「SNSを見ていると、他人と自分を比べて落ち込んでしまう」
「SNS上の交流に義務感を感じて疲れてしまう」
「見ているとげんなりする投稿や広告が目につく」
SNSについてこんな悩みを抱えている人はいるかな。それもそのはず、流行するSNSの多くは人の心を疲れさせやすい仕組みになっているんだ。
「SNS疲れ」とは、SNSの長時間利用に伴う精神・肉体の疲労や、他人の反応を過剰に気にすることに起因する気疲れのこと。
2019年に1000名を対象に行われたアンケート調査では、SNSを利用する人のうち実に42.7%の人がSNS疲れを感じたことがあると答えているよ。特にSNS疲れを感じやすいのは20代の女性。なんと全体の65%の人がSNS疲れを感じているんだって。
SNSはうまく使いこなせば多彩な情報を手に入れたり、遠く離れた場所の人と交流できたり、人生を豊かにしてくれる側面もあるけど、そのSNSで疲れきってしまうのはもったいないよね。
今回はSNS疲れの原因や対処法について、心理学的な観点から解説していくね。SNSを有意義に活用するためにも、SNSとの上手な付き合い方を学んでいこう。
目次
SNS疲れの原因って?
ここ数年でSNSの利用者は爆発的に増え、それに伴ってSNS疲れについての研究も注目を浴びるようになってきているんだ。まずは疲れやすいSNSの仕組みと原因について見ていこう。
比較されているように感じやすい・嫉妬しやすい
多くのSNSはフォロワー数や「いいね」の数など具体的な数字で人気や評価が示されるため、他の人と自分を比較してしまいやすいんだ。いいねが少ないと自分が認められていないように感じて、つらくなったり他人に嫉妬したりするのは自然な反応だよね。
自分の投稿に対して具体的な数字でフィードバックされるのは直感的にわかりやすいけど、同時に数字ばかりを追いかけて疲弊してしまう危険性があるよ。
最初は気楽に投稿していたはずなのに、フォロワーが増えるにつれて「たくさんいいねをもらいたい」「フォロワーを増やしたい」と考えてしまい、スマホとにらめっこしている時間が増えてしまった、なんて人もいるんじゃないかな。
承認欲求が強い人ほどSNSにハマりやすい
SNSの利用傾向には承認欲求が関連している、という研究もあるんだ。承認欲求とは簡単に言えば「他の人に好かれたい」「他の人から拒否されたくない」などの要素を併せ持った「他の人に認められたい」願望のことだよ。
加納氏(2019)の研究によれば、承認欲求の高い人はTwitterやInstagramを利用する傾向があり、さらにスマホに常時接触している傾向があると報告されているんだ。この結果を元に加納氏は「承認欲求をSNSで満たそうとするのではなく、自己実現や勉学、仕事など別の方向で満たすことができるよう導くことにより、スマホ依存を克服できる可能性が示唆された」とまとめているよ。
そうは言っても承認欲求を健康な形で満たすのは大変そうだよね。ココロジーでは承認欲求の満たし方についても解説しているから、興味のある人は見てみてね。
情報との距離感がつかみにくい
SNS疲れの原因の一つに「得られる情報は未整理で混沌としている」ことが挙げられるよ。多くのSNSでは画面上に「友人の近況」「インフルエンサーのキラキラした生活」「企業の広告」「誹謗中傷」など、本来バラバラなレベルの情報が整理されないままなだれ込んでくるんだ。
友人の近況など身近に感じる情報と、本来自分には関係ない情報が一緒になって流れてくるSNSを見続けていると、全ての情報が自分に関係あるような錯覚に陥ってしまうことがあるよ。
その状態に慣れてしまうと、自分に関係ある情報とそうでない情報の仕分けがうまくいかず「インフルエンサーの生活と自分の生活を比べて落ち込む」「買う必要のないものを買ってしまう」「自分に関係のない誹謗中傷を見て落ち込んでしまう」といった悩みが生じやすくなってしまうんだ。
こうした悩みには、SNS自体の仕組みだけでなく自他境界の曖昧さが関係していることも多いんだ。自他境界についてはココロジーでも詳しく解説しているから、興味のある人は見てみてね。
独自のルールが生まれる
