職場=自分の価値と思ってしまい、自分を信じられない

2023.05.26 Fri

目次

回答したカウンセラー

小野寺 リヒト

臨床心理士/公認心理師

小野寺 リヒト

臨床心理士・公認心理師。FP2級所持。
医療機関や一般企業の産業保健事業部等での勤務経験があります。心の悩みが気兼ねなく相談できたり、セルフケアの重要性が浸透した世の中になってくれたらいいなと思っています。読書と料理が好きです。
【得意な相談】
〇気分の落ち込みや不安に関する相談(上手な気持ちの切り替え方、最初の一歩になる行動の踏み出し方等)
〇人間関係に関する悩み(パートナー・親子・職場関係・友人等)
〇お金の相談(ついお金を使ってしまう心理、貯蓄・節約のこと等)

「職場=自分の価値と思ってしまい、自分を信じられない」の相談内容詳細

相談者
相談者 ななくさ
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
今は離職中ですが、一・二社とも人間関係がうまくいかなかった。

職場の人間関係が一番怖く、注意されると自分自身の存在否定だと思ってしまい、自己否定が暴走して止まらない。
次の職場では悪目立ちしたくないし、人間関係や仕事を失敗したくない。
(プライベートだと人前で話すときは、話しかたに気を付けているが、相手に対して怖いとは思わない)

中学の頃から職場・社会に対する恐怖が強く「職場=自分のすべて」と考えてしまう。


(③に入力したかったのですが文字数制限があり、①に書きました)
自分を信じられなくなった出来事として、
学生時代に同級生から変わり者と言われて、そんな自分がかっこいいと思っていた。
社会人になっても職場でそのままの態度を取っていたため、一社目の上司から「周りが呆れて変わり者と言っているだけ」と言われた。

言われた当初は気にしていなかったが、上司との折り合いがつかず窓際職に移ったこともあり転職した。
二社目でも前職と変わらない態度を取ったら、職場で浮いていることに気づき一社目の上司が言ったことは間違いではないかもと思い始めたが、受け入れられなかった。

二社目で働いて数年経った頃、後から入ってきた人のほうが職場に溶け込めていたり出来がよかったりして、なぜ自分は職場に溶け込めず仕事ができないのかと思った。
仕事をこなせることが少なく、上司や同僚からこのままだと後輩に抜かれてしまうと心配された課題やアドバイスをもらい現状を変えようとした。

ですが空回りして余計ミスや不安感が増えたり、自分のために色々言ってもらったのに、自分の存在自体を否定されていると思ってしまい、耐えられず職場に行けない日があった。
その時に上司からお手上げと言われて、これ以上いるのは限界だと思い、二社目を退社した。
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
不安60%、人間不信50%、社会への不安50%、自分のダメさ加減60%
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
二社目を退社したことで、一社目に言われた上司の言葉を受け入れることができた。
過去を振り返ると、自分ばかり一方的に話したり、ウケを取らないと!と話していたり、ネガティブな話をしたりと相手のことを考えていなかったと思う。

おでかけを誘うのは自分からが多く、向こうから誘われないので、一社目の上司の言う通り友人たちはしょうがなく付き合っているだけだなと思った。


今はそんな自分を変えたいと思い、話を長くせずコンパクトに話したり、ネガティブなことは言わない(言ったとしてもコミカルに話す)、ウケを狙わない、相手に話を振るなどに気をつけている。

退職後、趣味の交流会がありそこに月一回通っていますが、幸いにもはぶられていない。
趣味の方々は私より年齢が高いが同じ趣味のため話しやすく、学生時代の友人と話すより居心地がいいと感じる。

ですが、その方々が優しくしているのは年下の自分に気を遣っているからであって、もし同世代だったら話を振ってもらえないだろうと思う。
みんなが優しいのはプライベートだからであって、職場なら厳しいと考えてしまう。

趣味会の居心地がよく、学生時代の友人に会いたくないと思うのは、
学生時代の友人たちは新卒からの職場で働いているのに、自分は二社目を辞めた無職ということから目を逸らしたくて趣味会に現実逃避したいだけだと思う。
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
職場を通じて、プライベートと職場の立ち振る舞いを区別することを理解していなかった。
自分の立ち位置を意識して行動した方がいいと学べた。

自分の価値を職場で測らなくていい?
過去の職場で言われたことを過度に気にしすぎている?

