不安感や焦燥感に襲われた時にどうしたら良いか、自分を責めずに楽しく生活したい

2022.10.04 Tue

目次

回答したカウンセラー

小野寺 リヒト

臨床心理士/公認心理師

小野寺 リヒト

臨床心理士・公認心理師。FP2級所持。
医療機関や一般企業の産業保健事業部等での勤務経験があります。心の悩みが気兼ねなく相談できたり、セルフケアの重要性が浸透した世の中になってくれたらいいなと思っています。読書と料理が好きです。
【得意な相談】
〇気分の落ち込みや不安に関する相談(上手な気持ちの切り替え方、最初の一歩になる行動の踏み出し方等)
〇人間関係に関する悩み(パートナー・親子・職場関係・友人等)
〇お金の相談(ついお金を使ってしまう心理、貯蓄・節約のこと等)

「不安感や焦燥感に襲われた時にどうしたら良いか、自分を責めずに楽しく生活したい」の相談内容詳細

相談者
相談者 みん
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
わたしは10年前からパニック障害で治療中。SSRI、眠剤を服用。4月に出産し、夫や実家のサポートを受けながら育児をしている。8月まで夫が育休を取っていたが、9月から勤務を開始した。日中はわたしも子どもの2人。ここ数日、朝の調子が悪く、強い焦燥感や不安感に襲われる。
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
不安100%
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
夫や実家のサポートを受け、一般的な母親以上に支えられているのに、調子を崩す自分が嫌であり、だめだと思う。子育ても辛く思うことがある。なぜ自分はできないのかと思う。夫は仕事をしていてもだいぶサポートされており、とても申し訳なく思う。
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
ほかのお母さんと比べる必要はないのかもしれない。ほかのお母さんもサポートを受けているかもしれないと思うが、わたしはそれ以上に受けているので自分はできない、ダメな人間だと思ってしまう。
いま専門家に聞いてみたいことは?
内服し、こんなにもサポートを受けているにもかかわらずどうして調子をくずしてしまうのか、不安感、焦燥感に襲われたときにどのような心持ちをすれば良いか。自分を責めずに楽しく生活するにはどうしたら良いか。
年齢、性別、職業
36歳、女性、公務員
既往歴
パニック障害
悩みの内容の自由記述
--- 未回答 ---
相談者 みん さんの自分史

自分史はまだありません。

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「不安感や焦燥感に襲われた時にどうしたら良いか、自分を責めずに楽しく生活したい」への回答

  • みんさん、ご相談をよせてくださりありがとうございます。
    臨床心理士・公認心理師の小野寺です。

    パニック障害を抱えながら小さなお子さんを育てていらっしゃるとなると、大変なご苦労もあるかと想像します。よく頑張っておられますね。

    「なんとかしたい」との強いお気持ちが、ご相談を寄せてくださった事実からも感じられるほどです。少しでもみんさんが「自分を責めない」ように、「楽しく生活」できるように、一緒に考えていきたいと思います。

    結論からお伝えすると、色々頑張ってしまうみんさんだからこそ「何もせず、『今この瞬間』を受け入れる」ができるようになると、みんさんの生活が少しずつ楽しいものになるのではないかと感じました。

    すいません、びっくりされましたよね。「何もせず」だなんて。少し説明させてくださいね。

    「こんなに苦しい思いをしているし、わざわざ相談までしているのに『何もせず』とはどういうことだ」と、お感じになったかもしれませんが、決してみんさんを見捨てているとか、ないがしろにしているとか、そういうことでは決してありません。

    実は「何もせず、『今この瞬間』を受け入れる」は、案外難しいものだし、自分を肯定する能動的な働きかけがなければ実現しないものなのです。

    客観的にみて、今のみんさんはなすべきことをきちんとなさっているように思います。

    パニック障害のために通院治療を行い、ご主人やご実家のサポートも受けていらっしゃいます。こういうとみんさんは「普通の人は病院なんかいかない。サポートを受けずに育児している」と思うかもしれません。ですが、誰でも歯が痛くなれば歯医者に行くし、足を骨折したら松葉杖を使います。

    ある人にとっての歯医者がみんさんにとってはパニック障害の治療、ある人にとっての松葉杖がみんさんにとってはご主人やご実家のサポートなのだと思います。この違いに上も下もありません。

    もしここに「上下」の関係を見出し、自分を「下」と『評価して』いらっしゃるのなら、それは「何もせず、『今この瞬間』を受け入れる」が、案外難しいものであることの証明になっています。

    なすべきことをきちんとしている自分を「下」と評価してしまうのは、とってもつらいし、しんどいですよね。

    では、どうしたら『評価』することなく、「何もせず、『今この瞬間』を受け入れる」ことができるのか? 今度はそれを考えていきたいと思います。

    考えていきたい事柄は大きく3つあります。

    まず事実として頭の片隅にでもいいので入れておいていただきたいのは、みんさんのご事情を考えれば、「強い焦燥感や不安感に襲われることがあるのも無理からぬことである」ということです。

    長らくパニック障害で苦しい思いをしていると、慢性的に身体が緊張するようになります。ましてや子育てという一大プロジェクトがあればなおさらです。緊張感の強まりに伴い、強い焦燥感や不安感に襲われることがあっても不思議ではありません。

    それはみんさんのこころが弱いからでも、情けないからでもないのです。インフルエンザのときに熱が出るように、パニック障害になれば緊張、焦燥、不安が出てくるのは当然です。どうぞご自分を責めないでいてあげてくださいね。

