買い物って楽しいよね。新しいものを手に入れると、刺激的でワクワクしちゃうし。
けど、「そこまで欲しいわけじゃないのに、ついたくさん買ってしまう」「預金残高が少なくなってきているのにあれもこれも欲しい」と、買い物が苦しくなったら危険信号。もしかしたら買い物依存に陥っているかもしれないんだ。
今回は、買い物依存症について解説するね。対策も話すから何かお役に立てる情報があればいいな。
目次
買い物依存症とは?
買い物依存症は、クレジットカードや電子マネーの普及も早かったアメリカで注目され始めた、ストレスが大きく関係する心の問題だよ。
精神医学や社会心理学領域で研究が進められてきた一方で、消費者行動やマーケティングの経済領域でも注目されてきた心理状態なんだ。
依存症とは?
依存症と聞くとどんなイメージがあるかな。
アルコール依存症や薬物依存症のような、身体に悪影響を及ぼす、病気の一種に分類されるものから、ネット依存症や恋愛依存症など、病気ではなく、”困った社会現象”としてメディアで取り上げていられているものまであるよね。
今から解説していく買い物依存症も、明確に定義されている病名や診断名ではなく、”買い物という行動をやめたくてもやめられない、自分ではコントロールできないほどのめりこんでしまっている状態”と考えられるよ。
ハマっている・夢中になっている状態と依存の違いは、「わかっているのにやめられない」という点。やめたいと思っていても、ブレーキが効かなくなってしまっている状態といえるね。
買い物依存症の原因は?
買い物依存症になる背景には様々な社会や心理の特徴が隠れているよ。
日常生活への不満が溜まっている
職場での対人関係や、家族へのイライラ、自分に対して自信がないなど、悩みは様々。満たされない気持ちを解消するために、買い物をやめられなくなる・買い物に執着してしまうことがあるよ。
一人で生活している
今の社会では、一人暮らし世帯が多く、家に帰って日常の何気ない出来事を話す機会を作れない人も多いんだ。
身近に「大丈夫?」「ちょっと買いすぎじゃない?」と声をかける人がいないのも、依存を進めてしまう原因の一つなんだよ。一人暮らしの寂しさを買い物で埋めようとする人も多いんじゃないかな。
情報化社会
今は友達や好きな芸能人が、どこで何を買ったのか、ワンクリックですぐに調べられるよね。”同じものが欲しい!””もっといいものを買わないと!”という気持ちによって買い物への欲求が高まっていくんだ。
ネットショッピングの普及によって、どこでもいつでも気軽に買い物できるという社会も、買い物依存症の原因の一つなんだよ。
クレジットカード・電子マネー社会
財布から現金がみるみるなくなっていくと、”ちょっと今日は使いすぎちゃったかも”と反省することがあるよね。これを行動経済学では、「価格支払いの痛み」というよ。
でも、クレジットカードや電子マネーだと、どのくらい使ったかという実感が湧きにくいんだ。”後払い”というシステムも、消費を促進させるんだよ。現在志向バイアスといって、人は、1年後にもらえる7万円より今すぐにもらえる5万円を選択しやすいという心理があるんだ。
ここから考えると、今すぐに10万円払うのは厳しいけど、お得なポイントまでついてくるリボ払いならと、今欲しいものが手に入るという嬉しさとポイントという利益に目がいき、数か月後の利子には目をつむってリボを利用する人が多いのも納得できるよね。
消費者の心理を上手くついてくる社会との戦いともいえるね。
買い物依存の特徴
買い物にしている人の特徴を挙げていくよ。〇個以上あったら病気!というわけではないから、あくまでも参考に留めておいてね。
買い物をすると不安やイライラが解消される
欲しいものを手に入れたから嬉しいのか、何でもいいから何かを買ったということですっきりしたのか、気づいたら買ってしまっていてなぜ買い物をしたのかもわからないくらいなのか。買い物がストレス解消の方法になっている場合は要注意だよ。
まずは自分にとっての買い物とはどんなものなのかを考えてみよう。
マウントを取りたい気持ちがある
”〇〇ちゃんよりも推しのグッズを集めたい””〇〇さんよりもいい鞄が欲しい”と思いながら買い物をするのも要注意。
誰かと比べることがモチベーションに繋がることもあるけど、誰のための、なんのための買い物なのかということが大切なんだ。自分の気持ちと生活が豊かになる買い物がいいよね。それに、誰かにマウントを取るための買い物は際限がなくなり、自分を苦しめてしまうんだ。
お金を使って人に褒められることが嬉しい
『その服なかなか似合う方いないけどすごくお似合いですね』『〇〇さんのために取っておきました』など、店員さんとのやり取りが嬉しくて買い物をやめられない人もいるよ。
無条件に喜ばれるから、余裕がなくても奢ってしまう人もいるかもしれないね。
人との繋がりを求めている人は、買い物を通して人と繋がることをやめたくてもやめられないんだ。
買い物をしたあと、罪悪感や後悔がある
ネットショッピングでクリックを押した瞬間や、両手いっぱいの紙袋を持って家に帰る時は満足感があっても、いざ商品を前にすると、”なんで買ったんだろう?””また無駄遣いしちゃった”という気持ちになることはないかな?