友人への対応を振り返ったとき、相手のことを考えていないことに気づくことができた。
アラサーなので、自分のダメなところに少しでも気づいてよかったと思う。

友人からの誘いがないのは、ただ単に仕事で疲れていてお出かけの予定を立てる余裕もないのかもしれない。
自分ばかり誘っていると思っても、自分を誘ってくれる人もいるし、自分ばかりという被害者意識のようですごい嫌だし、自分を誘っている人に対して失礼だ。
いま専門家に聞いてみたいことは?
「変人らしさ=自分の個性」と思っていた自分は発達障害によるものなのかもしれないと思うと、本当の自分は何なのだろうと思ってしまう。

「職場でダメなら自分はすべてがダメだ」という思考がちらついているため、どう折り合いをつけられるのか。
仕事でうまくいく時があると、その時は絶好調で自分に怖いものなんてないと思っていて、友人にも連絡を取れたりと、
あまりにも自分の気分が職場に依存しすぎているため、職場依存から脱却したい。

どうしたら人(特に職場)の恐怖心を和らげるのか。

自分はできると鼓舞しても時間が経つと不安が芽生えてしまう。不安をどう止めたらいいのか。(また、少しでも和らげる方法はありますか)
年齢、性別、職業
20代後半 女性
既往歴
ASDグレーゾーン(二社目を辞める前に診断)
診断がおりてよかったと思うが、完全に受け入れてられない自分もいる。

カウンセリング (二社目の上司に勧められた)
悩みとして、カウンセリング予約から当日まで一ヶ月空くためか悩みの大きさのタイムラグがある。
予約時には大きな悩みなのに当日近くになると大した悩みではなくなり、別の悩みがないかと探したり作り出す時がある。
また、本来話す悩みより新たな大きな悩みが出てきて新しい方を話してしまうこともあったり、相談しなかった本来の悩みがぶり返して不安が倍速する。
またカウンセラーの都合上、対面のカウンセリングができなくなってしまった。
家に自分の部屋がないため話辛い。
一人になれる空間を作るかワーキングスペースを借りるか考え中
(カウンセリング通いを親は知っている)

不安が止まらないときはジャーナリングをして気持ちを整理(心が軽くなることはあります)
悩みの内容の自由記述
今現在、前職場の失敗を不意に思い出したり、言葉に表せない不安なことが反芻し、不安が解消してもまた同じ不安がぶり返し、手につかない。

すぐ転職しても一、二社目と同じことが起きると思い、あえて離職期間を設けた。
精神的に参っていたため仕事を辞めてよかったと思うが、一年近く経つと社会に復帰できるのか不安になり、休んだところで根本的な解決にはならないと思った。

ココロジー様の記事を読んで思い当たることが多いです。
・学習性無力感(頑張ろうと思ってもどうせ無理)
・被害者意識(自分もやってもらっているのに、自分ばかり損している)
・かまってちゃん(ネガティブな話をしてしまう)
・意図的無知(仕事でイヤなことがあると考えることがフリーズする。堂々巡りをしてしまう)
・ネガティブ・ケイパビリティ・すぐに答えを探してしまう(仕事がうまくいかない理由をひたすら探していた。だけど実行することはなかった)
相談者 ななくさ さんの自分史
  • 30歳まで

    • 26

      『自分の個性(性格)=迷惑な性格』と気づくことができた。
      迷惑にならないことを心がけているが、ただこれからどのような振る舞いをしたらいいのだろう?と考えることもある。

      社会人になってから関わった人に『個性的と思っている、その性格は違うよ』『周りからどう思われているのか理解しよう』と言われて初めは受け入れられなかったが、やっと受け入れられたと思う。
      発達障害も関係している気がするが、それ以前に自分の性格自体に問題があると思った。

      できれば悪目立ちせず周りに迷惑をかけない振る舞いをする自分でありたいが、どんな姿なのか想像できないと今現在も思い続けている

      相手のことを意識して話す(長々と話さない、相手が話しやすい会話をする)ように癖つけられるようになった。

      自分らしさや個性の基準がよくわからなくなった。

      個性・自分らしさより、周りから迷惑をかけないほうが大事だ。(個性的と言われる人は周りの目を理解した上で好かれる個性を出せるのだと思う)

