転職してから心の余裕が無いため、余裕と思える部分が欲しい。これは甘えなのか?

2023.03.14 Tue

目次

回答したカウンセラー

小野寺 リヒト

臨床心理士/公認心理師

小野寺 リヒト

臨床心理士・公認心理師。FP2級所持。
医療機関や一般企業の産業保健事業部等での勤務経験があります。心の悩みが気兼ねなく相談できたり、セルフケアの重要性が浸透した世の中になってくれたらいいなと思っています。読書と料理が好きです。
【得意な相談】
〇気分の落ち込みや不安に関する相談(上手な気持ちの切り替え方、最初の一歩になる行動の踏み出し方等)
〇人間関係に関する悩み(パートナー・親子・職場関係・友人等)
〇お金の相談(ついお金を使ってしまう心理、貯蓄・節約のこと等)

「転職してから心の余裕が無いため、余裕と思える部分が欲しい。これは甘えなのか?」の相談内容詳細

相談者
相談者 のっぽ
いまストレスを感じている「出来事」を事実ベースで抜き出してみてね。
「いつ・どこで・誰が・何を」を意識するのがコツだよ。
仕事に行く気にならない。身が入らない。やる気になれない。毎日つまらない。
7月に転職をし9月に新規店舗として配属になったが、今の会社に慣れてないからなのか、新店で規則などが浸透していないからか、個々に働いてる感じがすごくエネルギーを消耗される。
「1」についての「感情」を%で表現してみてね。合計で100%にならなくても大丈夫。直感で書いてみよう。
悲しみ40%、不安20%、不思議10%
「1」について浮かんでいる「考え」を教えてね。
社会人4年目だが新しい職場になったため、周りから教えてもらうのと自分から聞きながらやる前提で仕事に臨んでいるが、そもそも聞ける雰囲気ではなく、体制が整ってないからや店長が正になるから他の人に聞いてもどうにも出来ないことが多すぎる。

体制整うまでみんなでどうにか頑張ろう!という感じもなく、分からなかれば上に聞け、上が言うことに従え、自分の範囲外は勝手にやらないでその人に任せておけ。が多すぎて結局回ってなくて期限ギリギリでやる状況に呆れている。

誰がやってもいいものなら誰でもやれるようにしとけばよくないか?それもいちいち1から100まで店長に聞いてたら終わる物も終わらなくない?と頭で思いながら入りたて新人なので何気な〜く聞いて進めているが、いつになったらこれが終わるのか、それともこのまま続くのか、聞くに聞けずもどかしく溜め込んでしまいストレス。

せっかく転職したのにこんな感じを耐えていかないといけないのか〜と半年も経たない中でいつ辞めるかを考え出す始末。甘いのでしょうか?
いろんな視点から捉えるために、上記の回答の「別の可能性」を考えてみよう。
自分がもっとコミュニケーションを取って明るく聞いてたら、変わるのかもしれない。やっといてほしかった!今それはやらないで欲しい!お願いする!など方向性が見えるまではやる?やらない?と自分中で貯めず都度聞いて行くのがいいのかなとも思う。
いま専門家に聞いてみたいことは?
そう考えてしまうのは甘えなのか?
元々ものすごくネガティブで卑屈な考えだと思っているが、転職をして相手に期待する事、興味を持つ事をめんどくさくて辞めてしまった。その分自分の考えを外に出せなくなり悶々とする一方で余裕がなくなりストレスが溜まるようになった。

考え方を変えたいが、そもそもこう思ってる事は甘えだからその甘えをなくす方がいいのか、甘えでは無いから違うように考えたらいいのかが分からない。

心のキャパが少しでも開くようにしたい。
年齢、性別、職業
27歳、女性、会社員
既往歴
--- 未回答 ---
悩みの内容の自由記述
--- 未回答 ---
相談者 のっぽ さんの自分史

自分史はまだありません。

※ プライバシー保護のため、ご質問の一部を編集部で変更している場合がございます。

「転職してから心の余裕が無いため、余裕と思える部分が欲しい。これは甘えなのか?」への回答

  • のっぽ さん、ご相談をよせてくださりありがとうございます。臨床心理士・公認心理師の小野寺です。

    転職して半年も経たない中で辞めることを考えてしまっている自分を「甘いのではないか?」と考えておられるのですね。

    ご相談のタイトルも「心の余裕が無いため、余裕と思える部分が欲しい。考えすぎ、ネガティブな私にとってこれは甘えなのか?」となっていました。

    つらい環境の中、確かに心の余裕は減ってきているように見受けられます。ただ、私は甘えではないと考えています。むしろ「 のっぽ さんは随分ご自身に対して辛口だな」とさえ思いました

    どうしてこのような考えに至ったのか、私が「確かに心の余裕はなさそう」と感じたことと、「甘えではない」と考えることの二つに分けてご説明させていただければと思います。

    順番は前後しますが、「甘えではない」ことが「心の余裕のなさ」に繋がっているように思いますので、まずは「甘えではない」、むしろ辛口であると考える理由についてお話していきたいと思います。

    甘えたことをやっていないのだから、甘えではない

    「甘えではない」と私が考える理由は非常にシンプルです。それは のっぽ さんが甘えていないからです。

    のっぽ さんはまだ今の会社に慣れていない中、「何気な〜く聞いて進めている」ことが出来ています。そればかりではなく、「誰がやってもいいものなら誰でもやれるようにしとけばよくないか?」「いちいち1から100まで店長に聞いてたら終わる物も終わらなくない?」と、職場に対する改善点も検討することが出来ています。

