「自分には荷が重い仕事を任された…どうしよう」
「パートナーに『話がある』と言われた」
こんなとき、不安になって逃げ出したくなることってあるかな。
最近は、嫌なことが起こったときにすぐ投げ出してしまう性格のことを「逃げ癖」と言ったりするよね。
「逃げ癖」と言うと、逃げること自体が悪いように思えるけど、自分に危害が及びそうなときに「逃げたい」と思う気持ちは自然な反応なんだ。逃げることを「根性がない」「甘えている」と単純に決めつけると、上手く対処できなくなるばかりか、自分で自分を嫌いになってしまうよ。
だけど「逃げ」が習慣になると、「逃げる」選択肢しか見えなくなってしまうこともあるよ。ほかにも、逃げること=「根性がないから」「甘えているから」と単純に決めつけてしまうと、上手な対処ができなくなるばかりか、自分を嫌いになってしまうこともあるんだ。
自分の不安の奥にある気持ちに寄り添うために、一緒に逃げ癖について知っていこう。
目次
逃げ癖がある人の心理
一口に逃げ癖といっても、背景には色々な理由があるよ。「すぐに逃げ癖を治したい」と思う気持ちはよくわかるけど、そのためにはまず、自分の逃げ癖がどんな理由から来ているのかを考えることが大切なんだ。
逃げ癖の理由は人それぞれだからすべては書ききれないけど「自分の逃げ癖はなんで起きるのかな〜」と考えながら読んでくれると嬉しいな。
リスク計算ができていない
逃げ癖がある人の背景として、逃げたときのリスクの計算ができていないことがあるよ。
人は極度の混乱状態や不安に陥ったとき、冷静な思考ができなくなるんだ。不安が強く、逃げ出したい気分のときは短期的な「逃げる安心感」にばかり目が向いてしまい、長期的な「逃げることによる損失」の計算がうまくできなくなってしまうんだね。
逃げることが習慣になっている
逃げることで問題を回避し続けていると、寝て逃げる「寝逃げ」や、ゲームやお酒などに逃げる行動が習慣になってしまうんだ。
最初は小さな不安から逃げただけでも、それによって不安が解消した経験を学習すると、次の不安に対しても「逃げる」という選択肢がまっさきに浮かぶようになってしまうんだね。逃げることを繰り返していると次第に不安が大きくなり、「対人関係」や「職場」など具体的な対象への恐怖感へ転じてしまうことがあるんだ。
恐怖感が強まると「人と関わりたくない」と対人関係を拒絶してしまうなど、極端な行動を取ってしまうこともあるよ。
自分らしさを感じられない状況にいる
あたり前のように感じるかもしれないけれど、つまらない仕事をしていたり、やりがいや責任感を感じられない状況にいると逃げ癖がつきやすくなるよ。
自分の行動がそこまで大事に思えない、自分らしく生きていると感じられない状況に居続けると積極的に行動する理由を見失ってしまい「面倒なことからは逃げる」選択を取ってしまうことが多いんだ。
自己肯定感が低い
自己肯定感が低い人にも逃げ癖が生じやすいんだ。
「認知的整合性理論」の考え方によれば、自己肯定感が低い人は「逃げる」「途中で投げ出す」といった自己肯定感が低くなるような行動を取りやすくなるとされているよ。
「ダメな自分」をアイデンティティにしていると、「ダメな自分」を補強するような行動を取ってしまうんだ。これは「ダメな自分」像を強化する行動を取ることで「予想通り自分はダメだった」と安心感を得られるためだよ。
ほかにも自己肯定感が低い人は、ミスをしたり認めてもらえなかったり自分が傷つくことに強い不安を感じて、完璧主義的になってしまうことがあるよ。
だけど物事を完璧にこなすことなんてなかなかできないよね。完璧主義的な傾向のある人は「絶対に失敗したくない!」と思うあまり「失敗するくらいなら逃げたほうがまし」と、問題に正面から向き合うのを避けてしまうことがあるんだ。
逃げ癖の対処法
ここまで逃げ癖がある人の心理を解説してきたけど、ぐさっとくるような言い方に感じた人もいるかもしれないね。そう感じたならごめんね。だけど、逃げ癖を改善するためにはどんな背景で逃げ癖が生じているのかについて細かく分けて考えることが大切なんだ。
「逃げ癖」が生じる理由は千差万別、だったら対処法も同じ数だけあるはずだよね。ただ単に「逃げ癖を治したい」と思うだけじゃなくて、その背景にある自分の経験や自分の気持ちに目を向けてあげられると、上手に対処できるきっかけが掴めるはずだよ。
