自己洞察とは?心理学でわかる自分を知る方法と重要性

2022.03.26 Sat
シンくん

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シンくん

自己洞察とは?心理学でわかる自分を知る方法と重要性

「え? 自分ってこんな面があったんだ」
「意外とこれ好きかも…?」

こんな風に、自分のことを再発見する瞬間ってないかな? 心理学では自分のことに改めて気づくことを「自己洞察」と呼んでいるんだ。

自己洞察の力があるとストレスに対して強くなれたり、問題解決をスムーズに行えたりと様々なメリットがあることが知られているよ。

今回はそんな自己洞察について解説していくね。

さらに自分を知っていこう!

自己洞察とは?

まず「自己洞察」の意味から考えていこう。実はこの言葉は色んな文脈で使われることがあって、文脈毎に若干ニュアンスに違いがあるんだ。

辞書的定義

『精選版 日本国語大辞典』で「洞察」を調べてみると、下記のように書かれているよ。

〘名〙 (「とうさつ」とも)
① 物事を見ぬくこと。見とおすこと。洞見。透察。

つまり「自己洞察」とは、自分のことを見とおすこと、自分のことをよく知っていくことと言えそうだね。自分のことを再発見できる度に、自分理解のレベルが上がっていくようなイメージだよ。

『精選版 日本国語大辞典』には、もう一つ「洞察」について書かれているんだ。

② 心理学で、新しい事態に直面したとき、試行錯誤法によらないで問題を解決する知性の重要な働き。見通し。

「試行錯誤法によらないで問題を解決する」って書いているけど、試行錯誤法がよくわからないからちょっと難しいね。次のところで詳しく解説するよ。

自分が何をしたいのかがわからなくなってきて、迷子気味です

学習心理学では

心理学、特に生き物がどういうプロセスで新しい行動を習得していくのかを研究する「学習心理学」でも「洞察」を扱っているんだ。

学習心理学で研究されるテーマの一つに「問題解決法」があるんだけど、それには大きく二つがあると言われているよ。それが「辞書的定義」のところで出てきた「試行錯誤」法と、今日のテーマである「洞察」法なんだ。

試行錯誤法とは、手当たり次第に動き回っているうちに偶然問題解決ができる方法のことを言うんだ。一方、洞察法は一気に問題解決法を見出して、それを実行する方法のことを言うよ。

例えば、次のような問題を解く場合だね。

9つの点をすべて通るように、一筆書きの要領で線を引こう。

このような点を見ると、ついその枠内で何とかしようと考えてしまうのだけど、「そうか! 枠をはみ出してもいいじゃん!」という洞察が得られれば、一気に問題を解決することができるんだ。

解決のための行動を行う前に、「本当にその方法は問題を解決に導いてくれる方法なのか?」といった見通しを立てるから「洞察」と呼ばれるんだね。「見とおす」という点は、辞書的定義のところで見たのと共通しているね。

精神分析では

精神分析の分野でも「洞察」を扱っているんだ。米国の精神分析の第一人者であるギャバ―ドは洞察について次のように記述しているよ。

「患者の気づきの外にあるものについて患者に気づかせることである。これは、以前は無意識にあったものを意識化させるということを意味することもある一方で、患者がつながりを見出していない現象間の関係を指摘するということを含む」

つまり、無意識だった自分に関する事柄に気づいたり、今まで「関係ないこと」と思っていたことに関連性を見出すことが「洞察」と言われているんだね。

例えば、「年上の男性に萎縮してしまうのは、父親の影響だったんだ」と気づくような感じかな。

精神分析の治療目的が「無意識の意識化」であると考えると、洞察は極めて重要な現象だと言えるよ。

「無意識」の世界を扱っている点が辞書的定義や学習心理学で言われていた「洞察」とは異なるけど、「気づくこと」「見出すこと」は共通していると言えそうだね。

以上から、この記事では「自己洞察」を、「自分のことについて新しく発見していくこと」と定義して解説していくことにするよ。

自分のことなのに、自分ではわからないことってあるんだなぁ

自己洞察できる人の特徴

自己洞察ができる人には様々な特徴があるんだ。ここでは、「心身ともに健康」「頭がいい」「関係づくりが上手い」について解説していくよ。

心身ともに健康

自己洞察ができる人は、心身ともに健康でいられる傾向があるよ。自分の内面に意識を向けるのが上手だからなんだ。自分の内面に意識を向けることを「内省」というよ。

内省をすると、「今ストレスを感じているな」「ちょっといつもより怠い感覚があるな」といつもと違う自分を発見しやすくなるんだ。

いつもとの違いに気づければ、その後に取るべき対応も変わってくるよね。例えば「ストレスを感じているな」と気づけば、深呼吸をして自分を落ち着けたり、「怠いな」と感じれば予定をキャンセルして休む時間にあてたりなどができるんだ。

自己洞察ができると、早め早めに対策がとれるから重篤化することを未然に予防できるというわけだね。

ちなみに、いつもと違う自分への気づき方と気づいた後の対応についてはセルフケアの記事にもまとめてあるから参考にしてみて欲しいな。

いつもの3割増しで怠い…

頭がいい

自己洞察ができる人は、「頭がいい」と思われる傾向もあるよ。ここでいう「頭がいい」とは、過去の経験を、今目の前にある問題の解決のために活かすことができるかどうか、を意味していると考えてね。

「学習心理学」のところで、洞察法は「一気に問題解決法を見出して、それを実行する方法のこと」と伝えたのを覚えているかな?

