褒められると嬉しいはずが、なぜか不安な気持ちが芽生えてしまう人もいるんじゃないかな。
褒められると不安な気持ちを感じる人は「インポスター症候群」になっている可能性があるんだ。
今回は、最近日本でも男女ともに増加中と言われる「インポスター症候群」について心理学的な側面から紹介するよ。一緒にみていこう。
目次
インポスター症候群とは?
インポスター(imposter)症候群は自分が成功したことを受け入れられず、「周りを騙しているんじゃないか」と思ってまう心理状態のこと。正式な病気名ではなく、心理的な傾向や気質を指すよ。ちなみに英語のImpostor(インポスター)には「詐欺師」という意味。自分のことを詐欺師のように感じることからこの名前がついたんだ。
インポスター症候群は女性のほうがなりやすいと言われているよ。社会に出ると感じるジェンダーギャップから、「私なんかが成功しちゃダメ」と思ってしまうんだね。成功しちゃダメな人なんていないんだけど、社会に出ると「男性が出世すべき」なんて意見もあるから、「(女性が)自分なんかが出世しても…」と感じてしまうのかもしれないね。
男性にも増加中?
女性がなりやすいインポスター症候群だけど、最近では男性も増加傾向にあるよ。
株式会社ヴィエリスの会社員男性が対象のアンケートでは、2021年2月当時、「自分の功績を素直に受け止められない」とした人は34%いたよ。でも、2021年11月では48.2%に増えていたんだ。
男性は社会に出ると、上下関係がハッキリした環境に身を置くことが多いよね。自分が上司の立場だと、後輩には「弱みを見せられない」というプレッシャーを感じることもあるんじゃないかな?
このプレッシャーが原因で、「どうせ自分は仕事ができていないと思われている」といったネガティブな感情が芽生えてしまうこともあるんだ。この場合、「自分はこんな風に見られている」という思い込みがプレッシャーになって、心の負担になっていると考えられるよね。
インポスター症候群の特徴チェックリスト
インポスター症候群の特徴にはどんなものがあるんだろう? ここで、一緒にみていこう。
インポスター症候群チェックリスト
- 「自分なんか」が口癖
- 失敗が怖くてチャレンジできない
- 自分の変化を怖いと感じてしまう
- 周りからの見え方を気にしすぎる
- とことん空気を読む癖がある
- 「できない自分」を周りに見せたくない
- 何かを始める前に失敗するイメージが浮かぶ
インポスター症候群の特徴を見て、当てはまるところがあった人もいるんじゃないかな?
自分の見え方が気になると、つい自分に厳しくなってしまうよね。
努力できることはすごく素敵なこと。でも、追い込みすぎないことが大事だよ。
インポスター症候群の原因
インポスター症候群になってしまうことにはどんな原因があるんだろう。原因を知ることは、改善に繋がる一歩にもなるよ。一緒に見ていこう。
幼少期の役割
幼少期の家庭での役割が原因で、インポスター症候群になってしまうこともあるんだ。
たとえば、長女だと、弟や妹ばかりが褒められて、自分は「お姉ちゃんなんだから」と我慢した経験もあるんじゃないかな?親にも「お姉ちゃんなんだから」という言葉をかけられることもあるよね。そうなると、親の言うことを聞かなきゃと、自分の気持ちを抑制する癖がついてしまうんだ。
自分の気持ちを抑える癖が、いつの間にか「自分は周りから成功を望まれていない」「褒められてはいけない」と思う原因になってしまうこともあるよ。
自己肯定感が低い
自己肯定感が低いと、周りから褒められても「それは自分の功績じゃない」と思ってしまいやすいんだ。
素直に自分を受け入れることって怖いよね。でも、周りが褒めてくれているのは、間違いなくあなたが頑張ったおかげだよ。
その事実を否定するのは、自分の人生を否定しているのと同じことになっちゃうよね。頑張ってきたことは間違っていないんだ。だからまずは、その努力を認めてあげよう。
自分の繊細さや自己肯定感の低さが気になる人は下の記事も読んでみてね。
周囲から妬まれることが怖い
周囲から妬まれることが怖いと、周りから自分がどう見えているかが気になってしまうよね。
たとえば、会社で褒められても「自分が成功していると思われたくない」「自分が変わらなければ妬まれることはない」と思ってしまうこともあるんじゃないかな?
