「あーまたやっちゃった…」
「注意してるはずなのになんで…」
今日もお仕事お疲れさま。
注意しながらやってるはずなのに、なぜか同じ間違いを繰り返してしまうことってあるよね。
失敗したら誰だって落ち込んじゃうけど、ミスは決して自分の能力や注意が足りないだけではないし、「気合いが足りない」みたいな根性論だけが原因じゃないよ。
今日は、同じミスをしてしまう理由を科学的に見ながら、すぐできる具体的な改善策を一緒に見ていこう。
目次
同じミスが起きる原因
ミスを改善するには、まずは原因をチェック!ミスが起きやすいそれぞれの原因を見ていこう。
仕事の理解度
仕事の多くは、誰かから受け継いで、誰かに受け渡すことが多いんだ。
売上管理は会計や経営を担当する人にとって大事なデータだし、申し送りは翌日のシフトの人への情報提供だよね。
自分の仕事の前後に関わる人を想像できないときに、ミスは起きやすいと言われているんだ。
自分のタスクを理解することに加えて、今の仕事にどんな人が関わっていて、どういうふうに進んでいくかを理解しておくことが大事なんだね。
入社したばかりの人にミスが多いのは、まだ仕事全体を把握できていなくて、覚えるべきことが断片的であることが原因なんだ。
ワーキングメモリーの低下
ワーキングメモリーとは、短い時間に心の中で情報を保持し、同時に処理する能力だよ。
もう少し詳しくいうと、なにかを覚えるだけではなくて、別のことをしているあいだもそのことを頭のなかに留めておいて、必要になったときにタイミングよく思い出して使う能力を言うんだ。
「来週のプレゼンに使う資料を今日中に仕上げるぞ」
「でも、まず始めに昨日来ていたメールに返信だ」
「それに、夕方までに会議用のアジェンダも確認しておかないと」
こんなときはワーキングメモリーがフル稼働しているよ。
でも、実はワーキングメモリーは容量がとても少ないんだ。
ハーバード大学のジョージ・ミラー教授は、マジカルナンバー7といって、人間が一度に覚えられるのは7個前後という研究を発表しているよ。
それに、ワーキングメモリーはストレスや体調によって能力が低下しやすいんだ。たとえば、繊細な人は「完璧にしなきゃ」「使えないと思われたくない」と気を張ることで、脳が“人疲れ”を起こしてしまったりするよ。
ワーキングメモリと記憶のメカニズムについてはこちらの記事を読んでね。
ストレスの要因
仕事の生産性とストレスの関係もわかっているよ。
OECD(経済協力開発機構)の報告によると、ストレス高位国では、ストレス低位国に比べて、1時間あたりの生産性が約13ドル低いことがわかったんだ。
個人レベルでも、ストレスを感じている人は、感じていない人と比べて、約5%生産性が低いと言われているよ。
また、生産性の低さがストレスを助長することにつながってしまい、負の悪循環が生まれてしまうんだ。
特性による影響
気をつけていても、どうしてもミスしてしまうこともあるよね。
今の自分の能力ではまだ対応できないようなときもあるだろうし、そもそも今の仕事に情熱を持てないときには、仕事を覚える効率やミスを防ぐための機転も効きにくくなってしまうと思う。
それに、器質的な影響や発達特性によってもミスは起きるんだ。
昭和大学発達障害医療研究所の太田氏によると、同じミスでも特性の違いによって、その原因が変わってくると言われているよ。
たとえば、同じ日報を書くのを忘れてしまうことでも、ASD(自閉スペクトラム症)の傾向がある場合は、「日報を書く必要性」が理解できず、自分の中で優先度が低くなってしまい忘れてしまうんだって。
一方、ADHD(注意欠如・多動症)の傾向がある場合は、あちこちに意識が飛んでしまい、「やらなければ」と思っても、次の瞬間には別のことが頭をよぎって忘れてしまうんだ。
こんなときは、作業を指示する人と「自分の理解を確認する」ことがオススメだよ!
