「一つのミスも許されない」
「何事もきっちりしてないと落ち着かない」
「物がきちんと整頓されてないと無性に気になる」
完璧主義的に考えちゃってストレスになることって、誰にでもあると思う。
「より良いものを目指したい」という意味では、すごく人間的に魅力的な考え方だよね。
けど、この理想が高すぎて、「苦しい」と感じるまでになると事情は変わってくるよ。「苦しいから止めたい!でも止められない!」と悩んでいる人も多いんじゃないかな?
今回は完璧主義になる原因と、完璧主義の治し方について説明していくね。簡単に取り組めるワークもあるから、気が向いたらチャレンジしてみて欲しいな。
目次
完璧主義になる原因はなに?
そもそもどうして「完璧にしなきゃ」と思うんだろう?
まずはその理由を整理してみよう。
理想が高い
完璧主義の人は理想が高いことが知られているよ。
人が完璧主義になる原因はいろいろあるんだけど、一つには「完璧にしないと心理的・物理的暴力を受けてきた」人が多いといわれているんだ。
例えば、テストで100点を取らないと親が口をきいてくれなくなった、といったことがあると「どんなときでも100点を取れる」があるべき理想の姿になってしまうことがあるよ。
不安が強い
不安が強い人も完璧主義になりやすいよ。
不安を感じるときって、たいてい「未来」を考えたときだよね。さっき「完璧主義の人は理想が高い」という話をしたけど、「理想」も「未来」も「まだ起きていない」という点で共通していて、完璧主義の人はこの二つをよく考える傾向にあるよ。
完璧主義の人は「まだ起きていない」ことを考えて不安になり、必要以上に将来に対して悪いイメージを抱きがちなんだ。
だから、「少しでも将来に悪いことが起きないように…!」と、念には念を入れて物事を進めるようになるんだね。要は、ちょっとのミスが将来の大きな困りごとになってしまわないだろうかと不安になるから、その不安を解消しようと完璧を求めるんだ。
自信がない
自信がないときにも完璧主義になりやすいよ。
自信のなさが完璧主義につながる理由は、さっき説明した「理想が高い」や「不安が強い」にも関係しているんだ。
「理想が高い」との関係からみていくよ。
「理想が高い」ということは、いいかえれば「現実と理想との間にギャップがある」ということだよね? 理想が高い人は、「理想の自分像」から「現実の自分」を見るから、そんな現実の自分を劣っているように感じ、自信を失いやすいんだ。
「自信がない」との関係もみていくね。
不安が強いと今のちょっとしたミスが将来の大きな困りごとにつながると感じやすくなると説明したよね? 自信がない人は、さらに「もし大きな困りごとになってしまったら、自分にはそれを解決することができない」とも考えるんだ。
こんな風な感じで、自信がないときにも完璧主義になりやすいよ。
白黒思考がある
腕を組む時はいつも右腕が上に来るとか、身体のクセってあるよね。それと同じで「認知行動療法」という心理療法では、「いつもこんな風に考えがち」という、いくつかの思考のクセがあると考えているんだ。
その中の一つに白黒思考があって、これはつい完璧なもの以外はすべて無いに等しいと考えてしまう思考のクセのことだよ。この思考のクセがあると、完璧主義になりやすいと言われているよ。
「100点を取れるいい子なら可愛がってもらえた」「一等賞を取ったときだけ褒めてもらえた」というような、条件付きの愛情をうけて育ってくると、白黒思考のクセが付きやすいと考えられているんだ。
完璧主義の特徴
原因がわかったところで、次は完璧主義の特徴についてもみていこう。ここでは完璧主義の特徴を長所(メリット)と短所(デメリット)に分けて紹介していくね。
完璧主義のメリット
完璧主義って、なんだが融通が利かなくて要領が悪いというイメージが伴いがちだけど、本当かな? もちろんそんなことはなくて、ちゃんと長所(メリット)もあるんだ。
仕事が丁寧
完璧主義の人は良くも悪くも妥協を許さないタイプの人が多いから、仕事はとっても丁寧だよ。
細かいところにもしっかり目が行き届くからなんだ。
成長意欲がある
常に高い理想を追い求めているから、成長しようとする意欲も強いんだ。実際、どんどん成長していく人は多いよ。でも分野によっては成長意欲が高くて逆に先延ばしをしちゃうこともあるんだけどね…。これについては短所(デメリット)のところで述べていくよ。
責任感が強い
完璧主義な人はまじめな人が多く、責任感も強い傾向があるよ。「しっかりしないと!」という気持ちが人一倍強いんだ。
誰かの理想になっている
仕事が丁寧で、成長意欲もある。更には責任感が強い。これってすごいことだよね! こんな人が身近にいたら、誰だって理想にしたくなるよね! 完璧主義な人は「自分もこんな風な人になりたい」と、誰かの理想になっていたりもするんだ。
完璧主義のデメリット
いいところもある完璧主義だけど、これを読んでくれている人の中には完璧主義に困っている人もいるよね。完璧主義の短所(デメリット)も整理しておこう。
なかなか仕事が終わらない