そうなると、「妬まれるぐらいなら何も成功しなくていい」と安全な道を選びたくなるよね。
過去に「成功したことで嫌われた」経験をした
過去に自分が成功したことが原因で、周囲から妬まれたり、嫌われたりした経験がある人もいるんじゃないかな。
すると、成功の嬉しさより「嫌われてしまった悲しさ」が心に刻まれることがあるよ。成功した後にネガティブ体験をすると、成功よりも「傷つかないことが優先」だと思ってしまうよね。だから、成功することが怖くなったり、褒められることを恐れてしまうんだ。
インポスター症候群の治し方
インポスター症候群は、過去の経験やトラウマが原因で起こってしまう可能性が高いんだ。
自分を卑下するのが癖になっている状態は、自分を自分で傷つけている状態。本当につらいよね。
ここからは、インポスター症候群の治し方について紹介するよ。今すぐの改善は難しいかもしれない。でも、少しずつ思考を変えていくことで、自分のことを受け入れられるようになるからね。
インポスター症候群が発動したときを記録する
自分がどんなときにインポスター症候群的な感情を持ったのかを記録してみよう。
記録を付けていくと、インポスター症候群が出やすい条件や、自分の本当の気持ちが少しずつ理解しやすくなっていくよ。
まずは3日~1週間だけでもいいから記録を取ってみよう。
『他人に起きたこと』だと想像してみる
記録を取り終えたら、そのメモを見ながら「この状況にいるのが他人だったら?」と想像してみよう。
自分で自分を解釈するときと、他人が自分を解釈するときとでは、まったく解釈の内容が違ったものになることは案外多いんだ。他人の状況に対してなら「こんなに頑張っていてすごい」「努力しているんだから当然だね」「尊敬する」などと思えるんじゃないかな?
もしそうだとしたら、自分のことも他人は純粋に「すごい」と思っているかもしれないね。
成功体験をメモに残しておく【ワーク】
「この成功は自分の頑張りが理由じゃない」と、とっさに自分のことを否定したくなることもあるよね。
とっさの否定癖は、心に少しずつダメージを与えていくよ。そのダメージは蓄積されて、いつか日常に影響が出るほど大きくて深い傷になる可能性もあるんだ。否定癖で心に傷をつけないためにも、自分の成功体験をメモに残しておこう。
人に褒められて、自分のことを否定したくなったら、そのメモを読んでみてね。自分がやった努力をちゃんと言葉で残しておくと、少しずつ「その成功は自分で掴んだもの」と思えるようになるよ。
褒められるのが苦手な人の解決法はこっちの記事でも詳述しているよ。
あなたの最近の成功体験は?
未来のことばかり考えない
インポスター症候群になりやすい人は、自分がこれからどういう風に見られていくのかが、とても気になってしまうんだ。
たとえば、会社で上司に褒められたところを他の同僚に見られることもあるよね。そうなると「同僚に妬まれたらどうしよう」と不安に感じることもあるんじゃないかな。先回りの不安は「今後どうなるか」が気になるからこそ芽生える不安だよね。未来がどうなるかが不安な気持ちはすごくわかるよ。でも、未来のことばかり考えてしまうと、今に目を向けられなくなるよね。
未来は今の積み重ねでできていくよ。あまり未来のことばかり考えないようにすることは実はすごく大切なんだ。
今に集中する練習にはマインドフルネス瞑想がおすすめだよ。
自分の中のインポスターを否定しない
家庭環境や経験がキッカケで、頑張った事実すら認められないのはつらいよね。
「自分なんて…」が癖になっていると、すぐに改善するのは難しいかもしれない。でも、今回紹介した方法で少しずつ自分のことを認められるようになれると、いつか自分のやってきたことをちゃんと褒められるからね。今は自分の中の「認めたくない」気持ちを認めてあげて欲しいな。