「暑いからエアコンをつける」
「なんとなくソシャゲでガチャをまわしちゃう」
「痛い思いしたくないから歯医者に行かない」
一見何の関係もないように思えるけど、実は全て「オペラント条件づけで説明できる行動」なんだ。
オペラント条件づけを知れば、自分や他人が「ついしちゃう行動」の意味が分かって面白いよ。子どものしつけや部下の指導など、人を適切に導くのにも役立つ知識なんだ。
今回はオペラント条件づけについて具体例を挙げながら一緒に勉強していこう。
目次
オペラント条件づけとは?古典的条件づけとはどう違うの?
オペラント条件づけとは心理学用語の一つで、自発的に生じた反応の頻度を増減させる手続きやその過程のことをいうよ。アメリカの心理学者ソーンダイクが原理を発見し、スキナーが体系的に研究・実験を行ったんだ。道具的条件づけと言ったりもするね。
以前紹介した古典的条件づけは生理的な反応を増減させる手続きだったのに対して、オペラント条件づけは自発的な反応を扱うのが特徴だよ。
「自発的に生じた反応」とは「やろう」と意識して行った行動のことだと思ってくれればOK。例えばお皿を洗う、ガチャを回す、食べる、などといったありとあらゆる行動のことだね。
行動を自発的に行うか行わないか(反応の頻度が増加するか減少するか)は、行動の結果によって変わってくるんだ。そして、その手続きは大きく正の強化・負の強化・正の罰・負の罰の4つに分類されるよ。
それぞれについて、日常で起きうる具体的な例をもとに解説していくね。
オペラント条件づけの具体例
正の強化・負の強化・正の罰・負の罰といった4つのオペラント条件づけについて、それぞれ1つずつ例を挙げていくね。
具体例1:ソシャゲのガチャ
みんなスマホの中に一つくらいはソーシャルゲームのアプリが入っているんじゃないかな。いわゆるソシャゲだね。
多くのソシャゲはガチャと呼ばれるくじ引きのようなシステムが採用されていて、確率でレアキャラやアイテムが手に入るようになっているんだ。
ソシャゲをしているのにガチャを回したことがない、という人はほとんどいないよね。それくらい「ガチャを回す」は魅力の強い行動、つまり生起頻度の高い行動なんだ。どうして多くの人がガチャを回すのだろう。それはオペラント条件づけで説明できるよ。
「反応の頻度が増加するか減少するかは、行動の結果によって変わってくる」と先述したのを覚えているかな。行動を取る本人にとって望ましい結果が生じる行動は生起頻度が高まるし、そうではない行動は生起頻度が低下するんだ。
この点から考えると、ガチャは「欲しいキャラやアイテム」を手に入れる「結果」が期待できる行動だよね。回さないと当たらない、だから人はガチャを回してしまうんだ。
行動の頻度を増加させる要因となったものを「報酬」といったり「強化子」と言ったりするよ。また、「何かを手にすることができるから、その行動が増えること」を「正の強化」と言うんだ。
具体例2:エアコンをつける
暑い部屋に入ったらまずすることと言えば? そうエアコンをつけることだよね。
エアコンをつけるのも自発的な行動だから、暑いときにエアコンのスイッチを入れるのもオペラント条件づけで説明できるよ。
暑いときにどうしてエアコンをつけるかというと、「暑さがなくなるから」だよね。この結果を期待して人はエアコンのスイッチを入れるんだ。
このように「何かを減らすことができるから、その行動が増えること」を「負の強化」と言うよ。
具体例3:けなされたから辞めちゃう
小さいころは好きだったのに、大人になってからはやらなくなってしまったことってないかな。例えば絵を描くこととか、水泳教室とか。「自発的にしていたことをしなくなる」もオペラント条件づけで説明可能だよ。
最初は好きで続けていた行動を辞めてしまう理由の一つに「けなされる」があるね。例えば好きで描いていた絵に対して「下手くそ」「ここが変」などと言われた場合のことを考えてみよう。
ほとんどの人にとって「下手くそ」などのけなし言葉は喜ばしいものではないよね。そんな言葉を絵を描く度に言われたとしたら、「絵を描くこと」=「けなされて不快」となってしまうんだ。人は基本的に快を求めて不快を避ける生き物だから、けなされる不快感を避けるためにそのきっかけとなる「絵を描く」ことを辞めてしまうんだね。
この例のように、行動の頻度を減少させる要因となったものを「罰」や「罰子」「嫌悪刺激」といったりするよ。また「何かが与えられることで、その行動が減ること」を「正の罰」と言うんだ。
ちなみに「体罰」は悪い行動を減らす「正の罰」になるんじゃないかと思う人もいるかもしれないけど、オペラント条件づけの観点からは「体罰」はまったく意味をなさないばかりか逆効果になると厳しく注意が促されているよ。
オペラント条件づけが「体罰」をタブーとしている理由は様々あるよ。代表的なものを挙げるね。
①体罰を学習してしまう。
②体罰がエスカレートする。1
③体罰に効果があったとしても一時的。
それぞれについて簡単に説明するね。
①について:体罰をされた人は「人は殴ってもいいんだ」と思ってしまい、自分より立場の弱い人に暴力をふるってしまうかもしれないんだ。
②について:人を攻撃している人の脳内にはアドレナリンが分泌されるので、当人は「気持ちいい」と感じているんだ。人は快を求める生き物だから「もっともっと」と暴力がエスカレートしてしまう危険があるよ。
③について:体罰を受けても「何が悪かったのか」の根本を理解することはできないので(恐怖でフリーズして冷静に物事を考えられなくなることもあるね)、同じような行動は場所を変えて生起されてしまうんだ。
「体罰」によって得られるメリットなんてほぼ0に等しいんだよ。
具体例4:痛い思いをしたくないから歯医者に行かない
歯医者さんって、行かなきゃ~と思う一方で、あの「ウィーン、ゴゴゴゴゴゴゴ」っていう歯を削る独特の音を思い出して不安になってつい足が遠のいてしまうよね。どうして足が遠のくのかもオペラント条件づけで説明できるよ。
歯医者に行かなければ、当然歯を削られることはないよね。削られないのなら、痛みを経験しなくても済むんだ。「行かなきゃ痛い思いをしないですむのなら行かない」。これが歯医者から足が遠のくメカニズムだよ。
このように「何かが取り除かれることで、その行動が減ること」を「負の罰」と言うんだ。
まあ、はやめに歯医者に行かないと、後でもっと痛い思いをするんだけどね。。。頭ではわかってるんです…。ごめんなさい…。
オペラント条件づけ例のまとめ
今回は、「オペラント条件づけ」について身近な具体例と一緒に解説したよ。
オペラント条件づけについて知ると自分や他者の何気ない行動の理由もわかってくるんだ。上記の具体例を参考に、「どうしてこの行動がしたんだろう?」「何が報酬になってるんだろう?」って考えるきっかけにしてみて。