「寝れなくてつらい…」
「目覚めが悪くて朝が弱い」
人生の3分の1くらいは眠っている時間だし、眠らない人はいないよね。誰にでも関係あるからこそ、眠りに関する悩みは尽きないんだ。
今回は「睡眠」の質を科学的に高め、一瞬で寝られる方法をまとめてみたよ。
目次
①認知シャッフル
これはカナダのサイモンフレーザー大学Luc P. Beaudoin博士が開発した睡眠法だよ。
簡単にやり方を紹介するね。
1:ベッドに入り、簡単な単語をひとつ思い浮かべる
単語は何でもかまわないよ。ただし、仕事に関係するものなど、ストレス要因になりやすい言葉は避けたほうがいいかも。たとえば「会社」「締め切り」「プレゼン」「人間関係」などの言葉だね。
一例として、はじめの言葉を「雪景色」にしてやってみよう。
2:選んだ単語の「最初の一文字」から始まる単語の映像を思い浮かべる
「雪景色」の最初の「ゆ」から始まる単語を思い浮かべてみよう。
そして、その単語から思い浮かぶイメージを数秒間頭に浮かべてみて。
「ゆき」「ゆかた」「ゆうびんきょく」「ゆめ」「ゆうえんち「ゆうがた」…
関連がある単語はなるべく避けて、つながったストーリーにならないようにすると効果的だよ。
3:二文字目から始まる単語の映像を思い浮かべる
「ゆ」から始まる単語が思い浮かばなくなったら、次に「き」から始まる単語を探てみてね。
「きりん」「きしめん」「きかい」「きいろ」「きしゃ」…
ここでも、1つの単語が浮かんだら、それに関するイメージを頭に浮かべるよ。そのイメージに飽きたら、次の単語を探してみよう。
人間の脳は単純で、一度にたくさんのことを考えられないんだ。
単語とそのイメージを思い浮かべていく作業で脳のリソースを使ってあげることで、難しい考え事や悩みが入り込むスペースが小さくなって、眠りにつきやすくなるってことだね。
②イメージを追いかける
上の認知シャッフルとも少し似ているけれど、頭の中に無意識に浮かんだイメージをただ追いかけていく、という方法も有効だよ。
言葉の意味に引っ張られて考え事が始まってしまう人なんかは、こっちを試してみてね。やり方は以下の通りだよ。
1:布団の上にあぐらをかき、身体を動かさないようにする
2:目を閉じて呼吸をゆっくりにし、真っ暗な空間を思い浮かべる
3:しばらくすると浮かんでくる何かしらのイメージを、ただ見続ける。
4:フッと意識が戻り「半分寝てた」ような状態になったら、ゆっくり布団に入る
5:布団の中で1〜3を繰り返す(慣れてくればここから始めてもいい)
といったものが紹介されているよ。
「動物の姿が浮かんできたら、その姿を追いかけて、どこに行くのかをただ見つめ続ける」といった感じだね。
これも認知シャッフルと同じように、考え事につながらないような意味の薄い映像をイメージするという点で共通しているよ。
③一瞬で寝られる「米軍式入眠法」
アメリカの陸上コーチ、ロイド・ウィンターにより陸軍向けに開発されたのが、米軍式入眠法なんだ。やり方は以下の通りだよ。
1:目のまわりや舌、顎など、顔の筋肉を緩める。
2:左右の肩をできるだけ下げ、上腕から下腕の順に力を抜く。
3:ゆっくり息を吐いて、上半身から下半身の順にリラックスさせる。
4:次の3つのいずれかをイメージしながら、10秒かけて頭の中を空っぽにする。
・静かな湖のほとりでカヌーに横たわっているイメージ
・黒のベルベッドのハンモックで寝ているイメージ
・「何も考えない、何も考えない……」と自分に言い聞かせ続ける
とされているよ。カヌーやハンモックは日本人にはあまりなじみがなくて、イメージしにくいかもしれないね。
この方法は特定のイメージで意識を埋めるという点で上2つの方法と共通しているよ。
その一方で筋肉の力を抜く、という方法が取り入れられているのがポイントなんだ。
④不安をやわらげる「漸進的筋弛緩法」
なんだか難しい漢字が並んでいてびっくりしちゃうよね。これは「ぜんしんてききんしかんほう」と読むんだ。
「漸進的」つまり徐々にゆっくりと
「筋弛緩法」筋肉を緩めていく方法、ということだね。
これは1930年代にアメリカの神経生理学者、ジェイコブソン博士が「不安を和らげる」方法として開発したもので、不眠症の治療に応用されることもあるんだよ。
これは大きくわけて3つのプロセスで進めていくよ。
1:横になり、片方の手をお腹に、もう片方を胸に置いて、深く安定した腹式呼吸を数回する。腹式呼吸ができていればお腹に置いた手は上下して、胸に置いた手は動かない
2:頭からつま先まで上から下へ、またはつま先から頭まで下から上へと、好きな順番に身体の筋肉に意識を向け、ギュッと固く緊張させる
3:大きく口から息を吐き出す
この漸進的筋弛緩法も米軍式と同じように、身体の各所に意識を向け、筋肉を一時的に緊張させてからそれをほぐすという点で共通しているね。
