「頭皮のかさぶたを剥くのがやめられません。どうしたらいいでしょうか」の相談内容詳細
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いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
- ・自分の頭皮のかさぶたを剥がすのがやめられない
・気づいたら頭を触ってかさぶたを探している
・かさぶたを剥がすのは痛い。血が出ることもある。
・何十分もかけて触り続けている。
・5年くらい続いている。
(きっかけは花粉症で顔が荒れて痒くなったのが広がり頭皮まで及んだ。当時はかさぶたよりも痒みが強く、掻きむしるうち、かさぶたに代わった) - 「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
- 快感30%、退屈感50%、後悔30%、罪悪感10%
- 「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
- かさぶたを触りながら思考では「止めなきゃ」と思っているが止められない。取りたくなってしまう
まず、触るのをやめようと意識しても、1〜2回衝動が我慢できるだけで、十数分後には触っていることが多いきがする。剥がしたかさぶたを観察して感動することがある。
はたから見たら気持ち悪い、怖いと思う。汚いんだろうと思う。
私も他人のフケとかかさぶたは汚いと思う。自分のはそこまで不快に感じない。でもパートナーも気にしているし、治したい。なんかやめられない。
痛いけどやめられない。大きいのが取れた時の快感がたまらない。
時間の無駄、ごみを生み出している、頭皮環境が悪化する、抜け毛切れ毛がひどくなる、やってる最中の姿が美しく無い。そういうリスクは頭では理解しているつもりなのですが……。 - いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
- ・何かのアレルギー?
・手持ち無沙汰など暇だからやってしまってる(仕事が忙しい時、他のことに気持ちが向いてる時はやってない)
・自傷行為みたいな依存をしてるのではないか
・やめたいという意志が弱い - いま専門家に聞いてみたいことは?
- 「いつになったら治るんだろう」「どうしたらやめられるんだろう」と思いながら今日まで改善できず来てしまいました。皮膚科に行ってみたりもしましたが1人で我慢するのは限界です。どうしたらいいでしょうか、ヒントをください。よろしくお願いします。
- 年齢、性別、職業
- 30歳、女性、接客業
- 既往歴
- --- 未回答 ---
- 悩みの内容の自由記述
- --- 未回答 ---
自分史はまだありません。
※ プライバシー保護のため、ご質問の一部を編集部で変更している場合がございます。
「頭皮のかさぶたを剥くのがやめられません。どうしたらいいでしょうか」への回答
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ホワイトチョコレート さん、ご相談をよせてくださりありがとうございます。臨床心理士・公認心理師の小野寺です。
いけないとわかっていても、つい頭にできたかさぶたを剥がしてしまうことを止めることができないとのご相談ですね。
「大きいのが取れた時の快感がたまらない」とあるように、きっと ホワイトチョコレート さんにとって大きな達成感をある程度簡便に得られる方法なのだと思います。だとすると、その喜びを止めることはなかなか難しいですよね。
しかし、「治したい」お気持ちも間違いなく本物であろうと思います。
止めるのは困難かもしれませんが、そのお気持ちがある限り、きっと何かしらやれることがあるはずです。
その方法をいくつか一緒に考えていきましょう。何か参考になるものがあれば幸いです。
ただ、「5年くらい続いている」ということですから、止めるにしてもやはり根気は必要かと思います。焦らず、着実にやっていきましょうね。
いつ剥がしたくなるのかを明らかにする
最初にするべきことは、「どのようなタイミングでかさぶたを剥がしたい衝動が出やすいか」を明確にすることです。
「気づいたら頭を触ってかさぶたを探している」とのことですが、おそらく一日中探しているわけではないと思うのです。
例えば、お仕事中はどうでしょうか? 友達と会っているときは? 想像ですが、そのときは頭に手が行かないのではないでしょうか。
逆にリビングでくつろいでいるときや、テレビを何気なく観ているときなどは頭に手が伸びていることが多いかもしれません。
このように、特定のタイミングで手が伸びる確率が高くなっていることが予想されます。まずはそのタイミングを特定してください。
特定できたら「もしかしたらまた手が頭に伸びるかもしれない」と注意することができるし、何かしら対策をとるための道具を近くに置いておくこともできます。
剥がしにくくなるよう環境を調整する
タイミングが特定できたら、今度は環境を調整します。
「やめたいという意志が弱い」とお書きになっていましたが、それは間違いです。習慣化した行動を変えるのは誰にとっても大変なことで、人間という非力な存在には「意志の力」でそれを変えるのはほぼ不可能です。何かしらの力を借りなければなりません。
環境を調整するとは、まさに何かしらの力を借りる手続きのことを意味します。
ホワイトチョコレート さんの場合、「かさぶたを剥がしやすい環境」から「かさぶたを剝がしにくい環境」へ調節していくことが欠かせません。
例えば、以下のような方法があります。既に試されたものもあるかもしれませんが、まだやったことがないものを試してみたり、いくつかを組み合わせてみたりして取り組んでみていただけると幸いです。
ここでは、「リビングのソファーでくつろいでいるときにかさぶたを剥がしたくなる衝動が強くなる」と仮定してその場合の対策を具体的にみていくことにします。
