ゲームばかりして勉強に取り組めません。父親との関係悪化による心の不調かもしれない

2023.05.25 Thu

目次

回答したカウンセラー

小野寺 リヒト

臨床心理士/公認心理師

小野寺 リヒト

臨床心理士・公認心理師。FP2級所持。
医療機関や一般企業の産業保健事業部等での勤務経験があります。心の悩みが気兼ねなく相談できたり、セルフケアの重要性が浸透した世の中になってくれたらいいなと思っています。読書と料理が好きです。
【得意な相談】
〇気分の落ち込みや不安に関する相談(上手な気持ちの切り替え方、最初の一歩になる行動の踏み出し方等)
〇人間関係に関する悩み(パートナー・親子・職場関係・友人等)
〇お金の相談(ついお金を使ってしまう心理、貯蓄・節約のこと等)

「ゲームばかりして勉強に取り組めません。父親との関係悪化による心の不調かもしれない」の相談内容詳細

相談者
相談者 ジュー
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
自分がやるべきこと(勉強)をある程度理解しているのにそれをしないでゲームばかりしている。
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
悲しみ18%、不安35%、怒り2%、恐怖24%。
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
あまりにも怠惰すぎる。
そもそもやるべきことがわかっているのにそれをせずにゲームをしているのが意味不明。我が事ながら理解できない。
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
ゲームが好きなだけの可能性。
勉強が嫌いなのかもしれない。
中学受験の際に褒美の品として約束したスマホを貰えなかった上に、私が高1でスマホをもらったのと同時に年下の弟(中学受験を途中でやめて当然受かってない)もスマホを貰ったことで無気力なのかもしれない。それが関係していたとしても根に持ち過ぎだと思う。
父親との関係悪化による心の不調かもしれない。
いま専門家に聞いてみたいことは?
どうやったら私がちゃんと努力したり、勉強したり、するべきことをできるようになれると思いますか?
年齢、性別、職業
18歳、男、高校生
既往歴
特になし
悩みの内容の自由記述
父親との関係についてはできれば高校生の反抗期だとは捉えないでほしい。以下父親についての思いです。
流石に正面切って私に殺すなんて言うほど愚かな人間だとは思ってなかった。向こうが私との口論で言い返せなくなるたびに暴言しか言わなくなるのも本当にバカというかしょうもない人間だと思う。母親もちゃんと謝罪をされたことがないらしいし本当にクズ。父は私には菓子の類で自重を求めるくせに父が一番食べてるし、本来なら家族全員に均等に行き渡ったはずの食べ物を父だけ多く食べたせいで不平等になってしまった。食べ物を父が多く食べているのが不満なんじゃない。そんなしょうもない、自分の家族に対しての些細な配慮さえできないカス野郎が私の父だということに耐えられない。内容がひどすぎて友人にも父親がどんな人間か、クズという言葉以外で形容したことがない。伝えられない。父の存在が私にとって恥であり屈辱。
相談者 ジュー さんの自分史

自分史はまだありません。

※ プライバシー保護のため、ご質問の一部を編集部で変更している場合がございます。

「ゲームばかりして勉強に取り組めません。父親との関係悪化による心の不調かもしれない」への回答

  • ジュー さん、ご相談をよせてくださりありがとうございます。臨床心理士・公認心理師の小野寺です。

    ゲームばかりして必要な勉強に取り組めていないとのお悩みですね。高校生でいらっしゃいますから、勉強に取り組めないのは死活問題ともなりかねませんから、深刻に悩んでおられるのだと想像します。

    こうなってしまった一つの背景には、「父親との関係悪化による心の不調」があるかもしれないということですね。ただ、だからといって「高校生の反抗期だとは捉えないでほしい」との強い思いもおありです。

    反抗期かどうかはわかりませんが、少なくとも ジュー さんの書いてくださったことを拝読する限り、 ジュー さんがお父さまのことを良く思えないのは無理もないことのように感じます。

    人を良く思わないこと、嫌うことは案外体力を使いますよね。その人のことが心のスペースを占領し、気力や時間が奪われていきます。実際、 ジュー さんも【自由欄】に色々とお父さまのことを書いている間、決して良い気はしなかったでしょうし、記載するための時間がそれなりに奪われていますね。

    このことは、反抗期であるにせよないにせよ、少なからず勉強に身が入らないことに関係しているのかもしれません。

    無理して好きになる必要もないし嫌いになる必要もない

    じゃあどうするか、ですが、私は無理してお父さまとの関係を改善する必要はないと思います。

    もちろん、同じ空間で長い時間を過ごすことになる家族ですから仲良くできるのであればそれが一番です。しかし、あまりにも酷い言動をするような人であれば話は別です。

    「流石に正面切って私に殺すなんて言うほど愚かな人間だとは思ってなかった」と、これほどまでに ジュー さんにショックを与える人なのですから、いくら父親と言えど、許せることと許せないことがありますよね。

    同時に、嫌う必要もないと思います。いや、嫌いな気持ちは持っていてもいいのですが、それにこだわりすぎなくてもいいのではないか?ということです。先述した通り、人を嫌うのは体力と時間を奪われる行為であり、 ジュー さん自身にメリットがないからです。

    「家族仲良く」という理想の話は脇の脇に置いておき、ご自身の心の平穏を第一に考えたお父さまとの関係を構築していけばよろしいかと思います。

    「はじめからいない人として扱う」でも「当たり障りないことしか話さない」でも「挨拶しかしない」でも「話しかけられたときに相づちだけうつ」でもいいと思います。特に今は「勉強に身が入らない」という実害が出ているのですから、自分の利益優先でお父さまとの関係を考えるべきでしょう。

