認知症の症状と予防方法 顔つきが変わるって本当?

2022.08.24 Wed
シンくん
案内人 シンくん
ライター
執筆 小野寺 リヒト 臨床心理士/公認心理師
認知症の症状と予防策
認知症の症状と予防方法 顔つきが変わるって本当?

日本は高齢社会で、お年寄りの数が増えているよ。いつまでも元気でいて欲しいけど、高齢者にまつわる心配事の一つに認知症があるよね。

2020年の段階で認知症患者数は600万人にのぼると推計されていたし、来る2025年にはその数がさらに増えて700万人以上となるとの予測もあるんだ。なんと65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症を患っている計算になるんだよ。

認知症はまだまだ分かっていないことも多いけど、出来るだけ早いうちから認知症を予防する取り組みをしていくことがとても大切なんだ。

今回は認知症について、認知症の予防策、認知症を抱える人とのかかわり方なども含めてわかりやすく解説していくね。

これからの人生の中で今日が一番若い日。若いうちから対策していこう。
 

認知症とは

認知症とは脳細胞の減少や死滅などの原因によって認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいうんだ。

一言で「認知症」といっても実はいくつかの種類があるんだ。どんな種類があるかをみていこう。

認知症の種類

認知症にはアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症といった種類があって、これらはかなり有名だよね。聞いたことがある人も多いんじゃないかな。

他にも代表的な認知症にレビー小体型認知症や前頭側頭型認知症なんかもあるよ。これら4つの認知症を総称して「4大認知症」と呼ばれることもあるんだ。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症とは、記憶を司る部位である海馬が委縮し、記憶障害が生じたり、物事の判断が付かなくなって日常生活を送るのが難しくなったりする認知症だね。男性よりも女性に多くみられるとされているんだ。

認知症全体の70%近くを占めるのがこのアルツハイマー型認知症だと言われているよ。

若いころのことはよく覚えているけど、最近のことは思い出せない
 

脳血管性認知症

脳血管性認知症とは、障害を受けた部位によって症状が変わるタイプの認知症だよ。障害がある機能とそうではない機能が混在しているので「まだら認知症」とも言われるんだ。些細なことで泣いたり怒ったりする情動失禁が見られることもあるようだよ。

認知症全体の中で20%近くを占めるのが、この脳血管性認知症なんだ。

「時計は読めないけど、計算はできる」みたいな症状があるよ
 

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は幻視が出現することを特徴する認知症なんだ。突然ありもしないものを指さして「○○がいる」」と訴えられたら家族もビックリしてしまうよね。

けど、幻視が出現することで本人が一番ビックリしているんだ。脳科学者の恩蔵(おんぞう)氏によれば、本人に安心してもらうために「見えているものを絵に描いてもらうなどして、客観的に眺めることが有効」とのことだよ。1

レビー小体型認知症は認知症全体の10%ほどを占めると言われてるんだ。

大丈夫。私は幻視じゃないよ。れっきとしたお化けだよ
 

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症とは、理性を司る前頭葉が障害されるため、反社会的行動がみられる認知症だよ。周囲の人には「わがままな性格になった」ように見えるみたい。もちろん、本人に悪気があってそうしているわけではないよ。

前頭側頭型認知症のうち約7〜8割がピック病と言われているんだ。ピック病とは「Pick球」と呼ばれる球状物が神経細胞内に見られるものを指すよ。

前頭側頭型認知症は認知症全体の1%くらいだと言われているね。

ギャンブルにのめり込んじゃうこともあるんだって
 

認知症の症状・サイン

認知症には様々な種類があるから、どの認知症になるかによって症状も様々だよ。ここではどの認知症にも比較的みられやすい症状についてまとめていくことにするね。

認知症の症状は大きく「中核症状」と「行動・心理症状」とに分けて考えられるよ。また補足として「認知症になると顔つきが変わる?」ってことを気にする人が多いみたいだから、顔つきについてもみていくことにするね。

中核症状

中核症状とは認知症の本質的な症状のことで、脳の器質的変化によって引き起こされるんだ。

具体的には、記憶障害、見当識障害、理解・判断力の障害、失語・失認・失行、実行機能障害などがあるよ。

記憶障害とは、新しいことが覚えられなかったり、過去のことを忘れてしまったりすることなんだ。

見当識障害とは、「今、自分は何をしたらいいのか。何をしているのか」といった現実的判断が出来なくなってしまうことだよ。

理解・判断力の障害は、考える力が衰え、適切な判断ができなくなってしまうことだね。

失語失認失行とは、上手く話すことができなくなったり(失語)、目で見たものが何なのかを認識できなくなったり(失認)、物の扱い方がわからなくなったり(失行)することなんだ。

実行機能障害とは、物事の手順や段取りがわからなくなってしまうことだよ。料理をするにしても何から始めればいいかわからなくなるんだ。

以上のような症状が認知症の本質的な症状となるよ。

酒瓶は人を脅すための道具じゃない!(失行)
 

行動・心理症状(BPSD)

行動・心理症状はBPSD (Behavioral and Psychological Symptom of Dementia)とも呼ばれる症状で、上記した中核症状によって引き起こされる二次的な症状だよ。中核症状に比して「周辺症状」と言われることもあるんだ。

BPSDには妄想、幻覚、不眠、抑うつ、興奮、徘徊、異食(食べ物じゃないものを食べる)などがあると言われているよ。

俺がいるべき場所はここじゃない(徘徊)
 

顔つきが変わるって本当?

