「推しのアイドルが自分の部屋の隣に引っ越してきたらいいのに」
「もし宝くじが当たったら、好きなものを好きなだけ食べまくる」
「もしもピアノが弾けたなら…」
こんな風に「妄想」することってないかな? ありえないことだと分かっていても、「もし」を考えるのってときに楽しくて、気が付いたら一時間くらい妄想してたなんてこともあるよね。
けど、実は精神医学的な意味での「妄想」は、これとは少し意味が異なってくるんだ。精神医学的には「事実ではないにもかかわらず、正しいと確信し、その訂正が不可能な考え」を妄想と定義しているよ。
「事実ではない」点は一般に使われる「妄想」と共通しているけど、「正しいと確信」している点や、「訂正が不可能」な点は精神医学で言われる「妄想」独自の捉え方だね。
精神医学的な「妄想」が生じる病に「統合失調症」があるよ。今日はそんな統合失調症について考えていこう。
目次
統合失調症とは
統合失調症とは、妄想や幻覚を主症状とする代表的な精神病の一つで、考えや気持ちをまとめることが難しくなる病だよ。
統合失調症は100人に1人くらいの割合で発症すると言われていて、それほど珍しい病ではないんだ。昔は一度統合失調症になってしまうと人格荒廃に至るかなり重い病であると考えられていたけど、病気のメカニズムや薬の発展などによって軽症化してきているそうだよ。
統合失調症の症状
統合失調症の症状には大きく陽性症状と陰性症状の二つに分けて考えることができるよ。
陽性症状
陽性症状は、「普通だったらないものがある」と考えると分かりやすい症状で、妄想や幻覚などが含まれるよ。一つ一つみていこう。
妄想
統合失調症の症状には妄想があるよ。
冒頭説明したように、ここでいう「妄想」とは実際にはありえないことなのに本人は強く「絶対そうだ」と確信し、しかもそれを修正できない考えのことなんだ。
例えば「宇宙人に通信機を頭に埋め込まれた」「自分は天皇の隠し子」など、通常なら「それはない」とわかることでも本人にとっては真実かのように信じてしまうんだね。
幻覚
幻覚も統合失調症の代表的な症状の一つだよ。
幻覚とは、実際には存在しない感覚を感じることなんだ。例えば「身体の中に虫がはっている」「腸が溶けている」などの感覚だね。
統合失調症の幻覚の中で最も多い幻覚は幻聴だよ。幻聴とは、ないはずの音や声が聞こえる幻覚なんだ。
辛いことに、統合失調症の症状として聞こえてくる幻覚の内容は「おまえはバカだ」「あいつを殴れ」「後をつけられているぞ」といった否定的なものが多いみたい。本人はそれが幻聴であることになかなか気づけないし、聞こえてくる内容が真実であると考える傾向があるのでとても苦痛なんだ。
自我意識の障害
自我意識の障害も見られるよ。
自我意識の障害とは「身体が勝手に動く」など、自分の行動が誰かや何かに操られているかのように感じることなんだ。統合失調症になると、自分と他者との境界が曖昧になってしまい、自分が自分じゃないような感覚になるんだね。それで身体を自分で動かしているのか他人に動かされているのか区別がつかなくなってしまうんだ。
思考の障害
思考障害も陽性症状の一つだね。
思考障害が生じると、言葉が支離滅裂になるんだ。支離滅裂とは、「昨日は木曜日だったけど、そういえば来月は僕の弟の結婚式なんです。あなたは動物園に行きますか?」みたいに、何を考えていて何が言いたいのかわからなくなることだよ。急に話題が変わったり、話に飛躍があったりして、内容が理解できなくなってしまうんだね。
このように、統合失調症になると不思議な体験をするようになるんだ。「統合失調症 絵」などと検索してみると、統合失調症の方が抱えている体験様式を疑似体験できるかもしれないよ。
有名なのはイギリスの画家であるルイス・ウェイン氏だよ。彼は猫の絵を描き続けたんだけど、統合失調症になる前後を比較すると、後に描かれた猫の絵は作風が変わり統合失調症の症状が反映されていると考えられているんだ(諸説あり)。
ちなみに、この統合失調症の方とかかわって感じる独特な感覚のことをプレコックス感というよ。ルイス・ウェイン氏の晩年の絵を見て不思議な感覚になったら、それはプレコックス感と言っていいかもしれないね。
