初対面でいきなりタメ口で話してきたり、まだそんなに仲良くないのにプライベートなことを聞いてくるような馴れ馴れしい人っているよね。
悪気があって近づいてくるのは大問題だけど、悪気なく距離感が近すぎるのも戸惑ってしまうもの。
馴れ馴れしさはその人の性格的なものでもあるけど、コミュニケーションは必ず2人以上で行うものだから、違和感の原因を探ることは自分を知ることにもつながるんだ。
今日は馴れ馴れしい人との関わり方や苦手意識などを、特にパーソナルスペースの観点から説明するよ。
目次
馴れ馴れしい人の特徴と心理
「他に席空いているのになんで隣り?」
「なんで2日目からいきなりあだ名?」
馴れ馴れしいのが苦手な人にとって、人の領域にグイグイ入っていける人の心理ってかなり謎だよね。
まずは馴れ馴れしい人の特徴や心理を知ることから始めよう。
距離が近い
馴れ馴れしい人の圧迫感は、物理的にも精神的にも「距離」が近すぎるからだよね。話す距離が近かったりボディタッチが多いのは物理的な距離の近さだし、初対面であだ名やタメ口を使ったり、プライベートなことを聞いてくるのは精神的な距離が近いことの表れなんだ。
距離が近くなってしまう理由と、距離が近いことに対する居心地の悪さの理由を知ることが、馴れ馴れしい人と関わる上で大事なポイントになってくるよ。
リスナーではなくトーカー
馴れ馴れしい人は距離感が近いだけでなく、基本的に自分のことばかり話す人が多いよ。
気安く話しかけるのも結局は自分の話をするための作戦だったり、自慢したいことを際立たせるためにあえて最初に質問をしてくることもあるよね。
馴れ馴れしい人からしたらフレンドリーにふるまってるつもりかもしれないけど、こっちからしたら自慢話の出汁に使われたような気持ちになってしまうことも、馴れ馴れしい人に疲れる理由なんだ。
ある意味コミュ障
馴れ馴れしい人は上手にコミュニケーションをとってるつもりかもしれないけど、相手が戸惑っていることに気づいていない時点で、実はコミュニケーションが得意ではないとも言えるよ。
コミュニケーションは野球のキャッチボールによく例えられるけど、こういう人はボールが行ったり来たりしていればそれだけでいいと考えてるんだ。
でも、本当のキャッチボールは適度な距離や、距離に合わせたボールのスピード、相手が取りやすいところに投げるなど、配慮することはたくさんあるよね。馴れ馴れしい人のコミュニケーションは、その人の好きなタイミングで、投げたいところに、投げたいスピードで投げるだけだから、受け取るキャッチャーが必死なことに気づいていないんだ。
マウンティングしている
馴れ馴れしい人は相手が戸惑っていることに気づいていないことを話したけど、逆にマウントを取るために知ってて馴れ馴れしくしてくる人もいるよ。
マウンティングは相手よりも自分が優位な立場をつくるための一方的な態度のひとつだけど、こういう人は馴れ馴れしく接することで相手を萎縮させようとしているんだ。
自分のペースに引き込むための態度だから、受ける側は疲れてしまって当然なんだ。
マウンティングについて知りたい人は、こっちのページで詳しく説明してるから見てみてね。
寂しがり屋
相手を気にしない態度やマウンティングを取っている一方、実は寂しがり屋で、親密な関係を求めているからこそ馴れ馴れしい態度をとっている場合があるよ。
こういうタイプの人は、信頼できる人があまりいなかったとか、いたけど失ってしまったことが原因で、人と仲良くすることにコンプレックスがあると同時に、強く深い関係を求めるから、相手との距離感を測れなくなっているんだ。
距離感の近い人には困ってしまうけど、そういう人にも辛い事情があるのかもしれないね。
劣等感が強い
馴れ馴れしい人には寂しがり屋な場合があると説明したけど、その孤独感から劣等感を抱いている人も少なくないよ。
自信がないから素の自分でいることができず、人と関わるときにテンションの高い自分を偽って見せるのは、そんな自分を保つための唯一の手段なのかもしれないんだ。
偽りの自分を演じることで、しかもそれで相手が困惑していることまでわかっているとしたら、余計に劣等感も深まって、本人もどうしようもないほど苦しんでいるかもしれないよね。
劣等感についてはこっちのページを参考にしてね。
馴れ馴れしい人が苦手で気持ち悪いと感じる理由
馴れ馴れしい人は厄介だけど、そんな人とフレンドリーに接することができる人もいるよね。
次は、馴れ馴れしい人に苦手意識を感じる自分の理由について見ていこう。
礼儀と常識