認知症になると顔つきは変わるのかな?

確かに認知症になるとBPSDの症状の一つとして抑うつ状態になることがあるんだ。高齢者のうつ病と認知症を見分けるのは難しいと言われるくらい、認知症に抑うつ状態はつきものなんだね。

抑うつ状態になると気力ややる気がなくなり、覇気がなくなるんだ。このために表情が暗い印象になり、「顔つきが変わった」と判断される理由になっているのかもしれないね。

認知症なのかうつ病なのか。見極め大事
 

認知症と物忘れの違い

認知症の中核症状と物忘れとでは何が違うのか気になる人もいるかもしれないね。そんな人のために、両者の違いを一覧にしてみたよ。気になる人は参考にしてみてね。

認知症の原因

次に認知症になる原因を解説していくね。「人生100年時代」と言われているのだから、出来れば認知症にならず元気な状態で長生きしたいと思う人も多いんじゃないかな。原因を知ることで、そうなれるように対策を考えられるといいよね。

ただ、結論から言うと、残念ながら認知症の種類によって原因はそれぞれ異なるんだ。例えば脳血管性認知症だと、脳梗塞などの理由で脳にダメージを負うことが原因なんだ。レビー小体型認知症は、αシヌクレインと呼ばれるタンパク質が脳に蓄積し、神経細胞が破壊されることが原因だよ。

さらに残念なことに、認知症全体の70%近くを占めるアルツハイマー型認知症は未だ原因が不明とされているんだ。アミロイドβが脳に溜まって老人斑ができることが原因とするアミロイド仮説はあるけど、これもまだ確定された段階ではないんだよ。

なお、ダウン症患者のもつ神経細胞はアミロイドβを過剰分泌することが知られていて、そのためにダウン症患者はアルツハイマー型認知症になる人が多いんだ。アミロイド仮説はまだ確証に至ったわけではないけど、かなり有力な仮説のようだね。

アルツハイマー型認知症の原因を突き止めてノーベル賞を取ってやるぜ
 

認知症の予防

原因はまだよくわかっていないのが正直なところだけど、引き続き原因追及のための研究が行われているのと同時に、「どうすれば認知症を予防できるのか」に関しても研究が勧められているんだ。

研究結果をもとに、認知症を予防できる見込みがありそうな工夫をまとめていくね。

歯の健康を保つ

歯の健康を保つことは、認知症予防になるかもしれないとの研究があるんだ。

ニューヨーク大学のBei Wu氏らによって行われた「歯の喪失と認知障害」についての研究に対してメタ分析した研究がそれだよ。この研究結果によれば、1本歯が減るごとに、認知症と診断されるリスクが1.1%増加するとのことなんだ。2

どうしてこのような結果になったかというと、「歯を失うと物をちゃんと食べられなくなるので栄養が欠乏し、ひいては脳の神経が変容してしまうから」と考えられているよ。

ちゃんと歯磨きをして、定期的に歯医者さんに行くといいかもね。

どう? いい歯並びしてるでしょ?
 

毎日を楽しむ

マサチューセッツ工科大学のLi-Huei Tsai氏による研究では、刺激にあふれる環境で活き活きと生活したり、知的活動をしている人ほど認知症のリスクが低いことが知られているよ。

活き活きしている人たちは「MEF2」と呼ばれる遺伝子が活性化され、この遺伝子が認知症を予防していると考えられているんだ。

単調な毎日にするのではなく、ちょっとした変化をつけるだけでも活き活きした生活ができるようになるよ。いつもと違う道で帰宅してみたり、コンビニスイーツの新作を欠かさずチェックしてみたり。こんな些細なことでもいいんだ。

今日のファッションテーマ、いつもと趣向を変えてみたんだけど、どうかな?
 

