「どんなことを話せば良いのかわからない」
「誰かと話すのは相手に気を使い過ぎて疲れる」
今日も一日いろいろな人とのコミュニケーションお疲れさま。
会話を続けることって色々ハードルが高かったりするよね。相手を傷つけちゃいけない、楽しませなきゃいけないとか話のピントがズレてもいけないとか、簡潔でわかりやすくなきゃ伝わらないとかもよく言われるよね。
実は、会話のルールを別の視点で見たり、ちょっとした言葉を追加するだけで、相手も自分も心地よくなれる可能性があるんだ。
今日は、少し心が軽くなる会話の秘密と、会話が続かないときのすぐに実践できる会話スキルを紹介するから、やってみようと思えた方法があったらぜひ試してみてね。
目次
知っていると安心・会話がラクになる心構え編
会話は数学の計算問題じゃないから、方程式やテクニックを活用するだけでは上手にならないんだ。問題を解き始める前に、会話における大事な心構えを紹介するよ。
ここで紹介するものは、どれも会話に対する苦手意識やプレッシャーを軽減できたり、ちょっとだけ気持ちが楽になるようなものばかりだから、ぜひ参考にしてみてね。
人の会話の8割は適当
実は会話が苦手な人は、意味のない会話に混乱している可能性があるよ。文学研究家の故・加藤祥造氏は、人の会話の8割は平凡で決まったパターンであることを指摘しているんだ。
たとえば、誰かが昨日の出来事を報告し、それに対して「マジで?」と返事するようなパターンは、氏によると適当で平凡なパターンになるんだ。言葉の意味としては「マジで?」は「本当に?」と疑いを持つものだけど、この場合は疑っているというよりも驚いている、もしくは驚いているわけでもなく、「そうなんだ」と言う代わりのあいづちなだけの可能性もあるよね。
本来の言葉の意味とは違う定型化したパターンが、言葉や人に対して敏感な人には、どういうふうに返答したら良いか混乱する原因になってしまう恐れがあるということなんだ。
とはいえ、こういう平凡なパターンがあるからこそ、日常会話が円滑に進むという側面もあるから、蔑ろにしてもいけないよ。
実は、人見知りが苦労するのは人間関係を作り始めるときだけで、親友がいなくて困っているのは7%しかいないという研究もあるんだ。
自分が苦手なのは定型化された平凡な会話に対応することなのか、それともお互いの思いや存在を言葉で交換し合うようなふれあいのある会話なのか、どちらが苦手なのかを知っておくことが大事だよ。
ほめなくていい、驚かなくていい、笑わなくていい
口下手な人は自分に正直で他人に誠実である人が多いよ。別の言い方をすると、どう答えたらいいか真剣に考えているから、会話がぎこちなくなっている可能性があるんだ。
おしゃべりが上手な人の会話を思い浮かべると、相手を上手に褒めて気分良くさせてあげたり、大袈裟に反応して驚いたり、適切なタイミングで笑ってその場を和やかにしているイメージを持つ人も多いんじゃないかな?
