「あなたのためを思って言っている」
そんな言葉をかけられて、なんだか押し付けがましく感じたり、モヤモヤしたことはあるかな。
とくに上司や親、姑など上の立場の人から言われてしまうと、反論のしようもなくて抱え込んじゃうよね。
今回は「あなたのためを思って」という言葉を使ってくる人の心理や、おすすめの返し方について紹介していくよ。
快適な毎日を過ごすために、ゆっくり一つずつ見ていこう。
目次
「あなたのためを思って」という言葉の意味
一見、「あなたのため」は優しい言葉のように見えるけど、実はお互いをよく知った信頼関係があってはじめて伝わる言葉なんだ。
「あなたのため」は相手の人生に踏み込んでいく言葉でもあるからね。
だけど実際には、純粋な善意のアドバイスだと感じられないことも多いんじゃないかな。
「この人は自分のことをよく知った上で言ってくれている」と感じられないとき、なんで相手はその言葉を使うんだろう。そこには色んな意味が隠されているんだ。
相手をコントロールしようとしている
「あなたのため」と言ってくる人は、アドバイスという形であなたの言葉や行動を誘導しているとも言えるよね。
その裏にはあなたをコントロールしたいという支配欲が隠れていることがあるよ。
その人はあなたの行動をコントロールすることで、精神的に優位な立場を手に入れたいと思っていたり、自分の意見を聞いてもらえる「特別な人」になりたいのかもしれないね。
不安を解消するために言っている
間違った相手にアドバイスをしてあげるという立場は、「自分は正しい」という考えを補強してくれるんだ。
自分の正しさに自信が持てないからそうしたコミュニケーションを取ってしまうのかもしれないね。
「あなたのため」と言ってしまう人
「あなたのため」と言ってしまう人にはどんな理由があるのかについても見ていこう。
相手についてよく知れば「あぁ、この人も大変なんだな」と許してあげられるきっかけになるかもしれないね。
自分の不満に向き合えない人
自分の人生に不満があったり、充実感を感じていない人は「あなたのため」という言葉を使いやすいんだ。
「あなたのため」には自分の人生についての不満から目を背けて、自分は間違っていないんだと思い込む効果があるから、ついその言葉に頼ってしまうんだね。
「自分のため」に気づかない人
ここまでにも見てきたように「あなたのため」は、本当に目の前の人を思っているというよりは、それを言っている人のために使われることが多いんだ。
「あなたのため」に頼ってしまう理由は、この言葉が持っている中毒性にもあるんだよ。
人間は、自分が正しいことをしていると思っていると、強い言葉を使うことや誰かを否定することに躊躇がなくなる性質があるんだ。
たとえば心理学者のスタンレー・ミルグラムが1963年に行った権威への服従実験では、白衣を着た権威ある博士らしき人に指示されたとき、普通の人の多くが命の危険がある電気ショックを与えるボタンを押してしまう、という結果が得られているよ。
この実験では、権威に容認されたときに人は簡単に非人道的な行為を行ってしまうということが示されたんだ。
「あなたのため」も、間違った相手を正してあげるという、社会的正義の権威を借りやすくなる言葉だよ。
「私は正しいことをしている」という考えは「正しいことをしているのだから反省する必要はない」に繋がり、結果的に自分がなんのために「あなたのため」を使っているかにも気づけなくなってしまうんだね。
「あなたのため」と言われやすい人
こんどは逆に「あなたのため」と言われやすい人について紹介するよ。
だけどこれは「言われる側に原因がある」という話ではないよ。ひどい目に遭った側が悪い、なんてことは絶対にないからね。
それを踏まえた上で、対処法を見つけるためのきっかけ探しとして見ていこう。
「嫌われたくない」という思いが強い人
自分に自信がなかったり、自己肯定感が低かったりすると、人に嫌われることを恐れて他人の意見に依存しがちなんだ。
「あなたのため」を使う人も自分の心を守るのに必死だから、そういう人だとわかった上で関わってくることが多いよ。