フォローされた際のお礼や「いいね」返しなど、暗黙に共有されるルールがSNS疲れを引き起こすこともあるよ。
暗黙のルールの身近な例としてLINEの「既読無視」などが挙げられるよ。既読機能はもともと東日本大震災の経験を踏まえて受信者がメッセージを見たかどうかが確認できるように考案された機能なんだ。だけどそこから転じて「既読したのに無視してはいけない」「未読ではいけない」といった暗黙のルールが多くの人に共有され、素早く返信しなければいけないと焦ってしまう「LINE疲れ」が起きているという実態があるよ。
中尾氏(2017)はSNS疲れについての研究の中で既読無視について「自分の送信に対する『既読』表示を見ることによって相手から反応がくることへの期待が高まり、その期待が満たされない状態が続くとネガティブ感情が起こる」と分析しているんだ。
他にも「フォロバ」「リフォロー」と呼ばれるフォロー返しや「いいね」を付け合うなど様々なルールが暗黙に共有されていることが多く、こうした明示されないルールに息苦しさを感じる人も多いんだって。
SNS対策:設定①ツイッター編
次にSNS疲れへの対処法について解説していくね。
対処法と言うと「SNSから離れよう」みたいなものが多いけど、そう簡単にいけば苦労しないよね。そこでおすすめなのはSNSアプリの設定を見直すこと。
ここでは利用者の多いTwitterとInstagramのおすすめ設定を紹介するね。
(※2022年8月5日時点の仕様です)
①「最新ツイート表示」に切り替える
ホーム画面右上のキラキラマークを押して「ホーム」から「最新ツイート表示」に切り替える
②ミュートワードを設定
「設定とプライバシー」→「プライバシーと安全」→「ミュートとブロック」→「ミュートするキーワード」に進み、表示したくないものを下の一覧から追加する。その後ミュート対象のチェックを「フォローしていないアカウント」から「すべてのアカウント」に変更する。
ミュートワード一覧
【リプライを非表示】filter:follows -filter:replies
【〇〇さんがいいねしました】suggest_activity_tweet tweet-context with-icn
【〇〇さんがフォローしています】suggest_pyle_tweet
【おすすめのツイート】suggest_activity
【おすすめのユーザー】who_to_follow_entry
【最近のハイライト】suggest_recap
【ハイライト】suggest_recycled_tweet
【ハッシュタグのおすすめ】suggest_grouped_tweet_hashtag
③画像や動画を非表示にする
画像や動画の表示を許可制にすることで、大量の写真に目にしたりショッキングな動画を見たりして疲れてしまうのを避けることができるよ。ついでにデータ通信容量の節約にもなるから、一石二鳥の設定なんだ。
画像を非表示にする:「設定とプライバシー」→「アクセシビリティ、表示、言語」→「画面表示とサウンド」→「メディアのプレビュー」をオフ
動画の自動再生をオフにする:「設定とプライバシー」→「アクセシビリティ、表示、言語」→「アクセシビリティ」→「動画の自動再生」をオフ
また、リスト機能などを使って「友達」「芸能人」「お店」など情報のまとまりを作るのも効果的だよ。リストごとに情報のレベルを調整することで、気持ちをコントロールしやすくなるんだ。
SNS対策:設定②インスタグラム編
Instagramのアプリも、設定変更することで気持ちを振り回されにくくできるんだ。
広告や「いいね!」の数を非表示にすることで、必要ないものを買ってしまったり、いいねの数に一喜一憂するのを避けられるから、活用してみてね。
広告なしのタイムラインをつくる
ホーム画面左上の「Instagram」ロゴをタップし「フォロー中」のほうをタップする
「いいね!」の数を非表示にする
「設定」→「プライバシー設定」→「投稿」→「『いいね!』数とビュー数を非表示にする」をオンにする
見たくないキーワードをミュートする