こういう反応は、会話の「内容」ではなく会話している「空間」の雰囲気を良くすることに役立つんだけど、内容をしっかり聞いて検討されているかどうかとは別なんだ。いつも友達に囲まれ笑いが絶えない人に深刻な相談をしづらいのは、「楽しいかもしれないけど真剣に聞いてくれているかわからない」という不安が働いているからかもしれないよね。
一方、話すのが苦手な人は、その場の雰囲気ではなく内容に向き合い、一つひとつの会話に真剣に考えて答えようとする結果、返事に時間がかかったり、会話に間が空いたりしてしまうんだ。
時と場合に合わせて使い分けられるのが理想だけど、どちらの会話法が優れているわけではなく、その人の性格的な特徴が会話の仕方にも表れるということなんだね。
プライバシーに配慮した会話は誰も傷つかない
欧米の人は日本人と比べるとおしゃべりが上手で、長い時間自由に会話を楽しんでいるイメージがあるよね。その一方で、実は欧米の会話にも暗黙の了解がたくさんあって、特に相手のプライバシーへの配慮には慎重なんだ。
日本で初対面の人と話すと、結構早い段階で年齢を聞くことがあると思うけど、欧米では年齢を聞く必要がないときに聞くのはタブーだよ。久しぶりに会った人に「痩せたんじゃない?」とか「最近すごく綺麗になったよね」と、たとえ褒め言葉でも外見を指摘するのも良い顔をされないんだ。
欧米ではその人の「属性=状態」ではなく「志向性=何をしているか、したいか」で人を見る文化が根付いていて、変えられない年齢や外見などの属性に関わる会話を避ける傾向があるんだよ。
年齢を聞かれて「若いね!」と言われたって「じゃあ歳をとってるように見られてたのかな」と感じるかもしれないし、「綺麗になったね!」と言われても「じゃあ前は綺麗じゃなかったんだ」のように、褒めたつもりでも相手を傷つけてしまう可能性があるよね。
変えられないその人の属性ではなく、その人が好きなことや行った場所、その場の会話自体を楽しむような会話は、相手を傷つけることを避けやすくしてくれるんだ。
andではなくbecauseの文
「結論から伝えなさい」
「建設的に話しなさい」
ビジネス書や自己啓発本などでよく目にする言葉だよね。とはいえ、わかっていても長々と状況を描写してみたり、これまでの経緯なんかを説明してしまい、「で、何が言いたいの?」なんて言われた経験がある人もいるんじゃないかな。
実は、結論を先に言うのは述語が最後にくる日本語の文法とは相性がとても良くないんだ。建設的で結論を早く人に伝えようとする場合は、Becauseを意識することが役に立つよ。
日本語はandの文章構造、英語はbecauseの文章構造と言われているんだけど、それぞれの特徴を説明するね。
日本の文章構造
「◯◯に行った。(and)△△を食べた。(and)すごく美味しかった」
英語の文章構造
「◯◯に行った。なぜなら(because)テレビで観ていきたいと思ったから。△△を食べたがすごく美味しかった。というのも(because)、生クリームがさっぱりして油っぽくなく…」
日本の文は「行った場所+食べたもの+感想」という構造になり、英語の文は「行った場所+<理由>+食べたもの+感想+<理由>」になっているのがわかるよね。
この<理由>を説明するのが大事で、ビジネスの世界でも、結論に至った理由を知ることが建設的に話すことと同じ意味になるんだ。
日本の文だと言われた相手は「そうだったんだぁ」くらいにしか感想を持てないかもしれないけど、英語の文だと「何のテレビを見た」とか「生クリーム」の続きとか、その後に聞けそうな情報があるから、会話も続けやすくなりそうだよね。
語られない部分を推し量るのが日本人のコミュニケーションの慎ましさであり美しさでもあると思うけど、ビジネスシーンや説明が必要な場合は理由や根拠を伝えてあげることが効果的なんだ。
川の流れではなく向かう先を見る
おしゃべりが苦手な人にありがちなのは、相手がもう関心がなくなったのに同じテーマを話し続けてしまう場合があるよ。
アメリカの心理学者のウィリアム・ジェームズは、「意識の本質は流れである」と言っているんだけど、これは意識には流れがあって、それは絶えず流動しているということなんだ。