      個性や自分らしさは結構あやふやで、そこまで大切なものではないのではと思った。

    • 26

      発達障害(ASD)のグレーゾーンと診断受ける

      アルバイトや就職がうまく行かなかったり、職場の人間関係でギクシャクするのは、これが原因なのかなと思った。
      自分は指示通りに動いていても相手からは違う行動をしていると言われることがあった。
      自分はやっぱりおかしいところがあったんだなと思った。
      診断は降りてよかったと言う気持ちはある。

      当事者会に数回行ったが、健常者と違って苦労しているや悲観的な話をする雰囲気が合わず行っていない。

      発達障害に該当するケースはあるが、ネットで“自分は発達障害だから〇〇できない”と思い込んで、余計できなくなるパターンもあると聞いて、すべて発達障害だと決めきれないと思った。
      自分の性格や個性と言われていた/思っていたのは発達障害も関わっていると思うと、自分の本当の性格はなんだったのかと思い、自分がわからなくなった。
      思い込むパターンは、自分からダメな自分になろうとしているところに似ていると思った。

    • 23

      仕事の関係で一人暮らしをしていた
      一人行動をするようになった

      初めて家から離れた。
      仕事は大変だし、一人暮らしなので洗濯や家事はダメダメだったが、自分が普段行かない・知らない街を行ったりして本当に楽しかった。

      大学生から一人でどこか行っていたが、本格的に一人でお出かけをするようになった。

      正直こっちの方がいつでも予定を変えられるし人に迷惑かけずどこでも行けるなと思った。

      一人でブラブラ歩くこと好きなのですが、きっかけはこれだったかもしれません。

      一人で過ごすことが好きだからか、人を誘うことも面倒で基本的に一人でおでかけします。

      (まずいとは思いますが、人を誘うことが面倒です。
      展覧会などは一人で見て考えたくて人を誘いませんが、
      友人に会いがてら食事に誘うことはしているのでまだマシかな?と思っています)

    • 22

      就活 
      自分のいいところ悪いところを当時の友人に聞いてみたら、回答がそれそれ違うため、自分がなんなのかわからないと思った。

      周りは終わってているのに私は冬まで終わらなかった。

      何かおかしいところがあるのではないかと思った。どうして自分だけ終わらないのかと毎日自分を責めていた。
      決まらなかったら人生おしまいだと思った。

      エントリーシートに特技や自分にできることを書くよう求められて、私には何もないのにと思った。

      友人と比較してしまう。
      自分には何か足りないのではと思う。(発達診断でグレーゾーンと聞いた時、自分の就活が遅かったのはこれが原因かも思った)

      ブラック企業やあまりいいとは言えない職業しか内定をもらえなかった。自分という人間の価値の低さを感じた。(結局新卒でついたところはブラック企業でした)

    • 21

      サークル 部長を任される。
      初めて役職を任されたので、失敗できないと思った。

      部員間で他人任せがいて困る(自分ではない)話を耳にしていた。自分も人に任せたら、そう言われてしまうのではないかと思った。

      周りに協力を求めたら、失望されるのではないかと思った。

      周りに協力を仰げない。

  • 20歳まで

    • 20

      自分を変えたいと思いアルバイトを始める。
      ミスが多くいつもうまくいかなかった。行くことがとても憂鬱だった。
      半年くらいで辞めてしまった。

      一部の人からの当たりはきつかったし、人としておかしいところがあるのではないかと思ったが、自分にはサークルや仲良くしてくれる人がいたので、そこまで凹むことはなかった。

      この時の居場所はバイトだけじゃなく、学校にも居場所があったのでそこまで気にしなかった。

    • 20

      サークルでたくさん頑張った。
      周りも優しくしてくれたり認めてくれたりして楽しかった。
      あえて外部からきた同級生と交流を深めたりした。

      自分を変えたくてバイトをしたり外部生と交流した。
      せっかく外部生もいるのに、内部生ばかりの交流だと自分が変わらないし勿体無いと思った。

      すごい人生が充実していると思った。

    • 19

      大学入学くらいから感情(不安?)の波か激しい
      (高校の時からもあったが、大学生で徐々に激しくなり、社会人になったら止められなくなった)