次に逃げ癖に対処するための方法を紹介していくよ。
疲れちゃった人は一息ついて、一緒にゆっくり見ていこうね。
どうなりたいのかをイメージする
さっきも触れたように「逃げ癖を治したい」と問題をわかりやすい一言にまとめてしまうと、どんな風に対処したらいいのか、そもそも何が問題なのかがわかりにくくなってしまうんだ。
そんなときは「逃げ癖を治さなきゃ」という言葉をいったん遠ざけて「自分はどうなりたいのか」についてイメージすることが大切だよ。
不安を感じながらも「なりたい自分」をイメージすることで、答えのない状況にとどまり考えを深めていく能力「ネガティブ・ケイパビリティ」も鍛えられていくよ。
「逃げる」「逃げない」という目の前の単純な二項対立ではなく、どんな考え方をもって行動するのかが重要なんだね。
デメリットを計算する
具体的な「なりたい自分」をイメージするのと同じくらい大切なのが、具体的なデメリットを計算することだよ。
「このプレゼンから逃げたら一時的には楽になるけど、後で一人一人に謝ることになる」
のように嫌なことや不安なことから逃げることで、自分にどんなデメリットが生じるのか考えてみよう。
客観的にはデメリットのほうが大きいのに逃げているときは、自分が何から逃げ出したいのか考えを掘り下げてみてね。
そこに自分が何を求めているのかのメッセージが隠れていることがあるよ。
小さなことから少しずつ取り組む
逃げ癖がついてしまう理由として、解決すべき課題の大きさに圧倒されてしまったり、課題の全体像を把握できていないことが挙げられるよ。
ポジティブ心理学の研究者であるチクセントミハイによれば、大きすぎる目標や達成する方法が明確になっていない目標に対してはモチベーションが保てないと言われているんだ。
そんなときは「スモールステップ」の考え方が有効だよ。「スモールステップ」は言葉の通り問題を小さな(スモール)段階(ステップ)に分けて優しい内容から小刻みに難しくしていく方法だよ。これはアメリカの心理学者スキナーが学習の原理のひとつとして提唱したものなんだ。
「逃げ癖を治さなきゃ」のように、大きくて曖昧な問題のままでは解決の糸口が掴みにくいよね。たとえば「プレゼンから逃げたい」が問題のときは「まず会社に行こう」→「裏方に回れないか相談してみよう」→「それでもダメなら予めフォローをお願いしておこう」のように、問題を細分化して少しずつ成功体験を積むのが効果的だよ。
ほかにも、勉強なら「まずはノートを一行書いてみて、それから考えよう」→「一行書けたからもう一行書いてまた考えよう」のように、だましだまし進めていくんだ。
スモールステップの考え方が身につくと、上手な目標設定ができるようになるよ。
逃げてもOKな基準を作る
ここまでは逃げ癖の対処法について触れてきたけれど、逃げてもOKな基準を作ることも大切なんだ。
「逃げたい」と強く思うのは、危機を感じた心の防衛反応だと言えるよね。「とりあえず逃げる」という習慣になった逃げ癖は治すべきかもしれないけれど、逃げないことがいつでも正しいわけじゃないんだ。
むしろ、本当に自分を守るべき場面でちゃんと逃げられるように、基準を持っておくことは大切なんだよ。基準は人それぞれだけど、一時的な不調ではなく慢性的な不眠や体重の増減など、目に見える体調の変化が出たときは、逃げるべき場面であることが多いよ。
逃げるときにも、問題に挑戦した自分を認めて「ナイスチャレンジ! だがここは撤退だ!」と勇ましく逃げ出してあげよう。
今逃げたいことは?
「こうなったら逃げよう」と思う基準は?
逃げ癖の奥にある不安に気づく
逃げ癖を治したいと思いながらもどうしていいかわからず、不安になってしまうことってあるよね。
そんなときに「逃げ癖がある人の末路」のような記事を目にしてしまうと、不安が増してしまうし「ダメな自分像」を強化して安心するために、自分に不利益な行動を取ってしまったりするんだ。
そんなときは「自分は何を不安に思っているのか」「自分はどうなりたいのか」といった問いを通じて、不安の底にある自分の気持ちに気付いてあげることが大切なんだね。
自分の気持ちに気付いてあげるための方法としてはジャーナリングやメンタライゼーションの考え方が有効だよ。
「逃げたい自分」を否定せず寄り添ってあげて、立ち向かうべき場面では立ち向かい、逃げるべき場面では逃げられるようになるといいね。