陰性症状
陰性症状は、「普通だったらあるものがない」と考えると分かりやすい症状で、感情の平板化、思考の貧困などが含まれるよ。
感情の平板化
感情の平板化とは、喜怒哀楽といった感情表現が乏しくなって他者との情緒的交流が図れなくなる症状のことだよ。表情が固くなり、口数も減り、人との接触が減ってしまうんだ。
思考の貧困
思考の貧困とは、比喩などの抽象的な言い回しが使えなくなったり、理解できなかったり、急に何を考えていいのかわからなくなったり、考えるスピードが遅くなったりと、頭が働かなくなる症状のことだよ。
意欲の欠如
統合失調症の陰性症状には意欲の欠如もあるんだ。自発的に何かをしようと思えなくなったり、何かを始めてもそれを続けることが難しくなるんだね。
自閉
人とのかかわりを避けて自分の世界に閉じこもることを自閉というよ。自室に閉じこもったり、何もせずボーっと1日中動かず座って過ごすといった状態になることもあるんだ。
ちなみに、「自閉」というと「引きこもり」と誤解されてしまうことがあるけど、この2つは別物だから注意が必要だよ。一般的に言われる「引きこもり」は、専門的には「社会的引きこもり」と言われていて、これは「特定の病気や障害がないものの、家や自室にとどまり続けている状態」を指す言葉なんだ。ここでいう「自閉」は症状だから、「社会的引きこもり」とは全く違うんだね。
またメンタルヘルスに詳しい人なら、発達障害の一種である「自閉スペクトラム症(ASD)」との関係も気になった人がいるかもしれないね。この2つは実は関係があって、かつて自閉症(今のASDの一種)は子どもに生じる自閉傾向の強い統合失調症なのではないか?と考えられていたんだ。それで子どもに生じる統合失調症として「自閉症」の診断名が生まれたんだね。
結局、1970年代には「自閉症は子どもの統合失調症説」は廃れていったのだけど、「自閉」の名前は残り続けてしまったんだ。
統合失調症の経過
統合失調症はどのような経過をたどるのだろう? 個人差はあれど、大きく前兆期、急性期、慢性期、回復期の4段階に分けて考えられるよ。
前兆期
多くの場合、いきなり妄想や幻覚といった目立つ症状が出始めるのではなく、前兆のような症状がみられる時期があるんだ。それが前兆期と呼ばれる段階だね。
具体的には不眠、漠然とした不安感、頭痛、吐き気、耳鳴りなどの症状が出始める時期だよ。このように様々な症状が表れる上に、どれも統合失調症特有の症状というわけでもないから、なかなか早期に統合失調症であると断定することは困難なんだ。
急性期
急性期は、発症してから1か月~数か月の時期で、妄想や幻覚などの陽性症状が主に表れる時期だよ。
陽性症状はとても目立つので、この時期に治療が開始されることが多いんだ。ただ、当人は自分が病気であるとの意識、つまり病識がないので自ら病院にかかることは非常にまれなんだ。多くの場合、当人の陽性症状をみて「何か異変が起きている」と勘づいた周囲の人が当人を連れてくる形で受診につながるよ。
慢性期
急性期を過ぎると、感情の平板化や意欲の欠如といった陰性症状が中心となる慢性期に入るんだ。この時期は非常に不安定な時期なので、ちょっとした刺激で症状が悪化したり、陽性症状が活性化したりもするんだよ。よくなったり悪くなったりの一進一退を繰り返す時期なんだね。
急性期は、陽性症状が少なくなってくる時期なので「良くなった」と思われがちな時期でもあるんだ。けど、「陰性症状こそが統合失調症の主たる症状」と考える医師もいるくらい、陰性症状は長い経過をかけて良くなっていくものなんだよ。
回復期
慢性期を過ぎて症状が徐々に治まっていくと回復期に入ったと考えられるよ。
この時期は、お薬での治療を続けつつ、デイケアなどで地域生活を行うためのリハビリを行ったり、家族や知人のサポートを受けたりすることがとても重要な役割を果たすんだ。
統合失調症のタイプ
統合失調症には多様な症状があるので、一人ひとり全く異なる病状を示すと言われているんだ。「本当に同じ病気?」と思うほど、全く異なる振る舞いを見せるんだね。