      就活の不安や課題の多さに時間が忙殺されたりといっぱいいっぱいで堂々巡りが続いた。

      ただ悩んでも翌日にはケロッとしていたり、課題を終わらせたり、休日になると悩やまないことを年中繰り返していた。

      そのため大したことではないと思い、友人には話さないこともあった。
      (悩みすぎて何を悩んでいたか忘れることもあるし、自然と解決してたこともあったため)

      学生時代(高校・大学)まではなんとかなっていたが、社会人になると落ち込みが止まらない・感情の操作ができなくなる感じがあった。

    • 19

      この頃から冬になるとイライラが止まらなかったり悲観的な思考が一段とひどくなる
      社会人になってから、冬になると人に会いたくない気持ちが一段と強くなる。

      冬季うつ?(診断はしていません)

      社会人になって冬の季節になると、学生時代の友人のLINEの連絡先を消そうと毎日何十回も思っている。
      感情の波がジェットコースターのように激しい。

      人に会うことに関しては、
      冬は連絡を取らないが、春になると人に会いたいという純粋な気持ち半分、人に会いたくないと思うのは人としてまずい気持ち半分で自分から誘うが、夏か秋くらいになると人に会うことに限界を感じで会わなくなるの繰り返し

    • 19

      高校時代 仲良くしている友人たちとの比較を母からされていて本当に嫌でした。
      大学進学したら終わるだろうと思ったら、入学してすぐ、その友人たちとの比較された。

      この比較は一生終わらないんだ……と思いました。
      その友人たちに冷たい態度で当たるようになりました。幸い違う学部だったので、会う回数を減らしました。
      社会人になって会う機会はありましたが、この人たちより優位に立とうとか劣等感丸出しでした(それでいざ会ったら楽しい気持ちになるので単純だなと思います)

      今現在その友人たちとあまり会わないのに思い返しては比較して、どうして自分はダメなんだろうと突発的に考えてしまいます。
      正直もうこんなことやめたいです。

    • 17

      イライラが止まらなかったり、悲観的思考だったり
      感情の波がとても激しい

      イライラすると家のモノに当たっていた(今はない)

      口癖が『どうせ』で、ネガティブなことしか考えられず、周りからネガティブと言われていた。
      (むしろ自分はネガティブと開き直っていたこともあった)
      (今は周りには言わないが(親の前では言う)、独り言で『どうせ自分はダメだ!』とは毎日言う)

      思春期特有の厨二病もあったと思う。
      悩みをひとりで抱え込む自分かっこいい、悲劇ヒロインな自分が可哀想みたいな

      被害者意識が強い
      人に相談しない土台を形成した

    • 17

      父から強い当たりがあった。
      殴る蹴るは無かったが、ほぼ毎日『どうせダメ』と言われた。

      親がいるリビングにいたくなくて廊下で音楽を聞いたりスマホをいじりながら過ごしていた。

      毎日言われ続けて、自信が砕かれたような気持ちがあった。

      自信がないのはこの出来事が大きく起因していると思います。

      怒られるとビクビクしてしまうのも同様です。

      スマホ依存のきっかけ

    • 14

      部活で昇進試験みたいなものがあったのですが、何も告知されず突然行われました。
      その日私は部活に行くのが嫌でサボっていました。
      私以外みんな受かって次の段階に進んでいて、本当にショックでした。

      人生終わったと思った。ずっと頭の中でぐるぐるしていた気がします。
      部活を本当に辞めたいと思いましたが、逃げだと思い辞められませんでした。

      物事は悲観的に考えた方がショックが和らぐと思い、最悪のケースを考えようと思った(ネガティブになるきっかけ)

      周りは前に進めるけど自分は落ちてしまうのではという気持ちがぐるぐるしてしまう。

    • 13

      就活、就労の不安、働くことへの恐怖

      中高時代 テレビやインターネットで、新卒就活のエピソード(何十社も受け続ける等)生活の困窮さや職場いじめの話を見て聞いたりして、社会はこんなに怖いもの、自分もこうなってしまうのでは?と思った。
      自分には自信がないし気が利かないので、自分は仕事ができない人間の部類なんだろうなとその当時から思った。
      実際に仕事ができなかったので、やっぱりそうかと思いました。

