます。 レル さんも考えてみてください。

    1,000円のオーブントースターと1,500円のオーブントースターがある。
    機能はほぼ一緒。現状は1,000円のオーブントースターが売れている。
    1,500円のオーブントースターが売れるようにするには、どうしたらいいか?

    色々と答えは考えられるかと思います。

    「1,500円のオーブントースターのCMをうつ」
    「販売員に1,500円の方をお客に勧めるように指示する」

    しかし、それは「自然に「売れてしまう」状態」とはいいがたいですね。

    ここで心理学の出番です。「人は真ん中のものを選びがち」という「極端の回避性」ないしは「ゴルディロックス効果」を知っていれば、簡単に「自然に「売れてしまう」状態」をつくることができます。

    心理学に基づく答えはこうです。

    「2,000円のオーブントースターを用意する」

    2,000円という値段はもののたとえですが、とにかく3つのオーブントースターを並べたとき、1,500円のオーブントースターが真ん中の値段になるようにもう一つオーブントースターを用意するのです。

    人は極端を嫌うので、1,000円、1,500円、2,000円の商品が並んだら、つい真ん中の値段のものを手に取ってしまいます。

    この心理を知っていれば、高いお金を出してCMしなくても、販売員を配置しなくても、簡単に売れる仕組みを創ることができます。

    もしこういったマーケティングや心理学に興味がおありでしたら、行動経済学を学ばれると面白いかと思います。

    広告チラシは心理学の宝庫

    人が「美しい」「見やすい」と思う心理には、ある一定の傾向があります。

    百聞は一見に如かずです。早速次のイラストを見てみてください。左右のどちらの方がスッキリして見えますでしょうか。

    書いてある内容は全く同じでも、右の方がスッキリして見えるのではないでしょうか。

    左右の違いは文字の間隔にあります。左のデザインは商品名と値段が離れており、その結果「70円」なのがコーラを指しているのかソーダを指しているのかパッと見では分かりにくくなっています。

    一方、右のデザインはコーラの絵と「コーラ」という表記と値段が近接し、少し離れたところにソーダの絵、「ソーダ」、値段が近接して配置されているので、何がいくらかがとても分かりやすくなっています。

    このような人の物事の「見え方」を研究している心理学に「認知心理学」があります。

    デザインの4原則として近接・整列・反復・対比があると言われていますが、どれも「人がどのような規則性を美しい・見やすいと感じるか」に関係する原則になっています。

    もしデザインに興味があれば、これは心理学の本ではないのですが『ノンデザイナーズ・デザインブック』を読まれることをお勧めします。

    以上のように、マーケティングやデザインの仕事は直接心理学を使った仕事ではありませんが、心理学を十分に活かせる仕事であろうと思われます。

    「心理学に興味はあるけど、人と関わるのはちょっと…」と思われるのであれば、このような仕事ができないか検討してみてもいいかもしれません。

    好きなことが何かしらのお仕事につながるといいですね。応援しております。

    最後までお読みいただきありがとうございました。

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