電話応対でなんか緊張したり、テンパったりすることってない?
プライベートで友人と電話で話すときには、全然緊張しないのに、職場で電話応対するときに限って緊張してしまったり…。電話応対に緊張しすぎて、通話が終わっても内容を覚えていなかったり…。「やっぱり電話は苦手だー」と思っている人は、電話恐怖症なんて呼ばれることがあるよ。
電話応対について、上司から怒られたり、お客さんからクレームをもらったり、そんなことがつづくと「自分は社会人としてダメなんじゃないか」って気持ちになりよけいに落ち込むよね。
でも、電話恐怖症は「やる気をだす」とか精神論では解決しない場合があるんだ。電話恐怖症は甘えではない理由と原因、克服方法を紹介するね。
目次
電話恐怖症とは?
電話恐怖症とは「電話をかける・受けることを過度に怖れること」だよ。様々な症状があるけど、どの症状も不安感を伴うのが特徴だよ。
ただし「電話恐怖症」は俗称。正式な病名や診断基準は無く、あくまでも「電話が怖いという心理状態」を指しているんだ。電話で悩んでいる人が一定数いて、その多くの人が共感する言葉だから電話恐怖症って言葉が生まれたんだね。
じゃあ、なんで電話が怖いと感じる人がいるんだろう?
対面での会話の場合は、お互いに会話相手だけに集中しているわけではなく、景色や雑音の外部要因に意識が向くよね。でも、電話だと相手の声しか聞こえてこないから、よけいに自分が喋っている声や内容に意識が向きやすいんだ。電話対応に自信がないと、そんなダメな自分にもスポットライトが当たる感覚がして、さらに辛くなってしまうよね。
電話が苦手なのは自分だけって感じてしまうものだけど、じつはそんなこともないんだよ。
セゾン自動車火災保険株式会社が、全国の20代~60代 300人を対象とした調査によると、約4割の人が電話恐怖症という結果が出ているよ。
意外にも電話応対で悩んでいる人は多いんだね。だから自分だけって思わなくても大丈夫。自信満々に電話をしている上司や同僚もじつは、「電話が苦手」と思っている可能性もあるよ。
電話恐怖症の原因
電話恐怖症は単なる「甘え」ではなくて、電話が怖くなった原因があるからこそなんだ。
電話恐怖症の原因は人によって様々だけど、主に「過去につらいエピソードがあった」「きちんとした自分を演じたいと思っている」などが関係しているよ。
電話が怖くなった原因を探すのはすこし大変な作業だよね。でも、自分なりの原因を探ることで、克服する方法が見つかる場合があるから、下記を参考にしてみてね。
電話応対を不条理に評価された体験がある
電話が怖い原因は、過去に自分の電話応対を人に評価された恐怖体験が関係している場合があるよ。
たとえば、職場において自分が電話しているところを上司に聞かれて「もう少し元気よくできないかなぁ」って怒られたり、自分が電話している仕草を同僚にクスクス笑われたり…。あとは、お客さんに電話越しにものすごい剣幕で怒られた…。なんていう過去の失敗体験が、電話に対する怖さを作っているんだ。
電話に対する怖さを抱えたまま、自信を持てずに電話をしてまた失敗する悪循環にはまり、よけいに自尊心が低下していってしまうんだよね。
自尊心を向上したいときは、こっちのページを読んでみてね。
きちんとした自分を演じたいと思っている
電話する時ってお互いの顔が見えない分、相手に対してきちんとした自分を見せたいっていう気持ちが出やすいんだ。昔から「電話応対はビジネスマナーの基本」みたいに言われているから余計にそう思うよね。
きちんとした自分を演じたい気持ちは悪くないし、むしろ相手を大切に思っている証拠。
きっと電話が苦手な自分を責めてしまっているんじゃないかな。きちんとした自分を演じようと思えば思うほど、思考が混乱してしまって、何をしゃべっているのかわからなくなっているのかもしれないよ。
電話のタイミングを自分で選べない
電話がかかってくるタイミングが予測できたら安心するんだけど、相手発信だからそれが難しいんだよね。
自分から電話をするときも、急に上司から「先方にこれ伝えといてー」とか言われて、気持ちがびっくりしたまま相手先に電話しなければならないときもあるよね。
自分から電話をかけるならまだしも、相手からかかってくる電話って予測不可能なんだ。突発的にかかってきた電話に対して、即座に反応しなければならずストレスが生じているかもしれないよ。
精神科医の和田秀樹氏は、電話に限らず、未知への不安や恐怖に支配されると、人は「目の前の心配事」しか見えなくなり、冷静な判断ができなくなると述べているよ。これはコルチゾールというストレスホルモンが関係していて、興奮して頭がまっ白になり、「○○するしかない」と思い込んだりしてしまうんだ。