      働くこと、職場の人間関係に対する過度な恐怖

    • 12

      中学受験
      成績が悪く母から勉強のやり直しを怒られながらやったりしていた。
      母の機嫌が悪いときはいつも(自分の部屋がないため)廊下に隠れていた。

      早く終わってほしい気持ちだったし、イライラ悲しみが酷かったり泣いたりしていた。

      テスト用紙を見せるのが怖くて出さなかった気がします。

      中高だと通知表を見せるのが嫌で捨ててしまったこともあった

      失敗を隠す癖がついた?

    • 11

      小学校時代
      作文や絵を描くとき、母に見せるとダメ出しされて、母が書き直しや手を加えられていた。

      母の書き方に納得がいかないとここは違うと怒鳴ったり泣きながら言い返していた気がします。(今思い返すと母の意見を無視して書いて出せよという話ですが)

      退職前に勤めていた会社で、失敗を隠す癖黙る癖があると言われていましたが、ここに関係している?と思いました。

  • 10歳まで

    • 10

      夏休み 家族とイベントに行った。楽しかった。

    • 10

      小学校時代の面談後、母からよく周りの子よりスタートが遅い。一歩遅いと言われて続けた。

      母からどうなっても知らないよ、と言われていた。(親の過干渉?)

      すごい焦っていた記憶はありますが、どんな気持ちまでかは思い出せません。

    • 9

      祖父母の家に犬がいたので行くのが楽しみだった。
      親戚の人はみんな私に優しくしてくれた(もちろん今現在もです)

      犬と触れ合えることが楽しかった。

    • 6

      ピアノの発表会で人前に出る時に、緊張しすぎて手と足が同時に出てしまった。
      終わった後に両親からすごい笑われた。

      悲しかったしイライラした気がする。恥ずかしい気持ちもある。

※ プライバシー保護のため、ご質問の一部を編集部で変更している場合がございます。

「職場=自分の価値と思ってしまい、自分を信じられない」への回答

  • ななくさ さん、ご相談をよせてくださりありがとうございます。臨床心理士・公認心理師の小野寺です。

    職場でどう評価されるかが、自分をどう評価するかに影響しているため、その「職場=自分の価値」のつながりをどうにかしたいとのお悩みですね。

    ななくさ さんはカウンセリングを受けておられるとのことですから、きっとこの件もすでにカウンセラーにお伝えしてらっしゃることでしょう。「カウンセリング予約から当日まで一ヶ月空く」ため、本来話したかったことより直近に起きた悩みを相談してしまうこともあるようですが、「カウンセラーから『人の言葉を反芻して自分のものにしてしまう傾向がある』と教えもらった」こともあるように、今回のご相談ともダイレクトに繋がるやりとりも行われていると想像します。

    今回寄せてくださったご相談内容を拝見する限り、 ななくさ さんは非常に順調にカウンセリングを実施なさっているように感じました。

    そのため、今回のご回答ではあえてあまり踏み込んだお話をせず、あえて一般論的なお話をさせていただければと思います。それはダブルカウンセリングを控えるためです。

    ダブルカウンセリングとは、一人の相談者の方に二人以上のカウンセラーがつくことです。一般的にダブルカウンセリングはあまりよろしくないと考えられています。

    なぜなら、カウンセラーの二人ともが「この人に良くなって欲しい」と共通の思いがあったとしても、カウンセラーの流派によってそこまでのプロセスに相違が生じることがあるからです。そうなると「カウンセラーがそれぞれ異なることを言っている。どっちを信じたらいいのかわからない」という状況をもたらしかねません。だから二人以上のカウンセラーがつくことを控える傾向にあるのです。

    このココロジーでのやりとりは、厳密にはカウンセリングとは異なるものですが、少しでもダブルカウンセリング的なリスクを控えるべく、あまり掘り下げた内容に言及するのは避けたいと思います。ぜひそういったお話はカウンセリングの場でしていただければ幸いです。