    もし本当に のっぽ さんが甘えているのなら、「聞ける体制が整っていないのが悪い」と開き直ってまったく何も進めないし、その状況に胡坐をかいて「言われたことだけやればいい」と考えることで、改善策を模索することすら放棄するのではないでしょうか。

    転職して今の会社に入られたということは、おそらく今の会社に対してそれなりの期待をされていたと思います。新規店舗でバタついた状態であるとはいえ、今回の配属はその期待をある意味で裏切られるような体験となっているのではないかと想像します。だとしたら、その体験のショックは大きいはずです。頭に「辞めたい」の4文字がよぎっても全く不思議ではないと思います。

    このように、 のっぽ さんは一切甘えたことをしていないし、「辞めたい」と考えるのも当然の状況です。この状況に対して、ご自身を「甘えている」と評価するのは、甘えているのとは真逆の「辛口評価」であるような気がします。

    ゆえに「甘えではない」と私は自信をもってお伝えできます。

    心の余裕がなくなるのは、頑張っているから

    続いて、私が のっぽ さんのことを「確かに心の余裕はなさそう」と感じている理由についてお話します。

    こちらも理由はシンプルで、「やるべきこと以上のことをやっているから」です。

    のっぽ さんは社会人としては4年目だとのことですが、今の職場に来てからは半年程度しかたっておらず、十分「新人」と言ってよいお立場です。わからないことが多いのは当然です。
    まして新規店舗への配属ですから、なおのことわからないことばかりでしょう。 のっぽ さん以外の人も、そこに配属された人全員、右も左もわからない状態だろうと思います。

    「配属された人全員、右も左もわからない状態」とはいえ、他の人は他店舗での経験を応用することはできるので、多少有利です。 のっぽ さんには他店舗での経験がないのですから応用が効くはずもありませんね。応用するためのネタがありませんもの。

    このような状況でしたら、「何気な〜く聞いて進めている」が出来ていさえすれば十分に及第点だというのが私の感覚です。それ以上は現実的になかなか厳しいのではないかと思います。

    ところが先述した通り、 のっぽ さんはご自身を辛口評価され、これ以上のことをなさっているように私からは見えます。職場に対する改善点を検討してるあたりがそうです。「辞めたい」と感じる当たり前の感情に対して「甘えている」と自己卑下することも、心をどんどん疲弊させることにつながってしまっています。心の余裕がなくなっていっているのは、このような理由からだと思うのです。

    心のキャパを広げるには

    【聞いてみたいこと】に「考え方を変えたい」「心のキャパが少しでも開くようにしたい」とありましたので、この件についても先述したことを前提に考えていきたいと思います。

    繰り返しになりますが、「 のっぽ さんは甘えていない」「求められること以上をこなしているにもかかわらず『甘えている』と捉えることで心の余裕がなくなっている」が、ここでいう前提となります。

    さて、これらを前提に「心のキャパが少しでも開く」ようにするには、どのような考え方が有益なのでしょうか。

    私は「仕事はしょせん仕事に過ぎない」と考えることだろうと思います。

    私は仕事が結構好きな方です。ですから、楽しみながら仕事することが出来ています。しかし、それ以上に「仕事は生きるために必要なお金を稼ぐための手段でしかない」と考えています。

    「気持ちが参ってしまうほど辛い仕事だけど、生活費の3倍稼げる仕事」と「楽しいけど、生活費にちょっと色がつくくらいしか稼げない仕事」であれば、間違いなく後者を選びます。生きることができる分だけ稼げるのであれば、それ以上のお金を追い求めて心に負担をかけたくないからです。私にとっては圧倒的に「心(ないしは健康)>お金」です。

    のっぽ さんの職場は「分からなかれば上に聞け、上が言うことに従え」「自分の範囲外は勝手にやらないでその人に任せておけ」という風土なのですね。つまり、「それさえしていれば、お給料を出すよ」という意味です。

    であるならば、その限りが のっぽ さんの「仕事」であり、それ以上の仕事はマストではないと考えられそうです。

    私には今の のっぽ さんは「職場に対する改善点を検討する」マストではない仕事にも取り組んでおられるように見えます。マストではない仕事は「心がウキウキする」など心の健康を向上させるものではないのなら、やる必要はないのではないでしょうか。しょせん、仕事なんてその程度の価値しかありません。

    「職場の改善点を検討しないでもいいの? そうしないといつまでも職場環境は変わらないのでは?」と思うかもしれませんね。さらには検討しないことを「サボり」や「諦め」のように感じてしまうかもしれません。

    確かに改善点の検討や実行を歓迎する職場が多いかもしれません。ですから、それらをしないことに「いいの?」と思う気持ちが出てくるのも理解できます。
    しかし、 のっぽ さんの職場では、「自分の範囲外は勝手にやらないでその人に任せておけ」と言われているのですよね。サッカーの審判がゴールキックをしなくても「サボり」でも「諦め」でもないのと同じく、求められていないことをやらなくても「サボり」や「諦め」にはならないのです。

    これは私の勝手な願望ですが、 のっぽ さんにはもっと「甘えてほしい」と思っています。結局ギリギリでやるはめになる状況を改善しなければならないのは店長の仕事です。改善できないと全ての質問が店長に集中してパンクしてしまうリスクがありますが、そのことで困るのは店長自身だからです。だから「店長改善お願いしま~す」みたいに、店長に甘えてもいいんじゃない?というのが私の考えです。

    ということで、 のっぽ さんが甘えているわけではなさそうなことや、今後心のキャパを広げるための施策を考えてみました。

    何かしら のっぽ さんにとって役に立つ回答になっていれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

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