けど、統合失調症には大きく3つのタイプに分けることが出来るとの考え方もあるんだ。そのタイプとは妄想型、破瓜(はか)型、緊張型の3つだよ。
妄想型
妄想型とは、その名の通り妄想症状が主の症状として現れるタイプの統合失調症だよ。30代くらいが最も発症しやすく、統合失調症の中では最も数の多いタイプと言われているよ。
妄想はお薬が効きやすいので、きちんとお薬を飲めば比較的社会生活を円滑に進めることができるとされているんだ。
破瓜型
破瓜型とは、陰性症状が目立ち、思春期から青年期にかけて発症するタイプの統合失調症だよ。
学生から社会人になり立ての時期に発症するので、それまでオシャレに気を使っていたのに全く気にならなくなったように見えたり、それどころか奇抜な恰好をしたりお風呂に入らなくなったりするので周囲は変化に気づきやすいんだ。
でも人とのコミュニケーションを避けようともするので、「何か変だな」と周囲が気づいてもそれ以上関わることができず、「まさか統合失調症だったなんて」とあとで分かることも多いみたい。
ちなみに、もともとは「破瓜」は16歳の女性を意味する言葉なんだけど、破瓜型は10代の女性以外にも発症する可能性はあるよ。
緊張型
緊張型とは、緊張症状と興奮症状と呼ばれる症状を示すタイプの統合失調症なんだ。二十歳前後に発症することが多いとされているよ。
緊張症状とは身体を硬直させて動かない、食事を摂らない、話さない、不自然な姿勢を取り続けるなどの症状のことだよ。そして興奮症状とは叫び声を上げたり、壁を叩いたりするような症状のことなんだ。
緊張型の統合失調症にはお薬がよく効くことが知られているよ。さらに、最近は統合失調症は全体的に軽症化しており、緊張型は今ではほとんど見られなくなっているみたいだね。
統合失調症の原因
統合失調症の原因はまだ分かっていないんだ。だけど、いくつか有力な仮説があるからそれらを紹介していくね。
脳機能の問題
統合失調症の発症にはドーパミンと呼ばれる神経伝達物質がかかわっていると言われているよ。統合失調症を患っている方の脳を調べてみたところ、ドーパミンの分泌が過剰になっていることが分かったんだ。
ドーパミンが過剰に分泌されることで脳が興奮状態になり、妄想や幻覚が表れるのではないかと考えられているんだね。
でも、この仮説だと陰性症状がどうして生じるのかは説明できないんだ。実際、ドーパミンを抑えるお薬を投与しても陰性症状の改善にはつながらないんだよ。
まだまだ統合失調症に関してわからないことが多いみたい。
ストレスの問題
もともと「統合失調症のなりやすさ」を持っている人が、ストレスにさらされることで発症すると考える仮説もあるよ。この仮説はストレス‐脆弱(ぜいじゃく)性モデルと言われているんだ。
「統合失調症のなりやすさ」は遺伝の影響が考えられたり、胎児のときにウイルス感染などで受けた脳の障害が考えられたりしているよ。けどこれもまだまだ仮説の域は出ないんだ。
統合失調症と似た病
統合失調症とよく似ているけど、異なる病気は実はいくつかあるんだ。今度はそれらについて簡単に解説していくね。
パラノイア
パラノイアは統合失調症と間違われやすい病気の一つだね。
パラノイアは妄想症とも言われるように、妄想が生じる病気なんだ。統合失調症も妄想を呈するけど、パラノイアは統合失調症のように幻覚や陰性症状等が生じない点で異なっているよ。
また、妄想の内容にも違いがあって、パラノイアの妄想の方が統合失調症の妄想に比べてまだ理解しやすいと言われているよ。つまり、パラノイアの妄想は比較的現実的で、「もしかしたら…ありう…る?」と理解できるような内容なんだ。
統合失調症の妄想が「私のパートナーは宇宙人で私を管理しに来た」と非現実的なものだとすると、パラノイアの妄想は「私のパートナーは浮気している(根拠はない)」みたいな内容だね。
パーソナリティ障害の一部
パーソナリティ障害の中にも、統合失調症と間違われやすい障害があるよ。
10種類あるパーソナリティ障害はA群~C群の3つに分けられるんだけど、そのうちA群は統合失調症に似た症状を示すんだ。