どうして「一気に」問題解決できるかというと、自己洞察ができる人は「この問題状況に似た場面で、無事解決に導いたことがあるぞ」「以前解決した問題と、今の問題とに何か共通点はないか?」と考えることで、過去の経験を踏まえて今の「問題解決が困難な状況」を見つめ直すことができるからだよ。

他の人が諦めてしまう状況に対して、過去の経験を活かして解決策を導き出せる人はとても頭がいいと言えるよね。

なお、困難な状況を乗り越えるためには、自己洞察と似た力であるメタ認知も必要となってくるよ。メタ認知の鍛え方などをまとめた記事もあるから、そちらも是非のぞいてみて!

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関係づくりが上手い

自己洞察ができる人は、「関係づくりが上手い」傾向もあるよ。

親しい人とは深い話ができるよね。けど、深い話をすれば親しい関係になれるというわけではないんだ。適切な深さの話を繰り返していくうちに深い話をしても大丈夫な関係になっていくんだよ。その時その時、相手との関係性のレベルに応じた話をしないと、決して深い関係にはなれないんだね。

相手と自分との今の関係性のレベルをはかるのに、自己洞察が欠かせないんだ。吉田氏等が子どもとかかわる看護実習生の自己洞察のプロセスを調べた研究によると、子どもとの関係性のレベルに応じて、「子どもとの関係において今気づいておくべきこと」が変遷していく様子が示されたそうだよ。

相手との関係性に応じて、どんな話をしていけばいいかは、自己開示についてまとめた記事を参考にしてみてね。

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自己洞察力をつけることのメリット

自己洞察力は鍛えていくことができるんだ。鍛え方について解説するね。けどその前に、自己洞察力があることのメリットについて触れていこう。

ストレスに気づきやすくなる

「自己洞察できる人の特徴」のところでも話したように、自己洞察力がつけばストレスに気づきやすくなるよ。

逆に言うと、自己洞察力がないとなかなかストレスに気づけないことを意味するのだけど、実際、ストレスを貯めすぎて抑うつ症状が出ている人は、自分自身ではストレスを抱え込んでいることに気づけないんだ。

しかも、東京大学大学院の中島氏らの研究によれば、抑うつ症状が表れると、余計に自己洞察力が疎外されることや、自己洞察力を鍛えても抑うつ症状の改善には繋がらないことがわかっているんだ。症状がひどくなればなるほど自己洞察力が落ちていってストレスに気づけなくなる悪循環に陥るということだよ。

でも、高梨氏による別の研究によれば、一度うつ状態から回復した後に自己洞察力を鍛えれば、うつ状態に陥らないように予防できることがわかっているんだ。

ストレスにいち早く気づいて、抑うつ症状になるのを予防するために、事前に自己洞察力をつけておくのは大きなメリットになりそうだね。

悩み?そんなのないよ…ないってば、ほっといて…うぅ…

問題解決能力が上る

自己洞察力をつけると、問題解決能力も上がっていくことが期待できるよ。

問題が起きているということは、「今までの自分では解決できない」ことが起きているということだね。でも、自己洞察力をつけて「新しい自分」へとブラッシュアップし続ければ、その新しい自分は抱えている問題を解決できるようになっているかもしれないんだ。

例えば、こんなクイズがあったとするね。

A + A + Q = 14
J + Q + A = 24
A + Q + K = ?

仮にこの問題が今は解けなかったとしても、もしトランプゲームの「スピード」をした後だったらどうだろう?

どう? ひらめいた? スピードのルールを知った後だと、さっきのクイズは簡単に解けたんじゃないかな? それが自己洞察力なんだ。

ちなみにさっきのクイズだけど、Aは1、Qは12、Kは13を意味するから、答えは26になるよ。

果てしない~あの雲の彼方へ~

自己洞察力をつけるときに気を付けたいこと

自己洞察力をつけることで様々なメリットがあるんだけど、その力を鍛える際に注意しなければならないことがあるんだ。次はそのことについて解説していくよ。

主語を「自分」にする

まず気を付けて欲しいのは、「主語を自分にしたうえで自分の内面に注目してほしい」ということだよ。

「自分は今、何を感じているかな?」「自分はどうしたいのかな?」という風に、考える主体を「自分」にして欲しいんだ。

「“あの人”は自分のことを嫌っているような気がする」「“彼”はこう考えているに違いない」といったように「他人を主語」にして自分の内面に注目しても、自己洞察を深める目的である「自分のことについて新しく発見していくこと」に繋がらないよね。

他人のことをいくら考えても相手と自分は別の人間だから、わからないことばかりで理解が深まっていくことはないんだ。

俺の心はどっちに進みたがっている?