会話はその場にいる人たちの意識が言葉になって交わされる場所だと考えれば、会話自体にも流れがあって、その会話の流れる先を見ることが大事だということになるんだよ。
具体的に見てみよう。
【例】誰かが週末にキャンプに行ってきた話をしている。
- 川でエビを釣って焼いて食べた。
- 星が綺麗だった。
- スマホの電源を切ることができた。
- ゴミを持ち帰らないキャンパーが数名いた。
色々なことを話してくれたときに、「この人はキャンプに行った話をすることで何を一番伝えたいんだろう」と考えるのが、会話の流れを見ることなんだ。
「自分で釣ったエビを調理して食べる贅沢さ」を一番伝えたいのに、キャンパーのゴミ問題の話を続けたら流れにそぐわない会話になるかもしれないし、「現代の忙しさ」を話したいのにエビの話を続ければ、話を止められたと思われるかもしれないよね。
情報の一つひとつはその人が伝えたいことの材料の一つと考えて、最終的に何を伝えたいかという流れを見ることが大事なんだ。
今日から試せる・会話が続くかんたん実践編
会話には心構えや態度が重要だけど、他人と話す場合には言葉を使う必要があるから、会話スキルやテクニックを活用することでコミュニケーション力を上げられるよ。
短い言葉を付け足したり、会話の仕方を少し工夫するような簡単なものばかりだから、自分が使いやすそうなものをちょっとずつ組み合わせてみてね。
あいづちのバリエーションを増やす
あいづちは話を聞いていることを相手に伝え、共感や理解していること、逆に了解できないことを示せる他に、会話のリズムを生む効果もあるんだ。
会話にリズムが生まれると、話している本人が「話せている」という実感を感じることで、より自信を持ってリラックスして言葉が出るようになるんだよ。
リズムをつくるためのあいづちだから、もしかしたら普段の会話のテンションと合わないものもあるかもしれないけど、使えそうなものからひとつずつ試してみてね。
つなぎ表現は御守り
会話はあらかじめ用意した原稿を読むわけではないから、どうしてもつまづいたり、次に言う言葉を探す時間が必要なときもあるよね。言葉に詰まっている時間は居心地悪いし、早く言わなきゃと焦ることで余計パニックになり、さらに何を話していいかわからなくなった経験がある人もいるんじゃないかな。
そんなときは「つなぎ表現=フィラー」を使うことで、時間と心に余裕を持たせてあげよう。
つなぎ表現(フィラー)
えーと まあ というか じゃあ あのー なんか そのー もう など
つなぎ表現は、それ自体は意味を持たないけど、会話を埋めたり自分なりのリズムをつくる上で欠かせないものだよ。
東北大学の研究では、つなぎ表現が重要なのは言葉に詰まっているときの空白を埋めてくれるだけでなく、フィラーによって「まだ自分が話終わっていないことを相手に伝え、待ってもらえる」効果があることを指摘しているんだ。
逆に、スピーチなど人前で話すときにつなぎ表現を多用するのは好ましくないと思われているよ。これはスピーチが会話ではなくモノローグだから、自分が話終わっていないことを示す必要がないため、つなぎ表現がくどいと思われるからかもしれないよね。
あいづちと合わせることで、文章ではない形でコミュニケーションを円滑にしてくれる働きがあるから、ぜひ活用してみてね。
ゆっくり話す
会話に苦手意識がある人は、うまく話せないだけではなく、うまく話せる自信がないことから、早く自分の話を切り上げるために早口になる傾向があるよ。
早口になるということは、その分言い間違いをする可能性も高くなるし、何をどう話すかを頭の中で組み立てるのも高速でやらなければいけなくなるよね。自分でハードルを上げてしまい、会話をさらに難しいものにしてしまうサイクルがあるんだ。
まずは普段からゆっくり話すことを心がけて、ゆっくり考え、ゆっくり言葉を選び、時間をかけて話している自分に慣れることが大事なんだ。
ゆっくり話すためのコツは話し始めにあるよ。
人が話すスピードはほぼ話し始めたときの速さで決まるから、相手が話終わった後はまず一呼吸おいて、それから「そうだな〜」のようにつなぎ表現を入れて時間をかけるのもオススメ。緊張すると早口になるから、緊張しないで話せる人との会話で練習するのも良いし、鏡に向かってゆっくり自分に話すのも良いかもね。