コントロールされたい願望がある
下記の傾向がある人は、自分の意見がない人だと思われて「あなたのため」という言葉を使われやすいよ。
・決断の責任を取りたくない
・指示を受けた上で行動したい
・自己主張をあまりしない
お互いがお互いのニーズを満たしてしまっている依存的な関係だから、解消には少し時間がかかるかもしれないね。
「あなたのため」と言われたときの考え方
次は「あなたのため」と言われたときの考え方について話していくよ。
具体的な反論内容が気になると思うけど、人間関係はケースバイケース。
上手な返し方のためにも、まずは「あなたのため」と言われたとき、どんな視点で考えればいいのか知っていこう。
「あなたのため」を言う人が100%悪人なわけではない
ここまで見てきたように「あなたのため」はそれを言う人のことも操ってしまうような言葉なんだ。
だからこそ「あなたのため」と押し付けてくる人はみんな悪人! と思うと、自分自身もよけいに辛くなってしまうことがあるよ。
相手の視野の狭さを想像する
「あなたのため」を自分のために使っている人は、「自分のため」と気づけていないことが多いんだ。
だから「善意と悪意どちらなのかな」「どんな気持ちでその言葉を使っているんだろう」と、目の前の人を分析する視点を持ってみて。自分も冷静でいられるし、上手な返し方にも繋がるよ。
自分と他人を分ける
いくら「あなたのため」と言われても、人にはそれぞれの適性や生き方があるよね。よそはよそ、うちはうち。
日本ではアドラー心理学として有名な、個人心理学を創始したアルフレッド・アドラーも、次のような言葉を遺しているよ。
『他者はあなたの期待を満たすために生きているのではない』
これは翻って、あなたは他者の期待を満たすために生きているのではない、ということになるよね。
あなたの人生はあなたのものだから、誰かの「あなたのため」に従う必要はないんだ。
「あなたのため」への返し方
次は実際に「あなたのため」と言われたときにどんな返し方をすればいいのかについて見ていこう。
「私のことに口出ししないでください」なんて決め台詞みたいに言えたらいいけど、そんな簡単じゃないもんね。
今回は実際に、繊細な人にも使えそうな例をいくつか考えてみたよ。参考になればいいな。
「考えてくださってありがとうございます」
「あなたのため」という言葉を使う人は、正しい自分を補強したいから使うという話をしたよね。
だからこそ感謝の言葉で相手の「正しい自分でいたい」という願望を先に満たしてあげると効果的。
「困ったら相談します」
上の感謝の言葉とのあわせ技が有効だよ。
その場でぐちぐちと追撃されにくくなるのに加えて、実際に困ったときに相談する言質もとれて便利。
「自分で決めたいんです」
ちょっと強い言葉に思えるかもしれないけど、この言葉を使うときには「自分の決断についてあなたに責任を負わせたくない」というニュアンスを含められると効果的だよ。
「あなたのため」という言葉を使う人は、相手をコントロールしたいけど、コントロールしたという罪悪感は抱えたくないから「あなたのため」と言い換えていることもあるんだ。
そこを逆手にとって「アドバイスありがとうございます。でも自分のことには自分で責任を持ちたいんです」のように言うと「そうか…」と引き下がってくれることが多いよ。
「あなたのためを思って」と言う人対策まとめ
「あなたのため」と言われると、自分の意志を蔑ろにされているような気持ちになってしまうこともあるよね。
もし言われたときには、相手がなぜその言葉を使っているのかについて考えられると、うまく言葉を返すことができたり、少し気持ちが落ち着いたりするよ。
もし自分が「あなたのため」と言ってしまいそうになったときにも、今回の記事を思い出してみて。
我慢するだけじゃなく広い視野で物事を見ながら、うまく対処していけるといいね。
一番大切なのはあなた自身。誰かの価値観や正しさに従う必要はないんだ。それを覚えておいてくれると嬉しいな。