    対人関係には三層ある

    ななくさ さんにお話したいことの中で最もお伝えしたいのは、「対人関係には三つの層がある」ということです。この三層がしっかりと区分出来ているほど、精神的な安定が見込めると考えられています。

    その三層とは、「仕事」「交友」「愛」の3つの関係です。

    「自分」を中心にして「心理的な関わりの深さ」を目安にして順列を付けた際、「仕事」の関係が最も離れたところに位置し、「愛」の関係が近接しているところに位置するのが理想と考えれています。以下の図を参照してみてください。

    「仕事」でつながった関係は、役割が変わればその関係も変化する極めて流動性の高いものです。 ななくさ さんも転職や離職をなさった経験があるのでお分かりかと思いますが、一歩会社の外に出てしまえば、今後一生会わないこともある程度の関係なのです。

    一方、家族や親友は役割で繋がった関係ではなく、心と心でつながった関係です。自分のちょっとした変化では壊れないくらいの安心感がある比較的しっかりと結びついた関係です。この安定した土台があるからこそ、人は安心して他者と関われるのです。

    もちろん、これは理想的な姿を物語っているのであり、例外は当然あります。例えば、虐待をしてくる親であってもずっと結びついていなければならない、というわけではありません。そういう自分に明らかな害悪をもたらす存在は、三層目よりももっと遠くに位置させてもいいくらいです。

    面白いことに、この関係性の在り方は誰か特定の人物だけが主張しているのでも、たった一つの理論に基づく考え方なのでもなく、複数の理論にまたがって同じようなことが述べられています。

    具体的には『アドラー心理学』『対人関係療法』『コンボイ・モデル』が挙げられます。これらは相互に無関係の文脈から提唱された理論です。それにもかかわらず、結局同じようなことを言っているのです。ここまで共通してくると、「対人関係は三層ある」が人間心理の本質だろうと言っても過言ではなさそうです。

    この考えからすると、現状の ななくさ さんは本来三層目に布置することが適当とされる「仕事の関係」つまり職場の人間関係が、 ななくさ さんの心の中心にかなり寄ってきているのではないかと推察されます。「学生時代の友人に自分の仕事ぶりを聞いたら失望されると思って、友人に会う資格がないと思った」は、二層目(友人)と三層目(仕事)が逆転してしまっていると言えそうです。

    これは対人関係の層がアンバランスになっていることを意味します。「不安60%」「自分のダメさ加減60%」といった辛い心境につながっているのはこのためかもしれませんね。

    仕事上での関係は、実は最も手を抜いてもいい関係であるし、むしろ手を抜くくらいが精神安定を考えればちょうどいいと言える関係です。カウンセラーから「人の言葉を反芻して自分のものにしてしまう傾向がある」との指摘があったようですが、この傾向自体は良いものでも悪いものでもないと思います。ただ、どうせ「自分のものにしてしまう」のであれば、ぜひ一層目や二層目の信頼できる方の言葉を反すうしていただければいいな、と考えています。

    何層目の相手かによって態度を変える

    次にお伝えしたいのは、「対人関係は三つの層がある」ことを前提に、「相手は何層目の人が?」を意識することです。ここを意識すれば、誰にどのような態度で接すればいいかもある程度コントロールできるようになるでしょう。

    三層は「素を出せる関係性の程度」によって分類できると言うこともできます。「愛」の関係が最も素の自分でいることができ、「仕事」の関係では、時には素を隠し、役割に徹する必要があります。そして多くの人は無意識にこの考えを取り入れて、自らの振る舞いを変えているのです。

    ななくさ さんは「『周りが呆れて変わり者と言っているだけ』と言われた」ことがあるとのことですね。このセリフはあまりにも酷いので論外ですが、もしかしたら言わんとしていることは「職場で素を出し過ぎです」ということだったのかもしれません。そうだとしたら、言っていること自体はそれほど間違ったことではないと思います(大事なので繰り返しますが、言い方は論外です。許されるものではないし、 ななくさ さんが傷つくのは当然です)。

    「学生時代に同級生から変わり者と言われて、そんな自分がかっこいいと思っていた。社会人になっても職場でそのままの態度を取っていた」とのことで、個人的にはありのままでいられる ななくさ さんを素敵だと思いますが、職場環境との組み合わせ次第ではそんな素の ななくさ さんの良さが理解されないことも、残念ながらあるのかもしれません。