A群には妄想性パーソナリティ障害障害、シゾイドパーソナリティ障害、統合失調型パーソナリティ障害の3種類が含まれているよ。中でも統合失調型パーソナリティ障害は統合失調症へ移行するケースもあるし、統合失調症の軽症例と考える見方もあるくらいなんだ。
統合失調感情障害
統合失調感情障害とは、統合失調症と双極性障害(感情障害)の2つを合併したような障害のことなんだ。
統合失調症と一致した症状だけを見て、感情障害の方を見落として誤診しないように注意が必要なんだね。
共有精神病性障害
妄想を持っている人と長く親密な関係を築いていると、もう一方も同じ妄想内容を抱いてしまうことがあるんだ。この状態を共有精神病性障害というよ。
共有精神病性障害になる人は非常に献身的で依存的な人が多いと言われているんだ。ただ、かなり珍しい病気で、発症率など詳しいことはよくわかっていないみたいだよ。
統合失調症の治療法
統合失調症は脳の病気だから、薬物療法が基本になるよ。けど、薬物療法だけでは効果の上がらない症状もあるから、心理療法による対応や社会福祉的ケアによってリハビリを行うなど様々な観点からアプローチする必要があるんだ。
薬物療法
統合失調症の治療に欠かせないのが薬物療法だよ。お薬を用法用量を守って正しく使うことが大切なんだ。
統合失調症に使われるお薬は「抗精神病薬」と呼ばれ、いくつかの種類があるんだ。現在使われることの多い抗精神病薬はSDA、MARTA、DSSといったものだね。いずれもドーパミンをはじめ、神経伝達物質の分泌や働きを抑える効果を持っているよ。
自分にどんな薬があっているかは実際に試してみないとなかなかわからないんだ。「合わないな」と思って他の薬に変更する場合には、一時的に症状が悪化したり副作用が生じたりすることもあるから、必ず主治医とよく相談して決めるようにしてね。
心理療法
統合失調症に対する心理療法としては、認知行動療法やオープンダイアローグなどが有名だね。
認知行動療法によって、妄想が出てきても「あ、妄想的思考が出てきているな」と客観的にとらえられるように練習したり、達成感ややりがいを感じられるような活動を増やすことで陰性症状を抑えたりしていくんだ。
オープンダイアローグとは、フィンランド発の心理療法で、その名の通り繰り返し「開かれた対話」を行うことで症状の緩和を目指すものだよ。参加者は当事者とカウンセラーだけではなく、当事者の家族、友人、医師、看護師など、当事者にかかわる人であれば皆参加資格があるんだ。
オープンダイアローグは統合失調症に高い効果があることがわかってきていて、近年とても注目を集めているんだって。
社会福祉的ケア
社会生活への「慣らし運転」のためにデイケアの活用もとても有効だよ。デイケアとは標準的には1日6時間、同じ病気を持つ者どうしがあつまって語り合ったり、社会的な活動をするための集まりなんだ。
デイケアは病院やクリニックをはじめ、精神保健福祉センターや保健所などで行われているよ。実施される活動はデイケアの主体先によって様々だけど、スポーツや料理教室、陶芸教室、音楽活動など色々なものがあるんだ。日常生活に必要な技能を学習するSSTを行っているところもあるよ。
デイケアで仲間と交流することで協調性がつくんだ。定期的なデイケア活動で生活リズムの安定と体力づくりにも役に立つよ。
統合失調症を持つ方との接し方
身近に統合失調症を患っている家族や友人がいる人もいるのではないかな。そんな人は彼らとどのようにかかわるのがいいんだろう。少しでもかかわり方のヒントになることを願って、いくつか案を出してみるね。
病気を理解する
統合失調症とはどのような病気なのかを正しく理解することは、とても大事な一歩になるよ。
統合失調症には、まだまだ偏見が付きまとっているよね。よくある偏見の一つは「犯罪を犯すんじゃないか」というものじゃないかな。けど、令和2年の犯罪白書によれば、精神障害者等が検挙された割合は、検挙人員総数に対して1%であることがわかっているよ。「精神障害者“等”」なので、実際には統合失調症のような精神障害を患っていない人も含まれていることを考えると、統合失調症患者そのものの犯罪率はずっと低いことが推察されるね。