指サックを装着する
ソファーでくつろいでいるときに剥がしたい衝動が強くなる場合、すぐに対応できるように、ソファーの近くに「医療用指サック」を用意しておくのが良いかもしれません。
リビングにいる間は、その指サックを装着し、爪が立ちづらいようにしてしまうのです。爪が立たなければ、かさぶたを剥がすのがとても困難になるはずです。
手袋をはめる
他にも「掻きむしり防止手袋」をソファーの近くに置いておき、サッと装着できるようにしておくのも指サックと同様の効果があると思います。
効果をより高めるために、自分では手袋を外せない状態にしてしまうのも一つの手ではあるかもしれません。手袋をはめた後、パートナーに手首のところを結束バンドで拘束してもらうのがその例です。もちろん、血流が滞らないようには注意してくださいね。
両手を拘束されれば自分で手袋を外すのはかなり困難になるでしょう。外したくなったらパートナーに頼んでバンドをハサミで切ってもらいます。
指を塩水につける
かなり荒療治にはなりますが、塩水を用意するのも一つの環境調整になるかもしれません。
例えばペットボトルか何かにあらかじめ塩水を入れた物をソファーの近くに置いておきます。そして、ソファーでくつろいでいる時間は指先をその塩水で湿らせるのはどうでしょうか。あるいはソファーに行く際には必ず塩水を入れた底の浅い容器を持っていくことにし、そこに指先を付けておくのもいいかもしれません。下の図のようなイメージです。
このようにしておけば、かさぶたに触れたときに痛みが生じやすくなるでしょう。その痛みで「いけない!」と気づき、かさぶたを剥がすのを止めるきっかけになる可能性はありそうです。
指サックとこの方法を併用してもいいかもしれません。塩水で指先を濡らしたあとに指サックをつけるのです。万が一指サックを取ってしまっても、指についた塩が頭皮の傷にしみて止めるきっかけになると思われます。二段構えになるのでより効果が高まるかもしれません。
コーピングを複数用意する
普段から意識的にストレスを発散するのも効果があるでしょう。
ホワイトチョコレート さんにとってかさぶた剥がすことが何かしらのストレス解消効果をもたらしているからこそ続いてしまっているのだと思います。これは慢性的にストレスを抱えていることの裏返しと言えるのではないでしょうか。
だとするならば、かさぶたを剥がすこと以外にも、効果的なストレス解消法を揃えておくと良いかと思います。心理学ではストレス解消法に近い概念として『コーピング』と呼ばれるものがあります。コーピングとは「ストレスへの対処法」という意味です。
コーピングはたくさんあればあるほど良いとされています。 ホワイトチョコレート さんにもそういうものが複数見つかればよいですよね。
カラオケに行く、たまには仕事をさぼる、甘いものを一口食べる、サウナに行くなどなんでも構いません。とにかく、自分の心を癒してくれる存在を増やしていきましょう。もちろん、ストレスの原因に検討がついているのなら、その原因を取り除くことも重要です。
代替行動を見つける
かさぶたを剥がすのに代わる行動を見つけるのも効果的です。
ソファーでくつろいでいるときに剥がしたい衝動がやってきたら、「手をお尻の下に敷く」などがその例です。
他にも「手を強くグーの形に握る」「手を合わせる」「ソファーを手でスリスリする」などが考えられそうです。
もちろんこの間も衝動を感じ続けるかとは思いますが、その衝動は必ず時間の経過とともに収まっていきます。他の行動で衝動をしのぐ時間を少しずつ増やしていくようチャレンジしてみてください。
お薬を飲む
最終的には精神科に行くことも検討してみてもいいかもしれません。というのも、もしかしたら ホワイトチョコレート さんのお困りは『皮膚むしり症』に起因しているかもしれないからです。
その場合、SSRIと呼ばれるお薬の効果が認められることもあるそうです。一度検討してみてもいいかもしれません。
自分にご褒美を『トークンエコノミー法』
上記の方法でかさぶたを剝がすのをどれくらい止めていられたか、その時間を測定してください。
「止められた」「止められなかった」という二者択一ではなかなか効果を実感しづらいですが、「何分止められたか」という数字ではかれるもので自分の努力の形跡を残せると、成長が実感しやすくなるでしょう。成長が感じられれば、「もっと頑張ろう」とモチベーションが維持されやすくなるはずです。
もし少しでも止められた時間が更新されたのなら、ぜひ自分にご褒美を与えてあげてください。「チョコを一口」でも、「頑張りを認めるために専用に用意した貯金箱に小銭を入れる(一定額溜まったら欲しいものを買う)」でも、なんでも構いません。ご褒美もモチベーション維持に一役買うはずです。
お勧めは『トークンエコノミー法』です。トークンエコノミー法とは、ポイントカードの要領で頑張りを累積させていき、最後に大きなご褒美を自分にあげる方法です。
例えば、少しでも止められる時間が増えたら、そのたびにカレンダーにハンコを押し、そのハンコが一定量溜まったら、気になっていた洋服を買うみたいな方法です。
事前にどの程度のハンコが溜まったら、何と交換するかは決めておきましょう。その方が「あと5個ハンコが溜まれば、まわらないお寿司に行ける…!」など目標が明確になります。
以上、「頭皮のかさぶたを剥くのがやめられない」とのお悩みに対してどうしたら良いかを具体的に考えてみました。
何かしら試せそうなものやヒントになるようなものがあったのなら幸いです。
決して焦る必要はありません。むしろ焦って「できない」を積み重ねて自分を卑下してしまっては、そのストレスがまたかさぶたを剝がす方向に行ってしまいかねません。
今やるべきは、自分にできることを淡々とこなしつつ、できた自分を励ますことだと思います。応援しております。
最後までお読みいただきありがとうございました。