    「どっちか」ではなく「どっちも」

    その他、どうやったらちゃんと勉強に取り組めるようになるかに関して、具体的な対策もお伝えできればと思います。

    大前提として「勉強か、それともゲームか」ではなく、両方をやってもいいのだと決めてしまいましょう。人は禁止されたらその禁止されたことをやりたくなる気持ちが膨らむものだからです。「禁止しなくてもいいのだ」とそのプレッシャーから解放されれば、「不安35%」や「恐怖24%」も多少減っていくはずです。

    「両方をやってもいい」といっても、ゲームの方に比重がかかりすぎては ジュー さんの悩みの対策にはなりませんね。だから、特別なやり方が必要です。といってもやり方はとても簡単で、「先に勉強をして、その後にゲームをする」という順番にすればいいのです。

    これは心理学で「プレマックの法則」と呼ばれる効果を利用したものです。プレマックの法則とは、「普段あまりやらない行動を先にやって、そのあとによくやる行動をするようにすれば、あまりやらない行動をとる機会が増える」という人間行動の原理のことです。

    勉強とゲームであれば、勉強が「普段あまりやらない行動」でゲームが「よくやる行動」でしょうから、まずは勉強を先にやってしまおう、という魂胆です。

    ゲームをするときの思考はおそらく「ちょっとだけゲームをしよう」「終わったらちゃんと勉強する」といったものだと思います。しかし、これだとプレマックの法則が成立しないのですね。

    そもそも論、ゲームは頭のいい人たちが「いかにユーザーに時間を使わせるか」を長年研究してできた成果物です。そんな優秀なコンテンツに一個人が抗うのは筋が悪い勝負です。「途中でちゃんと止められる」と考える方が間違った発想です。

    今後はしっかりとプレマックの法則を使っていきましょう。

    …とまあ、偉そうなことを言いましたが、実は私も最近マリオカート8デラックスに熱中しており、お恥ずかしながらプレマックの法則を使えないときがあるどころか、「このコースが終わったら止めて本を読む」と決めてもなかなかうまく行かないことがしばしばあります。

    そんなときは、他の工夫も必要です。

    やると決めたことをやり通すコツ3選

    工夫といっても難しいことではありません。難しい工夫はそもそも長続きしませんから、簡単な工夫がいいのです。ここでは3つ取り上げます。

    面倒くさくする

    一つは再開するのが面倒くさい状況を作り出すことです。

    私の場合、使っているハードはNintendo Switchですから、マリオカート8のソフトを本体から取り外し、ソフトを箱にしまってしまいます。

    こうすることで、再開するときにわざわざソフトを箱から取りだし、本体に差し込みなおさなければならない手間が発生するようにします。この手続きをすることを考えると「面倒くさいな」と思えるので、目の前にある本に手を伸ばす可能性が高まります。

    スマホで遊べるスマホゲームの場合、毎回ホーム画面からアプリを消してしまうといいかもしれません。遊ぶときに毎回ダウンロードし直さなければならないので、かなり「面倒くさい」作業になるはずです。

    アラームをセットする

    もう一つは時間を決めてアラームが鳴るようにセットする方法です。

    どうしても本を読んで勉強する気分になれず、一方でゲームを先にしたい気持ちが強いとき、私はスマホのアラームが20~30分後に鳴るように設定してからマリオカートをやることが多いです。

    私は今のところアラームは一つで済んでいますが、もしこの方法でも「アラームを止めてゲームやり続けちゃいそう」と思うのでれば、アラームを複数用意することをお勧めします。一つは手元に置き、もう一つは自分から少し離れたところに置きます。二つ目のアラームは一つ目のアラームの数分後に鳴るように設定しておいてください。

    アラームを二つ用意することで、一回目のアラームでゲームを終了できなくても、二つ目のアラームのときには終了できる可能性が高まります。さらに二つ目を止めに行くとき移動せざるを得ないわけですから、動くことで気分が切り替わるので、これもゲームを終了させるきっかけになります。

    荒療法ですが、二つ目のアラームは音量を最大にして外に置くのもいいかもしれません。「早く止めないと近所迷惑になる」とのプレッシャーがゲームを終了する材料になるでしょう。

    やってもいい時間を決める

    最後は、「ゲームを好きなだけしてもいい時間を決める」です。

    「人は禁止されたらその禁止されたことをやりたくなる気持ちが膨らむものだ」と先述しましたが、これは「カリギュラ効果」といいます。カリギュラ効果が出ないように、事前にゲームをしてもいい日程を決めておくのがいいでしょう。

    私は、次の日がお休みの日は好きなだけマリオカートをしてもいい日にしています。こうすることで、「明日好きなだけマリオカートできるから…」と我慢できる日も出てきました。

    以上、お父さまとの関係をはじめ、具体的な対策も交えながら「どうやったらちゃんと勉強に取り組めるようになるか」を考えてみました。

    お父さまとは ジュー さんの心の平穏を第一に考えた関係を、ゲームは全面的に禁止するのではなく、上手く両立するための方法を考えていっていただければと思います。

    日々勉強も大変、お父さまとの関係での心労も大変かと思いますが、あまり背負い過ぎずに ジュー さんがのびのびと生活できるように応援しております。

    最後までお読みいただきありがとうございました。

これを読んだきみにはこれも読んでほしいな

おすすめコンテンツ
みんなの心が楽になる情報と出会えますように。