魚を食べる

魚を食べると認知症予防につながると考えられているよ。魚は魚でも特に青魚がいいみたい。青魚に含まれるオメガ3脂肪酸がアミロイドβに働きかけるからだよ。

アルツハイマー型認知症のところで、アミロイド仮説について説明したのを覚えているかな。未だ「仮説」ではあるんだけど、アミロイドβがアルツハイマー型認知症を引き起こすものとして有力な候補なんだ。

このアミロイドβは肝臓で作られるのだけど、青魚に含まれるオメガ3脂肪酸はこの生成を抑える働きをするんだ。

青魚はトラウマ記憶を処理するのにも有効だと言われているから、青魚ってすごいね。

ちなみに、オメガ3脂肪酸は熱に弱いので、煮物や刺身で食べるといいんだって。

今日、サバの味噌煮作るからサバ買ってきて
 

認知症の調べ方

認知症か否かを調べるテストはいくつかあるのだけど、最も有名なものの一つがHDS-Rだよ。

HDS-Rでは「100から7を順番に引く問題」や「知っている野菜の名前をできるだけ多く答える問題」など、9つの問題に回答し、その回答の出来から認知症かどうかを調べるテストなんだ。

どんな問題があるか気になる人は日本老年医学会がアップしているこちらのURLからのぞいてみてね。

100引く7は93。93引く7は…えっとえっと(汗)
 

認知症の方とのかかわり方

今まではどちらかというと「認知症にならないようにするには」との観点からお話してきたね。

けど、認知症を患っている方とかかわる機会の多い人もいるよね。次はそんな人たちに対して「認知症の方とのかかわり方」を解説していくね。

ただ、これから挙げるのはあくまでも一例だよ。参考になるところがあれば嬉しいな。

何度も根気よく伝える

認知症を患うと記憶障害のために新しいことを覚えられなくなってしまうことがよくあるんだ。だから何度も同じことを聞いてくるけど、それでもその都度根気よく伝え続けることができるといいね。

確かに何度も同じことを聞かれ続けたら嫌気がさすし、徒労感で疲れてしまうよね。そういった気持ちや感覚になるのは無理もないことだよ。でも、認知症で記憶障害になるのは仕方がないことで本人に責任があるわけではないのも、もう一方の真実だよね。

自分にとっては何度も伝えたことであっても、相手にとっては「はじめて聞く話」なんだと思うようにして伝えてあげるだけでもだいぶ変わるはずだよ。

相手の自尊心を傷つけない伝え方ができれば、中核症状は変わらずともBPSDは悪化せずに済むかもしれないね。

とはいえ、毎日・毎回のこととなると疲れちゃうよね。そんなときは迷わずホームヘルパーなどの力を借りればいいんだ。ホームヘルパーとは、自宅に訪問してくれる介護サービスのスペシャリストのことだよ。もちろん他にも介護施設やデイケアなどの医療・福祉施設を利用することを検討しても構わないよ。

「経済的な余裕がない…」という方は地域包括支援センターの利用も検討してみてね。地域包括支援センターとは、介護に直面した家族の総合相談窓口みたいなところで介護の相談を無料でできるんだ。

もうご飯は食べましたよー!
 

季節のあいさつ

認知症になると時間の感覚がなくなってしまうんだ。だから挨拶する際は「おはよう」と声掛けし朝が来たことや、「寒くなってきたね」と秋や冬の到来を教えてあげるといいよ。

このようなかかわりだけでも、見当識障害が緩和され、混乱が改善できる可能性があるんだ。

雪が降ってきましたね。もうすっかり冬ですね
 

具体的な提案

認知症になると自分で物事を決めることが難しくなるんだ。だから、「散歩に行こうか?」「15分だけスーパーに行こう」など、具体的に伝えるといいね。

このような具体的で見通しのあるかかわりをされると安心するみたいだよ。

3分間このままの姿勢を維持してください
 

認知症にまつわる誤解

最後に認知症を患っている方に対してしてしまいがちな誤解について考えてみよう。

その誤解とは「可哀そうだから代わりにやってあげたほうがいい」だよ。けど、たとえ認知症を患っていても、できることは本人にさせることが大事なんだ。

確かに、自分がやってあげた方がはやいことも多いよね。食事一つとっても、自分が食べさせてあげた方がはやく終わるし、後片付けも楽かもしれないんだ。けど、本人ができることはできるだけ本人に任せることも大切だよ。「自分でできた」という喜びは、認知症になったとしても、誰にとっても貴重な体験だからなんだ。

逆に、「本当は時間をかければできることなのに、させてもらえない」ことが続くと、ますます無力感や不快感は強くなるんだ。そうするとBPSDが進行してしまう恐れがあるよ。

他にも「役割」を与えて本人の貢献感を育てたり、「感謝」の言葉がけを積極的にして勇気づけをしたりといったかかわりができるといいかもしれないね。d

1人で買い物で来て偉いね!
 

認知症まとめ

今回は認知症について簡単にまとめ、予防策やかかわり方について解説したよ。要点は以下の4点。

①認知症の代表的な種類はアルツハイマー型認知症・脳血管性認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症の4つ。
②代表的な症状は中核症状と行動・心理症状(BPSD)。
③予防策としては歯の健康を守り、毎日を刺激的に過ごし、青魚を食べる。
④認知症を抱えている方には、その症状をよく理解したうえで根気よく接し、あいさつし、提案は具体的に伝える、などを意識して関わる。

人間、年をとれば必ず何かしらの力は衰えていくもの。皆で支え合って生きていきたいね。

脆弱な人に優しい社会は強力な社会だよね
 

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