馴れ馴れしい人を苦手と感じる理由のひとつは、礼儀知らずだったり非常識な態度にイライラしている場合があるよ。
知り合って間もないのにタメ口だったり気安く話しかけてくるのは、特に職場のような組織化された場所では不適切と思われやすいし、上下関係を気にしないような関わり方は礼儀知らずに映るよね。
礼儀は相手を尊重することだから、馴れ馴れしい人と関わるときに「自分は尊重されていない」という思いが、苦手意識や嫌悪感として表れているかもしれないんだ。
外向性と内向性の違い
人にはそれぞれ個性があるよね。特に外交的な人と内向的な人では、快適に感じる距離感に違いが出やすいんだ。
分析心理学で有名なユングは、人間の意識について外向と内向の2つに分けて、それぞれ関心を持ちやすい対象に違いがあることを言っているよ。
上の表でもわかるように、馴れ馴れしい人の特徴は外部や他人に関心が強く、さらに積極性も高いこと。逆に内向的な人の特徴は、自分の内面世界を大切していて、外部との関わりに敏感さと繊細さがあること。
両者の間で安全と感じる距離感に違いが表れるのは必然でもあるんだ。
外向性と内向性は「私は完全にこっち」と分けられるものではないし、対象や時期によっても変わるよ。どちらかに偏りがある場合でもバランスを取ろうとする心の働きもあるから、あくまで目安として参考にしてみてね。
深い関係に苦手意識がある
馴れ馴れしい人が苦手な人は、人と深い関係になることにも苦手意識がある「回避依存」かも。
回避依存は「親密になることを回避する」傾向で、「傷つくくらいなら最初から関わらない方がいい」という考え方が前提になっているんだ。
関係を持つことを回避するようになった理由は人それぞれで複雑だけど、養育段階での母子関係、過去に裏切られた経験、内向的な性格や自己肯定感の少なさなどが関係していることが多いよ。
ゆっくりと、安全に、そして丁寧に相手との距離を近づけたい人にとっては、馴れ馴れしい人はペースも早いし圧も強すぎるんだ。
よそよそしいはOK?パーソナルスペースで変わる距離感
馴れ馴れしいのは嫌だけど、だからってよそよそしいのが良いわけでもないよね。
日本では馴れ馴れしい態度は礼儀がないと思われる一方、欧米などではよそよそしい態度こそ失礼と考える傾向もあるんだ。
つまり、人との距離感や関わり方は国や文化によって変わり、それはパーソナルスペースの違いとも言えるんだよ。
パーソナルスペースの種類
レベル1: 密接距離(0~45cm)
・恋人や家族など親しい関係性の人のみが入れる
・恋人や配偶者、子供へのスキンシップが容易にできる範囲
レベル2:個体距離(45cm~120cm)
・友人など親しい人が入っても不快に感じない距離
・お互いの表情を容易に読み取れるため会話に適している
・恋人がいる人が異性とこの距離にいると浮気を疑われる(?)
レベル3:社会距離(120cm~360cm)
・会社の業務などで同僚や上司・取引先などと接するときの距離
・手を伸ばしても相手に触れられない
レベル4:公衆距離(360cm以上)
・講演会や演説などの公式の場でとられる広さ
・聞いている側がその場を離れたとしても特に問題とされない距離
パーソナルスペースは心理学者のR・ソマーが提唱したもので、他者が自分に近づくことを許せる距離、心理的な縄張りを指す言葉だよ。パーソナルスペースはどこで誰といるか、その人の性格や年齢によって変わるんだけど、文化人類学者のエドワード・ホールは4つに分類したんだ。
職場の同僚がレベル2の距離で話してきたり、まだ関係性が深まっていない異性がレベル1まで近づいてきた時に「馴れ馴れしいヤツ」になるんだね。
逆に、恋人でもレベル2の距離を求めたり、限られたスペースしかない職場でもレベル4の距離が必要な人は、馴れ馴れしい人に対する苦手意識が強いのかもしれないよ。
属性で変わるパーソナルスペースの型(年齢、性別、国)
パーソナルスペースはどんな場所で誰といるかで種類が分けられると言ったけど、属性によっても違うし、その差は文化によっても変わってくるんだ。
【文化による違い】
欧米のように挨拶するときにキスや握手をするような国は、パーソナルスペースも小さくなるよ。また、親戚一同が大人数で住む場合や大きな家を持てない途上国では、身を寄せ合って生活してきた習慣がパーソナルスペースを小さくさせるんだ。
逆に、女性が目元以外を隠して生活するようなアラブ圏では、パーソナルスペースは大きくなるんだよ。研究によれば、サウジアラビアでの恋人との距離は、アメリカでは他人との距離感と同じなんだ。
【年齢による違い】