その結果、「そろそろ電話がかかってくる」という考えによけいに支配されて、不安や恐怖がふくれあがってしまうんだ。コルチゾールというストレスホルモンが分泌されると、興奮して頭がまっ白になったり、「○○するしかない」と思い込んだりしてしまうんだね。
疾患、器質的な要因によるもの
電話で「相手の話が入ってこない」「内容が理解できない」「うまく会話することが難しい」という場合は、疾患や器質的な要因が隠されている場合があるんだ。
例えば、疾患面では、うつ病や社交不安障害(SAD)などがあげられるよ。これらの疾患に共通する「気分の落ち込み」「集中力低下」「人前での強い緊張、不安」といった症状が、電話に対する恐怖に関係してくるんだね。
器質的要因では、聴覚情報処理障害(APD)や発達障害などが関係している可能性があるよ。
聴覚情報処理障害(APD)は、ICD-10 (WHO作成の国際的な診断分類)に規定されている「聴覚検査で異常がないにも関わらず、聞き取り困難を有する障害」だよ。電話に限らず、会議や打ち合わせなどの複数人で会話をする場面や雑音があるにぎやかな場所で症状が出る人もいるんだって。
発達障害は、個人の様々な能力の間で得意・不得意のばらつきがある程度以上に大きいために、勉強や生活、仕事などがしづらい障害だよ。人によって何が不得意かは違うけど、「耳から聞いての聴覚的な情報把握が入る苦手」「目から入る視覚的な情報の処理が苦手」などの特異な感覚があると、たとえそれが正常範囲のことであっても、本人にとっては困難が生じてしまうんだ。APDと発達障害は併発する人も多いみたい。
もちろん、今回紹介した以外の疾患や器質的な要因でも電話恐怖症が起こりえるよ。
ただ、上記に当てはまると感じる場合、自分だけで判断したり、解決したりすることは難しいから、いちど専門の心療内科や精神科病院に相談してみてね。
電話恐怖症の人の特徴
次は電話恐怖症の人によくみられる特徴だよ。
主にプライベートでの電話よりも、苦手意識を感じやすい会社や職場を想定した特徴を示してみたよ。
下記のすべての項目に当てはまったからといって電話恐怖症ではないので、あくまで「あるある」程度で参考にしてみてね。
電話恐怖症の人によくみられる特徴
- 職場での電話対応が嫌で出勤したくないと思っている。
- 電話の呼び出し音が鳴ると怖くてソワソワしてしまう。
- 電話で自分が何を話しているのかわからなくなる。
- 電話相手が何を話しているのか理解が難しい。電話が終わったあとに内容を覚えていない。
- 電話で話すときに周りの人に見られている、聞かれていると思うと緊張する。
- 特定の人の前で(上司や同僚など)電話したくないと感じるがそれ以外の人の前では普通に会話できる。
- 電話で話すときの自分の声が変、気持ち悪いと感じている。
- 電話で話すときにいつもより声が小さくなる。
上記の特徴が当てはまる人と感じた人は、このあとの記事で克服方法について具体的に説明しているよ。該当する番号の克服法を参照してみてね。
電話恐怖症の克服方法
電話恐怖症を克服する方法を見ていくよ。
人によって電話が怖くなった原因が様々なように、克服方法も自分に合ったやり方があるはずなんだ。完全に克服することは難しいけど、下記を参考にして、徐々に怖さがなくなっていくといいよね。
①電話が怖いと感じる原因を探ってみよう
電話恐怖症を克服するためには「どうして電話が嫌いなのか」という原因を探ってみよう。
たとえば、自分が電話しているところを上司に聞かれて「電話応対の基本とは…」っていうテーマでお説教を受けたり、同僚から、「電話してるとき、顔が赤くなってるよ」ってからかわれたり。過去にそんなエピソードがなかったか振り返ってみるとヒントが隠されているかもしれないよ。
上記のような原因を解明して受け止めてみることが大事だよ。自分が電話を嫌っている原因がわかれば、それを克服することにつながるかも。
②電話応対マニュアルの作成
電話応対の仕方についてのマニュアル(メモ)を作るのもおすすめだよ。
電話応対をしていて気づいたことや失敗したことをマニュアル(メモ)にまとめてみよう。マニュアルを作っておくことで、急に電話がかかってきても、マニュアルを見ながら応対できるので、頭の中が整理できるよ。
電話応対のマニュアルはこんなふうに作ってみてね。
電話応対マニュアル例