本来楽しいはずの買い物が、虚無感や自分を責める気持ちに繋がっていないか、確認が必要だよ。
買い物について、周りの人に嘘をついている・迷惑をかけている
「これは〇〇からもらったんだ」「たまたま当たったの!」「お金なくて…貸してくれない?」など、買い物をしていることを隠したり、自分の収入の範囲で賄いきれなくてお金を借りたりしていたら危険信号だよ。
周りに知られてはいけないことをしている・自分のできる範囲内での買い物限度を超えているという点で、買い物欲コントロールが難しくなっているといえるよね。
余裕がないとわかっていながらもクレジットカードやリボ払いで買い物をする
”自分の給料はこれくらいで、家賃は〇万だから、自由に使えるお金は…”と目安を立てて、その範囲内で買い物ができているなら大丈夫。ただ、根拠のない自信と現実逃避から借金を繰り返したり、未来の自分を苦しめてしまうことが多かったら生活を見直す時期かも。
どんなときに症状が出やすい?
どんなときに衝動的になってしまいやすいのか、買い物のコントロールが難しくなってしまうのか、自分の性格を理解することはとても大切だよ。多くの人に当てはまる代表的な傾向を紹介するね。
ストレスが溜まったとき
仕事がうまくいかないとき、恋人と喧嘩したとき、なんだか周りの人がキラキラして見えて羨ましくなったとき。そんなストレスを解消しようとするとき、人は何かに依存しやすくなるんだ。お酒やギャンブル、ネットや大切な誰か。その依存対象が買い物になることもあるんだね。
引っ越しや転職、結婚など、一見ポジティブに見えることも実は心に負担がかかっていてストレスになっていることもあるんだ。ストレスなんて感じてないから、と思っていても、ついつい何かをしすぎてしまうときってあるよね。そんなとき、実は心のもやもやに気づけていないこともあるんだよ。
他にストレス発散方法がないとき
コロナ禍で生活を制限しなきゃいけないとき、普段できていたストレス解消ができずに買い物をしすぎてしまった人も多いんじゃないかな。
実際、2020年からネットショッピングの利用者も、個人の支出額も一気に過去最大になったみたい。旅行や飲み会など、出費が減った分を好きな買い物に回せたことはメリットの一つだよね。でも、寝ても覚めても、”あれが欲しい!””何でもいいから買いたい!”という気持ちでいっぱいだったら、それは依存症状のサインかもしれないよ。
自分でできる買い物依存症対策
やめたいのにやめられないのは、自分自身も辛いよね。まずは少しずつ、生活の中でできることから始めてみよう。
クレジットカードは持ち歩かない
ポイントが溜まるから、この店はこのカードだとお得だから、入会キャンペーンに弱くて…という人は一度カードを整理してみよう。意外と不要なカードがあったり、いろんなカードを使っていることによって支出の合計が曖昧になっていたりすることがあるんだよ。
クレジットカードを上限まで使ってしまっていて、生活が苦しくなってしまっている人は、いっそカードを解約してしまうのも一つ。デビットカードというチャージ性のカードや、交通系のカードでも便利に必要な物を買うことはできるよね。一定額の現金だけを持ち歩くのもおすすめだよ。
幸せになるお金の使い方の記事も参考にしてみてね。
買い物以外のストレス発散方法を見つける
依存から脱出するための一番の方法は、いろんな依存先を見つけることだよ。
”逃げ場が買い物しかない””買い物できないとなると他に何すればいいの?”という状態は退屈だし辛いよね。昔好きだったものを思い出したり、友達に今はまっているものを聞いてみたり、気になっていたけどできてなかったことにチャレンジしたり。少し視野を広げて買い物以外のストレス発散方法を見つけてみよう。
ストレスの原因を取り除く
自分の中で何がモヤモヤしているのか、ストレスの原因を見つけてみよう。
変えられない環境や人間関係も多いかもしれないけど、誰かに相談してアドバイスをもらったり、勇気を出して新しい環境に飛び込んでみるのも一つだよ。
自分の考え方や捉え方を見直すのも大切だよ。ネガティブ思考の治し方や最強メンタルの作り方などもヒントにしてみてね。
家族など周りの人ができる買い物依存症の対応