パーソナルスペースは「他人への依存度が大きいほど小さくなる」と言われていて、たとえば生まれたばかりの赤ちゃんは両親に100%依存して生きているし、歳をとると介護が必要になることもあるよね。
ウォーリック大学の研究では、人間は12歳頃からパーソナルスペースを意識しだして、年齢と共に大きくなり、40歳くらいで大きさのピークを迎えると言っているんだけど、40歳は社会的にもっとも独立していると言えるのかもしれないね。
【男女の違い】
性別の違いは、パーソナルスペースの距離だけでなく形にも影響があるよ。早稲田大学の研究では、女性の方がパーソナルスペースは小さいとし、近づいて不快に感じるまでの距離は、男性同士の距離よりも女性同士の距離の方が近く、異性同士でも女性の方が近い距離に対して違和感が少なかったんだって。
そして、女性のパーソナルスペースは丸く全方向に均一である一方、男性のは前方が長めの楕円形をしているんだよ。
「距離が近い」といってもただ馴れ馴れしいだけではなくて、文化や年齢、性別や生育環境の影響を受けて、相手と自分との距離感覚に違いがあるということなんだ。
馴れ馴れしい人のペースに流されない対処法
人にはそれぞれ個性や特徴があるし、多様性を尊重する観点で考えても、自分と違うというだけで遠ざけることも、自分が相手のスタイルにすべて合わせるのも違うよね。
相手を尊重しつつ自分も大切にするために、どんなことができるかを考えていくよ。
自分のコミュニケーションの形を知る
「馴れ馴れしい人は厄介だし、相手のペースに丸め込まれる気がするから、なるべく近づかないようにしよう」と考えるのもひとつの手だけど、まずは自分がどんなコミュニケーションが心地よくて、どういう関わり方に苦手意識があるかを考えてみよう。
特に「馴れ馴れしくて嫌だな」と思ったときに、相手に大切にしてほしいことを具体的にするのが重要だよ。
最近馴れ馴れしいと感じたのはどんなとき?
大切にしてほしいと思ったことはなに?
相手を理解しようとする
馴れ馴れしい人とそうでない人の違いは、実は態度だけでなくどれだけ相手のことを知っているかも影響しているよ。
たとえば、職場の忘年会でちょっとキツい冗談を言ってくる人でも、まったく知らない違う部署の人に言われるのと、同じ部署で「冗談は言うけど大事なところは親切」みたいな人とでは、馴れ馴れしさにも違いが出てくるよね。
熟知性の法則といって、人間は相手のことを知れば知るほど好きになりやすいという傾向があるんだ。誰を好きになって嫌いなるかというのは相性以外に、相手を知ろうと努力することも影響してくるんだよ。
つまり、相手を知らないことによる未知が恐怖感を増やし、恐怖感が苦手意識に変わることで距離を置きたくなるということなんだ。
もちろん、どんな時でも相手を理解しようとする必要はないから、自分に余裕がありそうなときに思い出してみてね。
はっきりNOと伝えることも必要
相手を理解しようとしてもどうしてもできないときはあるよね。そんなときはハッキリと自分が嫌だと感じることを伝えちゃって大丈夫だよ。
相手の態度を否定するのは勇気がいるけど、苦手と感じる部分を理由も含めて言葉にできたら、相手も聞いてくれやすくなるよ
【例】自分のデスクに来て話す同僚の距離が近すぎるとき
「すいません。あまり近い距離で人と話すのが得意でなくて…そうなると集中して話を聞けなくなるので、もう少しだけ距離を取れるようにしてもいいでしょうか…?」
【例】仕事帰りに賑やかな場所での食事に誘われるとき
「すいません。あまり賑やかなところが得意じゃないのと、仕事が終わったら静かに過ごすのが好きなので…」
ここまで自分の気持ちを伝えられたら相手も納得しやすいし、もしそれで静かな場所に食事に誘われるようになったら、相手は自分を尊重してくれたことになるから、そうなると馴れ馴れしい人だけじゃなくなってるかもしれないよね。
それでも変わらない場合は、正々堂々と関わらないようにしても大丈夫だよ。
馴れ馴れしい人まとめ
馴れ馴れしい人への苦手意識は、パーソナルスペースの違いによるものが大きくて、その距離感は個人の生育歴や文化、属性によって変わってくるんだ。
世界にはいろんな人がいるから、自分が心地よくコミュニケーションをとれる人だけに囲まれて生きるのは無理だよね。
馴れ馴れしい人にも事情はあるかもしれないけど、そんな人が苦手な自分にも事情はあるもの。
自分を知って、余裕があるときは相手を理解してみることを試みて、どうしようもないときは丁寧に本心を相手に伝える。それでダメなら距離をおく。
馴れ馴れしい人に限らず、自分とは違う人と関わるときに役に立つ関わり方だよ。