    単に組み合わせの問題です。「職場でダメなら自分はすべてがダメだ」「自分の個性(性格)=迷惑な性格」などと思う必要は一切ありません。職場の関係は、素でいられない、ある意味特殊な環境なのです。

    「今はそんな自分を変えたいと思い、話を長くせずコンパクトに話したり、ネガティブなことは言わない(言ったとしてもコミカルに話す)、ウケを狙わない、相手に話を振るなどに気をつけている」といった工夫がうまく行っているのは、相手との関係性に応じた調整が出来ている賜物と言えるかと思います。素を出した方がうまく行く場所と、素を出すとうまく行きにくい場所があるのです。

    「仕事」での関係は、仕事が円滑にまわる関係であれば十分に及第点です。仲良くなる必要もなければ、以心伝心ができるようになる必要もありません。最低限の「ホウ・レン・ソウ」ができるだけでいいのです。上手にホウレンソウするコツはこちらの記事を参考にしてみてくださいね。

    発達障害グレーゾーンについて

    最後にお伝えしたいのは、発達障害のことについてです。

    ご存じの通り、発達障害とは先天性の脳機能の障害によってコミュニケーションが苦手であったり特定の技能の習得に困難が見られたりする状態を指します。

    それもあって「自分の性格や個性と言われていた/思っていたのは発達障害も関わっていると思うと、自分の本当の性格はなんだったのかと思い、自分がわからなくなった」とお感じになるのも無理からぬことかと思います。

    ただ、発達障害は「能力」に関するものであり、「感じ方」「考え方」などの総称である「性格」とはまた領域が異なるものです。確かに発達障害によって「できないこと」はあるかもしれませんが、それはあくまで「障害」に基づくもの。自分の「性格」に基づくものと混合しないことはとても大事です。

    「できない」という能力を、自分の「性格」として捉えてしまうと、必要以上に自尊感情が損なわれるからです。「自分の価値」が不当に低いものと感じられてしまうことがないように、この線引きは極めて重要だと思います。

    なお、自分史の非公開部分でASD(発達障害)の診断が降りたことを踏まえて障害者手帳のお話も少しされていましたね。その一方、【既往歴】のところでは、「ASDグレーゾーン」と記載なさっていました。

    ここの差は実はかなり大きいのです。というのも「ASDグレーゾーン」とは「ASDに似た生活上の支障は出ているが、診断機銃は満たしていない状態」のことであり、医学的な診断名ではありません。したがって、「ASDグレーゾーン」と言われただけでは「障害者」と認められたわけではありませんので、障害者手帳をはじめとした行政的なサービスを受けることができないのです。

    もしご自身が「発達障害と診断されたのか、それともグレーゾーンと診断されたのか曖昧」ということであれば、改めて主治医に確認してみてもいいかもしれません。

    以上、「職場=自分の価値と思ってしまい、自分を信じられない」とのお悩みに関して、「対人関係は三層あって、仕事(職場)の対人関係は最も外側の層にある。少なくともそのことを意識して過ごすことは有益かもしれない」とのことをご指摘させていただきました。

    ななくさ さんは【考えとは別の可能性】で「自分の価値を職場で測らなくていい?」「過去の職場で言われたことを過度に気にしすぎている?」と記載されていましたね。疑問形になっていますが、上記の知識と照らし合わせれば、とても妥当な考えだと思います。その考えに是非自信を持っていただきたいです。

    また「あまりにも自分の気分が職場に依存しすぎているため、職場依存から脱却したい。どうしたら人(特に職場)の恐怖心を和らげるのか」に関しても「対人関係には三層ある」の考えをもとに「二層目(交友)と一層目(愛)をより重視する」といった対応が有効になるかと思います。

    「自分の価値」について疑念を持っているのは、発達障害と自分の性格とを混合していることも関係しているのかもしれません。これに関しては、しっかりと両者を分けることが重要です。

    これらの知識も踏まえながら、カウンセラーとのよいカウンセリングができることを私も望んでおります。 ななくさ さんのお悩みが、少しでも早く解消しますように。

    最後までお読みいただきありがとうございました。

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