完璧主義だと少しのミスも許せないから、どうしてもやり終えるまでに時間がかかってしまうんだ。その間に新しい仕事がたまってしまうとまさに悪循環。いつまでたっても仕事が終わらなくなってしまうよ。
成長している実感に乏しい
完璧主義な人は理想が高くてまじめだから、他の人に比べて圧倒的に成長していることも多いんだ。ところが、最初の方にも言ったように、完璧主義な人は「理想の自分像」を基準にして今の自分を観察しているから「まだまだ」と感じやすく、成長している実感に乏しいことが知られているよ。
高い水準を他人にも要求してしまう
完璧主義な人は成長している実感が乏しいだけで実際はものすごく成長しているよ。けれど、そんな自分に自信が持てないから「これくらいできて当然」と思いやすいんだ。
だから、本来、相当高度なことであっても、「自分にさえできるのだから、他の人がもっとできるのは当然」と考えて、知らず知らずに他人に高い水準を求めてしまうことがあるよ。
落ち込みやすい
完璧主義な人は理想が高い傾向にあるのだけど、その理想と現実とのギャップが大きいと、落ち込みやすくなることが知られているよ。バルセロナ大学の研究では「現実と理想とのギャップ」が大きい人ほどうつ病になりやすいことがわかっているんだ。
先延ばししやすい
「完璧にしないと気が済まないけど、どうせ完璧になんかできっこない」
「完璧にできない現実に向き合いたくない」
こんな風に考えて、つい先延ばしをしてしまうこともあるよ。「完璧なものを!」という成長意欲の裏返しとも言えるかもしれないね。
完璧主義の治し方
今までみてきたように、短所(デメリット)もある完璧主義だけど、長所(メリット)もきちんと存在しているんだ。完璧主義そのものが悪いわけではないよ。けど、あまりに完璧主義が辛い人はそれを治したいと思うのも当然だよね。これから一緒に完璧主義の上手い治し方をみていこう。
まずは3秒深呼吸
完璧主義がでそうになったら、まずは深呼吸をしてみるといいよ。
3秒間吸って、3秒間吐く腹式呼吸を繰り返してみてね。
加点方式にする【ワーク】
完璧主義の人は「100点」が基準になっていて、何かできないことがあるごとにその100点からマイナス評価をしていくんだ。つまり減点方式で自分を採点するんだ。「今日は寝坊しちゃったから、もう-30点。100点じゃない自分はダメ」という感じだね。
これを、「今日は寝坊したけど、ちゃんと会社には間に合ったんだからすごい!+30点!」といったように加点方式で考えてもらえたら嬉しいな。
早速、取り組んでみよう。難しく考える必要はないからね。
今日できたことを書いてみよう!
昨日の自分と比べる
完璧主義の人は他人と自分をつい比べてしまうんだ。
「あの子は自分よりもかわいい。だから私はブス」
「あいつは後輩なのに俺よりも稼いでる。俺は生きてる価値がない」
という感じだね。
けど、すべてのジャンルで一番になることなんてできっこないよ。だから他人と比較していたら、必ず欠点を見つけることができてしまうんだ。
どうせ比較をするのなら、昨日の自分と比較してみて。
「毎日メイクの勉強してて楽しい。最近自分の年齢相応なメイクの仕方がわかってきた!」
「収入は少ないかもしれないけど、昨日よりできることが増えてきてやりがいを感じる!」
こう考えてみると、成長を実感しやすくなるんじゃないかな。
完璧主義を発揮するゾーンを限定する
大事なことなので繰り返すんだけど、完璧主義には長所(メリット)もきちんとあるんだ。なので、なんでもかんでも完璧主義を止めてしまうのはもったいないよ。
そこで、「完璧主義を発揮するゾーンを限定する」をおすすめしたいんだ。例えば、「今日一日徹底的に掃除しよう!」とか「この書類だけでも誤字脱字がないか調べつくそう!」という感じだね。
一足飛びに「理想」通りになろうとするとたじろいでしまうけど、それを細かく分解したら何とかなりそうな気になるよね。
こうやって、細分化した限られた範囲の中で完璧主義を発揮してみよう。自分の持ち味をうまく利用できたらとても素晴らしいよね。
ありのままの自分を見つめる
完璧主義の人は、「自分の中のダメな部分」に心の居場所をあげていないことが多いんだ。
上の対処法を実践してみて、「自分にもいろんな部分があるんだな」と思えてきたら、「ありのままの自分ってなんだろう?」と考えてみてね。
「完璧に治そう」と思わなくて大丈夫
完璧主義は、あまりにも極端になると苦しいものになってしまうけど、メリットを活かせば強い武器になるよ。
完璧主義を苦しいと感じるときには、今日紹介した方法を試してみてね。最初は上手くできないかもしれないけど、少しずつ意識して取り組んでみよう。
「完璧主義」は「治らない」かもしれない。でも、「完璧主義じゃなくてもよい場合もあるかも」と受け止められるようになるんだ。
そうすると心の許容量が増えて、必要以上に不安になる時間が少なくなるんだ。
もし紹介した方法でも対処が難しく、自分の意思や努力でコントロールできないときには、遠慮なく心の専門家(精神科医・公認心理師・臨床心理士)を頼ってね。