    次に、強い焦燥感や不安感を感じるときに頭によぎる思考に意識を向けてみて欲しいのです。

    「いつまでも夫に甘えるわけにはいかない」
    「実家のサポートを得るなんて情けない」

    そんな思考が出てきているかもしれませんね。私はみんさんのお立場を想像することしかできませんが、想像するだけでもつらい気持ちになってきます。

    このような、みんさんを焦らせ、不安がらせる思考に気づいたら、その思考に「という思考がある」「という思考があることに気づいた」との言葉を付け足してみてください。

    「『いつまでも夫に甘えるわけにはいかない』という思考があるな」
    「『実家のサポートを得るなんて情けない』という思考があることに気づいた」

    という感じです。こんな風にして『評価』せずに受け流して欲しいのです。

    人は「甘えるわけにはいかない」との思考が出てくると、本当に「甘えちゃいけない」と信じてしまうものだし、「情けない」との思考が出てきたら、本当に情けない気持ちになりやすいです。

    しかし、思考はただの思考に過ぎません。信じたくないもの、自分にとってデメリットしかないものは受け流してもいいのです。
    みんさんには嫌いな人はいますか? 嫌いな人相手だから何かしら恨み言を考えたことがあるかもしれません。でもほとんどの場合、その考えを実行に移すわけではありませんよね。それと一緒です。

    くれぐれも強い焦燥感や不安感を感じたときの思考を「こんな風に考えちゃダメ」と『評価』するのではなく、「という思考がある」「という思考があることに気づいた」の言葉を付け足すのがコツであることに注意して頂ければと思います。

    大事なので繰り返しますが、みんさんのご事情を考えれば、強い焦燥感や不安感に襲われることがあるのも無理からぬことですし、それに伴ってつらい言葉が頭に浮かぶのは当然です。このようなごく当たり前のことを「こんな風に考えちゃダメ」と否定すると、逆に否定している事柄が強調されてしまうのです。

    試しに、1分間、次の文章を読み続け、その間「絶対にシロクマのことは考えない」でいてみてください。

    冬、パンダ、キリン、雪、白、動物園、オセロ、アイス…

    いかがだったでしょうか? きっと「考えないで」とお願いしたシロクマが頭にちらついたことと思います。このように、人は「考えない」と思えば思うほど考えてしまう皮肉な生き物なのです。

    今までみんさんはご自身のことやご自身の思い・考えを否定してこられたのではないかと私は感じています。

    「自分はダメな人間」
    「これ以上調子をくずしちゃいけない」

    こんな風に評価したご経験はないでしょうか。

    みんさんはもう、なすべきことをなしておられます。そんな立派なご自分をどうぞ否定しないでいただけたら嬉しいです。

    少しづつ、まずは思い出したときだけでもいいので

    「『○○』という思考があることに気づいた」

    こんな風に、評価することなく、思考が出てきた『今この瞬間』を受け入れるのを試してみて頂ければと思います。

    そして最後の3つ目は、ご主人やご実家に対して「ごめんね」と言ったり思っている回数と、「ありがとう」と言ったり思っている回数を数えてみて欲しいのです。

    これも想像ですが、ご主人に対して「とても申し訳なく思う」とのことですから、もしかしたら「ごめんね」の方が多いのかもしれませんね。

    「ごめんね」が悪いわけではないのです。それくらい、みんさんがご家族に感謝していることの表れだからです。

    しかし、先述した通り「甘えるわけにはいかない」との思考が出てくると、本当に「甘えちゃいけない」と信じてしまうのと同様、感謝から出た言葉でも「ごめんね」と言うと、なんだか本当に申し訳ない気持ちになってくるものなのです。

    感謝の気持ちは「ごめんね」より「ありがとう」の方がより一層ストレートに伝わります。相手にも、そして自分にも。

    「ありがとう」は魔法のような言葉で、言った側も言われた側もとても嬉しい気持ちになります。「自分を責めずに楽しく」過ごしたいみんさんにとって、ピッタリの言葉かなと思います。

    あと、これはもしかしたら蛇足かもしれませんが、ご家族からのサポートにプレッシャーを感じることはありませんか? ご相談を寄せてくださった際、みんさんが何度か「サポートを受けているのに…」と述べておられたのが気になりました。

    もしそのように感じることがあっても問題ありません。サポートを負担に感じることは誰にでもあります。そんなときは「いつもありがとう。今は調子良さそうだから、1人でも大丈夫そう」みたいに、サポートをあえて断ることがあっても全然OKですからね。

    長々と失礼しました。少しまとめていきたいと思います。

    「何もせず、『今この瞬間』を受け入れる」をご提案させていただきました。「何もせず」は「評価せず」「否定せず」と言い換えていただいても大丈夫です。

    これをするには、まずは自分を肯定する能動的な働きかけが必要で、以下の3つが出来るとよいかと思います。

    ①「強い焦燥感や不安感に襲われることがあるのも無理もない」と自分の事情を鑑みる
    ②つらい気持ちになったときに頭に浮かんだ思考に「『○○』という思考があることに気づいた」と言葉を付け足す
    ③「ごめんね」より「ありがとう」を使う(「ありがとう」の方が今のみんさんにピッタリの言葉)

    みんさんのお立場をかなり想像しながら回答させていただきましたので、ピントがずれている箇所もあるかもしれません。ですが、少しでもみんさんのお役に立てる事柄があれば幸いです。

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