ミスの4つの種類と対策
NLPをビジネスに活用しているトレスペクト研究所代表の宇都出氏によると、実はミスは、脳、特に記憶の仕組みから4種類に分けることができると言われているんだ。
自分のやりがちなミスを分類することで、対策もわかりやすくなるよ。
ミスの種類に合わせて、対策もセットで載せているから参考にしてね。
①メモリーミス
いわゆる「やるべきことを忘れてしまった」状態のことだよ。
エビングハウスの忘却曲線といって、人の記憶は1時間後には約50%が忘れられると言われているんだ。
仕事への理解が不十分であったり、ワーキングメモリーの低下などが原因だけど、そもそも記憶だけに頼ることも問題なんだ。
【対策】外部記憶装置の活用
脳が記憶を忘れてしまうなら、「覚えておかなければいけないこと」を視覚化してみるといいよ。
代表的なものはメモを取ることだけど、それ以外にもパソコン上でTodoリストを作成したり、スマホでスケジュール管理するのも良いよね。
②アテンションミス
必要なことは覚えていたんだけど「見落とした」というミスだね。
カクテルパーティ効果といって、実は人は世界をそのまま見ているわけではなくて、脳が認識したものだけを見ている、と言われているんだよ。
ハーバード大学の実験では、バスケットボールをしている動画を見させられて、その中で何回パスがされるかを数えるよう言われるんだけど、実はその映像にはゴリラのマネをした人が堂々と紛れているんだ。
そして、実験に参加した人の約半分は、ゴリラがいることに気づかなかったんだって。
ミスはタスクが同時発生しているときや、逆に単調な作業をしているときに起きやすいけど、何か一つのことに注意が向き過ぎているときも起きやすいんだね。
【対策】作業ごとに注意を向けることを限定する
マルチタスクは、同時に複数のことに取り組むことを言うんだけど、心理学者のロジャーズ氏とモンセル氏の研究によると、実はマルチタスクは脳が2つ以上のものごとを認知してスイッチするのに時間がかかり、ミスが多くなることを指摘しているんだ。
同時に進行しているタスクが複数あるときでも、今集中すべきことを一つに絞ることで、脳の機能を活性化させて、ミスを減らすことができるよ。
③コミュニケーションミス
「伝えたと思ったのに伝わっていなかった」
「言われたことを別のように理解していた」
こんなことってよくあるよね。
単純に「言った・言わない」のミスコミュニケーションの場合もあるけど、厄介なのは、言葉は聞いた人の記憶によって理解されることなんだ。
たとえば、「なるべく早く」という指示でも、ある人は「当日中」と理解して取り組んだ記憶があるだろうし、「2〜3日中」で仕上げた記憶がある人では、理解に差ができてしまうよね。
【対策】勘違いしようのないレベルまで具体化する
言われたことをどのように理解したかを確認するのがポイントだよ。
指示された内容を理解したら、「分かりました」のあとに「◯◯して△△したあとに◇◇する、という理解であっているでしょうか?」と付け足すと良いんだ。
自分の仕事に関わりのある人と、仕事内容についての理解をすり合わせるといいね。
④ジャッジメントミス
良かれと思って他の人の仕事道具を片付けてたら、「まだ仕事の最中だった」と怒られたこともあるんじゃないかな。
ジャッジメントミスは、そんな判断を要する場面で、情報や経験不足、思い込みなどによって生まれてしまうんだ。
ノーベル賞学者のダニエル・カーネマン博士は、脳の中では「速い思考」と「遅い思考」の2つが使われていて、特に速い思考が判断の誤りにつながることがあると言っているよ。
速い思考は「1+1=2」を解くことや、相手に対して「優しそう」など、一瞬で思い浮かぶものなんだけど、速い思考はこれまでの記憶をベースにしていて、そもそも記憶には偏りや誤りがあるから、ミスが発生してしまうんだよね。
逆に、遅い思考は、意識的かつ論理的に判断を下すときに使われるものだから、ジャッジメントミスをなくすためには、速い思考が下す判断を遅い思考で検証するというプロセスが有効なんだ。
【対策】ホウレンソウと自分のミスを認める
上司へのホウレンソウ(報・連・相)が役に立つよ。
自分の考えを言語化するときは遅い思考を使うことになるし、言語化したものを人に伝えることで、勘違いや理解の間違いも確認することができるよね。
それと、自分のミスを認めることは、速い思考を使って間違えた行動を、遅い思考を使って振り返ることになるから、ミスの予防には最適なんだ。
ミスを繰り返さないための習慣づくり
最後に、ミスをしないために普段からできることを見ていこう。ゲーム感覚でできるものもあるから、気軽に取り組んでみてね。