■電話中の声が小さいと指摘を受けた
・「いつもより大きな声で話してみる」とメモ。
■電話がおわったあと何をしゃべったか覚えていない。
・自分から電話をかける場合は、何を相手に伝えたいのか話す内容をあらかじめまとめてく。
「〇〇の発注の件」とメモ。
・相手から電話がかかってきた場合は相手の名前、要件、電話番号をメモ。
■電話中に噛んでしまう
・「お世話になっております。」「〇〇会社の〇〇(自分の名前)です。」のようなおきまりの文言でもメモに書いておく。
③電話本来の目的を考える(要件を伝える、要件を聞く)
電話が苦手な自分に意識が向きすぎてしまうと、電話本来の目的である、「要件を伝える」ことや「要件を聞く」ということに対して集中しづらいんだ。
シンプルに要件を伝える、要件を聞くということに気持ちを集中できれば雑念が出現しないかも。
要件を伝える、要件を聞くという行為だけでみると、電話以外のツール(LINE、チャットワーク、メッセンジャーなど)でも代用できるのも事実なんだ。職種によっては、会話の目的や利便性を重視して電話というツールにこだわりを持たない会社もあるから、そのような会社で働くことで「電話への怖さ」が軽減する可能性があるよ。時代やIT技術の進化によって、従来の電話への価値観が変容しているんだね。
ただ、電話をすることで得られる価値(直接話すことで解決する)は存在しているし、業務上、どうしても電話をしなければならないという職場もあるよね。電話が怖くて本来の目的が達成されないなら、会社の上司や人事部に、今の自分の状況を正直に打ち明けてみる方法があるよ。それにより、環境の調整をしてくれたり、電話をしなくてもいい部署への配属が認めてくれたりする場合があるよ。
④電話を聞かれたくない人とコミュニケーションをとる
電話を聞かれたくない上司や同僚とうまく関係が築けていないと、よけいに苦手意識が強まることがあるよ。
社会人になりたての人や転職したばかりで職場の人間関係に慣れていない人は、上司や同僚と普段の会話から、自己開示することで良好な人間関係がつくれるかもしれないんだ。
たとえば自分の考えや生い立ち、趣味などの自分自身の情報を相手に伝えてみて。相手に自分の情報を明らかにすることは、最初は抵抗があるかもしれないけど、相手は自己開示をしてくれた人に対して「今度は自分も自己開示してみよう」と思うもの。心理学用語では返報性の法則と呼ばれる感情だね。
自分:「私の出身は北海道なんです。趣味は野球観戦で、球場にも行ったりします。」
相手:「北海道なんだ~。こんど地元民おすすめの観光スポット教えて!野球だったら〇〇さんも好きだな。」
こんな感じで自分から自己開示すると、相手は自己開示してくれた人に対して何かお返しがしたい気持が芽生えて、よりあなたが得するように人間関係が作用していくよ。でも、なんでもかんでも自己開示すればいいってわけではないので、相手が困惑しないような内容で自己開示してみてね。
⑤電話ロールプレイングをする
電話への恐怖をゆっくり確実に取りのぞける「ロール・プレイング」もおすすめだよ。
友達や家族などの信頼できる人に協力してもらって、電話をかける練習をしてみよう。心理学用語ではロール・プレイングといわれていて、実際に近い疑似場面を想定し、その中で自分の役割を演じることで、スキルを身に付ける学習方法だよ。相手に気づいたところを教えてもらったり、アドバイスをもらったりすることで成功のイメージに近づくことができるんだ。
でも、「怖い」という感覚は人によって違うから、怖さの感覚が自分のなかでとても大きい場合は、自分だけで取りのぞこうとしないで、専門機関の力を借りることも考えてみてね。
電話以外でも使える、瞬間的な緊張を取り除くおまじないも下の記事で紹介してるから、参考にしてみて。
電話恐怖症のまとめ
電話が怖くなくなる上で大切なのは、以下の3つ。
①電話が怖い理由を探る
②電話応対のマニュアル作成
③電話を聞かれたくない相手とコミュニケーションをとる
電話が得意な上司や同僚みたいにかっこよく電話応対できなくても、そんなに落ち込まなくて大丈夫。だれだって何事も最初からうまくはいかないもの。
”電話のしやすさ”は、環境や人間関係によっても左右されるから、電話が苦手な自分自身を必要以上に責めなくても大丈夫。
電話が怖くて朝起きられない、電話が怖くて出勤できないなど重度の症状がある人は、電話が苦手以外の原因が隠されているかもしれないので、いちど専門機関(心療内科や精神保健福祉センターなど)に相談してみることをおすすめするよ。