ゆっくり話すことは知性があるように思わせることもできるから、一石二鳥だよ。
ツッコミはいらない
忙しい仕事から帰宅して、寝る前にお笑い芸人の動画を観る時間がリラックスタイムという人もいるんじゃないかな。
でも、お笑いはあくまで芸であって会話ではないことに注意だよ。
特に「ツッコミ」は、相手の言ったことを否定したり、それは違うと決めつける部分もあるから、普段の会話で取り入れるとマウンティングになる可能性があるんだ。ツッコミはボケを生かす効果があるけど、実際お笑いの中でもツッコミをされた後は間が空くし、話題が切り替わることの方が多いよね。
ここで注意してほしいのは、ツッコミは「なんでやねん!」みたいなものだけではなくて、「やば」とか「ダメじゃん」など何かしら相手の発言を評価する表現のことを指していることなんだ。
ツッコミのある会話
「昨日なんかやる気が出なくて一日中寝てたわ」
「やば」
「うっせーわ、あはは…」
ツッコまない会話
「昨日なんかやる気が出なくて一日中寝てたわ」
「そうなの?何かあったの?」
「実はさぁ…」
ツッコまないで話に乗って質問する方が、話が続きやすそうな感じがするよね。最近のお笑い芸人でも、攻撃的じゃないツッコミだったり、誰も傷つけない笑いなどが人気なのも、相手を評価する会話に疲れているからかもしれないよ。
とはいえ、疲れているときはツッコミやノリで軽く対応する方が楽な場合もあるから、使い分けできることがポイントだね。
ツッコミやボケは会話に刺激と笑いを与えてくれる技術だけど、普段の会話では必ずしも必要ではないよね。会話で大事なのは、刺激や笑いではなく相手を理解しようとする姿勢や、優しさを持って他者と交流するようなことなんだ。
会話を展開させる3つのポイント
会話は質問に答えているだけでも相手に質問をしているだけでも単調になってしまうよ。ポイントは展開力。話を展開させるために役立つ3つのポイントを紹介するね。
①キーワードを拾う
相手の話の中からキーワードになりそうな部分を見つけて展開していくパターンだよ。自分で話題を考えると大変だから、相手の話に乗って話しちゃおう。
「昨日近所の公園に行ったんだけど、梅がもう咲いてたよ」
「梅か〜もうそんな時期だね。どこの公園に行ったの?」
②感想を言う
相手の話に対して自分の感想を伝えると、相手もそれに対して意見や感想を言ってくれることが多いから、会話を続けるのに役立つよ。
「昨日近所の公園に行ったんだけど、梅がもう咲いてたよ」
「時期だからね。公園もすごく混んでいそうだね」
③自分の情報を出す
自分の情報を出すことで話を展開できるし、もしかしたら相手との共通点も見つけることができるかもしれないよ。
「昨日近所の公園に行ったんだけど、梅がもう咲いてたよ」
「もうそんな時期だね。花じゃないけど実は私、梅こぶ茶が大好きで…」
公園に梅を見に行った話でも、どう反応するかでその後の展開もぜんぜん違ってきそうだよね。自分が得意なものだったり、抵抗感が少なそうなものからチャレンジしてみてね。
まとめ実践ワーク
最後に、ここまで記事を読んでくれた中で印象に残ったり、「使えそうだな」と思ったものを「because」の文を使って話す練習をしてみよう。
会話に役立ちそうだと思ったものは?
なぜなら(because)?
会話がつづく・まとめ
表面的なスキルだけを多用すると「あの人って口だけだよね」と言われることになるから、会話テクニックを活用することに不安を感じる人も多いよね。
でも、きっとこの記事を読んでくれている人たちは、真面目で敏感で、自分に正直で相手に誠実な人だからこそ、会話が苦手な自分を変えたいと思っているんだと思う。
だから大丈夫。心配しないで使えそうなテクニックは自分のためにも活用してみてね。
まずは、話している相手をジャッジしないことと同じくらい、苦手なことを克服しようとチャレンジしている自分を認めてあげることが、話すことへのプレッシャーを減らす最初の一歩になるよ。
話すことへの緊張がどうしても抑えられないときは、こっちの記事で緊張感を軽減できるおまじないを紹介しているから、ぜひ参考にしてみてね!