「設定」→「プライバシー設定」→「非表示ワード」→「リストを管理」で表示したくないキーワードを入力(例:モラハラ、不倫、暴力、浮気、借金、美容)
他にもiPhoneであれば「設定」→「スクリーンタイム」から、各アプリの使用時間制限を設定することができるよ。お試しに各アプリの使用時間を1日1時間までに
してみる、といった感じで始めると導入しやすいよ。
SNS対策:自分を見つめる時間を増やす
SNS上での発言は現実に比べエスカレートしやすく、プライベートなことも話しすぎてしまうことが指摘されているよ。これはSNS上では相手の姿や表情、声などリアルタイムのフィードバックが得られないために自分の発言を省みて「この話はこのへんでやめておこう」と制限することができないためだと言われているんだ。
SNSにのめり込んでしまう自分に気づいたときには一度流れてくる情報から目をそらし、自分自身を見つめる「自己洞察」の時間を増やしてみよう。自己洞察が深まることで自分の性質や考え方への理解が深まり、自己肯定感が増して心身のバランスが取りやすくなると言われているんだ。まずは簡単に始められる方法を2つ紹介するね。
いつもと違うことをしてみる
やること:知らない入浴剤を試してみたり、普段は聞かないジャンルの音楽を聞いてみたり、いつもの自分とは違うことをしてみる。
効果:日常的な行動に変化を取り入れることで、感情の動きに目を向けることができる。また、自分の好きなもの、心地いいと感じるものが見つかるきっかけになる。
簡単な日記をつけてみる
やること:その日の出来事について「出来事」と「体験したときの気持ち」を書いていく。
効果:日記を通じて自分の気持ちやエピソードを言語化していくことで、自分を俯瞰的に見る視点が得られる。
更にこの2つをあわせて「いつもと違うことをして、それを体験した気持ちを書き出してみる」ことで、より自己洞察が深まるよ。自己洞察については以下の記事に詳しくまとめてあるから、興味がある人は一緒に見てみてね。
他人の投稿は「演出」だと理解する
SNSで他の人の充実した人生を垣間見て、自分と比較して落ち込んでしまうこともあるよね。
だけどSNSで流れてくるキラキラした生活や楽しそうな写真、成功体験などは基本的に「演出」なんだ。部分的に切り取って作られた投稿は卒業式や結婚式で流れるビデオと同じで「その人の人生の良い部分を切り取った演出」に過ぎない、ということだね。
そのため、自分の人生と他の人の「演出としての人生」を比較するのはあまり意味がないんだ。辛いことや苦しいことが含まれた「自分の人生全体の平均点」と「相手の人生の最高点」を比べてしまうと、どうしても自分ばかりが不幸で報われないような気持ちになりやすいものだよ。
他の人の自己演出に振り回されず、自分らしい幸せの形を見つけるためには「メンタライゼーション」の考え方が有効だよ。メンタライゼーションとは簡単にまとめると「自分や他人の行動の裏側にある、様々な思考や感情を推測すること」なんだ。
メンタライゼーションのスキルが身についてくると、自分にとって本当に大切なものや考え方といった「自分軸」が見つかるよ。他にも他の人のキラキラした自己演出を「この人はこの投稿でどんな自分を演出したいんだろう」と冷静な距離感を持って見ることができるようになったり、良い作用がたくさんあるんだ。メンタライゼーションのスキルは短い瞑想をしたり日記や自分史を作成することで養われていくんだ。
メンタライゼーションについては下の記事で紹介しているから、ぜひ一緒に見てみてね。
SNS疲れのまとめ
今回も見てくれてありがとう。この記事のポイントは以下の3つだよ。
①:SNSは依存しやすく、疲れやすい仕組みになっている
②:辞められない人も設定などを吟味して、付き合いやすい距離感を見つけるのが大切
③:SNSに振り回されないためには、自己洞察やメンタライゼーションのスキルを身に着けよう
SNSはここ数年で爆発的に利用者が増えたこともあり「やめよう」と思っても簡単にはいかないことが多いんだ。だからこそSNSを重荷ではなく、人生を豊かにするためのツールにできるよう、心地よい距離感を見つけていこう。