注意を自分以外の対象に向ける

「でも、つい相手が自分をどう思うのかが気になってしまう」という人もいるよね。なんだか「あなたって○○ですよね」と、相手から自分に心の矢印が向いているかのように感じるんだ。その心の矢印が気になるのはしんどいと思う。

そんなときは「注意分散法」という方法を試すといいかもしれないよ。

注意分散法とは、自分以外の対象に注意を意識的に向けることを言うんだ。注意を向ける対象は事前に決めておくことがコツだよ。例えば、「青色のものを探そう」とか、「数字の2を見つけよう」などだね。

こうやって、あたかも他人から自分へ向かってくるかのように感じられる心の矢印を、他のことで忙しくすることで無視するんだ。他の対象に矢印を向ける練習をしていくと、徐々に他人からの矢印は気にならなくなり、自分で自分の内面に向ける心の矢印に集中できるようになるよ。

あの日なくした夢のかけらを探しにいってみるか

自己洞察力の鍛え方

最後に自己洞察力の鍛え方を解説するね。ここでは「日記をつける」「いつもと違うことをする」「過去の人間関係を思い出す」を紹介するよ。

日記をつける

日記をつけることは、自己洞察力を鍛える上でとても効果的なんだ。もちろん、自己洞察力を鍛えるための日記だから、その日あった出来事を書くだけではなくて、その出来事を体験してどのように感じたのかを書けるといいね。

「通勤中、知らない人があいさつしてくれてポカポカした」「100円だけだけどコンビニで募金したら嬉しい気持ちになった」とかだね。

もし辛い気持ちになったことがあったら、「どう辛かったのか」を振り返って自己洞察力をつけるいい機会になるから、それも日記に書き残せるといいよ。けどその場合は、辛かったことを繰り返さないために自分が今後できそうなことも併せて書けると、より自己洞察力が高まるんだ。

書く瞑想「ジャーナリング」が3分でできるやり方【ワーク機能つき】

たまに書いた日記を見返すのもいいみたい

いつもと違うことをする

いつもと違うことをすることも、自己洞察力を鍛えるには効果的だよ。

毎日のルーティンを繰り返すのはとても大事な作業だよね。でも、自己洞察力を鍛える場合には、ときにいつもと違うことをして心を動かす経験が大切なんだ。心が動けば「自分はこういうときにこう感じるんだ」という新しい自分を発見をしやすくなるからだよ。

「いつもと違うこと」は、本当に何だっていいんだ。例えば、「いつも使っているのとは違う歯磨き粉を使ってみる」「普段聞かないジャンルの音楽を聞いてみる」などだね。

毎日同じことを繰り返していても、そのあとどういう結果につながるかおおよそ予想が付いてしまうよね。思った通りの結末になってもそれほど感動はしないものなんだ。

いつもと違うことをするから新しい発見があり、心が動くよ。新しい歯磨き粉はいつもよりスース―して気持ちがいいかもしれないし、新しい音楽は趣味の幅を広げてくれるかもしれない。そんな経験は、次に何か新しいことを経験するときの土台となり、更なる自己洞察の原動力になるんだ。

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過去の人間関係を思い出す

過去の人間関係を思い出すことでも、自己洞察力を高めることができるよ。

自己洞察と似た概念に「内観」があるんだ。内観とは自問自答して内なる思考や感情に気づくことなんだ。

心理療法の一つに、この「内観」に焦点をあてた「内観療法」というものがあるよ。内観療法は浄土真宗の「身調べ」という自分を徹底的に見つめる方法を取り入れたものなんだ。

内観療法では、身近な人との関係で①その人から世話になったこと②その人にして返したこと③その人に迷惑をかけたことの3つについての具体的な事実を、過去から現在まで3~5年に区切って調べていくんだ。これが身調べだよ。

この3つを調べていくことで、愛されていた自分や自己中心的だった自分を発見し、素直で謙虚な姿勢が養われると考えられているんだ。

さすがに内観療法を受ける機会はそう多くはないと思う。けど、ときおり過去の人間関係を①世話になったこと、②して返したこと、③迷惑をかけたことの3つにそって思い出すことで、当たり前に過ごしてきた過去が「実は当たり前ではなかった」ことを改めて知って、自己洞察力を高める機会にするのは良い習慣になるかもしれないよ。

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自己洞察まとめ

自己洞察は「自分のことについて新しく発見していくこと」と言えるんだね。

自己洞察がある人は「心身ともに健康」「頭がいい」「関係づくりが上手い」といった特徴があるんだ。

自己洞察力は「日記をつける」「いつもと違うことをする」「過去の人間関係を思い出す」などをして鍛えることができるよ。その結果、ストレスに強くなり、問題解決能力が向上することが期待できるんだ。

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