身近な人が買い物依存で悩んでいるとき、周りができる支えってなんだろう。ここでは悩んでいる人がを傷つけない支え方を紹介するよ。
本人を責めない
買い物に依存している人を見ていると、もどかしくなったり、イライラしてしまうこともあるよね。でも、やめたくてもやめられない辛さを抱えている本人を責めないようにしてほしいな。
否定されている気持ちになったり、頼れる人がいないと寂しく感じてしまうと孤独感から、さらにネガティブな方向に進んでしまうこともあるんだ。正面から正しい意見をぶつけるんじゃなくて、横に座って「一緒に考えていこう」と声をかけるような関わりは、ものすごく本人の支えになるよ。
何かを伝えるときは具体的な行動について
度重なる困った行動を見ていると、ついつい過去のことや本人の性格まで指摘したくなっちゃうけど、そこはぐっと抑えて一回冷静になってみてね。”全否定された”って思ってしまうと、言われた本人は耳を塞ぎたくなっちゃうよ。
指摘するのは、本人がそのときにした行動だけに絞って、誰がどのように困るのか具体的に伝えよう。そのとき、「あなたのために言ってあげてるの!」と伝えるよりも、「こういう風になっていけたらいいね」と、寄り添った声掛けがあると、聞き入れやすくなるよ。
買い物に関わることを一緒にしない
”〇〇さん、お金はとっくになくなったはずなのになんで買い物し続けられるんだろう?””本人は仕事していないのになんで新しいものに囲まれているんだろう”と、周りの人が思うこともあるよね。
それは、きっと本人を支えてくれる誰かがいるからなんだ。何かに依存し続けることを助けてしまう支え手のことを”イネイブラー”というよ。
例えば「買い物をし続けられるように金銭面で助けてくれる人」「一緒に買い物に出かける人」がイネイブラーに当たるんだ。つい甘やかしてしまう行為はイネイブリングというよ。
本人が依存から抜け出すためには、周囲が自立を促してあげてね。一人の大人として、一線を引いたうえで温かく見守ることが大切になるんだ。
専門家ができる対策
自分自身で頑張ってみたり、周りの人に支えてもらったりしても、なかなか症状が変わらないこともあるよね。
そんなときは、専門家の力を借りるのも一つの手だよ。”自分は病気なんかじゃないから”、”なんか薬とか飲まされたら嫌だし”と思う人もいるかもしれないけど、専門家に相談したからといって病気と決めつけられるわけじゃないし、意外な突破口を教えてくれることもあるんだ。
代表的な治療方法を見てみよう。
専門家に話を聞いてもらう
心の専門家に共感的に話を聞いてもらうことや、対処法を一緒に考えていくことがよい場合もあるよ。
また、買い物依存という症状の背景には、うつや双極性障害などの見逃せない精神疾患が隠れていることもあるんだ。双極性障害とは、気分が高揚して開放的になったり怒りっぽくなる躁状態と、落ち込んで気力が低下するうつ状態が反復されるものだよ。
心療内科や病院へ行くのには抵抗があったら、近くのカウンセリングルームや相談センターに相談してみるのもおすすめだよ。
共通の悩みを持つ人と話し合う場を持つ
依存症という同じ悩みを抱える人同士で、症状について話し合い、お互いに支え合うグループを自助グループ・セルフヘルプグループというよ。悩みを共有するだけじゃなくて、他の人の対処法を学べたり、自分一人で抱え込まなくてもいいんだという気持ちになれるんだ。
また、クリニックの中にはデイケアといって、いろんな心の症状を抱えた人が集まる場所を備えているところもあるんだ。話し合ったり、一緒に問題に向き合ったりできる仲間を作ることも心の支えになるよ。一人で抱え込みすぎてしまう前に、足を運んでみてもいいかもしれないね。
買い物依存症は心のSOS
夢中になれるものがあるのは素敵なことだし、適度なストレス解消として買い物を楽しんでいるならとても幸せだよね。
だけど、”ほんとは楽しいはずなのに最近は全然楽しめてない”と悩んでいる人はぜひここに書いてあることを考えてみてね。ちょっと頑張りすぎているあなたに、心がSOSのサインを出しているのかもしれないよ。
できるところから少しずつ、周りの人の力も借りながら、上手に買い物と付き合っていけたらいいよね。