リフレクションを習慣にする【ワーク】
まず大切なことは、ミスした原因を分析することだよ。
リフレクションとは内省と同じ意味で、自分自身の行動や状態を客観的に振り返ることを言うんだ。
ミスが起きた状況をフラットな視点で振り返ることがポイントなんだよ。
具体的にリフレクションのプロセスを見ていこう。
①出来事を振り返る
まずはミスが起きた状況だけを振り返ることから始めるよ。
経験した事実をそのまま思い返してみてね。
たとえば、「3日前に送られていたメールを見ていなかった」などだよ。
※メールを見るのを「忘れていた」ではないことに注意しよう。
②状況を振り返る
次は、そのときの自分の状況を振り返ってみるよ。
・その日はメールボックスがいつにも増して多かった。
・月曜日で会議が始まる直前だった。
・前日に彼とケンカをしていた。
こんな感じで、そのときの自分の状況を書き出してみてね。
③行動を振り返る
最後に、そのミスが起きたときに自分がどんな行動をしたかを思い出してみよう。
・急いでいたから座らないでメールを確認した。
・会議の後にすぐ外出をしたから、次にメールをチェックしたのが夕方だった。
・仕事中に彼から連絡があって、同時にメッセージもしていた。
こうやってミスが起きた場面を3つに分けて考えていくと、どういう状況でどういう行動がミスにつながったを把握しやすくなるんだ。
出来事を振り返る
状況を振り返る
行動を振り返る
Nバック課題
ワーキングメモリは7つまでしか記憶できないと言ったけど、その7つを必要なタイミングで思い出せるようにするトレーニングがNバック課題だよ。
Nバック課題は、ウェイン・キルヒナー氏が、脳の機能や活動を調査するために考案した実験方法なんだけど、今では脳トレの一つになっているんだ。
たとえば、5. 1. 3. 5. 8. 9. 0. 6. という数字の列があって、2バックであれば「今の数字の2つ前」を言う、3バックだったら「3つ前の数字」、という感じで答えていくんだ。
7バックまでできるようになったら、すべてのワーキングメモリを使いこなすことができるようになるかもしれないよね。
アプリになっているものもあるから、試してみてね。
8時間以上寝る
よく言われることだけど、睡眠不足はミスや失敗には大敵だよ。
労働省産業医学総合研究所の論文では、チェルノブイリやスリーマイル島の原発事故は、どちらも夜中に起きた人為的ミスを指摘しているんだ。
そして、時間と同じぐらい大切なのが「質」だよ。
夜寝る前はスマホやパソコンを見ない、寝る前は食べない、寝る2〜3時間前から部屋を徐々に暗くするなども良い工夫だよね。
「最近あんまりぐっすり眠れない」という人は、爆速で眠れる簡単な快眠方法の記事も見てみて!
料理をする
ワーキングメモリについてはもうたくさん知っていると思うけど、ワーキングメモリは主に前頭前野を使って活動しているんだよ。
そして、日本調理科学会誌に掲載された山下氏の研究では、料理のすべての手順で前頭前野が活性化されることがわかったんだ。
献立をつくる、野菜を切る、炒めるなど、それぞれにタスクがあって、それが次の手順へと受け継がれるのは、確かに仕事の手順と似ているかもしれないよね。
それに、料理は煮込んでいる間に次の料理の準備をしたりするから、ワーキングメモリを鍛えるのにも、とても効果的な作業なんだ。
もちろん忙しい人や料理は面倒という人は、ずぼら料理で大丈夫だよ。
謝りすぎない
同じミスを繰り返すと、自分も落ち込むし、上司や同僚に迷惑をかけるから申し訳なく感じるよね。
でも、謝りすぎることは自分を萎縮させることになるし、萎縮すると余計にミスも多くなってしまうよ。
心理学者のアドラーは、横の関係が信頼を生むと言っているんだけど、横の関係というのは「対等な関係」を意味しているんだ。
適度に謝ることは信頼関係を作るために有効だけど、不必要に謝ると上下関係ができてしまい、信頼関係を作りにくくする原因になってしまうんだ。
大丈夫、心を込めて一回謝ったらきっと伝わっているよ。
同じミスを繰り返す改善方法まとめ
ミスをしてしまうと、どうしても落ち込んだりネガティブな気持ちになっちゃうよね。
でも、ミスが起きるのは脳の機能が低下していたり、そのときの手順や行動に適切ではない部分があったりするだけなんだ。
もちろん、落ち込みたいときは思いっきり落ち込んだらいいし、次はミスをしないように十分気をつけることも大事だと思う。
でもね、ミスは誰でもするものだよ。ミスから学べることはたくさんあるから、まずはミスを認識できた自分を労ってあげてね。