心理学の「古典的条件づけ」ってなに?意外と多い身近な例

2022.07.18 Mon
シンくん
案内人 シンくん
ライター
執筆 牧島 由留
古典的条件づけの具体例記事のサムネ
心理学の「古典的条件づけ」ってなに?意外と多い身近な例

「どうして梅干しを見ると口の中がきゅーっとしてよだれが出るんだろう?」
「小さい頃に犬に噛まれて怖い思いをして、今でも犬を見ると不安になる」

誰でもこんな体験をしたことがあるよね。

このような経験や習慣によって、「後天的」に身体に何かしらの生理的反応が生じるようになることを、心理学では「古典的条件づけ」と言うよ。

「古典的条件づけ」と言われると、ちょっと難しく感じるかもしれないけど、実は日常にあふれているものなんだ。

今回は、この古典的条件づけを、世界的に有名な実験や具体例と一緒に詳しく解説していくね。自分の体のふしぎが解き明かされるかも。

か、体が勝手に…!?
 

古典的条件づけとは?

「古典的条件づけ」とは、心理学用語で「ある刺激と別の刺激をいっしょに与えることで生じる学習」のこと。人間にも動物にも見られる現象なんだ。

例えば、「熱いヤカンに触れると瞬時に手を引っ込めてしまう」といったように、本来、反射というものは生まれたときから持っているものだよね。

でも、繰り返し行われる経験や訓練、習慣によって「後天的」に反射を起こすことがあるよ。これが「古典的条件づけ」の仕組み。古典的条件づけが行われると、無意識や潜在記憶に影響を与え、体や感情に変化が表れることもあるんだ。

古典的条件づけは、刺激に対して応答(Respondent)することから「レスポンデント条件づけ」とも呼ばれるよ。この現象は、大人だけでなく赤ちゃんや犬などの動物にも適用されるんだ。

古典的条件づけのもとになったのは、1903年にロシアの生理学者イワン・パブロフ氏の有名な研究だよ。以下の具体例で詳しく解説するね。

推しと一緒に提示されると、どんな商品も好印象になる気がする
 

古典的条件づけの具体例

ふだん聞き慣れない「古典的条件づけ」という言葉。だけど、意外と身近なところで起こっている現象なんだ。以下では、5つの具体例といっしょに古典的条件づけをわかりやすく解説するね。

パブロフの犬

無条件刺激と無条件反応

1903年、イワン・パブロフ氏は犬を対象とした古典的条件づけの実験を行ったよ。

犬はエサを与えられると唾液を出すよね。この場合、生来備わっている「唾液を垂らす反応」を「無条件反射」、その反応を引き出した刺激(エサ)を「無条件刺激」と呼ぶんだ。

パブロフ氏は、実験の中で犬にメトロノームの音を聞かせ、そのあとにエサを与えるという流れを繰り返し行ったよ。すると、犬はメトロノームの音を聞くだけで唾液を流すようになったんだ。

古典的条件づけの用語で説明すると、メトロノームの音を「条件刺激」、音だけで唾液が流れ出す反応を「条件反射」と呼ぶよ。もともとはメトロノームの音だけでは唾液が出なかったのに、エサと一緒に音が提示され続けると、音だけで唾液が出るようになってしまうんだね。

この実験により、繰り返し行われる経験によって後天的に反射を起こすようになる「古典的条件づけ」が示されたんだ。

メトロノームは餌の合図
 

具体例2:梅干しを見たら唾液が出る

日本人であれば一度は食べたことがあるであろう梅干し。梅干しを口に入れると、そのすっぱさによって無意識に唾液が分泌されるよ。

「パブロフの犬」で説明したように、このとき梅干しの酸味が「無条件刺激」で、唾液が出ることが「無条件反射」なんだ。

梅干しを食べたことのない人も、「梅干しを食べたらすっぱくて唾液が出る」という経験を繰り返すと、実際に口に入れなくても唾液が出るようになるんだね。

見るだけで唾液がでてくる
 

具体例3:ニコチンレスの電子タバコ

喫煙者はタバコを吸うことでニコチンを摂取するよ。ニコチンレスの電子タバコなど類似品にはニコチンと同じ薬理的作用は生じないはずなんだけど、電子タバコでも普通のタバコを吸ったときの同じような反応が出ることがあるんだ。

日常的にタバコを吸う人はニコチンという刺激とタバコの見た目、香り、味、くわえた時の触感などの関連刺激を繰り返すよね。同志社大学の論文によると、実際にニコチンが摂取されなくても、関連刺激によって普通のタバコを吸ったときと同じ反応を起こす(古典的条件づけ)のが理由なんだって。

ニコチンなくてもいけるな
 

具体例4:カフェインレスのコーヒー

ニコチンレスのタバコのように、カフェインレスのコーヒーにも同じ現象が起こるよ。

上記の同論文で、ふだんコーヒーを飲む人がカフェインレスのコーヒーを飲んでも、覚醒感の向上といったカフェイン入りのコーヒーを飲んだ時と同じ反応が出るとわかっているんだ。

具体例5:犬を見るだけで恐怖を感じる

小さいころ犬に追いかけられたり、噛まれたり、飛びつかれたりといった怖い経験をした人は、犬を見ただけで恐怖や不安を抱くようになるよ。

古典的条件づけの用語で解説すると、犬が「条件刺激」で、犬を見ただけで生じる恐怖や不安が「条件反応」になるんだ。実際に犬に触れていなくても、見るだけでそういった反応が出てしまうんだね。

お祓いされそうになったときから人間が怖い…
 

古典的条件づけ例のまとめ

今回は、「古典的条件づけ」について身近な具体例と一緒に解説したよ。

古典的条件づけは、ニコチンレスでもタバコと同様の反応を得られたり、犬を見ただけで不安感を抱いたり、ポジティブにもネガティブにも働くんだ。

「あれ、なんで条件反射でこんなふうに感じるんだろう?」と思う出来事があれば、それは古典的条件反射かもしれないね。上記の具体例を参考に、どんな経験からそうなったのか考えてみてね。

人間の体ってふしぎ
 

 

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