⑤自分用に組み合わせる「レコーディング快眠法」
レコーディング快眠法は秋田大学の三島和夫博士が開発した、認知行動療法の考え方を応用した快眠法だよ。
情報を客観的に観察できるようにすることで自分に合った睡眠の仕方が見つかるとされているよ。
レコーディング快眠法では自分の睡眠について以下のような情報を記録していくんだ。
ベッドに入った時刻・・・入床時刻
実際に寝付いた時刻・・・入眠時刻
夜中に目が覚めた時間・・・覚醒時間
起床した時刻・・・起床時刻
この記録をもとに、自分がベッドにいる時間と実際に眠っている時間の差から「睡眠効率」を計算し、ベッドに入る時間を調整したりするのがレコーディング快眠法のポイントだよ。
記録をつけるなんて大変って思うかもしれないけれど、スマートフォン用のアプリなども開発されていて、意外にとっつきやすいんだ。興味がある人はぜひ調べてみてね。
⑥寝る2〜3時間前の入浴
次は生活の中に自然に取り入れられそうなものを紹介していくよ。
入浴時間を寝る2〜3時間前に調整するだけで、寝付きがよくなることが研究によって明らかになっているよ。
睡眠は脳や身体の温度が低下するときに出現しやすくなるんだ。
寝る前に温度を上げることで眠る時の温度の低下量が大きくなり、寝付きがよくなるということだね。
また、入浴の際にはお尻の上にある仙骨と呼ばれる部分にシャワーを当てて温めてあげると、より効果的だと言われているんだ。
仙骨のあたりには神経が多く通っているよ。ここを集中して温めてあげると血行がよくなり、自律神経が整って眠りにつきやすくなるんだ。
⑦まずは眠れる身体づくり!「光を利用する」
寝る前にスマホやパソコンを見ているとブルーライトで眠れなくなる、といった話を聞いたことはあるかな。
光は良くも悪くも人間の睡眠に大きな影響を与えるんだ。
夜寝付けなくて困っている人は、朝起きてすぐに明るい光を浴びることを心がけてみて。
すると身体の生活リズムが前倒しになって、夜の寝付きがよくなることが知られているよ。
最近ではスマート家電を利用することで「朝7時になったら電気が点いてカーテンが開く」のように自動化することもできるから、試してみるのもいいかもしれないね。
⑧無心になれる作業をする
「うどんを打つとほどよく疲れて気持ちも休まりよく眠れる」なんて投稿がSNSで話題になったことがあるよ。
上の認知シャッフルや米軍式入眠法のところでも紹介したように、脳に考え事をする隙間を与えないという方法は、快眠に効果的なんだ。
うどんを淡々と打つ作業は、一定のリズムで同じような運動を続けることになるから、考え事が入り込む隙間が少なくなるはずだよ。
うどんでなくても単純な編み物や、粘土をこねるなど、単純な作業で脳を埋めてあげることで快眠しやすくなる、ということは充分に考えられるね。
⑨脳をハックする?「プラセボ効果」
プラセボという言葉を聞いたことがあるかな。これは「偽薬」つまり偽の薬という意味なんだ。もしかするとプラシーボ効果、という呼び方のほうが有名かもしれないね。
プラシーボ効果とは、本来薬としての役割を持たない偽薬から得られる効果のことで、特に痛み、不眠、下痢などには効果が大きいとされているよ。「これは効くんだ」と確信を持つと、身体がもともと持っている治癒力が引き出されると言われているんだ。
快眠グッズや快眠のための習慣にも同じことが言えるよ。
「この枕だとよく眠れる」
「寝る前にホットミルクを飲むと寝付きがいい」
といったように実際の効果はともかく自分にとって信じられる快眠法があると効果的、ということだね。
最初は信じられなくても習慣として続けていくうちに、身体と心が「この行動をしたから寝るモードだな」と学習していくことから快眠に繋がる効果があるよ。
アロマや飲み物、寝る前のストレッチなど、寝る前の習慣が作れると、それ自体が快眠のためのプラセボとして働くかもしれないね。
⑩無理に眠ろうとしない
「いろいろ試したけど、それでもぜんぜん眠れないよ!」というときには、思い切ってベッドを抜け出してしまおう。「眠らなきゃ」と焦ってしまうと、なおさら意識が覚醒して眠れなくなってしまうからね。
それに、眠れない状態でベッドに居続けた経験が苦痛の記憶として残ってしまい、余計に眠れなくなってしまうとも言われているんだ。
ベッドを抜け出した後はスマホやパソコンは見ないようにしながら、ゆっくりと座ってお茶を飲んだりしてみよう。「寝なきゃいけないのに起きてしまっている」と罪悪感を抱える必要はないんだよ。「ちゃんと眠るために、いま起きているんだ」と自分を認めてあげてね。
朝スッキリ起きる方法や「報復性夜更し」の知識とあわせれば効果が倍増するから試してみてね。
あなたの快眠法は?