また、統合失調症はおおよそ100人に1人が発症すると言われている、決して珍しくはない病気でもあるんだ。統合失調症は危険でもなければ、未知の病でもないんだね。
薬の管理をする
統合失調症はしっかりとお薬を飲み続ければ症状が安定しやすい病気なんだ。だけど、自己判断で薬物療法を止めてしまったりすると再発しやすいし、再発すればするほど症状は悪化していってしまうよ。
そうならないためにも身近な人がお薬の管理をしてあげるとよいかもしれないね。
妄想を否定しない
妄想は、いくら荒唐無稽な話に思えても本人にとっては紛れもない事実なんだ。だからそれを否定しないことが大事になるよ。
例えば「宇宙人につけまわされている」「盗聴されている」などといった類の妄想は十中八九真実ではないよね。だからつい「そんなことあるわけないじゃないか」と言ってしまいたくなると思うんだ。
けど、否定されると本人はより一層かたくなになり、「どうしてわかってくれない?」「もしかしてこいつも宇宙人の仲間か?」と疑われてしまうリスクがあるよ。それだけ本人にとっては恐ろしいことなんだ。
だから、話の内容は信じずとも「そう思うと恐ろしいよね」と、気持ちを傾聴してあげることが大切になるんだね。
自分の時間も大切にする
あまり深刻になり過ぎずに、自分だけの時間を大切することも忘れないでね。
統合失調症を持つ方とともに生活をすることは、ときに大きなストレスになるんだ。当事者の将来が心配になったり、「統合失調症になったのは自分に責任があるんじゃないか」と自分を責めてしまったりだね。
統合失調症に対する支援は広がっているし、原因はまだ誰にも分っていないよ。だから、それほど悲観する必要はないし、誰に責任があるわけでもないのだけど、つい色々考えてしまうのも無理はないよね。
けど、大切な支えとなるはずの周りの人が疲弊してしまっては、良くなるものもよくならないかもしれないよね。なので、たまには自分の時間を作って好きなことをして羽を伸ばすことも大切なんだ。映画に行ってもいいし、温泉に行ってもいいし、買い物に出かけたってもちろん構わないんだ。
1人で辛くなったら、「みんなねっと」のような家族会で仲間をつくってもいいよ。最近ではオンラインで開催されるMeeetUもサービスが開始されたから、仲間や情報を集めやすくなっているんだ。
おまけ “精神分裂症”と統合失調症の歴史
最後にうんちくとして統合失調症の歴史についても簡単に解説していくね。
知っている人も多いかもしれないけど、統合失調症はもともと「精神分裂病」と言われていたんだ。けどこの名称は当事者やその家族からの評判がめちゃくちゃ悪かったんだよ。「精神が分裂している」といったネーミングは非常に悲観的なイメージがあるし、「多重人格」と誤解されたりもするからなんだ。
そこで、2002年から名称を変更し、今使われている統合失調症へと病名が変更になったんだね。
ところで、精神分裂病にせよ統合失調症にせよ、これはSchizophrenie(独)を訳したものなんだけど、実はSchizophrenieの名称も変遷されてきた歴史があるんだ。
もとともはドイツの精神科医クレペリンが、それまでバラバラな病気として理解されていた破瓜病や緊張病、妄想病を一つにまとめ、「早発性痴呆」と呼び始めたのがきっかけなんだよ。
その後、スイスの精神科医ブロイラーが「痴呆というよりも、精神のつながりが切れてしまっていることが病気の本質」といったことに気づき、Schizophrenie(独)の概念を提唱したんだ。これが今の統合失調症につながっているんだね。
まとめ
今回の統合失調症に関するこちらの記事でおさえたいポイントは以下の通りだよ。
①統合失調症は考えや気持ちをまとめることが難しくなる精神病の一種。
②症状には妄想や幻覚などの陽性症状と、感情の平板化などがみられる陰性症状がある。
③決して珍しい病気でもなければ、犯罪を犯す危険な病でもない。
④統合失調症は軽症化が進んでおり、お薬でかなり改善する。
⑤併行して心理療法や社会福祉的ケアを受けるのが効果的。
ちょっといつもと違うな? と感じたら専門家に相談してみてね。